第28号 平成24年1月31日 配信

内閣府仕事と生活の調和推進室
Office for Work-Life Balance, Cabinet Office, Government Of Japan


発行: 内閣府 仕事と生活の調和推進室

■□ カエル! ジャパン通信 Vol.28 □■

2012年1月31日 発行

新しい一年が始まりました。国では「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)に盛 り込まれた新しい成長及び幸福度に関する調査研究を推進するため、有識者からなる「幸福度に関する研究会」を開催し、検討が進められてきました。国民の「幸福度」を表す新たな指標の検討を行い、先月、幸福度指標試案が提示されたところです。こうした国の取組をはじめ、地方公共団体においても「幸福度」が注目され、取組が進められています。

  今回は、「国民総幸福度とワーク・ライフ・バランス」と題して、今、改めて注目される「幸福度」に関して、東京都荒川区の先進的取組のご紹介を中心に、幸福度とワーク・ライフ・バランスに関連してお届けします。

≪目次≫

★≪コラム≫
「荒川区民総幸福度(GAH)の向上とワーク・ライフ・バランス」
★≪統計・調査トピックス≫
  • 平成22年度国民生活選好度調査結果【内閣府経済社会システム】(2011年7月)
★≪最新情報≫
  • お知らせ
    • ワーク・ライフ・バランスの論議に新たな視点を~2つの委員会から提言
      【公益財団法人日本生産性本部】(2011年12月)
  • 地方公共団体等の動き
    • 平成23年度「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進プラン」の決定について
      【京都府】(2011年12月) 他
  • イベント
    • ワークライフバランスフェスタ東京2012開催【東京都】 他

★≪コラム≫「荒川区民総幸福度(GAH)の向上とワーク・ライフ・バランス」

  (荒川区自治総合研究所から寄稿いただきました)

荒川区は東京23区にある住民に最も身近な基礎自治体です。国内総生産(GDP)のような豊かさだけではなく、区民の誰もが幸福を実感できるあたたかい地域社会を目指して、平成17年に荒川区民総幸福度(GAH:Gross Arakawa Happiness)の取組を開始しました。一昨年にGAHに関する本『あたたかい地域社会を築くための指標』を発行し、昨年はGAH研究の中間報告書を公表しました。

  昨今、多様な価値観、ライフスタイルが存在する中で、一人ひとりが自分らしい生き方を選択できるワーク・ライフ・バランスの推進が不可欠であると言われています。中間報告書では、荒川区政世論調査のデータから幸福度に影響を与える要因について分析していますが、家族との関係が良好である人ほど、または、地域活動や行事に参加している人ほど幸福度が高いことも分かりました。この結果は、仕事だけでなく、家庭生活や地域活動などを大切にすることが、幸福度の向上をもたらす可能性があるということを示唆しています。

  また、平成22年度荒川区政世論調査報告書によれば、ワーク・ライフ・バランスの優先度希望と現状についての分析結果として、「仕事を優先したい」や「家庭生活を優先したい」と回答している方は、現状でも7割前後の方が実践できているという結果がでています。しかし、「仕事と家庭生活をともに優先したい」や「仕事と家庭生活と地域・個人の生活をともに優先したい」と回答している方については、現状で実践できている方は5割以下で、「仕事を優先している」と回答した人がそれぞれ30.5%、23.7%と高くなっており、現実的には仕事優先になりがちであることが伺えます。

  荒川区では、ワーク・ライフ・バランスの推進に向けて、様々な取組を実施しています。その中でも安心して子育てができるよう、子育て支援を区政の大きな柱と位置づけ、例えば、認可保育園の整備や認証保育所の誘致などにより待機児童の解消に取り組むほか、子育て交流サロンや一時保育専用室の拡充、相談体制の充実などを行っています。

  幸福度の向上のためには、ワーク・ライフ・バランスをいかに確保していくかが重要です。社会的な仕組み、制度の構築だけでなく、企業や一人ひとりの意識改革、地域コミュニティとの連携などが今後、一層求められていくと考えられます。

