仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けて ひとつ「働き方」変えてみよう!

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仕事と生活の調和の実現に向け当面取り組むべき事項

平成 20年7月
仕事と生活の調和連携推進・評価部会
仕事と生活の調和関係省庁連携推進会議


昨年 12月に政労使の合意の上策定された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に基づき、約半年の間、仕事と生活の調和の実現に向け、関係者の様々な取組が進められてきた。

こうした取組を官民が一体となって効果的に展開するためには、隘路や課題に早急に対処し、集中的に取り組んでいくことが重要である。

今年度、関係府省は別紙に掲げる事業を着実に実施することとしているが、関係者の連携推進を図るために設置された仕事と生活の調和連携推進・評価部会及び仕事と生活の調和関係省庁連携推進会議に参画する各団体及び各府省が、今年度の効果的な取組推進と平成 21年度の新たな展開を視野に入れ、重点的に取り組んでいく事項を以下のとおり整理した。

部会及び連携推進会議においては、適時、取組状況を点検・評価し、関係府省の政策への反映や各主体の取組における活用を継続的に促していく。

 

1.総論

(1) 社会全体での合意形成

仕事と生活の調和の必要性やその実現に向けた取組を社会に根付かせ、業界や地域の取組へと拡大し、ひいては国民全体に浸透させることが重要である。

1) 多様な主体の有機的連携による国民運動の展開

内閣府が作成するシンボルマークやキャッチフレーズ等を、関係府省や関係団体のホームページやシンポジウムなどにおいて積極的に活用するとともに、各種シンポジウムなどの啓発イベントを有機的に連携させ、官民が一体となった国民運動を展開する。

特に、11月を集中広報期間として位置付け、当該期間中、内閣府が行う「官民連携子育て支援推進リレーシンポジウム」や男女共同参画関連啓発セミナー、厚生労働省が行う「仕事と生活の調和を考えるシンポジウム」、「次世代のための民間運動~ワーク・ライフ・バランス推進会議~」(事務局:社会経済生産性本部)が行う「ワーク・ライフ・バランスコンファレンス」などが効果的に連携し、厚生労働省が行う「仕事と生活の調和推進モデル事業」の取組状況をはじめとした各主体の取組の成果等を積極的に発信していく。その際には、参加する側にとって国民運動の全体像がわかりやすいような情報発信となるよう留意する。

また、多様な主体が連携し、活動の成果を相互に活用できるようにするため、内閣府ホームページ内の「仕事と生活の調和推進ホームページ」を国民運動の情報のハブと位置づけ、内閣府を中心に関係機関が有機的に連携できるよう、各主体の取組についての情報などコンテンツの拡充を図る。

2) 地域・業界への運動の拡大

労使、学識経験者、地方公共団体等からなる「仕事と生活の調和推進会議」(都道府県ごとに設置)は、地域での理解や関係者相互の合意形成、取組の促進を図るために重要な役割を果たすことが期待される。

推進会議の運営を担う都道府県労働局は、次世代育成支援対策地域協議会との合同開催等を通じて、地方公共団体との連携を図るとともに、関係団体等との緊密な連携を確保する。

地方公共団体や労使をはじめ、次世代育成支援や男女共同参画に係る地域の関係団体においても、推進会議に積極的に参画するなど、地域の実情に即した住民の理解や合意形成を促進する。

さらに、業界や地域単位へと取組を広げ、ひいては広く国民全体に浸透するような取組とすることが必要である。

また、主体性を発揮して先進的、先駆的な取組を行っている地方公共団体を支援し、さらにそうした取組の情報を共有して地方公共団体が切磋琢磨できるよう、内閣府ホームページ内の「仕事と生活の調和推進ホームページ」において、各地方公共団体の仕事と生活の調和に関する施策(例えば、積極的取組企業の表彰や公契約上の配慮など)を紹介する仕組みを設ける。

(2) 「経済成長戦略」の推進

就労による経済的自立のための雇用機会の創出、質の高い労働や暮らしの実現の基本は成長力を強化することであり、そのための「経済成長戦略」を推進する。

(3) 経営層、管理職の意識改革への支援

仕事と生活の調和の推進のためには、経営者のイニシアティブと管理職の理解が必要であり、それなしには、制度を整備しても実効があがらない状況もみられる。このため、経営層、管理職の意識変革のきっかけ作りとなるための取組が必要である。

