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第1回「働き方を変える、日本を変える行動指針」(仮称)策定作業部会 議事録

1 日時:平成19年8月31日(水)9:00~11:00


2 場所:中央合同庁舎4号館4階 共用第2特別会議室


3 出席者

(有識者)
内永 ゆか子 特定非営利活動法人J-Win理事長
大沢 真知子 日本女子大学人間社会学部教授
佐藤 博樹 東京大学社会科学研究所教授
武石 恵美子 法政大学キャリアデザイン学部教授
樋口 美雄 慶應義塾大学商学部教授
八代 尚宏 国際基督教大学教養学部教授
山川 隆一 慶應義塾大学大学院法務研究科教授

(団体の代表者)
紀陸 孝 (社)日本経済団体連合会専務理事
田中 常雅 東京商工会議所人口問題委員会副委員長
(醍醐建設株式会社代表取締役社長)
坂田 甲一 (社)日本経済団体連合会労働法規委員会
労務管理問題検討部会長
古賀 伸明 日本労働組合総連合会事務局長
横山 陽子 日本サービス・流通労働組合連合中央執行役員
杉山 豊治 情報産業労働組合連合会政策局長

(ヒアリング対象者)
斉藤 千秋 全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会(電機連合)
労務・法規政策部長

4 議事概要

○濱田参事官 
  それでは、定刻でございますので、第1回「働き方を変える、日本を変える行動指針」策定作業部会を始めさせていただきます。
座長選任までの間、進行を担当させていただきます内閣府参事官の濱田でございます。
本日は、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。
会議の開催に当たりまして、上川少子化・男女共同参画担当大臣から御挨拶をさせていただきます。

 

○ 上川大臣 
  おはようございます。御紹介いただきました、この度の組閣で少子化担当の大臣を拝命しました上川陽子と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  第1回「働き方を変える、日本を変える行動指針」等の策定の作業部会を開催するに当たり、一言御挨拶を申し上げます。
  現在、我が国は、少子・高齢化や企業競争の激化等によりまして、経済社会の状況は大きく変化を遂げています。そうした中にあって、ワーク・ライフ・バランスの実現は大変重要な政策課題になっています。ワーク・ライフ・バランスの実現というのは、国民一人一人の皆さんが、ライフステージに応じて、また、自ら希望する生き方を選び取ることができる、選択することができる社会を目指すものであり、労働力確保等を通じた我が国の社会経済の長期的な安定の実現、さらに持続可能性の実現にとりましても、大変大事なことであると考えております。
  また、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた国民の皆様のニーズは、都市部に住んでいらっしゃる方と地方の方では違いがあるのではないか。また、家族や地域の状況によりましても、個人の置かれている環境も社会的な状況も異なるという意味では、多様性の幅は大きなものがあります。したがいまして、憲章あるいは行動指針の策定に当たりましても、そうしたさまざまな多様性をいかに捉えて、そして、それを的確に生かした形で憲章や行動指針をつくっていくかが大切ではないかと思っております。実現のためには、官民が1つになって、そして国民の皆様にも御理解いただきながら進めていくことが大事であり、そういう意味で、これまでの仕事のあり方や、あるいは生き方等も含め十分見直しをし、また、抜本的な改革をしていくことが大切であろうと思っております。
  去る7月17日、ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議が開催され、ワーク・ライフ・バランス実現のための憲章を策定するとともに、行動指針を策定するための作業部会を立ち上げることとなりました。先生方におかれましては、大変お忙しいこととは存じますが、今日のこの日をスタートに、ぜひとも最終的な御提案に向けてよろしくお願い申し上げます。
  ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取組の方向性を示す憲章、さらに、より具体的な政策の方針を示す行動指針、いずれもワーク・ライフ・バランス実現にとって大きな原動力になると思っております。先ほど申し上げたとおり、先生方におかれましては、大変お忙しい中、恐縮ではございますが、ワーク・ライフ・バランス実現を通じ、国民一人一人が多様な選択をすることができ、また、それぞれのライフステージに応じて希望を実現することができるように、それによって多様性に富んだ活力ある社会ができますよう、本部会におきまして精力的な御議論を何とぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○濱田参事官 
  大臣におかれましては、公務のため、ここで退席させていただきます。

 

(上川大臣退室)

 

○濱田参事官 それでは、本日は第1回目ということもございまして、私から委員の皆様方を御紹介させていただきたいと思います。お手元の名簿の順で御紹介させていただきます。
  まず、特定非営利活動法人J-Win理事長、内永ゆか子委員。
  日本女子大学人間社会学部の大沢真知子先生。今日はちょっと遅れて来られるということでございます。
  それから、東京大学社会科学研究所教授、佐藤博樹先生。
  法政大学キャリアデザイン学部教授、武石恵美子先生。
  慶應義塾大学商学部教授、樋口美雄先生。
  国際基督教大学教養学部教授、八代尚宏先生。
  慶応義塾大学大学院法務研究科教授、山川隆一先生。
  日本経済団体連合会専務理事、紀陸孝委員。
  東京商工会議所人口問題委員会副委員長の田中常雅委員。
  日本経済団体連合会労働法規委員会労務管理問題検討部会長、坂田甲一委員。
  日本労働組合総連合会事務局長、古賀伸明委員。
  日本サービス・流通連合労働組合中央執行委員、横山陽子委員。
  最後に、情報産業労働組合連合会政策局長、杉山豊治委員。
  ありがとうございました。
  それでは、ここで当作業部会を開催するに当たりまして、座長の選出を行わせていただきます。座長は、メンバーの互選で決めるということとされております。皆様、いかがでしょうか。

 

○佐藤委員 これまでの経緯や専門分野等を考えますと、樋口先生が適任だと思いますので、お願いできればと思います。

 

○濱田参事官 今、樋口委員の御推薦がございましたが、御異議ございませんでしょうか。

 

(「異議なし」と声あり)

 

○濱田参事官 御異議ございませんので、本作業部会の座長を樋口委員にお願いしたいと思います。樋口座長、よろしくお願いいたします。

 

○樋口座長 それでは、この会の司会役をさせていただきたいというふうに思います。皆様の御協力のほど、よろしくお願いいたします。
  もうすでに骨太の方針の中で、この憲章及び指針の策定について幾つかガイドラインが決められておりますので、それに従ってやっていきたいというふうに思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 

○濱田参事官 それでは、私の方から資料の御説明をさせていただきます。申し遅れましたが、御発言のときは、お手元の装置のスイッチを押していただくとマイクのスイッチが入りますので、よろしくお願いいたします。
  まず、「検討体制と今後のスケジュール」について御説明申し上げます。
  先ほど来申し上げておりますが、経済財政諮問会議(労働市場改革専門調査会)、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略会議、「男女共同参画会議」(ワーク・ライフ・バランスに関する専門調査会)、それぞれ憲章の策定及び行動指針の策定が必要という報告が出されたわけでございますが、それらを受けまして、2007年のいわゆる骨太の方針の中で憲章及び指針を策定するということが閣議決定されたわけでございます。そのための体制として、先ほど大臣のお話の中にもございましたが、7月17日にワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議が開催されまして、その中で「働き方を変える、日本を変える行動指針」の策定作業部会の設置ということも了承されたわけでございます。
  次のぺージは検討のスケジュールということでございまして、7月に官民トップ会議を立ち上げた後、作業部会における検討を経て、10月を目途に中間整理を行う。それを官民トップ会議に報告し、さらに御検討いただく。さらに、その後の作業部会における検討を踏まえまして、11月を目途に官民トップ会議で最終的な憲章・行動指針を取りまとめていただき、さらに、それを「子どもと家族を応援する日本」重点戦略にも反映させていくというスケジュールでございます。
  次の資料は、それぞれの報告の中で、憲章・行動指針の策定について提言されたものでございます。後ほどお目通しいただきたいと思います。
  それから、1枚紙、資料3でございますが、作業部会のスケジュール(案)ということでございます。大変お忙しい中、ハードな日程で恐縮でございますが、今回を含めまして、10月の中間報告までに5回、さらに11月のトップ会議における最終報告に向けて2回ほど開催させていただきたいと考えてございます。
  また、「憲章」との関係という欄がございますが、憲章の関係につきましては、事務局の方で有識者委員の方等の意見も踏まえながら、また労使との調整を経た上で原案をつくり、この作業部会に御報告させていただいて、検討の上でトップ会議にお諮りするという段取りで進めたいというふうに思っております。また、次回以降の各回については、行動指針に規定すべき事項についての議論を2回ほど、中間整理に向けての議論を2回ほどしていただいて、その中で併せて憲章についてのイメージや骨子案について御議論いただく。それで、中間報告を経まして、11月の2回は最終的な行動指針の案、憲章の案というものを議論させていただきたいというふうに考えてございます。
  また、備考欄の方で指標の検討会と厚労省の雇用政策研究会のことが書いてございますが、骨太の方針の中で、この指針の中には達成度の指標と数値目標を盛り込むということが書かれてございまして、その中で、指標については男女共同参画会議の指標検討会、数値目標については厚労省の雇用政策研究会で御検討いただく。その結果を踏まえながら、この作業部会の中でたたいていただいて、それを具体的に行動指針に盛り込んでいただく作業をするという段取りでございます。
  進め方等については以上でございます。

