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パパの育児休業体験記

子育てと社会進出の両立が可能なシステムを構築することが制度推進の鍵

執筆者と家族の写真
執筆者の横顔:
(1)公務員、(2)、(3)30代後半、(4)、(5)本人・妻・子3人(女児3人)、(6)平成17年6月~8月(2ヵ月間)

育児休業取得に伴う現状課題

匿名

 私には3人の子供がいます。3番目の子供が満3歳になる2ヵ月前に育児休業を取得しました。当時では男性育休取得者はまだ珍しく、テレビ取材の申入れがあったくらいです。育児休業を取得できる期間や状況・家庭を含めた周辺環境というのは限られています。「昇進が遅れたり、無給になったりしてまでやる意義があるのか?」と友人に問われましたが、当時の私には、“先駆者となり育休を取りやすい、本来あたりまえの環境を整備していきたい”という強い思いと、“実際に利用者がいて、制度は熟していくもの”という持論をもっていましたので、育児休業取得に踏み切りました。
 取得したことでいろいろと気づく点が見つかりました。まず挙げられるのが、制度はあってもそれが活用し易いように出来ていないことです。妻との途中交代で男性が数ヵ月間取得するという想定はされていない(そのような場合が検討されていなかった)ため、職場は、強引に現況体制(1名欠けた状態)でその期間を乗り切ろうとしました。私はわずか2ヵ月間の育児休業期間でしたので、業務の遅れ等に関しては休業前と休業後での頑張りと、同僚への電話による指示等だけで(多少のしわ寄せ程度で)カバーされ、仕事の穴はさして大きく空きませんでした。それが故に、職場でも「まぁ、しょうがないでしょう。」といった雰囲気があったように思います。しかし、期間が半年以上であったとしたら、同僚間にて不満が露呈し、トラブルに近い険悪な雰囲気が生じるであろうことは想像に難くありません。名ばかり制度を実感した一例です。
 また、いくら制度上の権利と主張したところで、男性が育休を取得すると周囲から色眼鏡で見られる感は否めません。男性中心に職場が動いてきた時代が変わらない限り、「取得しにくい雰囲気」は解決できないと思います。制度の存在は誰しもが頭の中では理解できていても、「私の周辺でそんな事態が発生しませんように。」と祈っているのが本音だと思います。休業中に取材の申し入れがあり、上司に「育児休業に関する取材が来ています。職場にもカメラが入ると思いますが、どうすべきでしょうか」と相談した事がありました。すると、「周囲には、必ずしも拍手を送る人ばかりでないことを認識しておくように」とのコメントをもらいました。とても複雑な気持ちでした。これも、制度が名ばかりのものであることの象徴であると思います。
 男性の育休取得を促進することは、少子化・女性の社会参画とある意味表裏一体の側面を有しているような気がします。昨今の若い世代は、率先して家事や育児をやる傾向にあると聞きます。しかしながら、職場ではそうした声がなかなか表に出てきません。国は号令をかけるだけでなく、地方自治体はその問題に正面から取り組み、これからの将来を担う20代・30代を支援するための重要施策と位置づけるべきだと感じています。残念なことに、現状ではそうした声が届く手段が極めて少なく、その声を抹殺するかのような環境や状況があるのも事実だと思います。こうした状況を改善するための起爆剤となるよう、事例をうまく汲み上げ、良い方向に誘導いただきたいと考えています。
 男性が育児をすることだけでなく、若い夫婦が子育てと社会進出の両立ができるようなウィン・ウィンなサポートシステムを構築することが、問題解決の大きな鍵を握るのだと思います。
 育児休業取得は本来、自治体が率先して取り組まなければいけないのに、棚上げ状態となっている課題です。制度の熟度不足における視点から体験談を書きましたが、取得したこと自体は、人生において、非常に有意義で貴重な体験だったと考えています。 

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