1)成功事例の発信

経営層や管理者の意識・行動の変化が端緒となって従業員の仕事と生活の調和が改善した事例を収集し、広く周知を図る。

(直接話法による発信)

その際には、行動を起こした経営者自らが他の経営者に直接語りかける機会を設けたり、経営層や管理職が、若い世代から、彼らが直面している厳しい現実について生の声を聞く機会を設けるといった工夫をすることも有効である。

(メリットの具体的提示)

また、中小企業では仕事と生活の調和のための取組はコストがかかると思われがちであるが、仕事と生活の調和に取り組む中で業務の効率化などを図り業績が向上した事例を積極的に発信し、仕事と生活の調和のための取組がもたらすメリットについての理解を促す。

(人事処遇制度の改善事例の収集・提供)

人事評価に「仕事と生活の調和」や「効率的な働き方」などに関する項目を導入するなど人事処遇制度を見直すことにより、従業員の仕事と生活の調和の改善や生産性の向上につながった好事例を収集・情報提供していくことが有効である。

2)企業の取組の「見える化」の推進

仕事と生活の調和に向けた企業の取組の「見える化」を進めることが有能な人材確保に向けた企業の一層の取組を促進するきっかけとなることから、厚生労働省において、仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備などについて事業主が策定する一般事業主行動計画の公表・従業員への周知を義務付けることなどを内容とする次世代育成支援対策推進法の改正と円滑な実施を図る。

また、内閣府を中心に関係機関が連携して、企業の仕事と生活の調和に向けた取り組みを示す情報を、客観性に留意しながら、就職活動をする学生向けに提供し、有能な人材の確保・育成・定着を目指した企業の取組を促す。

(4) 企業の取組促進のためのインセンティブ提供

企業の自主的な取組を促すためには、いろいろなインセンティブを提供していくことが効果的である。

1) 仕事と生活の調和について相談・助言を行う専門家の養成の促進

企業が仕事と生活の調和のための取組を進めるに当たっては、取組の具体的方法や管理職・従業員の意識改革の方法等について、専門家のアドバイスを受けることが有効である。
こうした取組を一層推進するため、民間における様々な取組を踏まえ、厚生労働省において、社会保険労務士や中小企業診断士の活用を含め、仕事と生活の調和に取り組む企業に対する相談・助言を行う専門家の育成支援方策について検討する。また、地方公共団体による専門家の派遣などの取組を促進する方策について検討する。

2) 中小企業の行動計画策定支援

一般事業主行動計画を策定するノウハウのない中小企業も多いことから、厚生労働省において、厚生労働大臣が指定する次世代育成支援対策推進センターの機能の強化を図り、「2か年集中プラン」を実施することにより、中小企業の計画策定を支援する。

3) 支援・助成制度の周知徹底

制度があっても有効に活用されなければ意味がない。内閣府において関係府省や関係団体が実施する支援・助成制度を集約したパンフレットを作成、活用することなどにより、事業主等に対し、あらゆる機会を利用して周知を行う。

4)「仕事と生活の調和推進企業ネットワーク(通称:CWO(Chief Work-life-balance Officer)ネットワーク)」の構築

内閣府において、関係団体の協力を得て、関係府省からの仕事と生活の調和に関する情報提供や企業間の情報交換ができるようなネットワークとして、各企業において仕事と生活の調和を責任と権限を持って推進する立場にある者が集まる場(仕事と生活の調和推進企業ネットワーク)を設ける。

当該ネットワークにおいて、メールマガジンの発行や情報交換会の開催などのほか、大臣とのリレー対談などを行う。

これにより、企業の横の繋がりを確保し互いに取組を促進しあう環境が整備されるとともに、ネットワークから積極的に情報を発信することで仕事と生活の調和に取り組む企業の社会的評価の向上を図る。

(5) 中小企業における生産性向上の取組

経済全体の生産性向上を図るために、中小企業の活性化が必要である。経済産業省において、生産性を向上させる「付加価値の向上」、それを支える「経営力の向上」、中小企業を取り巻く「事業環境の整備」、等の観点から、地域資源活用促進プログラムによる新事業創出支援、ITを活用した財務会計の整備、下請適正取引等の促進や資金供給の円滑化など、中小企業の生産性向上に向けた取組を、平成 21年度までの3年間、加速化させる施策を講じる。

