第20号 平成23年5月31日 配信

内閣府仕事と生活の調和推進室
Office for Work-Life Balance, Cabinet Office, Government Of Japan


発行: 内閣府 仕事と生活の調和推進室

■□ カエル! ジャパン通信 Vol.20 □■

2011年5月31日 発行

  6月19日の父の日を前に、今月は「父親の育児」という視点からお送りします。

≪目次≫

★≪コラム≫ 父親の育児を考える。

★≪取組・施策紹介≫
  • イクメンプロジェクト【厚生労働省】
★≪統計・調査トピックス≫
  • 仕事特性・個人特性と労働時間【(独)労働政策研究・研修機構】(2011年3月)他
★≪最新情報≫
  • 海外情報
    • 【英】母親から父親へ最長6カ月の休暇の移転が可能に【(独)労働政策研究・研修機構】(2011年4月)他
  • お知らせ
    • 「手引・冊子・パンフレット」に「IT業・小売業におけるストレス対処への支援」冊子が追加されています(こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)【厚生労働省・中央労働災害防止協会】他
  • 地方公共団体等の動き
    • 【東京都】ワークライフバランスフェスタ東京2011のレポートが公表されました他
  • イベント
    • ワーク・ライフ・バランス推進セミナー【(財)21世紀職業財団秋田事務所】他

★≪コラム≫ 父親の育児を考える。

  共働き世帯が増えた今、父親の育児参加は、報道等でもよく取り上げられるようになり、以前に比べると社会的な関心もかなり高まってきているようですが、実際はどうでしょう。

  平成21年度の育児休業取得率は、女性労働者が85.6%に対して、男性労働者は1.72%でした。まだまだ取得率水準は低いものの、前回の平成20年度調査に比べ0.49ポイント上昇し、過去最高の取得率となりました。(※1)

  また、別の調査では、男性の育児休業取得の潜在的なニーズは3割を超えるとの調査結果もあります。更に、同調査から、育児休業制度を「取得しやすく」整えている企業であっても、そこに勤務する共働きの男性の2割程度しか「取得しやすい」と感じていないという結果が出ており、男性が育休を取得しやすい企業風土づくりが大事であることがわかります。(※2)。実際に、育児休業取得実績のある企業の経営層や人事担当マネージャーは、そうでない企業に比べると、男性の育児休業を肯定的にとらえる傾向が強いそうです。(※3)

  まずは、短期間での育児休業取得の積極的な推奨からはじめ、徐々に男性社員が育児休業を取得しやすい社風を作っていくのが実現への近道です。1~2ヶ月の休業であれば、周りにとっても、本人にとっても、必ずしも大きな影響はないと考えられます。

  また、男性の育児休業の取得は、子育ての喜びを知る絶好の機会であるのはもちろんのこと、家庭生活に対する意識の変化にもつながることが期待できます。育児休業中は、男性も、育児に限らず家事などの家庭生活全般を主体的に担うことで、家事や子育ての大変な面にも気付くのではないでしょうか。それが、家事や子育てを夫婦で分担するきっかけになれば、妻の時間的・精神的なゆとりを生むとともに、互いの関係にも好い影響を及ぼすことと思います。そのことが、ひいては、男性自身が、より充実した生活を送ることに繋がっていくのではないでしょうか。

※1「平成21年度雇用均等基本調査」結果概要【厚生労働省】(2010年7月)
-http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000civ3.html

※2「今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査」【厚生労働省】(2008年5月)
-http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/05/h0520-1.html

※3『男性の育児休業』(佐藤博樹他、中公新書、2004年)


★≪取組事例紹介≫

  • イクメンプロジェクト【厚生労働省】
    • 「イクメンプロジェクト」とは
      育児を積極的にする男性「イクメン」を周知・広報するプロジェクトであり、ホームページ開設、イベントの開催を通じ、社会的な気運の醸成を図るものです。
    • 「イクメンプロジェクト」のねらい
      男性が育児をすることについての社会的気運を高め、育児休業を取りたい、育児にもっと関わりたい、という男性の希望をかなえることと、遅れている男性の育児参加を進め、夫婦で協力して育児をする環境を作ることにより、出生率の向上と女性の就業率向上を目指すものです。
      「イクメンプロジェクト推進チーム」を中心にプロジェクト内容が検討され、シンポジウムの開催や広報資料の作成等、具体的な取り組みが進められています。
      -http://ikumen-project.jp/index.html

★≪統計・調査トピックス≫

  今回のテーマに関連した調査についてご紹介します。

  • 仕事特性・個人特性と労働時間【(独)労働政策研究・研修機構】(2011年3月)

  この報告書は、先の調査「仕事特性と個人特性から見たホワイトカラーの労働時間」(2010年4月)で今後の課題とした3点(1「仕事特性」について、顧客や社内の他部門、協力会社などとの関係性の強弱と労働時間の関係を検証すること 2仕事余暇志向以外の「個人特性」と労働時間の関係を検証すること 3管理職の仕事の性質についてより精緻に検討すること)について、新たに労働者個人に対するアンケート調査を実施し、分析したものです。