 

○樋口座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見がございましたら挙手お願いいたします。よろしいでしょうか。

 

○紀陸委員 ただいまの資料3の一番右肩、指標検討会と厚労省の雇用政策研究会があるそうですけれども、この報告の内容がこの作業部会においてどのような関連づけになるのか。最終的には、指標の意味というのが大きな外向けの話にもなってくると思うのですが、あくまで、この内容等につきましてはこの作業部会で決定するのか。そうではなくて、指標の検討会なり研究会の内容がほとんどかぶさってくるような格好になってしまうのか。今後の進め方とも絡むかと思いますが、その辺のお考えをお聞かせいただければと思います。

 

○樋口座長 では、事務局からお願いします。

 

○柴田政策統括官 例えば指標検討会であれば、同じ内閣府の部局で担当しているものでもありますし、厚労省の研究会も政府の機関で検討しているものですから、願わくは、できるだけその内容というのは同じ方向になるのが事務的にはいいと私は思っておりますけれども、最終的には、こういうそれぞれの研究会、検討会の検討内容というのを、こちらにも検討の状況とか検討の結果を聞かせていただいて、最終的なこの部会の決定はこの部会できちんとしていただくということだと考えております。

 

○樋口座長 よろしいですか。

 

○紀陸委員 わかったような、わからないような感じですけれども。

 

○柴田政策統括官 繰り返して申し上げますけれども、内容的には、同じ政府でやっていることですから、実際上はあっちでこう、こっちでこうとならないようにするのがいいんじゃないかと思いますけれども、それはこれから議論していただきますから、その過程でいろいろな話があると思います。それで、ものの性格としては、この部会で決めるという考え方でやっていくということでございます。

 

○樋口座長 それでよろしければ次の議題に入りたいと思いますが、行動指針策定の議論に当たりまして、ワーク・ライフ・バランスの推進の必要性について、事務局から取りまとめていただいておりますので説明をお願いいたします。

 

○濱田参事官 資料4でございますが、大臣のお話の中にもございましたけれども、ワーク・ライフ・バランスの推進ということを考えると、やはり国民の中にそういう意識を持っていただく、考え方を変えていただくということが不可欠であるということで、我々の中でも、そういったワーク・ライフ・バランスの必要性について思いを1つにして進めていくことが重要ではないかということで、いろいろなところでワーク・ライフ・バランスの議論がされているものの中から、いろいろ我々なりにまとめたものでございまして、あくまで今回の議論の材料ということで提出させていただいたものでございます。
  内容でございますが、真ん中に少子・高齢化というのが色を変えてございますが、人口減少が始まり、今後急速に労働力人口の減少が始まるという現象がある中で、左側には、その中で働き方の二極化ということで、競争激化の中で正規労働者の労働時間が長いとか、非正規労働者が増えたという問題が出ており、一方で日本の生産性というのは先進国の中で最も低いという状況がある。
  また、右側に家族や地域の機能低下というのがございますが、家族の姿が変わってきた。共働きが増えて三世代同居が減ったというような変化。また、よく言われる地域のつながりが希薄化しているというような状況がある。
  それをさらに踏まえて見ますと、人口減少の方からは労働力の不足という問題が出てきている。すでに減少を始めている労働力人口でございますが、将来それが顕著になる。すでに地方では人口減少がかなり進んでいる地域もございますし、今後の人口予測によれば、都市部への人口流入というのはさらに進む。また、女性や高齢者の就労意欲というのがなかなか生かせていないという現状がある。また、特に中小企業は労働力の確保が難しいという現状がある。
  また左側で、働き方の二極化という中で労働環境が変化してきて、疲労の蓄積等によって重大事故や病気になる方か増えている。また、非正規労働者が増えているけれども、その処遇が不均衡である。また、若年者がなかなか安定した雇用に就けないということで、技能の承継や技能の蓄積という面で問題がある。また、昨今言われている団塊世代が間もなく高齢期に達するのに、高齢期に備えるということがなかなか現実にできていない。
  また、家族や地域の機能低下というところが発生する問題としては、家族や地域が社会を支える力が低下しているのでないか。特に男性が家事・育児等に時間がかけられていない。一方で、心の支えを聞くと家族だというふうに言っているのですが、実際には家族のつながりが希薄化している。地域活動への参加意欲はあるけれども、実際の参加は低調であるというような問題があって、いろいろな面で希望と現実の乖離ということで、心の豊かさを求める人が増えているのになかなか満たされていない。ライフスタイルや価値観が多様化しているのに、なかなかそれが働き方や仕事の現状と合っていない。また、現状を見れば、仕事の希望というものと、結婚、出産、育児、介護等の希望が二者択一になっているというようなことがあるということがございます。
  また、ちょっと離れた議論でございますが、一番右の欄、ITの発達ということで、IT・ネットワークの発達というのは、働く場所の制約の縮小にもなるのではないかという状況があるのですが、一方で現実を見ると、働き方の広がりというのはなかなか不足しているのではないか。これらの問題意識等を踏まえまして、ワーク・ライフ・バランスの実現ということが、そういった課題を解決するために重要ではないか。それが実現することによって、社会全体としても生産性が向上したり、経済の長期安定の実現、それから社会保障等の持続可能性の向上確保というようなことが図れるのではないか。企業にとっても、人材を確保したり、育成したりというメリットがあって、さらに、それによって競争力が強化されるようなメリットがあるのではないか。また、個人にとっても、リフレッシュすること、自己啓発をすることで職場における能力発揮が可能になる。また、子育てや介護など家庭生活も充実できる。それから、地域の支える力への参加によって地域が再生する。また、自己啓発や自己実現という面でもメリットがある。これらのことで、社会全体にとっても、企業にとっても、個人にとっても、それぞれにメリットがあるのではないかというようなことで、このペーパーをまとめさせていただいてございます。
  資料5については、それについていろいろバックデータの資料でございますので御参照いただければと思います。
  それから、資料6につきましては、先ほどの3つの報告書の中で、それぞれにワーク・ライフ・バランスが必要な背景とか意義について記述されている部分をまとめてございますので、それを抜粋したものでございます。
  説明は以上でございます。

 

○樋口座長 それでは、資料の内容も含めまして、ワーク・ライフ・バランスの必要性につきまして、御意見あるいは御質問を受けたいというふうに思います。どなたからでも御自由にどうぞ。

 

○八代委員 今、御説明いただきましたが、ワーク・ライフ・バランスが必要だということについて反対する人はほとんどないと思います。実は諮問会議でこの話を説明したときに、某大臣から、これは日本人を怠け者にするものではないかという御質問がありましたけれども、決してそういうことはないということでして、総理からも、家庭は大事だという明確な御発言があったわけです。
  ただ、必要だとしたら、なぜそれが労使で自発的に合意した上でできないのかというのが問題で、何がこれを妨げているのかという要因を明確にする必要があろうかと思います。よく経営者の意識が遅れているからだと言う人もいるわけですけれども、単なる意識の遅れではなくて、やはりこれを実行しようと思ったときに、既存の制度・慣行が妨げになっている。これをするためには何かを犠牲にしなければいけないということがないかどうかということですね。ですから、やはり必要性ということについては経営者の意識だけではなくて、その意識の背後にある制度・慣行の問題点というものをきちんと議論していく必要があろうかと思います。また、働き方だけではなくて、当然ながら保育の問題もあろうかと思いますし、できるだけ制度的な議論というのを中心にやる必要があるのではないかと考えております。

 

○樋口座長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 

○田中委員 今、資料4を見せていただいているのですが、ワーク・ライフ・バランスというのは、基本的には社会全体の問題だったり、企業であったり、個人であったり、そういう大きな問題の中での話だと思うんです。ですから、ワーク・ライフ・バランスの必要性とかということなると、先ほどから非常に近視眼的なお話しか出てきていないので、その元の話をちゃんとしないと、どうしていくのかという議論もできていかないように思うんです。ここでタイトルを見ると、「日本を変える行動指針」というようなことを言っているのですが、どう変えようとするのかという議論を話さない限りは先に進まないように思います。
  以上です。

 

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

 