(6) 男性の働き方改革(男性の子育て参加の促進)

出産・子育て期にある女性が就労と結婚・子育ての二者択一を迫られており、また、長時間労働を背景に男性の家事・育児時間が先進諸国と比べて短い状況にある。

子育て期の男女労働者がともに子育てしながら働き続けられるよう、厚生労働省において、育児期の柔軟な働き方の実現や男性の育児参加促進のための第一歩となる男性の育児休業取得の促進などを、パパ・クオータ制度の検討など制度的な手当ても含めて進めていくべきである。

また、内閣府が中心となり、男性の育児休業取得から復帰までの実践例を紹介し社会で認知されるロールモデルを提供する。厚生労働省においては、子育て期の男性が仕事と家庭の両立可能な働き方を設計・実践するためのハンドブックを作成、配布し、男性の仕事と子育ての両立に関する意識啓発を促進する。

これらにより、男性の子育て参加を促進する。

(7) 消費者行動や取引慣行の見直し

働き方の見直しは、個々の企業内だけの問題ではなく、発注や受注などの企業間の関係や、消費者ニーズにも大きな影響を受ける。また、ライフスタイルの深夜化等を反映した営業時間の拡大は、それ自体が更なる活動の深夜化等を促すという側面もあると考えられる。こうした問題の解決は個別の企業・業界での取組には限界があるので、官民が連携して、社会全体としての生産性に留意しつつ、消費者行動や社会的慣行の問題を検討する。

(8) 調査研究とそれに基づく情報発信の充実

我が国は他の先進諸国と比べ仕事と生活の調和に係る調査研究や情報収集が遅れているとの指摘もなされている。そこで、内閣府を中心に、関係機関と連携し、仕事と生活の調和に関する既存の調査研究結果を収集し、データベースを構築して一体として情報提供するとともに、様々な好事例情報、仕事と生活の調和の個人・企業・社会へのインパクトなどの恒常的な分析・収集・発信を行うことにより、関係者の取組を促進する。

(9)国家公務員についての取組

仕事と生活が調和した社会を実現するためには、国家公務員も率先して仕事と生活の調和に取り組むことが極めて重要である。

このため、政府全体として、業務の効率化を図りつつ、総労働時間の短縮を進める。仕事と生活の調和を推進する立場にある内閣府においては、外部の専門家の知見を活かしつつ、業務の見直しや事務処理体制の工夫など業務の効率化のための取組を行い、その結果を他省庁の取組にも役立てる。

また、各府省において、育児短時間勤務、育児時間、早出遅出勤務、テレワーク等の活用促進により、仕事と育児・介護等が両立しやすい環境整備を図る。

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2.就労による経済的な自立

(1) 勤労観・職業観を育てるキャリア教育の実施

文部科学省において、改正教育基本法において、教育の目標の一つとして「職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養う」とされたことや学習指導要領などを踏まえ、学校教育において、労働基準法や育児・介護休業法等の知識の普及を含め仕事と生活の調和に関する理解と認識を深めるための指導を充実する。その際、仕事と生活の調和に取り組む企業の従業員の体験談などを用いることも有効である。

また、文部科学省と企業や経済団体、学校等が連携し、職場体験受入れを拡大するなど子どもたちの勤労観・職業観を育てるキャリア教育を充実する。

(2) フリーター等の常用雇用化の支援

将来にわたる安定した雇用・生活を実現するため、正社員以外の方々の正社員化を含む待遇の改善や、適正な雇用関係の構築など、安心・納得して働ける環境を整備しなければならない。

就職氷河期に思うように正社員での就職ができずに、やむを得ずフリーター等にとどまっている若者が 30代半ばを迎える中、早急に安定雇用を実現する必要がある。厚生労働省において、年長フリーターに加え、新たに30代後半の不安定就労者も重点に就職から職場定着までの一貫した支援を集中的に実施することなどにより、3年間で 100万人の正規雇用化を目指し、フリーター等の常用雇用化を図る(「フリーター等正規雇用化プラン(仮称)」)。

また、関係府省において、実習と座学を組み合わせた訓練における職業能力の評価、職歴や教育訓練歴、就業に関する目標・希望などを記載し、求職活動等に活用できるようにするジョブ・カード制度を推進するとともに、企業や経済団体等もこれに積極的に協力する。