★≪統計・調査トピックス≫

  今回のテーマに関連した調査についてご紹介します。

  • 平成22年度国民生活選好度調査結果【内閣府経済社会システム】(2011年7月)
内閣府では、社会経済環境が変化する中で、国民の方々が日常生活でどのようなご意見をお持ちかをお聞きし、政策運営の基礎資料とするために国民生活選好度調査を継続的に実施しています。平成22年度は、「個人の幸福感の現状」や「新しい公共」に係る国民意識を把握するとともに、地域生活における公共サービスに対する潜在的なニーズと、それを満たす上で地域の担い手に期待する役割や自らが担う役割に関する意識等を把握することを目的として実施しました。その結果、「個人の幸福感の現状」について、
  • 10段階評価で、平均値は「6.5」
  • 幸福感を判断する際に重視した基準については、「過去の自分との比較」「他人との比較」よりも、「将来への期待・不安」「自分の理想との比較」を重視する傾向
  • 幸福感を高めるためには、「政府や職場の支援」「社会の助け合い」に比べ、「家族との助け合い」「自身の努力」など身内での手立てを有効と考える傾向
などの結果が得られています。

(平成22年度国民生活選好度調査結果の概要について)

  -https://www5.cao.go.jp/seikatsu/senkoudo/h22/22senkou_01.pdf  

  (国民生活選好度調査について)

  -https://www5.cao.go.jp/seikatsu/senkoudo/senkoudo.html

★≪最新情報≫ (原則として、発行月の前月以降に更新された内容を掲載しています。)

  • お知らせ
    • ワーク・ライフ・バランスの論議に新たな視点を~2つの委員会から提言
      【公益財団法人日本生産性本部】(2011年12月)