○古賀委員 少し基本的な議論になっているようでございますので、私も課題提起を幾つかさせていただきたいと思います。
  1つは、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉がここ数年、非常に氾濫をしていると言ってもいいぐらいに、はやり言葉になっておりまして、私自身も、この種の会議といったら叱られますけれども、名前は違うのですが、いつも「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が使われます。ただ、これが本当に「ワーク・ライフ・バランス」という一言で共通認識になっているのかどうかというのは多少疑問を持っているところでございます。大げさに言葉の定義とは言いませんけれども、これまでもさまざまな報告書や提言書が出ています。それらをベースに、「ワーク・ライフ・バランス」の概念というのをいま一度きちんと整理をすべきではないかということが1点目です。
  それから2点目は、今回の憲章と行動指針の位置づけというのがどういうものであるのかということでございます。先ほど来繰り返しますように、少子化の問題、男女共同参画の問題、働き方の問題、さまざまなところでたくさんの提言書等々が出ております。政府の中でもそうであろうと思っています。その提言等々と今回の憲章とか行動指針というのがどういう位置づけ、性格が違うのかということがまだ不明確ではないかと思っています。私は、憲章、行動指針ということはやはり具体的な施策に結びつかなければ意味がないというふうに思っています。それは、いろいろなケースが考えられるわけで、例えば法制度に結びつくのか。あるいは、各分野・部門が共同して取り組む目標がきちんと示されるのかということ等々、憲章と行動指針という位置づけを少し明確にすべきではないかと思います。
  その背景には、私は個人の意識改革とか、個別の企業努力だけでは限界がきていることがたくさんある。そういう意味では、そのことをベースにしつつ、このワーク・ライフ・バランスの社会を共につくっていくという視点が不可欠ではないかと思っています。
  最後、3つ目でございますけれども、そのことと同時に、この課題は何か1つの制度ができれば進んでいくという性格のものではないと思います。労使をはじめ、各分野・部門が共通の目標に向かって1つ1つ課題を克服しながら、次の目標に向かってまたステップを踏んでいく、そういう取組だろうと思います。その意味では、継続的な取組、国、産業、労使、地域等々でこうした枠組みをつくりながら、常に検証ができ、次のステップにどう進んでいくかということが明確になるような枠組みが必要ではないかということを基本的なこととして、内容とは少しズレましたけれども、3点提起をしておきたいと思います。
  以上でございます。

 

○樋口座長 最初の2点は定義の整理といいますか、明確化で、これは恐らく憲章をつくっていくということは、結局そういう作業が必要になってくるということだと思います。 2番目の問題の提起であります憲章と行動指針の位置づけについて、それをここではどう考えていくか。これまでの経緯もあると思いますので、事務局から御説明いただけますでしょうか。

 

○柴田政策統括官 憲章と指針の大ざっぱなイメージでございますけれども、いずれにしろ、このワーク・ライフ・バランスを進めていく上では、今もお話がございましたように、官と民が一緒になってやっていかなければいけないだろうということで、官民がこれから最終的には社会を変えていくと。ここも、どう変えていくのかというお話がございましたけれども、そういうことに取り組んでいく上での大方針というのが憲章という、大ざっぱな言い方ですけれども、イメージとして私どもは考えております。
  それから、指針の方でございますけれども、これは具体的には資料2を御覧いただきますと、資料2の3ぺージを御覧いただきたいと思うのですけれども、今年の6月19日に閣議決定されました骨太の方針というのがございます。ここで憲章と行動指針を策定するということがありますけれども、この行動指針の中身につきましては、その下を見ていただきますと、要するに、大ざっぱに言うと政府が具体的に取り組む方針というふうに捉えていただきたいと思いますが、中身としては、そこにありますように、就業率向上や労働時間短縮などの数値目標。ワーク・ライフ・バランス社会の実現度を把握するための指標のあり方。それから、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた支援施策、制度改革などに解する政府の横断的な政策方針。それから、国民運動の推進に向けた取組方針。こういうものを内容にした指針をつくるというのが、この6月に閣議決定された内容でございます。ですから、もう一回繰り返しになりますが、憲章は官と民両方にまたがる、ワーク・ライフ・バランスを進めていく上での大方針。それから、指針につきましては、政府が今後取り組んでいくための具体的な中身ということで、その具体的な内容については、そこにで4つ書いてございますけれども、そのような中身を想定しているということでございます。

 

○樋口座長 よろしいでしょうか。どういう具体的施策になるかはここで議論していただくということだろうと思いますが、それに結びつけるようなものも議論していただきたいというようなことだろうと思います。
  それでは、ほかに御意見ございませんか。

 

○紀陸委員 田中さんと同じ意見になるかと思いますが、古賀さんの最初の2点、その点の論議の仕方については賛成なんですが、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉自体,こういう場にお集まりの方々とか、これまでいろいろな研究会とか何かで参加された方々というのは、いわば常識用語になっているんでしょうけれども、世の中の一般の方々というのは、そんなに「ワーク・ライフ・バランス」に対してきちんとした考え方を持っているかというと、実は全然そうではないだろうと。結局、これをやるのは企業の労使の方々が中心ですよね。そうした場合に、この言葉がそれぞれの企業においてどういうふうに、特にトップの方々もそうですけれども、一般の従業員の方々に受けとめられているかというと、実は千差万別ではないか。「時短の目標」とか「就業率向上」という言葉は出てきておりますけれども、こういうマクロの指標と個別の議論の中において、何を具体的にどう取り組むかという、方向性とか取組の中身というのは非常にばらついているんじゃないかというふうに思うんです。
  したがいまして、私どもは、一番肝心なのは、何のためにワーク・ライフ・バランスをやるのか。しかも、カタカナ語、英語ですから、受けとめ方はさまざまであります。企業においても、とるべき方向とか目標というのは全然違うだろう。この論議を定義論に絡めて、何のために必要なのかというところに一番ウエートを置いて、それに資するような憲章とか行動指針をつくればいいのではないか。すでに労働市場とか、先行きの日本の社会の姿というのは変わらざるを得なくなってきておりまして、その中で企業も従来どおりのままではいけないというふうに気づき始めていると思うんです。基本は、会社の中で組合があるなしにかかわらず、自発的に何か取り組まないと置いていかれてしまうというような客観情勢にすでにあるわけでありまして、余り外からああせい、こうせいと言わなくても、一生懸命やらない企業というのは取り残されてしまうような状況ですので、私どもとしては、基本は労使の話し合いに任せる。その中で、それを通じて、ワーク・ライフ・バランスとは何だろうかという論議が一般になされることが大事であって、そういう雰囲気をつくっていけば、憲章とか行動指針の役割というのは果たせるのではないかというふうに思っておりまして、古賀さんの1,2のところについての論議を深めることが、まずこの場においての第1段階ではないかというふうに思っております。

 

○樋口座長 ほかにどうでしょうか。

 

○大沢委員 
  今の点に関連してですが、確かに日本の経済環境が大きく変化していく中で、企業も変わらざるを得ない状況にあるとは思います。多分、その変わり方なんだと思います。私は、経済のグローバル化というのが一番大きな変化ではないかと思いますが、この変化にどう対応していくのかというのは、国によってかなり違いがあって、必ずしも一様ではない。日本も韓国もそうですけれども、現状のままの制度で対応していくとなると、やはり格差を拡大していく方向で、労働力の柔軟化がおきてしまうという懸念があります。例えば派遣労働者の増大ですとか、臨時労働者の増大ですとか、そういう形で格差が拡大しかねない。もちろん、労働力が不足していく中で、今、労働力の正規化の動きが起きておりますが、経済のグローバル化に日本全体としてどういうふうに対応していくのか。そのときに、労働者にとっても経営者にとってもメリットがある改革をどう進めていくのかという視点で、みんなが知恵を出して制度改革の具体像を考えていくことが必要なのだというふうに考えております。

 