(3) ひとり親家庭の自立支援

厚生労働省において、就業していない母子家庭の母の就業支援や、すでに就業している母子家庭の母の常用雇用の促進を図り、経済的な自立が可能となるよう、就業相談から就業支援講習、就業情報の提供に至るまでの一貫した就業支援等を行う母子家庭等自立・就業支援センター事業等により支援を行うとともに、母子家庭の母等や子育て終了後の女性等を対象とした事業主等の訓練ニーズを反映したカリキュラムによる新たな組み合わせ訓練により、実践的な能力開発を実施する。関係府省においてジョブカード制度の活用を図るとともに、企業や経済団体等も積極的に協力する。また、就労意欲のある母子家庭の母等の自立・生活の向上を図るため、ハローワークと福祉事務所の一層の連携強化を図る。

また、父子家庭については、特に、保育所の優先入所やヘルパーの派遣などの「子育て・生活支援策」を中心に自立支援策を推進する。

内閣府において、経済的自立が困難となっている母子家庭等の効果的な支援に資するよう、生活困難の背景にある雇用における男女差の影響や性別役割分担意識などについて調査検討を行う。

(4) 高年齢者雇用確保措置の確実な実施

厚生労働省において、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会の実現を目指して、事業主への助言・指導、中小事業主への相談・指導等を実施する事業主団体に対する新たな奨励金(「中小企業高年齢者雇用確保実現奨励金」)の活用等により、高齢者雇用安定法に基づく 65歳までの段階的な定年の引上げ、継続雇用制度等の高年齢者雇用確保措置を着実に推進する。また、高齢者を含めた労働者の一人一人により均等な働く機会が与えられるよう、募集・採用における年齢制限禁止を義務付ける雇用対策法の周知・啓発、指導に引き続き努める。

(5)公正な処遇の確保と男女の機会均等

厚生労働省において、正規・非正規の賃金等の待遇の格差の是正に向けて、パートタイム労働者については、改正パートタイム労働法等関係法令の周知、法令遵守のための指導等とともに、新たに雇用管理の専門家(均衡待遇推進コンサルタント)を都道府県労働局に配置し助言等により事業主を支援する。

また、男女双方に対する募集・採用・昇進・昇格等の差別の禁止等を定める男女雇用機会均等法に基づき、男女間の機会均等確保の実現に取り組む。

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3.健康で豊かな生活のための時間の確保

(1)労働時間等の見直しの推進

厚生労働省において、仕事と生活の調和に取り組む企業に対する相談・助言を行う専門家の育成支援(先述)や「憲章」及び「行動指針」の策定を踏まえて改正した「労働時間等見直しガイドライン」の周知啓発を行うことにより、労働時間等の見直しを推進する。また、平成 20年度より新たに始めた「仕事と生活の調和推進モデル事業」や労働時間等の設定の改善に向けた職場意識の改善に積極的に取り組む中小事業主に対する新たな助成金(職場意識改善助成金)の活用により、労使による長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進など、労働時間等の設定改善の取組を支援する。

(2) 長時間労働抑制のための監督指導等の実施

近年、全労働者平均の労働時間は短縮したが、いわゆる正社員等については、労働時間の長い者の割合が依然として高く、男性の 30歳代において週60時間以上働く者の割合は2割以上となっている。また、長い労働時間等の業務に起因した脳・心臓疾患に係る労災認定件数は高水準で推移している。

このような状況を踏まえ、労働者が健康を保持しながら労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう労働環境を整備することが重要な課題となっているため、厚生労働省において、新たに、事業場に対する自主的な取組を促進するための点検の実施や「時間外・休日労働相談コーナー」の設置など、長時間労働抑制のための重点的な監督指導等を実施する。また、長時間にわたる時間外労働に係る賃金の割増率の引上げなどを内容とする労働基準法改正案を国会に提出している。

過重となっている医師の勤務環境の改善のため、大学医学部の定員増などとともに、いわゆる短時間勤務の導入・普及や復職研修などの医師の離職防止・復職支援に取り組む。

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4.多様な働き方の選択

(1) 働きながら子育てをする時間の確保ができる雇用環境の整備

育児休業復帰後に、保育所への送り迎えが余裕を持ってでき、子育ての時間を確保できるような、より柔軟な働き方が実現できる雇用環境の整備について検討する。

(2)多様な働き方の選択を可能にする環境整備

多様な働き方の一つとして、短時間正社員制度の普及・定着が望まれているところであるが、短時間正社員制度のメリットや内容についての理解が十分とはいえないため、厚生労働省において、制度導入支援のための専用サイト(導入マニュアルや先進事例の提供など)の開設などにより、短時間正社員制度導入の促進を図る。