  「仕事特性」「個人特性」「管理職特性」等からの主な事実発見を踏まえて、長時間労働対策として重要なこととして5点を掲げています。

  • 業務目標・役割の明確化
  • 会議や打ち合わせの簡素化と裁量度の強化
  • 管理職の本来業務であるマネジメント業務の重視
  • まじめな労働者に対するケアと心身の健康管理
  • 有効な長時間労働対策の実施

  -http://www.jil.go.jp/institute/reports/2011/documents/0128.pdf  


  • 妻からみた夫の労働時間【(独)労働政策研究・研修機構】(2011年1月)

  労働時間の問題を考える際には、働く人自身や雇用している企業の視点とともに、「家庭生活」(ワークライフバランス)の視点も同様に重要です。このため、夫の長い労働時間についてその健康面を含め妻がどのように考えているのか、また夫の労働時間の長さが妻自身の就業面などの生活設計や満足度にどの程度影響しているのかのデータを得ることを目的として「労働時間に関するアンケート調査(妻調査)」を実施しました。主な事実発見として、下記3点が挙げられています。

  • 夫の仕事時間を「もっと短くして欲しい」と考えている妻は33.0%で、夫が中間的な管理職にある場合、(仕事時間を「もっと短くして欲しい」とする)割合は相対的に多くなっています。夫の仕事外出時間が13時間以上になると、(夫の仕事時間が)「いまくらいでちょうどよい」とする妻の割合よりも「もっと短くして欲しい」とする妻の割合の方が大きくなり、このあたりの時間が妻にとって許容度の大きなターニング・ポイントであると言えます。
  • 夫の仕事行動が、結婚当時の妻の家事分担イメージ、欲しい子供人数、就業継続希望の実現度など妻の生活や就業、あるいは満足度に様々な影響を与えています。
  • 妻はその状況に応じて、夫の時短方法について「普段の時短」や「連続休暇」などを求めています。

  -http://www.jil.go.jp/institute/reports/2011/documents/0127.pdf  [PDF形式:6133.76KB] 

★≪最新情報≫ (原則として、発行月の前月以降に更新された内容を掲載しています。)

  • 海外情報
    • 【英】母親から父親へ最長6カ月の休暇の移転が可能に-父親休暇制度の改正【(独)労働政策研究・研修機構】(2011年4月)
      イギリスでは、新たに子供を持つ父親が育児のために申請することができる休暇の期間が、4月から大幅に延長されました。政府やシンクタンクは、制度改正による大きな影響はないとみており、今後も政府は、両親が同時に休暇を取得できるようにするなど、さらなる制度の柔軟化に意欲を示していますが、企業などの間では人員調整などのコスト増が懸念されています。
      http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2011_4/england_03.htm
    • 【仏・独・スウェーデン・英・米】海外ではワーク・ライフ・バランスをどう支援しているか―フランス・ドイツ・スウェーデン・イギリス・アメリカの支援策比較【(独)労働政策研究・研修機構】(2011年5月)
      「わが国のWLB政策をとりまく状況」を踏まえた上で、「欧州におけるWLB政策」や「各国におけるWLB政策の位置づけ」「企業に対する経済的支援制度」等が紹介されています。欧州におけるWLB政策の対象は、これまで「家族」に力点がおかれてきたという特徴があります。一方、私的領域の問題に国家が介入すべきでないとの考え方から、イギリスは欧州の中ではWLB後進国と目されてきました。
      WLBのモデル国とも目されるスウェーデンと基本的に国が関与しないとするアメリカは、国が企業に対する経済的支援を一切行っていません。スウェーデンが企業への経済支援策なしにWLBを達成できたのは、同国のユニークな社会システムに理由があります。
      出生率が2を超えるアメリカには、少子化対策という文脈は政策の中にはなく、WLBの取り組みはイギリスと同様、政府の施策としてではなく、企業および民間団体の自発的な努力により、主には女性の社会進出に伴う男女均等促進に力点を置いたワーク・ファミリー・バランスとして発展してきました。
      具体的な支援策の事例としては、フランスでは企業内保育所の設置・運営に対する全国家族手当金庫(CNAF)を通じた支援が中心となっています。また、ドイツでは企業が従業員に対して追加的な保育費用補助手当を支給する場合、当該手当にかかる部分を非課税にするという支援策が講じられています。イギリスもまた、「チャレンジ基金」として企業に対する経済的支援策を講じています。
      http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2011_5/wlb_01.htm
    • 【OECD】設立から50周年を迎えるOECDの本部(パリ)で、5月24日に閣僚会議に先立ってフォーラムが開催されました。
      「ジェンダー」をテーマとするフォーラムには、日本から内閣府の末松副大臣がパネリストとして参加し、「日本では、社会保障制度などの支え手として、女性の一層の労働参加が期待される。そのためには、女性に最大限の礼儀(honor)を尽くして労働市場に入ってもらわねばならない。また、女性が安心して仕事をすることができるようにするためにも、税制・社会保障の一体改革の中で、社会全体による「子育て支援」を重要分野と位置付け、取組を進める」と発言しました。また、制度の整備と合わせて、イメージ戦略も必要で、男性のポジティブな育児参加を応援する「イクメン」プロジェクトの取組が国内であることなども、紹介されました。
      -http://www.oecd.org/forum/48036768.pdf  

