仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けて ひとつ「働き方」変えてみよう!

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第16号 平成23年1月31日 配信

内閣府仕事と生活の調和推進室
Office for Work-Life Balance, Cabinet Office, Government Of Japan


発行: 内閣府 仕事と生活の調和推進室
■□ カエル! ジャパン通信 Vol.16 □■
2011年1月31日 発行

今回のテーマは、『生産性』です。


労働時間の削減は、ワーク・ライフ・バランスの実現における重要なテーマの一つです。生産性を向上させ、短時間で仕事を終わらせることが出来れば、それだけ労働時間は減り、家族や友人と過ごす時間や自分のための時間を増やすことが出来ます。


そこで、今月は生産性向上のための取組・施策や、関連する統計・調査等を紹介します。


≪目次≫


★≪取組・施策紹介 Vol.9≫
「アメリカにおけるワーク・ライフ・バランスと生産性向上」

★≪統計・調査トピックス≫
(公財)日本生産性本部 2010年
「労働生産性の国際比較2010年度版」他

★≪コラム≫
睡眠を取って生産性を上げる

★≪最新情報≫
健康・環境分野の人材育成に取り組む事業主の方へ
成長分野等人材育成支援制度奨励金のご案内【厚生労働省】他


≪取組・施策紹介 Vol.9≫ 「アメリカにおけるワーク・ライフ・バランスと生産性向上」

◎アメリカの取組・施策

 アメリカにおけるワーク・ライフ・バランスの取組は日本とは異なり、民間企業主導の活動により発展してきた歴史があります。ワーク・ライフ・バランスの推進には民間企業の積極的な取組が不可欠であり、アメリカの取組には参考になる点が多いと考えられます。
 今回は、アメリカにおけるワーク・ライフ・バランス推進を成功へと導いた取組・施策を紹介します。

アメリカにおけるワーク・ライフ・バランス浸透の歴史
 アメリカは他国と比べて早くからワーク・ライフ・バランスの取組を始めました。初期の取組について、社会的な背景と企業の取組とを時代を追って以下にまとめました。


◇第1期:ワーキング・マザー雇用策
 1980年代後半、高くなった生活水準の維持のために女性の社会進出が進み、共働きの夫婦が一般的になってきたちょうどその頃、急速な技術革新による産業構造の変化が起こり、企業は優秀な人材を性別や子どもの有無に関わらず求めました。働きたい女性と企業とのニーズが一致し、企業はそのような女性が仕事と家庭を両立しながら働けるよう支援を行うようになりました。この頃の支援は「保育に関する情報の提供」を中心とした「保育支援」であり、アメリカ企業において自然発生的に始まったこの取組は「ワーク・ファミリー・バランス」と呼ばれるようになりました。


◇第2期:対象者の普遍化
 その後、独身や子どものいない従業員、男性従業員等からの求めにより、施策の対象の拡大・普遍化が図られました。ワーキング・マザー以外の従業員が広く利用できるよう、介護支援、カウンセリング、フィットネスセンター、生涯学習支援など、企業が提供するメニューも広がりを見せました。
 そして、対象の拡大に伴い、呼称も「ワーク・ファミリー・バランス」から「ワーク・ライフ・バランス」へと変わっていきました。


◇第3期:ワーク・ライフ・バランスの後退
 ワーク・ライフ・バランス施策のメニューは1990年代中ごろまでに揃ってきましたが、その後、利用が進まないという課題に直面します。
 この取組が「福祉的」な取組であり、利用により忠誠心の低い従業員として評価され、自身のキャリアに良くない影響があるのではないかと懸念する従業員が多く、一方の企業もこの「福祉的」な取組を「コスト」と考えたことから、従業員の利用の停滞、企業の取組の後退が見られるようになってしまいました。


ワーク・ライフ・バランスの改革
 停滞していたワーク・ライフ・バランスの流れに変化を与えたのが1993年から3年かけて実施されたフォード財団による研究でした。フォード財団は大学やシンクタンクの研究チームを結成し、ワーク・ライフ・バランスの更なる充実のための研究を行いました。