総務省及び厚生労働省において、テレワーク試行・体験プロジェクトを約 200社・団体に倍増して実施する。また、総務省において、出産・育児等のために在宅中の医師等によるテレワークを通じ、補助的支援による医療現場の負担軽減や復職支援といった効果を検証するための実証実験を行う。

また、過重労働の防止など適正な労働条件下でのテレワークの普及促進を図る必要がある。このため、厚生労働省において、雇用者の在宅勤務についての実態把握の上、相談体制の拡充や広報の充実に取り組むとともに、在宅勤務ガイドラインの見直しなど関係法令の適用関係の明確化のための制度見直しについて、是非を含め幅広い観点から必要な施策について検討する。在宅就業(個人が自宅で行う自営型テレワーク等)については、実態把握やガイドラインの見直しに取り組むなど、必要な施策について幅広い観点から検討する。

また、女性の働き方の選択肢の一つとして注目されている起業について、女性は男性と比べ、必要な知識、経験等が不足していること等が見られることから、女性起業家等に対する支援を行う必要がある。

(3)女性が活躍できる環境の整備

雇用における男女の均等な機会及び待遇の確保は、法制度の整備は進展しているが、依然として出産を機に退職する女性が多いことなどから、男性と比べ勤続年数は短く、管理職比率も低い水準にとどまるなど、実質的な機会均等が確保された状況とはなっていないといえる。

そこで、関係府省において、本年4月に策定した「女性の参画加速プログラム」に基づき、女性の継続就業や参画を妨げる様々な要因を解消し、女性がその能力を十分に発揮できるよう、医師、研究者及び公務員に関する重点的取組を含む、女性の活躍促進のための環境整備を積極的に進める。また、女性の継続就業のためには、個々の企業が、女性の能力発揮を図るため、雇用管理制度及びその運用見直しを行うポジティブ・アクションに取り組むことが効果的である。そのため、厚生労働省において、女性の能力発揮・確保に役立ち、そのことが企業経営にとってプラスの効果をもたらすといったメリットを強調しつつ、好事例の収集・情報提供等を行うことにより、動きに鈍化が見られる企業の取組を一層促進する。その際には、ポジティブ・アクションの取組は女性のみを対象としたものに限られるとの誤解も一部に見られることから、男女双方を対象にした取組(例えば、評価基準の明確化)も含まれるといった、ポジティブ・アクションの趣旨及び内容の正しい理解が促進されるよう周知を図る。

ポジティブ・アクションなどにより女性の登用が進んでも従来の男性の働き方が前提であれば継続就業にはつながらず、また、両立支援が十分であっても登用促進が不十分であれば仕事の意欲の低下などにつながることから、内閣府において、男女が様々なニーズに応じて十分な能力発揮の機会が均等に得られるための更なる方策について検討を行う。

また、厚生労働省において、子育てをしながら就職を希望する女性等を重点的に支援するマザーズハローワーク事業について、事業拠点を拡充するとともに、既存のマザーズハローワーク等において、独自求人の確保、出張相談の充実、地域の就業支援・子育て支援施設等とのネットワークの構築など事業の充実を図る。

(4)保育等子育て支援サービスの充実

厚生労働省において、「新待機児童ゼロ作戦」に基づく施策を着実に実施するとともに、「子どもと家族を応援する日本重点戦略」を踏まえた次世代育成支援のための新たな制度体系の設計についても、去る5月 20日に社会保障審議会少子化対策特別部会においてとりまとめられた「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた基本的考え方」を踏まえ、速やかに検討を進め、多様な働き方に対応した子育て支援基盤を拡充する。

(5)いくつになっても働ける環境の整備

厚生労働省において、高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度等の高年齢者の雇用確保措置の確実な実施を推進する。また、70歳までの高年齢者の一層の雇用に向けた取組等による70歳まで働ける企業の創出や70歳雇用支援アドバイザーの活用等により、「70歳まで働ける企業」の普及促進を図る。