○佐藤委員 八代先生から、ワーク・ライフ・バランスの推進には誰も反対しないだろうというお話がありました。ただ、なぜ必要なのかとか、ワーク・ライフ・バランスの中身をもう少し詰めていけば、やはり多少違いが出てくるということがあると思いますので、共通認識をつくるということがすごく大事です。ワーク・ライフ・バランスとは何かということや必要性に関して共通理解ができれば、進め方についても、紀陸委員が言われたように、企業の自主性に任せれば済むのか、あるいは、八代先生が言われたように制度的に変えていかなければいけないのかということも明確になると思います。
  確かに、ワーク・ライフ・バランスは大事だと皆さん言われますが、いろいろ誤解もあって、特に企業の経営者の方などとお話しすると、八代先生も言われたように、社員はほどほど働けばいいのかとか、あるいは仕事以外に、例えば社会貢献活動とか自己啓発を必ずやらなければいけないのかといった質問がでます。つまり、バランスよくいろいろな活動をやらなければいけないけないのかというふうなことを言われるわけですけれども、ワーク・ライフ・バランスというのは、いろいろなライフスタイル、もちろん仕事だけという時期があってもいいと思うのですけれども、仕事も大事だけれども、ある時期、子育て、介護とか、勉強したいといったときに、そういう人が意欲的に仕事に取り組めないような仕事の仕方や職場が問題なのです。つまり仕事だけというライフスタイルの社員しか働けないような職場や企業、これを変えてくださいということだと思うのです。つまり、いろいろなライフスタイルの社員が意欲的に働けるような企業や職場をつくっていくということがワーク・ライフ・バランス支援だというふうに思います。なぜそうなのかというと、つまりいろいろなライフスタイルを希望する人が増えてきた、生活の中での仕事の位置づけは個々人によっても違いますし、ライフスタイルはライフステージでも変わってくる。ところが、日本の職場や企業というのはまだまだ男性中心で、仕事が生活の中心という社員が多い時代の職場なり、働き方が持続しており、その解消のためにワーク・ライフ・バランス支援が必要性じゃないかと思っています。それができないと社員も意欲的に働けないのではないか。
  そうすると、取組の仕方ですけれども、結構難しいのは、例えば男女均等が実現できる社会をつくるというような政策の取組と、ワーク・ライフ・バランスの実現といったときに、ワーク・ライフ・バランスというのは、個々人からすると、いろいろな選択肢が拡大するということなのです。すべての人にとって望ましいワーク・ライフ・バランスの状態があるわけではない。そこが、今後、どういう社会をつくっていくかといったときの難しさで、こういうことをやってくださいという1つのことをやれるというのを示せるわけじゃないわけです。企業からすれば、選択肢を増やすということですので、例えば労働時間のマクロ目標も出ていますけれども、一人一人にとってはそれが目標になるわけではないのです。企業レベルなり個人レベルに下ろせば、それが目標になるわけではなくて、時間についてもう少し選択肢が増えれば、日本社会全体としても、例えば労働時間がもう少し短くなるんじゃないかということだと思います。目標に関して今は何となく企業や個人がそれを目指さなければいけないみたいな感じで受け取られていますけれども、働く人たちの例えば時間について選択を増やすような方向を目指すような目標のつくり方ということがすごく大事になるのではないかと思います。

 

○樋口座長 ほかにどうでしょうか。

 

○内永委員 今、いろいろな先生方からワーク・ライフ・バランスの考え方とか、どう取り組むのかとか、どういう具体的な意味合いがあるのかということをもう少し整理する必要があるのではないかという御提案をいただいて、私もそのとおりだと思います。私がワーク・ライフ・バランスというのを考えるときに、実は、ちょっと狭い意味かもしれないんですけれども、今なぜこの数年ないしはこの5~6年、やたらワーク・ライフ・バランスと言い出したのか。これは日本だけじゃなくて、欧米でもやはりそういうようなことが出てきているんですけれども、私は、その背景というのは、実はビジネスのスピードがものすごく速くなっている。体感するだけでも、例えば私が30代のころに仕事をしていたスピート感と今のスピード感は確実に2倍以上、場合によっては3倍ぐらいのスピードがあるんです。そうしますと、30代のころ、徹夜してえらくがんばった。あのときも、余りワーク・ライフ・バランスと言わなかったんです。でも、その働き方を3倍のスピードの今の状態にやっていくというのは、どう考えても無理があるんです。そういう意味では、同じような働き方で密度を3倍にやられますと、メンタルの意味でもいろいろな問題が出てくる。
  それで、この中で働き方の二極化の中にあるように、日本は先進国中、生産性が最低とあるのですけれども、最低かどうかはよくわかりませんが、いかにも時間を長くかけてやるんですよね。昔は、そんなにスピードが速いものが必要なかったときは、長い時間かけてゆっくりやっても、それなりにできた。今のようにスピードが速くなると、長い時間をやるといっても、一日24時間しかありませんから、結局は密度を上げるしかないわけですね。そうなってくると、本当に自分の働くところとそうでないところをうまくバランスをとっていかないと、個人の生活もメンタルにいろいろなところで支障が出てくる。それだけではありませんけれども、それは1つワーク・ライフ・バランスが今とても強く言われている背景にあるのではないかというふうに思っています。
  そうやって考えると、ワーク・ライフ・バランスというと、企業からいうと、何か社員がのんびり働いて効率が落ちるんじゃないかというふうなことを心配される向きも出てくると思うのですけれども、実はそうではなくて、本当にここに書いてあるように、働き方を変えて、もっと効率よいやり方をやることによって、短期間でも集中して同じ結果が出せる。場合によっては、長時間働かなくても、短時間でやっても高い評価が得られる。こういった今、佐藤先生がおっしゃったような働き方の多様性も認められる。こういったことで見直していくということが大事ではないか、そんなふうに思っています。
  特に、グローバルの競争が激しくなってきますと、本当に24時間働こうと思ったら働けるんです。これは、どう考えてもどこかで限度が出てきますので、でも、企業の競争力を保たなければいけない。そうすると、働くやり方そのものを考えていかないと、これは難しいのではないかというふうに考えています。この私が申し上げたことは、今、先生方がお話しされたことの答えにも返事にもなっていないと思いますが、1つの側面として、情報として御提供させていただきたいと思っています。

 

○樋口座長 ありがとうございました。「ワーク・ライフ・バランス」の定義といいますか、考え方、いき方もいろいろあるという中で、「ライフ」というのは通常は「生活」とうことなんだろうと思いますが、最近は「命・生命」だというふうに言う人も出てきていまして、例えば過労死の問題、メンタルヘルスの問題、これは最低限、人間の生存に関わる問題であって、それに関するこれについての担保というのは、恐らく個別企業の自由というわけじゃなくて、最低限、人間としての生存ということでありますから、そこについて担保できるような仕組みが必要なんだと。その上での話というのを考えたときに、いろいろな進め方がありますねということだろうと思いますが、個別企業における、ある意味では実践に任せて、問題が解決していくことができるというようなことであれば、これが望ましいということだろうと思いますが、中には社会的コストとか、社会的ベネフィットという話があるかというふうに思います。
  例えば、子どもを我が社の社員がたくさん生んだからといって、我が社に何らメリットがないじゃないかと。その人たちが将来、我が社で働いてくれるのであれば話は別だというようなところもあるわけでありまして、社会のサステイナビリティーというようなものを考える上で、一体これをどういうふうに進めていくかということについても、この中でどのような手法が望ましいのかということも議論していただけたらというふうに思っております。これは、あくまでも私の個人的な意見ということですけれども。
  ほかにいかがでしょうか。

 

○山川委員 今のお話と関連することかと思いますが、「行動指針」という名前ですので、例えば従来の法律ということとはちょっと違うかもしれませんし、全くの政策目標だけを掲げたものとも違うかもしれない。その位置づけが非常に興味深いところでして、これまでお話がありましたように、非常にいろいろな分野と関わっておりますし、個人の選択にも関わりますので、何かを一律に押しつけるというような性格のものでもないと思います。かといって、抽象的な理念を掲げたのみでは余り意味がなさそうな気もしますので、今、紀陸先生の言われた手法という点が非常に重要になってくるように思われます。なかなか難しい目標を達成するために、どういう手法があり得るのか。例えば、資料2の3ぺージの中に、具体的手段ということで、目標とか指標というのはいわば実態的な目標レベルの問題ですが、3番目には例えば支援施策とか制度改革ということがありますので、例えば支援施策ということでは、これまでの施策のあり方とはちょっと違う何か新たな発想が、労使の知恵も含めた上で出てこないのかとか、そういう手法面での具体的な検討が効果をあげるに当たっては重要になるかと思います。
  以上です。

 

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。

 

○武石委員 「ワーク・ライフ・バランス」の定義は、全体として働く人をメインに据えた整理だと思うのですが、それで議論は進めていいと思うのですけれども、一方でちょっと考えておかなくてはいけないかなと思うのが、結局、どうしてこういう働き方、長時間労働とか、そういうことになっているかというと、やはり働く人というのは一方で消費者という側面があって、すごく便利な社会を求めてきたということがあると思うんです。ワーク・ライフ・バランスというのはとてもいいことばかりなんですが、私が壁の部分の1つを言うとすれば、やはり働く人に配慮することによって、例えば労働時間が短くなったり、休日が入ったりすることで多少不便な社会になるかもしれない。スーパーが夜あいていないとか、百貨店の閉店時間が早くなるとか、そういう社会になる可能性もあると思うんです。ですから、働く人と同時に、消費者である個人という両方の側面があるのですが、国民運動というような言葉も出てきていますので、働くという側面と同時に、生活がどう変わっていくのかというのを少し視野に入れながら議論していく必要もあるのかなという気がしています。
  それと、例えば中小企業でこういうことが進みにくいということは、1つには、大企業と中小企業の下請の構造みたいなものがあって、中小企業がワーク・ライフ・バランスを従業員がとろうとすると、下請で働いていると、そこがなかなか難しいというような、商取引とか、そういう背景から生じる問題もあると思いますので、そういった社会の構造的な部分も視野に入れながら議論していく必要があるんじゃないかということを感じております。
  以上です。