      「次世代のための民間運動~ワーク・ライフ・バランス推進会議~」(事務局:日本生産性本部)は、2006年の発足以来、「働き方」と「暮らし方」双方の改革を図りつつ「調和のとれた生活」の実現にむけた運動を幅広い観点から進められています。
      このたび、「ワーク・ライフ・バランスと質の高い社会を考える会」(座長:清家篤・慶應義塾大学教授・慶應義塾長)および「ワーク・ライフ・バランスと地域の人づくりを考える会」(座長:樋口美雄・慶應義塾大学教授)の2つの委員会にて提言がとりまとめられました。
    • 幸福度に関する研究会を開催【内閣府経済社会システム・経済社会総合研究所】(2012年1月)
      「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)に盛り込まれた新しい成長及び幸福度に関する調査研究を推進するため、有識者からなる「幸福度に関する研究会」を開催しており、2012年1月に第5回が開催されました。
      -https://www5.cao.go.jp/keizai2/koufukudo/koufukudo.html
  • 地方公共団体の動き
    • 平成23年度「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進プラン」の決定について【京都府】(2011年12月)
      京都府では、このたび「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)推進プラン」がとりまとめられ、公表されています。
      -http://www.pref.kyoto.jp/josei/1323669146060.html
    • 平成23年度「ゆとりチャレンジ」実施報告について【佐賀県】(2011年12月)
      佐賀県では、ワーク・ライフ・バランス推進の一環として、11月1日(火)~30日(水)の期間中にノー残業デーや年次有給休暇取得促進などの労働時間短縮に取り組む「ゆとりチャレンジ」が実施されました(今年度は、153事業所、15,273名の方が参加)。参加した事業所を対象としたアンケート結果が公表されています。
  • イベント
    • ワークライフバランスフェスタ東京2012【主催:東京都】
      日時 2012年2月3日(金)10:00~17:00
      会場 東京ビッグサイト 西3ホール
      対象 経営者の方、従業員の方ほか
      講演 「ワークライフバランスで会社を元気に!人生を豊かに!」
      岩田喜美枝氏((株)資生堂代表取締役副社長) 他
      参加費 無料
      -http://www.wlb-festa.metro.tokyo.jp/index.html
    • 平成23年度ワーク・ライフ・バランス推進セミナー【主催:(財)岩手県長寿社会振興財団・岩手県男女共同参画センター】
      日時 2012年2月6日(月)13:30~15:40
      会場 いわて県民情報交流センター アイーナ8階
      対象 企業及び施設等の経営者・人事労務担当者、一般労働者、行政関係者等 50名
      講演 「ワーク・ライフ・バランスの取り組みにより企業はこう変わる」
      池野忠正氏((株)ウェルファム総務部長) 他
      参加費 無料
    • 名古屋市ワーク・ライフ・バランス推進セミナー【主催:愛知県名古屋市】
      日時 2012年2月10日(金)13:30~16:00
      会場 愛知県産業労働センター(ウインクあいち)5階 小ホール1
      対象 中小企業の方々、市民 130名
      講演 「イクメンパパの直言 社員と会社を幸せに導くワーク・ライフ・バランス」
      安藤哲也氏(NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事) 他
      参加費 無料
      -http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000021788.html
    • ワーク・ライフ・バランス推進フォーラム【主催:徳島県】
      日時 2012年2月12日(日)13:30~16:00
      会場 徳島グランヴィリオホテル
      対象 経営者、人事労務担当者、労働者をはじめ県民一般 先着200名
      講演 「なぜ今ワーク・ライフ・バランスが必要か。」
      小室淑恵氏((株)ワーク・ライフバランス代表取締役) 他
      参加費 無料
      -http://www.pref.tokushima.jp/docs/2011112100180/files/11122715.pdf
    • ワーク・ライフ・バランス勉強会【主催:神奈川県横浜市】
      日時 第一回 2012年2月14日(火)14:30~16:00
      第二回 2012年2月27日(月)14:30~16:00
      会場 関内フューチャーセンター(神奈川県横浜市)
      対象 事業所でワーク・ライフ・バランス推進を担当される方等
      講演 第一回 馬上英子氏(東京海上ミレア少額短期保険(株)人事総務部)
      第二回 藤橋智子氏(日本ランズエンド(株)人事総務部) 他
      参加費 無料
    • ファザーリング全国フォーラムinしが【主催:ファザーリング全国フォーラムinしが実行委員会】
      日時 2012年2月17日(金)~19日(日)
      会場 大津プリンスホテル(滋賀県大津市)
      参加費 無料
      内容 基調講演やパパ首長サミットのほか、14の分科会も開催します。なお、それぞれに参加申し込みが必要です。
    • 分科会3「"イクメン"が仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を実現するカギ!」【主催:内閣府、滋賀県】
      日時 2012年2月18日(土)9:30~12:00(定員200名)
      講演 伊藤公雄氏(京都大学大学院文学研究科教授)
      鼎談 伊藤公雄氏×岡島敦子氏(内閣府男女共同参画局局長)×安藤哲也氏
    • 分科会8「イクメンってどんな存在?~女子会トーク~」【主催:内閣府】
      日時 2012年2月18日(土)13:00~15:00(定員200名)
      パネリスト 小室淑恵氏、稲村和美氏(尼崎市市長) 他
      コーディネーター 渥美由喜氏((株)東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長)
      (「ファザーリング全国フォーラムinしが」について)
      -http://www.fathering.jp/zenkoku/
      (各分科会について)
      -http://www.fathering.jp/zenkoku/program.html
    • 「ポジティブ・オフ」シンポジウム【主催:観光庁】
      内容 「日本経済を活性化するライフスタイル・イノベーション~企業と個人の有機的成長戦略~」をテーマに、東京と大阪で、シンポジウムを開催します。
      参加料 無料
      (東京会場)
      日時 2012年2月22日(水)14:00~17:40
      会場 日経ホール(東京都千代田区)
      定員:500名
      (大阪会場)
      日時 2012年3月1日(木) 14:00~17:40
      会場 梅田スカイビルスペース36L(大阪市)
      定員:200名
      -http://www.face2.jp/posioff2012/
    • 平成24年度女性のための仕事と家庭の両立応援講座【主催:奈良県】
      日時 2012年2月24日(金)・3月2日(金)・3月9日(金)10:00~12:00
      ※3回の連続講座です。原則3回すべて受講してください。
      会場 奈良県社会福祉総合センター5階 研修室A
      対象 子育て中で就労を希望している県内在住の女性20名
      講演 瀧井智美氏(Office ICB代表、龍谷大学非常勤講師)
      参加費 無料
    • 企業参加の子育て支援事業全国会議【主催:内閣府】
      日時 2012年3月8日(木)14:30~17:00
      会場 丸の内マイプラザホール(東京都千代田区)
      対象 地方自治体、企業の担当者、NPO関係者、および関心のある方 230名(事前申込制・先着順)
      内容 勝間和代氏(経済評論家)による基調講演のほか、自治体や企業の方によるパネルディスカッション等を開催します。
      参加費 無料
      - https://www8.cao.go.jp/shoushi/11premium/zenkokukaigi/h23/index.html
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≪編集後記≫

  「幸福度」。昨年の11月にブータン国王夫妻が来日された際、日本でも注目された言葉ですね。親日国としても知られるブータンは、先代国王による1972年のGNH宣言から、国民総幸福量(GNH:Gross National Happiness)を追及しています。「国民全体の幸福度」を重視し、国民の精神的な豊かさを目指しているのです。そして、2005年のブータン政府による国勢調査では、「あなたは今幸せか」という問いに対して約97%が「とても幸福」または「幸福」と回答しているとのことです。

  今回ご紹介した東京都荒川区の取組から、ワーク・ライフ・バランスと幸福度の関係を改めて認識することができました。(h)

発行
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