また、今後、高齢期にさしかかる団塊の世代が活躍できる環境の整備のため、高齢者向けジョブ・カードの普及促進による円滑な再就職の促進、地域貢献活動の情報・職場体験機会の提供、団塊世代等の有する技能の円滑な継承に向けた支援の充実を行う(「団塊世代フロンティアプロジェクト」)。

シルバー人材センターにおいては、「教育、子育て、介護、環境」を重点に、高齢者が活躍できる新たな分野を地方公共団体と連携して開拓する事業を支援するほか、高齢者の知識・経験を活かすためのワークショップの開催や企業等とのマッチングを行う新たな事業(「シニア労働力活用事業」)により、高齢者に多様な形態の就業機会を提供する。

なお、就業や地域活動の参画推進に当たっては、男女の置かれた状況やニーズの違いに十分配慮することが必要である。

(6)労働者のキャリア形成の取組への支援

厚生労働省において、長期の教育訓練休暇の付与や自発的能力開発のための時間を確保する制度を導入する企業に対する支援制度の創設など、従業員の自発的能力開発を支援する企業に対する支援を強化する。

また、いつでも「学び直し」ができる社会の構築に向け、文部科学省において、社会教育施設等において学習機会を提供するための学習支援システムの構築や、大学・短大・高専・専修学校と産業界や関係団体の連携による教育プログラムの開発・実施を進める。

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(別紙)

平成 20年度における関係省庁の主な取組(関連主要事業一覧)

20年度事業総額: 662,569,000,000円 注1

1 企業の取組を支援する事業総額: 85,888,000,000円 注1

<主な事業>

★中小企業生産性向上プロジェクト 50,493,000,000【経済産業省】
地域資源活用促進プログラムによる新事業創出支援、ITを活用した財務会計の整備、下請適正取引等の推進や資金供給の円滑化等の実施による中小企業支援。

★若者と中小企業とのネットワーク構築事業 1,200,000,000円の内数 【経済産業省】
中小企業経営者による少子化に対応したマネジメントの導入を支援するため、普及啓発を展開。

★労働時間等の設定改善に取り組む中小企業に対する助成金制度 218,000,000【厚生労働省】
労働時間等の設定の改善に向けた職場意識の改善に積極的に取り組む中小事業主に対する助成。

★65歳までの雇用機会の確保・70歳まで働ける企業の普及促進 26,727,000,000【厚生労働省】
65歳までの高年齢者雇用確保措置の導入に伴う雇用環境の整備等に係る相談・指導等を行う事業主団体に対する助成、希望者全員を 70歳以上まで継続雇用する制度を導入した中小企業に対する支援、70歳以上まで働くことができる新たな職域を開拓するモデル的な取組を行う企業に対する支援。

★パートタイム労働者の均衡待遇確保と短時間正社員制度の導入促進 964,000,000【厚生労働省】
パートタイム労働法の改正を受け、均衡待遇推進コンサルタントの配置によるアドバイス、先進事例の収集・提供や助成金の支給による事業主支援、支援サイトの開設等による短時間正社員制度導入促進などを実施。

★社会的に影響力のある我が国を代表する企業による「仕事と生活の調和推進モデル事業」 119,000,000【厚生労働省】
社会的に影響力のある我が国を代表する企業(モデル企業)10社を選定し、それらの企業による仕事と生活の調和実現に向けた取組や成果について広く周知を図ることを通じ、社会的機運の醸成を図る。

★企業における次世代育成支援の取組の一層の推進 48,000,000【厚生労働省】
次世代育成支援対策推進法に基づく企業の行動計画策定・実施を促進。

★事業所内託児施設の設置・運営等に対する支援の推進 4,012,000,000【厚生労働省】
従業員のために事業所内託児施設の設置・運営・増築等を行う事業主に対する助成措置の対象企業数を拡充。

★育児期における短時間勤務制度の導入・定着支援 88,000,000 【厚生労働省】
短時間勤務制度を導入した事業主に対する助成措置の創設等により、短時間勤務制度の導入・利用に対する重点的な支援を実施。

★両立指標を活用したファミリーフレンドリー企業に向けた取組の推進 27,000,000【厚生労働省】
企業における「仕事と家庭の両立のしやすさ」が診断できる両立指標を普及