 

○樋口座長 ほかに。

 

○横山委員 私、今の武石委員の、特に流通サービス業に身を置く者の立場といたしまして、今、競争の激化でございますが、同じ産業の労使の中で話し合っておりますのは、24時間が当たり前というような発想でやっていくのは、どこかで歯止めをかけていかなくてはいけないのかという部分でございます。消費者の提供というところと、競争の激化ということでどんどん進んでいる。特に流通サービス業、それから運輸の部分も同じようなことがあろうかと思います。そういった部分のところで、全体の中での憲章、それから行動指針ができるということで非常に期待をしております。
  また、私が身を置いているところが非常に女性が多いということで、この間、労使の中でさまざまな制度の取組や、いろいろなものが進んできたわけでございますが、ここで少しワーク・ライフ・バランスということをせっかく議論をする中でございますので、これからつくっていく際に、どうしても今まで働く部分の、特に女性の中の方にスポットを浴びておりましたけれども、「働き方を変える」というようなタイトルでいきますと、やはり男性の部分のところも思い切って議論が必要なのではないかというふうに思います。ポイントは男性の部分と、それからパートや契約社員といったような非正規の部分というところでございます。男性の部分でいきますと、中の企業で働く人たちの意識も若干変わってきてはおります。特に地方と都心部は少し違うのですけれども、都心部の中では3世代というところがございませんので、核家族ということで、まさに家族でやっていかなくてはいけないということで、人生の中で一部、男性においても関わりを持たないと成り立っていかないというところがあろうかと思います。そういった点で、ぜひ積極的な議論をしていきたいというふうに思っております。
  以上でございます。

 

○樋口座長 そのほかにどうでしょうか。

 

○紀陸委員 いろいろな議論がありますが、私どもとしては、ワーク・ライフ・バランスの定義は、一言で言うと、多様で柔軟な働き方への挑戦だと思っているんです。挑戦という意味は、何となく労使に任せると何もしないで傍観しているだけというのもあるのではないかというような危惧を持たれがちですが、そうではなくて、会社の中にさまざまな仕事があります。働き方を変えるというと、全部ドンガラドンガラ変えるというのじゃなくて、従来の働き方のような部分でもいいし、変えなければいけない、まさにさっき先生が言ったライフステージにおいて、めり張りをつけた働き方をするというのもあるかもしれない。結局、自分の会社の中を見て、ここは変えた方がいい、ここは変えないという、個人がつぶれてしまうというようなことでもって、根本的に我が社全体の、もちろん個々の事業者の部分も見て、それで変えるべきところは変えていこうという、そういうことへの挑戦だというふうに思うんです。その挑戦の結果、時間短縮にもなるし、子育て支援にもなる。あるいは、女性の職場進出に資するという部分もある。結局、個々においてどういう方向に向かうかという、目的に合わせて選択肢を組み合わせるというようなことですから、そこはさまざま会社の中で応用動作をせざるを得ない。それに資するような憲章であり指針でありという、そういう位置づけじゃないかというふうに思うんです。結果的に、2017年になってこういう姿ができるかもしれないというのが数値目標であって、数値目標が先に出てくるというのは普通ではないんじゃないかとも思うんです。数値目標の話はまた別になるのでしょうけれども、少なくとも、定義と憲章と指針のつながりについて、今申し上げたようなことで私どもも全体の枠組みを考えていければいいんだなというふうに思っております。

 

○八代委員 今、ちょっと数値目標の話が出ましたので補足しますが、これは当然ながら、計画経済のように、何が何でもこうしなければいけないというものではないのは、今、紀陸委員がおっしゃったとおりです。しかし、何らかの目標がないと、単なる精神論になってしまうということも事実なわけです。ですから、ワーク・ライフ・バランスという政策の一番似ているものというのは、私はいわば職場の環境問題だと思うんです。つまり、市場経済に任せておくと、さまざまな歪みが現にある。市場の失敗という問題があるわけで、だから、それを政府が枠組みを何らかの形で補正することで健全な市場の働きに戻すというのと一番近いのではないかと思われます。
  先ほど横山委員がおっしゃったように、女性の働き方というより、男性の働き方が問題だという御指摘は非常に大事だと思いますが、正確に言うと、それは専業主婦付きの男性の働き方、つまり奥さんが家の中の仕事を全部守ってくれるから世帯主の男性は際限なく長い時間働くことができるわけで、それが過去の高度成長期にでき上がった日本の大きな働き方のモデルになっている。しかし、男性、女性に関わらず働く時代になったときに、そういうモデルがいかに社会的に大きなコトスをもたらしているかということを認識すると、せめてそれを中立化しなければいけない。なぜ中立化かというと、そういう専業主婦付きの男性の働き方をサポートしている税制とか社会保険制度が現にあるわけで、政府自体が市場を歪ませているわけです。だから、そういうものを中立化することで、自然と労使の合意によって、紀陸さんもおっしゃったように、望ましい方向に向かうというのが大事だと思いますが、まず、それを邪魔している政府の制度はやはりきちんと認識していかなければいけないんじゃないか。
  それから、武石さんがおっしゃったように、消費者が求め過ぎているということもあるんじゃないかということですが、それは24時間店をあけることのコストがある意味できちんとサービス価格に反映されていない。だから、安いから、どんどん24時間の店が出てくる。それは、ちゃんと市場経済の中で補正する。例えばパートタイムの賃金と正社員の賃金が余りにも格差があることによって、パートタイムを使えば24時間あけることが非常に安くできるようになっているわけです。そういうような形で、市場を規制するのではなくて、市場が健全に動くように、今の制度・慣行というものを見直していくというのが冒頭申し上げた趣旨でございます。

 

○田中委員 大よそ皆さんのお話を伺って同意するところが多いんですけれども、1つ、基盤にあるのが労使関係というお話の中で解決策を見つけようということであったり、一律の全体のマクロの話にしても、目標数値をあげるということであったりとおっしゃられていますが、私から中小企業を代表して言わせていただければ、中小企業に労使はないんです。同じプレイングマネージャーなんです。そこでどうしてそういう現象になっているのかということを突っ込まないで、目標数値をあげることは非常に違和感があるように感じます。
  それから、多様性があるというお話の中で、中小企業はその可能性はたくさんあると思います。事実そういうことをやっている企業もたくさんあります。それから、地域についても取り組んでいる企業はたくさんあります。ですから、多様性という中でももう少し展開を考えていかないと、今ある既存の仕組みの中で目標値を掲げるということは、かなりズレているのではないかと感じます。

 

○樋口座長 何を目標値にするかというところの議論というのがまずあってということだろうと思いますけれども。

 

○田中委員 はい。

 

○樋口座長 よろしいでしょうか。この議論は今日結論をということではなく、次回以降、いろいろな局面でお話しいただくということになるかと思いますので、次の議題に移りたいというふうに思いますが、事務局から何かありますか。

 

○柴田政策統括官 今日は、ワーク・ライフ・バランスの意義あるいは必要性についていろいろと御示唆をいただき、ありがとうございました。
  私ども、実はこの事務局を預かったときに、一番頭を悩ましたのが今の問題でございました。例えば憲章をつくるといいましても、この憲章は、先ほど申し上げましたように、官民が取り組む上での大方針だということを申し上げましたけれども、やはり国民に広くワーク・ライフ・バランスの必要性、なぜ今やるんだ、なぜこれを進めなければいけないんだということをわかっていただかないことには話が進まないだろう。そこをどこからどういうふうに説明したらわかっていただけるのか、これが一番悩みが多いところでございまして、これからもそういうわれわれの悩みにぜひいろいろと御示唆いただいて、たぶん憲章の一番最初にはそういうことを入れていかないと、国民の皆さんも「ああ、そうか。やはりこれは真剣に考えなければいけないんだな」というふうにならないと思いますので、引き続きまた御議論をよろしくお願いしたいと思います。今日は貴重な御意見、ありがとうございました。

 

○樋口座長 それでは、次の議題に入りたいと思います。ワーク・ライフ・バランスに関する取組につきまして、ヒアリングを行いたいというふうに思っています。
  本日は、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会(電機連合)の斉藤千秋労協・法規政策部長にお越しいただいております。本来、使用者側からも本日というふうに考えておりましたが、日程調整の関係で次回の会合でお願いしたいというふうに考えております。
  それでは、斉藤部長から御説明お願いいたします。