◇フォード財団の研究が生んだ「仕事の再設計」
 この研究プロジェクトでは、仕事のやり方を見直すことで、期待する成果を出しながら同時に私生活を充実させる方法を模索し、その結果、チームリーダーを対象とした「仕事の再設計」というトレーニング・プログラムを生み出しました。これは、以下の3段階のプロセスから構成されるものです。


第1段階:既成概念の見直し
 例えば、長時間労働を賞賛したり、私生活を大切にする従業員を「やる気の無い従業員」と評価するような企業風土を見直す。


第2段階:仕事のやり方の見直し
 従業員が効果的だと考えている方法が、企業と従業員双方の目標を達成する上で効果的であるか、見直しを行う。


第3段階:仕事の効率と効果を向上させ、同時に仕事と私生活の共存をサポートするための変革


この3つのプロセスは、事前課題の学習、演習、事例研究、グループ討議などにより進められます。この過程で、メンバー同士の意見交換や相互学習が繰り返し行われ、そのことでワーク・ライフ・バランスに関する理解が深められます。重要なのは、参加者が当事者意識を持って考えるということです。また、このプログラムがチームリーダーを対象としていることからも分かるように、ワーク・ライフ・バランスの推進は個人ではなく、チームで取組むことが効果的であると言えます。


フレックスワーク
 以上のような歴史を経て、アメリカにおけるワーク・ライフ・バランスを効果的なものにするために活用されたのが、フレキシブルな(柔軟な)働き方を可能にする制度です。以下に代表的なものをまとめました。(数字は『フォーチュン』誌の「働きやすい会社ベスト100」に選ばれた会社についての2000年版の調査による)


◇フレックスタイム
 制度の概要:一定時間のコアタイムを含んでいれば、自由に勤務時間帯を設定できる。
 制度の普及率:99%


◇短縮労働週(Compressed workweek)
 制度の概要:週当たりの労働時間を、平日に均等に消化するのではなく、限られた日に長く働くことで休日を増やすという働き方。
 制度の普及率:89%


◇テレワーク
 制度の概要:ITを用いて在宅、あるいは自宅に近いサテライトオフィスにて勤務する。
 制度の普及率:87%


◇ジョブ・シェアリング
 制度の概要:1つの仕事を2人で担当する制度。
 制度の普及率:72%


◇裁量労働制
 制度の概要:1日の労働時間を、まったく自由に設定できる。
 制度の普及率:70%


参考文献

パク・ジョアン・スックチャ(2002)「会社人間が会社をつぶす~ワーク・ライフ・バランスの提案~」朝日新聞社


アメリカにおけるワーク・ライフ・バランスの取組は、以下で見ることができます。ぜひご覧下さい。

(独)労働政策研究・研修機構の資料シリーズ No.8
「少子化問題の現状と政策課題―ワーク・ライフ・バランスの普及拡大に向けて―」

内閣府「少子化社会対策に関する先進的取組事例研究 報告書(HTML版)」
-http://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa17/sensin/index.html

≪統計・調査トピックス≫

今回のテーマである「生産性」に関連した調査を紹介します。


◎「労働生産性の国際比較2010年度版」(公財)日本生産性本部 2010年


● 日本の労働生産性はOECD加盟33カ国中22位

2009年における日本の労働生産性(就業者1人当たりの名目付加価値)は、65,896ドル(755万円/購買力平価換算)でした。2008年の67,600ドルよりも約2.5%低下しており、OEDC加盟33カ国中の順位も2008年の21位から22位に低下しました。OECD加盟国中労働生産性が最も高かった国は、ルクセンブルク(118,230ドル)で、ノルウェー(106,217ドル)、米国(98,773ドル)が続きます。


● 日本の製造業の時間当たり労働生産性は主要先進7カ国中、米国に次いで2位

2005年から2007年の間の日本の製造業の、時間当たりの労働生産性水準(購買力平価換算)は、米国を1とすると0.706で主要先進7カ国の中で米国に次いで高いことが分かりました。また、OEDC加盟主要22カ国においても6位と上位に位置しています。