★均等・両立推進企業表彰(ファミリー・フレンドリー企業部門) 4,000,000【厚生労働省】
仕事と家庭のバランスに配慮した柔軟な働き方ができる企業を表彰。

「子どもと家族を応援する日本」功労者表彰 3,000,000【内閣府】
子育てや子育てを担う家族を支援する活動に取り組む企業、団体又は個人を表彰。

★テレワークの普及促進 369,000,000【総務省、厚生労働省、経済産業省】
テレワークの普及促進のため、多数の企業等がテレワークを試行・体験できる実証実験等の実施、テレワーク相談センターを拡充し、セミナーを実施する。

★長時間労働抑制のための重点的な指導の実施等 600,000,000【厚生労働省】
長時間労働を抑制するため、特に労働時間が長い事業場を重点に指導を強化するとともに中小事業主に対する支援を実施。

★女性の職業キャリアの継続が可能となる環境整備 624,000,000【厚生労働省】
企業が行う雇用管理改善や女性労働者のモチベーションの維持向上などの取組への支援。

◎人材投資促進税制 税制【経済産業省、文部科学省、厚生労働省】
人材投資を継続的に増加させることが困難な中小企業について、教育訓練費の増減に関わらず、適用事業年度の教育訓練費の総額から税額控除。

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2 地域の取組を支援する事業総額: 469,182,000,000円 注1

<主な事業>

★仕事と生活の調和推進会議の開催を通じた地域ごとの取組の推進 74,000,000【厚生労働省】
労使、地方公共団体、有識者等による仕事と生活の調和推進会議を都道府県ごとに設置し、地域の特性を踏まえた提言の策定等を実施。

★仕事と生活の調和をテーマにしたセミナー等の開催 16,000,000【内閣府】
男女共同参画推進連携会議の構成団体や都道府県における男女共同参画推進連携会議の類似会議等と共催し、講演やパネルディスカッション、セミナーなどを開催。

★地域産業の担い手育成プロジェクト 390,000,000【文部科学省】
専門学校と地域産業界が連携し、地域産業を担う専門的職業人の育成を実施。

★企業を含めた地域ぐるみの子育て支援を推進 37,500,000,000円の内数 【厚生労働省】
企業を含めた関係機関等が連携・協働し、地域における仕事と生活の調和の実現に資する地域ぐるみの子育て支援に関する取組の普及、情報の発信。(次世代育成支援対策)

★次世代育成支援対策に資する施設整備の充実 13,716,000,000【厚生労働省】
都道府県・市区町村が作成する整備計画に基づく児童福祉施設等の整備を推進。

★待機児童解消に向けた保育所の受け入れ児童数の拡大 341,782,000,000 【厚生労働省】
各市町村における整備計画に基づく民間保育所の整備を推進。また、待機児童の解消を目指し、民間保育所における受入児童数の増を図る。

★多様な保育サービスの提供 48,739,000,000【厚生労働省】
延長保育、病児・病後児保育、一時・特定保育等、保護者のニーズに応じた保育サービスを推進し、併せて地域の保育資源を活用した取組を進めるとともに、家庭的保育事業の充実を図る。

★マザーズハローワーク事業の拠点の拡充と機能の強化 1,999,000,000【厚生労働省】
マザーズハローワーク事業の拠点の拡充を図るとともに、求人確保、保育関連サービスの充実、出張セミナー・相談の実施等による機能強化を図る。

★地域における家庭教育支援基盤形成事業 1,153,000,000【文部科学省】
地域において、情報や学習機会の提供、相談体制の充実をはじめとするきめ細かな家庭教育支援を行うことにより、家庭教育支援基盤の形成を促進。

★再チャレンジ支援地域モデル事業 42,000,000【内閣府】
地方公共団体における効果的な女性の再チャレンジ支援の環境づくりの取組みを促進。

★キャリア教育実践プロジェクト 232,000,000【文部科学省】
中学校を中心とした5日間以上の職場体験を実施するとともに、地域の協力体制の構築等を通じ、キャリア教育の一層の充実を図る。

★団塊世代をはじめとする高齢者の再就職支援 4,884,000,000【厚生労働省】
地域における関係機関の連携の下、事業主団体等を通じ、傘下の求人事業主や定年退職者等を対象として、キャリア・コンサルティング、就職面接会やセミナーの開催等、地域の団塊世代の高齢者に対する再就職支援。