 

○斉藤氏(電機連合労協・法規政策部長) おようございます。ただいま御紹介いただきました電機連合本部で労協・法規政策を担当しております斉藤と申し上げます。
  本日は、このような場で私たちの取組について御紹介させていただけることを本当に光栄に思っております。何かの参考にしていただければということで始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  それでは、今日はお手元に冊子を配付させていただいております。これは、私どもの電機連合で、今年の7月で定期大会で確立をいたしました「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた電機連合の取り組み」ということで、「21世紀生活ビジョン」と「ワーク・ライフ・バランス5カ年プログラム」というものを確立いたしました。その内容について、この冊子を使って御紹介していきたいと思っております。
  冒頭、この内容に入る前に、前提として電機産業の状況、あるいは私ども電機連合の状況について、前提条件として御紹介をさせていただきたいと思います。
  まず、電機連合ですが、組合員62万人の産別組織になっておりまして、労務構成ですけれども、賃金実態調査というものを過去から毎年やっておりまして、そこで捉えた労務構成になりますが、男女の比率からすると、男性が8割、女性が2割というような産業になっております。直間比率については、直接員ということでは3割、間接員が7割ということで、製造業にあっては、日本の国内の他の製造業と比べますと、直間の比率が実は逆転をしているというような状況になっておりまして、ホワイトカラーが非常に多い産業になっているということです。ですから、金属労協というところで共に連帯を組んでいる自動車産業や鉄鋼産業の状況と違いがあるというようなところは1つの特徴として挙げられると思います。
  また、女性の勤続年数ということで、私どもの産業は、ここ数年というよりも、十何年になるのですが、女性の勤続年数が長期化しているというようなこともありまして、組合員の賃金実態調査でいきますと、男性の勤続年数が15.8年、女性の勤続年数が14.8年ということで、ほぼ男女の勤続年数の差がなくなってきています。平均年齢を見てみましても、男性の平均年齢が38.3歳、女性が36.4歳ということですので、そういう意味では産業の中での男女間の差というものは比較的少ない産業ということです。ただ、先ほども前提で言いましたが、産業全体の女性の比率は2割ということになりますので、ここには産業としての課題はまだあると思っております。
  電機産業を取り巻く環境ということでは、先ほど来お話がありましたけれども、グローバル競争の激化の中にまさに入っておりまして、企業は生き残りをかけた企業間競争というグローバル・コンペチターとの闘いに巻き込まれているという産業で、非常に高度なスキル、付加価値をつけた製品を国際的、世界的に市場に投入していかなければ生き残りができないというような闘いになっているということで、M&Aというような大きな企業合併というようなものも行われているということです。これが企業経営に対するいろいろな施策をやる上での大きな課題、あるいは私たち労使で協議をやっていく上でも、グローバル競争というのが必ずキーワードに出てくるというような環境下で、ワーク・ライフ・バランスの取組を推進していくというのが私たちの産業の特徴ということになっております。
  それでは、冊子の方を使って本題の方に入らせていただきたいと思います。
  「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた電機連合の取り組み」ということで、この冊子自体は3部構成ということになっておりまして、1つ目は「21世紀生活ビジョン」ということで、先ほど来お話がありましたワーク・ライフ・バランスの概念について、電機連合としてこういうふうな概念でやっていこうというものを整理したものと、私たちが目指す生活というものをまとめたものが「21世紀生活ビジョン」です。
  2つ目になりますが、そのビジョン、あるいは確立しましたワーク・ライフ・バランスの概念を実際にアクションプログラムというものを策定して実行していこうというものが5カ年プログラムということで、向こう5年間かけて私たちの目指す生活を実現させていこうというのが5カ年プログラムということで、最後に加盟組合の多様な働き方、あるいは総実労働の短縮に向けた取組を掲載しているということです。本日は、「21世紀生活ビジョン」と「ワーク・ライフ・バランス5カ年プログラム」の特徴的な部分について簡単に御説明をさせていただきたいというふうに思っております。
  冊子の1ぺージ目ですが、まず「21世紀生活ビジョンについて」ということになります。取り巻く環境については、皆さん御認識が一緒だと思いますし、電機連合としても、今までのお話の中で出されたものとの大きな違いというのはないというふうに認識しておりますので、ここについては説明を省略していきたいと思いますが、1つは、日本経済の成熟化という中で、私たちの働き方というものを見直さなければいけないというところに直面している。一方では、多様な価値観が認められる社会というものが広がってきている中で、少子・高齢化が進み、人口減少社会が到来し、その一方で私たちは長時間労働、メンタル不全の課題というものを抱えているというところが取り巻く環境の中に書かれているということです。私たちが、働き方を見直すということ、そのキーワードになるものが「ワーク・ライフ・バランス」ということでやってみたらどうだろうかというようなところで、このビジョンがまとめられています。
  先ほども御議論の中でありましたけれども、まず入る前に、では、電機連合はワーク・ライフ・バランスをどういう概念で進めていこうかというものがないと、その後のアクションプログラムをつくっていくベースがないということで、まず「21世紀生活ビジョン」の中で、ワーク・ライフ・バランスとは何かというものを整理をしました。それが6ぺージ目のところになりますが、まず私たちの現状の生活と理想というものの論議をしていただいた中で、図の2というものが1つあらわしている絵ですが、理想的に言えば、仕事のための時間、自分のための時間、生活・家庭のための時間というものが、1日というスタンスで見ると正三角形であるのが理想である。8時間は労働し、8時間は自分のための時間になり、8時間は寝食の時間に取れるというようなものが理想ですが、現実は仕事の時間というところに多くの時間を割かれていて、ややもすると、寝る時間、あるいは食べる時間まで削られている。平日で言えば、自分のための時間がほとんどないというような暮らしが私たちの今の生活ではないかというところの図になります。
  それを前提として、ワーク・ライフ・バランスとは何かというところが6~7ぺージ目で、電機連合が考えるワーク・ライフ・バランスに整理をしたものがこちらになります。
  1つは、入社してから職業生活を終えるまで、全ライフステージにおいて、働く者すべてにおいて関わってくるものがワーク・ライフ・バランスであるということ。それと、育児・介護と仕事との両立だけではなくて、家庭生活全般、趣味、ボランティアなど、自己実現や地域活動も含めて、私的生活の全般と仕事とのバランスを考えるということが重要である。
  最後に、これらの前提で、7ぺージ目の上段の最後3行目になるのですが、電機連合が考えるワーク・ライフ・バランスという概念を3行にまとめているものがこちらです。1人1人が自らの望む生き方とライフスタイルを自覚し、家庭、職場、企業、地域を含む周囲との調和を図りつつ、自らのライフスタイルと両立し得るワークスタイルを人生全般にわたって築くということを電機連合のワーク・ライフ・バランスの概念ということで整理をしまして、ここでいうバランスというものは、1つは時間軸での調和。働く時間と自分自身の生活の時間というものの調和を図るというのが1つですが、もう1つは、やはり周囲の人との精神的な調和というようなものも必要ではないかというようなところが、ワーク・ライフ・バランスのバランスというところにかかってきているのではないかという整理をし、以降、アクションプログラムの策定に入っていったということです。
  今申し上げましたワーク・ライフ・バランスを、1つは、先ほど1日というようなことで三角形の絵があるのですが、もう1つ、先ほどもキーワードで出ておりましたけれども、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けては、多様な選択肢というものが必要で、自らの意思で、自らに適する選択肢を判断し、選べる状況をつくり出すことが必要であるということで、8ぺージ目の図になりますけれども、現在の私たちらの働き方というのは、ややもすると1日8時間を1週間、週休2日であれば5日間というのが普通であって、例えば短時間勤務で働くというのはイレギュラーであるというような状況だと思うのですが、今後、私たちが目指す働き方というものは、自分自身のライフスタイルというものとワークスタイルというものを確立した上で、人生全般にわたって働く働き方の選択を活用しながら、自分自身のやっていきたいこと、あるいは、ある年は仕事に重点を置き、ある年は自分自身の生活の方に重点を置いていくというような中で、働き方の選択肢というものを広げていくことで個人の選択の幅が広がるというものを目指していきたいというところであります。
  9ぺージ目になりますが、それでは、私たちがワーク・ライフ・バランスの実現に向けてどういうステップでやっていくのが必要かということをあらわしたものが9ぺージの図になりますが、私たちの取組というものを振り返ってみると、労使協議というようなあり方の中で、この台形でいうところの3段目の選択可能で多様な社内制度の構築というものを非常に努力し一生懸命やってきた傾向はあるのですけれども、振り返ってみると、それでは労働環境基盤の整備、あるいは労働者の意識改革というものに本当に取り組んでこれたのかなという反省がありまして、よく聞くのは、いろいろな制度を、労使協議をやって、組合としては勝ち取ってという言葉になるのですが、勝ち取ってきても、職場の組合員の方と話をすると、なかなか制度を利用できない。あるいは、利用していても利用しづらいという声を聞く。そこをよくよく分析していくと、労働者の意識という意味でのコンセンサス、あるいは社会的なコンセンサスの確立がないままで制度を先行させていくということが、結果的に制度を利用する人間にとってみると、周りから浮いてしまうというようなところもあって、なかなか使いづらいというところがあるのではないかということで、まず意識改革、コンセンサスの確立の前提の上に、さまざまな労働環境の整備というものをつくり上げ、その上に制度を乗せていくというようなことが必要ではないかということで推進をしていこうというような整理をしたということです。