● 日本の実質労働生産性上昇率は2007年以降低下

金融危機発生の2007年以降、日本の実質労働生産性上昇率は年率平均-2.22%で、OECD加盟33カ国中24位でした。2001年から2007年までの平均は1.79%であったことから、金融危機を境に大幅に落ち込んでいると言えます。2007年前後の日本の労働生産性上昇率の低下は、主要先進7カ国中最も大きくなっています。


* OECDなどのデータによる
- http://activity.jpc-net.jp/detail/01.data/activity001013.html


◎「平成21年「ワーク・ライフ・バランス社会の実現と生産性の関係に関する研究報告書」内閣府経済社会総合研究所 2010年


(ドイツ企業に対するアンケート調査)

● 9割の企業が「フレックスタイム制」を実施

ワーク・ライフ・バランスに関する各種制度や取組のうち、ドイツ企業で最も実施されている割合が高いものは「フレックスタイム制」で、90.0%の企業が実施していました。次いで「裁量労働制」が73.1%、「短時間勤務制度」が69.2%となっていました。


● ワーク・ライフ・バランスのための取組実施企業の8割が生産性に「プラスの影響」を与えている

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のための取組を実施しているドイツ企業の82.6%が、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のための取組は職場の生産性に「プラスの影響」を与えていると回答しました。個別の制度を見ても、法を上回る育児休業制度導入企業の78.0%、フレックスタイム制導入企業の73.5%など、それぞれの取組が職場の生産性に「プラスの影響」を与えていると回答しています。


● 正社員1人当りの1週間当たり実労働時間の平均は38.6時間

2008年度末または2008年12月時点の、ドイツ企業におけるフルタイム正社員1人当りの1週間当りの実労働時間の平均は38.6時間でした。最も多かった回答は40時間(27.7%)で、次いで38時間(22.1%)、39時間(19.5%)と続きます。41時間以上と回答した企業は全体の8.7%でした。


*(検討課題)職場における時間当たり生産性の違い
調査対象 :ドイツに本社をおき、従業員数(正規・非正規を含め)250名以上の企業
調査方法 :電話調査(CATI 調査)
有効回答数 :201社


◎「平成22年企業活動基本調査-平成21年度実績(速報)-」 経済産業省2011年


● 1企業当たりの付加価値額は前年度比で0.3%増

平成21年度の1企業当たり付加価値額は37.8億円で、平成20年度の37.7億円と比べて0.1億円(前年度比0.3%増)と、平成18年度以降、3年ぶりに増加に転じています。また、卸売企業(同1.1%増)や小売企業(同2.7%増)がわずかに増加している一方、製造企業(同3.0%減)は3年連続で減少しており、産業別に違いが見られます。


● 労働生産性は前年度比で0.7%減

平成21年度の労働生産性(常時従業者1人当たり付加価値額)は、838.9万円で、平成20年度の845.0万円と比べて6.1万円(前年度比0.7%減)の減少となりました。また、平成21年度の労働分配率は50.1%となり、平成20年度の50.6%と比べて0.5%ポイント低下しています。


*調査対象 :該当業種の事業所を持つ全国の企業のうち従業者50人以上かつ資本金額又は出資金額3,000 万円以上の企業36,817社
調査方法 :郵送またはオンライン調査
回収率 :83.8%
- http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kikatu/index.html



≪コラム≫

睡眠を取って生産性を上げる


年末年始に休暇を取った後、これから3月の年度末に向けて長時間働くことが多くなる方々もいらっしゃるのではないでしょうか。長時間働くと、仕事以外の家事や育児、趣味等、プライベートにかける時間が少なくなりがちです。そうした時、睡眠時間を削って時間を作り出していませんか。


日本人の平均睡眠時間は、調査によっては6時間とも、7時間とも言われ、他の国よりも短いとされることが多いようです。男女ともに睡眠時間は減少傾向にあるようですが、家事や育児も行いながら働く女性の睡眠時間は、特に短くなっています。