  • お知らせ
    • 「手引・冊子・パンフレット」に「IT業・小売業におけるストレス対処への支援」冊子が追加されています(こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)【厚生労働省・中央労働災害防止協会】
    • ファザーリング・スクール(日本初の、父親学校)第6期のカリキュラムが決まり、受講生を募集されています(6/15開講)【NPO法人ファザーリング・ジャパン】
      -http://www.fathering.jp/school/school.html
  • 地方公共団体等の動き
    • 【東京都】ワークライフバランスフェスタ東京2011のレポートが公表されました
      「ワークライフバランスフェスタ東京2011」(2/2開催)における報告概要について掲載されています。
      -http://tokyo.kosodateswitch.jp/events/wlbtokyo2011/wlbtokyo2011report/
    • 【新潟県】「新潟県ワーク・ライフ・バランス推進研究会」の報告書が公表されました
      県では、新潟県におけるワーク・ライフ・バランスに効果的に取り組むため、新潟県民の働き方やWLBの状況、諸外国の現状や制度について検討を重ね、この度報告書がまとまりました。
      -http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Simple/41/56/houdousiryou.pdf  
    • 先進事例紹介(企業の取り組み・勤労者の取り組み)が公表されています。【(財)兵庫県勤労福祉協会(ひょうご仕事と生活センター)】
      -http://www.hyogo-wlb.jp/jirei/
  • イベント
    • ワーク・ライフ・バランス推進セミナー【(財)21世紀職業財団秋田事務所】
      日時 2011年6月17日(金) 13:30~15:30
      会場 秋田県青少年交流センター ユースパル
      対象 事業主、人事労務担当者
      講演 「今なぜワーク・ライフ・バランスなのか」
      特定社会保険労務士 祝 修二氏
      その他、事例発表、説明
      参加費 無料
      http://www.akikei.jp/doc/worklife.pdf
    • ワーク・ライフ・バランス推進・研究プロジェクト成果報告会【東京大学社会科学研究所】
      日時 2011年7月4日(月)13:30~17:45
      会場 東京大学 弥生キャンパス弥生講堂一条ホール
      分科会1「仕事と介護の両立支援の課題」 ※他プログラムあり
      担当:佐藤博樹(東京大学大学院情報学環教授・社会科学研究所兼務)
      小室淑恵(株式会社ワーク・ライフ・バランス代表)
      申込締切 6月20日(月)
      参加費 無料
      -http://wlb.iss.u-tokyo.ac.jp/material/pdf/seminar2011.pdf  
    • 神戸イクメン大賞2011【こうべイクメン大賞実行委員会】
      日時 2011年6月19日(日) 10:00~14:00
      場所 神戸市立地域人材支援センター
      募集内容 子育てにかかわる50人のおとなたちが『イクメンスゴロク』をつくりながら、『イクメンが当たり前の社会』について語り合います。その間、こどもたちは給食づくりを通して調理体験をしていただきます。できあがった給食は会場でご家族で一緒に食べていただきます。調理は、現役の給食調理師が指導します。
      参加費 有料
      -http://www.kobeikumen.com/event.html
    • タイムマネジメントセミナー『一歩進んだ時間管理でWLBを実現し、充実感アップ!』【四国生産性本部】
      日時 2011年6月3日(金) 10:00~16:30
      会場 えひめ共済会館
      講師 (株)ワーク・ライフ・バランス コンサルタント 横山真衣 氏
      参加費 有料
      http://www.spc21.jp/seminar/0603taimumanejimennto.html
    • 第16回男女共同参画社会づくり推進県民大会【愛媛県 他】
      日時 2011年6月21日(火) 13:00~15:40
      会場 ひめぎんホール サブホール
      基調講演「イクメンが語る三つのバランス~仕事、生活、子育て~」
      安藤哲也(NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事)
      てい談「ワーク・子育て・バランスの実現に向けて」
      安藤哲也(NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事)
      桐木陽子(松山東雲短期大学教授)
      高市眞一(株式会社パルソフトウエアサービス代表取締役)
      参加費 無料
      -http://www.fathering.jp/pdf/kenmintaikai20110621.pdf  

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≪編集後記≫

  学校や地域で行われる運動会、今は春の運動会真っ盛りの季節です。主役である子どもはもちろん、家族も、朝早くから応援に、PTA参加の競技に一生懸命頑張ります。張り切り過ぎて、せっかくの休日も休息どころかいつもより疲れる1日かもしれませんが、それが良い気分転換となってまた「ワークとライフ」が充実するのではないでしょうか。

  運動会で頑張ったお父さんだけでなく、日ごろから仕事と生活にイキイキしているお父さん、毎日が忙しく少しお疲れ気味のお父さん、子どもたちはそんなお父さんに、感謝しています。6月の第三日曜日は、父の日です。(M)

発行
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