  以降につきましては、後ほどお読み取りしていただければと思いますが、今説明いたしましたワーク・ライフ・バランスの概念をもって、具体的なアクションプログラムということで、18ぺージまで飛びますが、電機連合として5カ年プログラムを策定しまして、2007年度から5年をかけて私たらの目指す生活を実現していこうということで実行に移しているということです。
  まず、「21世紀生活ビジョン」の前に、私たちは2006年の1月に第3次労働時間政策というものを確立いたしまして、労働時間という視点から見たときに、4つの生活目標というものを掲げております。1つは、ウィークデーの就業時間、就業後を豊かに過ごすことができる生活。週末の休日を充実した時間を過ごすことのできる生活。1年の中で長期休暇を取ることのできる生活。4つ目が、生涯を通じて充実した時間を過ごすことのできる生活というものを4つの生活目標として掲げ、さらには、先ほど言った「21世紀生活ビジョン」、多様な働き方の選択肢を広げる、あるいは労働者のコンセンサス、意識改革というものも掲げていくというようなことで、この2つをアクションプログラムとして5カ年プログラムというものを策定いたしました。
  5カ年プログラムの目標ですけれども、1つは、長時間労働の解消というものを掲げております。というのも、私どもの産業の1つの大きな課題であるのですけれども、平均的に国内的にも正社員の長時間というのは課題になっていると思うのですが、中でも、私どもの調査によりますと、組合員1人平均約300時間弱ぐらいの時間外労働があるというような実態にありまして、時間外労働というのは非常に課題になっているというところです。十数年前に時短の取組で所定労働時間を私どもの産業は非常に取り組みまして、法定よりも短い所定労働時間ということになっていますし、休日についても、法定よりも非常に多いお休みという制度はあるのですけれども、それが、この十数年来の状況によって、時間外も増え、年休行使も低くなっているという、この課題について取り組んでいきたいということで、1つは、総実労働時間の短縮としては、所定労働時間を短くするのではなくて、今、現状として時間外労働、あるいは年休取得が少なくなってきているというところについて取り組んでいきたいということを目標としております。
  次に、20ぺージ、2つ目の目標になりますが、少子・高齢化への対応ということで、私たちの産業は、先ほども言いましたが、女性が非常に長期勤続になってきているという背景はありますが、やはりそうは言いながらも、まだ国内の女性の多くが出産を機に退職をするというような現状もありまして、また、働き続ける中で、キャリアの中断を気にして出産や育児を躊躇するというようなことも起きている。子どもを欲しいと望む、組合員が安心して産み育てながら就労する環境や、あるいは介護を行いながら就労する環境の整備というものが、さらなる制度あるいは意識改革として必要だということを目標として挙げております。
  3つ目ですが、人口減少社会への対応ということで、私たちの産業が高付加価値、創造型産業への転換というものが求められている中で、企業と対峙する中で、やはり私たちの産業の中では、人材の知恵と力というものが必要であって、優秀な人材の確保というものが企業としても大きな課題である。そこで、キャリア開発というようなものを企業の源泉となる多様な人材を生かす、あるいは、そういう人材を継続して雇用するという環境の整備というものが必要であるということで、そういうものも目標としております。
  22ぺージになりますが、企業・労働組合の社会的責任の深化ということで、このワーク・ライフ・バランス5カ年プログラムの中では、CSRというものを労使で、1つは企業の社会的規範の遵守というところに目がいきがちですけれども、やはりCSRということで社会・地域貢献というものに目を向けていきたいということです。特に社会貢献ということで国際貢献活動みたいなものはすでにやられているのですが、私たちの目指すものというのは、やはり企業の工場、事業所があるようなところの地域で、その企業の従業員が地域社会での貢献の担い手となって、そこの働いている従業員が地域で貢献することが、最終的には企業の評価につながるというような運動を展開していきたいというところが4つ目の目標として掲げているということです。
  5カ年プログラムの推進ですが、内容については25ぺージの方に概要図というものを掲げております。1つは、5カ年プログラムのさらなる制度の整備・充実と、利用しやすい職場風土の醸成というものを一番に掲げているということで、産別としても各企業の加盟組合の企業労使の取組を支援していくということでありますが、やはり一番取組の中心になるのは企業組合の取組で、企業との交渉ということになりまして、できれば産別としては、それを後方から支援するというようなことで、いろいろな策を出していきたいと考えているところです。
  とはいうものの、産業内横断的に必要な制度の整備については、電機連合としての統一闘争の課題として取り組みをしまして、4つのステップに分けて、産業内として、人の流動化が起きたときにでも、A社ではあった制度がB社ではないというようなことが電機産業の中ではないようにしたいというような思いもありまして、統一闘争の課題として掲げていく。そして、政策・制度課題への取組ということでは、労使で取り組んでいく中でも、やはり中小企業では法定に制度が張りつかざるを得ないというようなところもありまして、やはり大手の企業で取り組んできたよい制度、あるいは働きやすさの充実というもので勝ち得たものを、私たちとしては政策・制度の実現というような課題に取り上げて、中小企業の働く人たちの後方支援もしていきたいということです。
  最後に、到達目標水準の設定と書いてありますが、先ほども申し上げましたが、総実労働時間の短縮というものが課題になっている中では、目標水準を掲げることには是非はありましたが、やはり何もなく精神論でやっていくということには限界を感じておりまして、今回、目標水準を設定して時間外労働の削減を目指すという取組を行っていくということです。
  5カ年プログラムの特徴ということでもう1つ挙げますと、24ぺージの「さらに」というところの最後の段落からになりますが、その次の本当の最終の「本プログラムの推進に当たっては」というところになるのですが、電機連合としては、従来、闘争で要求をし、会社から回答を引き出すというふうにやってきたのですが、やはりワーク・ライフ・バランスというのは労使ともに課題の認識というものは一緒だと思いますので、闘争で制度化を図ってきた労使関係から一歩踏み出して、労使協創でともにつくり上げるというようなことで、闘争ごとで何でも要求して勝ち得るというよりも、日常的な労使の協議の場で自社の従業員が求めているものは何かというものを労使で協議しながらつくり上げていくというような形をこのプログラムのベースにしたいということで考えているところです。
  5カ年プログラムの項目については26ぺージということで、電機連合が闘争課題として取り組むもの、単組の日常的な活動で取り組むもの、政策・制度課題として取り組むものということで、それぞれの課題について掲載をしているということです。
  電機連合の統一闘争課題としては、28ぺージ、29ぺージのところに掲載をしておりまして、Step Mということでは、すべての組合が向こう3年間、3年後には制度化をしたいということで掲げているということで、Step1、Step2、Step3については、短時間勤務の充実、休職制度の拡充、最後に再雇用制度の拡充というようなものを考えているということです。
  政策・制度の実現ということでは32ぺージ目にありまして、これは電機連合の取組として、すでに電機連合の大手の組合では制度化をされているものがほとんどでありまして、こういうものを大手の組合企業だけが使える制度ではなくて、幅広く労働者に適用できるような形で法整備、あるいは環境整備というものをしていきたいということで、5年間かけて私どもの政策制度要求の中で掲げていきたいテーマということになっております。実は、箱の中のものはすでに大手の企業の中でやられているものではあったりするのですけれども、その他の項目というところが実は重いのですが、これについては、私たち自身も5カ年プログラムを推進しながら研究をし、どのように政策・制度要求をしていくかというところについて検討しながら行っていきたいというテーマであります。  例えば、1つ目ということでは、在宅勤務を可能とするインフラ整備、あるいはワーク・ライフ・バランスを推奨する企業の税制遭遇措置というもの。どういうものがあって、税制優遇という視点で言えば、どういうものが有効的なのかというところを研究していきたいということです。  2つ目については、保育施設、公的施設の充実、社会インフラの整備というもので、今も待機児童の対策については一生懸命やっていただいているということを感じてはおりますけれども、本当にどういう施設が求められているのかというところも少し研究していきたいということです。  最後になりますが、北欧で実施されていますパパ・クォーター制度、男性の育児休職の制度については、研究を要するということもありまして、法整備についての検討を行い、最終的に政策制度に結びつけていければと考えているということです。  最後になりますが、先ほど電機連合の到達目標水準の設定というものを掲げたということで、数値目標については34ぺージになりますが、年間の時間外労働時間については、150時間、年休取得時間については20日完全取得というようなものを掲げております。150時間の根拠につきましては、33ぺージの方に記載させていただいておりますが、家族的責任を有するものの年間時間外労働の上限値であるというものを働き方の標準にしたいという思いでこの数値を設定しました。従来、電機連合は年間1人平均200時間ということで目標を掲げていたのですが、5カ年プログラムをきっかけに、時間外労働については150時間以下を目指す。育児や介護で時間外労働の制限が必要な人たちの働き方を、世の中一般的な働き方の時間外の所定労働時間の上限値にしていきたいという思いでやっているということです。  全容は今申し上げた内容になっておりまして、私たちも7月にこのプログラムを確立しまして、初めて秋に組織強化月間というものを掲げて、何をやるかというところが実はこれから検討して、今月末には何か目玉になるようなものを出していきたいというふうに考えているところで、本日紹介できるのはここまでということになるのですが、5年間かけて、私たちの目指す自立的な、そして自分自身が働くワークスタイル、望むワークスタイル、あるいはライフスタイルというものの実現を目指して、働き続けられる環境というものを整備していきたいということでプログラムを確立し推進をしているということの御紹介ということにさせていただきました。  以上で報告の方は終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