睡眠時間が短くなる背景として、社会の24時間化、夜勤を伴う職種の増加、ストレスの増加や雇用不安の深刻さ等が挙げられます。睡眠を十分に取らないと、疲れが取れず生活リズムが崩れ、体調不良に陥る原因にもなり、生産性にも影響を与えます。アメリカでは、体調が優れないせいで頭や体が普段より働かず生産性が低下することにより、年間1,500億ドルの損失があるとも言われています。つまり、睡眠不足は個人の健康だけでなく、社会活動にまで大きな影響を与えているのです。


睡眠には、身体の疲労を回復し、脳や身体機能等の体内バランスを整える働きがあり、睡眠は、このバランス保持に大事な役割を担っています。したがって、多忙なときこそ、ワーク・ライフ・バランスの実践に留意して、限られた時間を有効に使い、十分な睡眠を確保することが重要です。心身ともに健康を維持し、高いモチベーションと生産性を保てるといいですね。



★≪最新情報≫

★ご案内★

◇健康・環境分野の人材育成に取り組む事業主の方へ 成長分野等人材育成支援制度奨励金のご案内【厚生労働省】

健康・環境分野の人材育成のために職業訓練を実施する事業主の皆さまに、新たな奨励金を創設しました。

- http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/f-top-c.pdf  [PDF形式:1136.64KB] PDF形式


◇家内労働者の労働条件の向上と生活の安定のために【厚生労働省】

厚生労働省では、家内労働者の労働条件の向上と生活の安定を図るため、家内労働法等に基づく施策を行っています。

- http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/hourei/index.html


★調査・研究結果紹介★

◇「ワーク・ライフ・バランス実現への課題:国際比較調査からの示唆」【(独)経済産業研究所】

ワーク・ライフ・バランスの現状および課題を、「働き方」の視点からとらえ、企業のWBL施策の実施、職場マネジメントと関係づけて欧米諸国との比較検討を行っています。

- http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/11010007.html


◇「平成21年度日本人の就業実態に関する総合調査」【(独)労働政策研究・研修機構】

就業者に対する意識調査の結果が掲載されています。

- http://www.jil.go.jp/press/documents/20101228.pdf  [PDF形式:205KB] PDF形式


★イベント情報★

◇ワークライフバランスフェスタ東京2011【東京都】
開催日時:2011年2月2日(水)10:00~17:00
開催場所:東京国際フォーラム

- http://wlb-festa.metro.tokyo.jp/


◇労働政策フォーラム開催 ホワイトカラーの労働時間を考える―効率的な働き方を求めて―【(独)労働政策研究・研修機構】
開催日時:2011年3月2日(水)13:30~17:00
開催場所:浜離宮朝日ホール 小ホール

- http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20110302/info/index.htm


◇職場で楽しく働き続けるために!!~仕事と家庭の両立をサポートする育児・介護休業のポイント伝授~【東京都社会保険労務士会 女性委員会】
開催日時:2011年2月8日(火)18:30~20:30
開催場所:女性と仕事の未来館 4階第1セミナー室



地方公共団体でのワーク・ライフ・バランス推進の取組事例を募集しています

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取組のきっかけや実績、効果など、ひと工夫した事例、ユニークな事例を含めてお寄せください。
いただいた事例は、仕事と生活の調和推進室において内容を確認させていただき、今後、メールマガジン等でご紹介させていただきます。
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※事例の締切りは当面ありませんので、随時ご応募ください。
また、紹介時期のご指定についてはお受けできませんので、あらかじめご了承ください。

取組事例のご応募はこちらから
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※ご記入の際は、冒頭に必ず【取組事例応募】と明記してください。

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≪編集後記≫

以前いた職場に、保育園のお迎えのために毎日5時前に退社する先輩がいました。その先輩はいつも明るく前向きで、仕事は計画的にテキパキとこなし、時間になると机の上をきれいに整理してサッと帰る。早く帰ることで仕事が停滞することはなく、本人は大変だったでしょうが、限られた時間の中で最大限の生産性を発揮して素晴らしいなあと感じていました。
 翻って今の自分を考えると、生産性が上がるのは飲み会がある日の夕方だけという体たらく・・・。深く反省し、意識してメリハリワークに取り組みたいと思います。(毎日飲み会入れようかな。)(H)

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