★シルバー人材センター事業の推進等 13,827,000,000【厚生労働省】
「教育、子育て、介護、環境」を重点にシルバー人材センターと自治体が共同して企画提案した事業を支援するほか、高齢者の知識・経験を活かすためのワークショップの開催、企業等のマッチングを行う「シニア労働力活用事業」を創設。

★仕事と生活の調和推進のためのアドバイザーの派遣 4,000,000【内閣府】
地方公共団体や各種団体が行う研修活動等をより充実したものとするため、専門的な知識や経験を有するアドバイザーを派遣。

★官民一体子育支援推進運動事業 41,000,000【内閣府】
地方自治体・地域の経済団体等と連携したシンポジウム等を開催し、地域・企業における子育て支援の一層の推進と仕事と生活の調和の気運の醸成を促進。

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3 国民の取組を支援する事業総額: 107,236,000,000円 注1、注2

<主な事業>

★職業能力の形成支援に係る労働市場のインフラの充実 48,960,000,000【厚生労働省】
教育訓練給付制度、公共職業訓練、職業能力評価制度の整備、キャリアコンサルティング環境の整備、情報インフラの充実等を実施。

★若年者等に対する職業キャリアの支援 12,930,000,000【厚生労働省】
日本版デュアルシステム、地域における若者自立支援ネットワーク整備事業、若者自立塾創出推進事業等。

★フリーター常用雇用化プラン等の推進 22,695,000,000【厚生労働省】
年長フリーターに対する常用就職支援など、フリーター常用雇用化プランを推進し、常用雇用化の目標を年間25万人から 35万人に引き上げるとともに、若者の応募機会の拡大等に係る周知・広報、相談機能の強化等の取組を推進。

★新現役チャレンジ支援事業 2,120,000,000【経済産業省】
団塊の世代が大量退職する中で、我が国で培われた技術・ノウハウ等を、中小企業地域に活かすとともに、我が国として守るべき技術の流出を防ぐため、やりがい・いきがいを見出すことができる新たなシニア人材(新現役)の潮流を創出。

★放課後子ども教室推進事業 7,765,000,000【文部科学省】
すべての子どもを対象として、放課後や週末等に、学習活動や様々な体験・交流活動等を推進する取組を実施。

★放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ) 18,964,000,000【厚生労働省】
共働き家庭など留守家庭のおおむね 10歳未満の児童に対して、放課後に適切な遊びや生活の場を与えてその健全な育成を図る。

★母子家庭の母親等の自立のための就業支援等の推進 【厚生労働省】
(母子家庭等対策総合支援事業 2,305,000,000円の内数・生活保護受給者等就労支援事業 1,107,000,000円)
母子家庭の母等に対して、ハローワークと福祉事務所等とが連携して、個々の対象者の状況、ニーズ等に応じたプログラムを策定する等の就労支援を行う

★「女性研究者支援モデル育成」プログラム(科学技術振興調整費) 1,500,000,000【文部科学省】
大学や公的研究機関を対象に、女性研究者が研究と出産・育児等を両立できる仕組みを構築するモデルとなる取組を支援。

★大学・専修学校等における再チャレンジ支援推進プラン 2,688,000,000【文部科学省】
大学等における教育研究資源等を活用し、産業界、関係団体等の連携のもと、新たな社会人等のニーズに応じた専門的・実践的教育プログラムを開発・実施。

★再チャレンジのための学習支援システムの構築 195,000,000【文部科学省】
学習相談、学習機会の提供、就職・企業等などの新たなチャレンジを目指す者の学びを支援。

 

4 調査・研究事業総額: 263,000,000円 注1

<主な事業>

★ワーク・ライフ・バランスの取組と従業員意識に関する調査 33,000,000【内閣府】
企業におけるワーク・ライフ・バランスの取組と従業員の認知度や活用状況、勤労意欲等に与える影響等についての調査を実施。

★男女のワーク・ライフ・バランス支援に関する調査 22,000,000【内閣府】
子育て期のみならず、様々なライフステージに即した仕事と仕事以外の活動(家庭生活<家族形成の選択も含む>、地域活動、自己啓発、健康等)の調和に関する個人の意識・実態把握等を実施。

注1:

  • 事業額は、内閣府の責任において、関係省庁分を取りまとめたもの。(内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省分)
  • 額が特定できないものは総額から除いている。

注2:

  • 複数事業に共通して計上されている額を総額から除いている。