○樋口座長 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見ございましたらお願いいたします。

 

○坂田委員 大変積極的取組に向けたプランを御紹介いただきまして、ありがとうございました。  ワーク・ライフ・バランスということに関しまして、労働時間をはじめとした制度の整備ということに合わせて、精神的なもの、心の領域、職場の風土あるいは意識といったところにも踏み込まれておられるわけですが、これからということなんでしょうけれども、そのあたりのこと、要するに精神的な問題に関してですけれども、お話の中では、推進の中で周りから浮いてしまうというような状況もあるというふうに言われましたけれども、これは本人の問題だけではなくて周りの問題、つまり働く者同士の問題ということもあると思うのですが、その辺について現時点で課題として認識されていることがあれば、ちょっとお答えしていただきにくいのかもしれませんけれども、聞かせいただければと思います。

 

○斉藤氏 周りから浮くと言うとあれなんですが、先ほどの論議にもありましたけれども、今、非常に忙しいというか、仕事の判断も含めて、スピード感が求められていて、小さなことから言えば、年休を取ることすら悪いことというか、職場に迷惑をかけてしまうというような意識を組合員の皆さんは持っている。その背景にあるものは人手不足というのが私どもの調査でもここ2~3年、職場の繁忙感の理由として大きく、それは直接員の職場でも間接員の職場でも出されているのですけれども、人手不足というのが非常に大きな課題になっている。その人手不足からすると、お休みを自分が取ると、誰か自分のかわりに仕事をやってもらわなければいけないというような状況で、言い方は違うのかもしれませんけれども、職場の人員に遊びがないというか、みんながキチキチの中で仕事をしている環境の中では、自分のノルマ、あるいは与えられたものについてはまず自分でこなさなければいけない。ましてや1人が長期休暇なんかを取られて1週間お休みをされると、その分の打ち合わせなどが回ってくるというような状況で、なかなか長期休暇の計画を出しづらい。あるいは、1日で遊びに行くということでお休みを取るというのも何となく罪悪感があるというようなのが今の職場の実態にあるのかなと感じておりまして、まずはそこを普通に戻したい。遊びに行くためにお休みを取るのはいいじゃないか、長期休暇もリフレッシュのためには必要じゃないかというようなものを、普通のことなんですけれども、その普通のことが今できていないのを普通に戻したいということで、組合員の人たちが、この間の電機産業の厳しい環境の中で、10年ぐらい前は普通だったことができなくなってきているのを、ただ運動というよりも、そういうものは普通なんですよというふうなことにただ戻していきたいということです。ですから、地道な取組になってしまうのですが、まずは時間外労働をなぜしなければいけないのかというような原点を、組合員の意識改革として、あなたの時間外労働は誰に下命をされてやっているんですかというようなこともありますし、年休は組合の権利ですというようなところからまず運動を立て直していきたいと思っています。

 

○坂田委員 人手不足ということを今挙げられましたけれども、ということは人手不足が非常に大きな要因であって、そのことが解消されれば、意識の問題というのは大半がクリアされるというふうにお考えなんでしょうか。

 

○斉藤氏 そうですね。まずは人手不足というものを解消しないといけないというのはあります。ただ、製造現場での人手不足というものをやっていくことは、人員が足りないということであればラインの人員を増やせばいいということはあるのですが、今、例えば設計あるいはSEという職場での人手不足というのは根が深いなというふうに感じておりまして、それは、人が単純に増えれば人手不足感が解消されるかというと、決してそうではなくて、新しい人が来ると、その新しい人に仕事を教えなければいけないというようなことがあったり、その能力、スキルというものが職場の人手不足感を充足できるものにマッチしているかというものが非常に重要なのですが、SEあるいはスキルの高い設計というのは、全産業的に人手不足になっていて、企業としてはそういう人を離さないようにという中で、市場でスキルの高い人を、外部労働力を含めて、そういう人に来てもらうというのが今難しい状況になっている中で、ホワイトカラーの部分の人手不足感の解消の本当に大きな課題だと感じています。

 

○佐藤委員 どうもありがとうございます。ちょっと教えていただきたいのは、9ぺージの図4で、3つの段階でワーク・ライフ・バランスを進めていこうということですね。これはよく整理されていると思うのですけれども、これまでは企業も国も、3つの段階の一番上、つまりさまざまな制度を後押しする法律、あるいは企業も法律周りの制度を導入するというのをやってきたと思うのですけれども、それが使われない、使いにくいということが現状だと思います。多分、ワーク・ライフ・バランス実現のためには、3つの段階の真ん中のところをどう変えるかというのが一番大事だと思うのですが、後ろの組合の取組事例を見ると、真ん中のところも有休取得促進とか、いろいろあるのですけれども、有休を取れるような仕事の仕方をどうするかという取組は余りないようです。そうした取り組みは非常に難しいのか。あるいは、そういう難しい中でも、わりあいうまくいっている取り組み例があれば、つまり真ん中の改革ですが、わりあいうまくやっているところがあれば少し教えていただきたいというのが1つです。  あと、やや揚げ足取り的なところもあるのですが、図2で、正三角形が理想というのはワーク・ライフ・バランスの考え方からするとおかしいのではないか。もう1つは、図3も、選択の幅が広がるというのはそうだと思うのですけれども、上から下に下りたときに、多分、下の図の点線というのは平均労働時間だと思うのですが、これは現実と変わらないのか。後半の場合は、総量の目標みたいなものを考えればこれは下がるのではないかということで、その辺をちょっと教えていただければと思います。前半の方がメインの質問ですが。

 

○斉藤氏 前半のうまくいっているところというようなことで言うと、後ろの事例報告の中の一番最初にあるのですが、東芝さんが年休取得が平均的に非常に高いということで、組合員平均で20日とかですので、すでに私たちの目標を達成しているというような状況にあります。ただ、東芝さんの中でも、非常に高い職場と、そうではない、そこは電機産業全体的に言えると思うのですが、やはり工場の現場というものは機械を一斉に止めてしまって一斉休日というものをつくりやすいということもあって、工場でそういう取組をやってきているというのは有効だと思うのですが、営業とかSEという職場は年休が比較的取れないのですが、その職場でも労使の取組で高い年休取得を維持できているというところが特徴ということでは上げられると思います。どういうことをやっているかというと、この課題については労使共通の課題として、休ませる運動というものを長くやってきているようで、労使協議の中で計画年休の取得が上がっていないところについては、管理職の方経由で休ませるような指導を会社がしているというような長い労使関係の取組が年休取得促進につながっているように聞いております。ですから、特効薬的にこれをやったら年休取得が上がるというものは残念ながらないだろうというふうに思うのですが、やはり目的を、労使というよりも、会社側の方が従業員の精神的な部分、あるいは肉体的な部分の休息というものをどう捉えて、めり張りある働き方を求めていくかというところの方向性というものが明確になっているところというのは、比較的時間外労働、あるいは年休取得というのがうまくいっているのではないかと思っています。  後者ですけれども、確かにおっしゃるとおりの御指摘だというふうに思ってはおります。極論を書いてしまっているというようなところはあると思うのですが、現実的に三角形が理想かどうかというのは、確かにおっしゃるとおり、それぞれあるだろうと思うのですが、長い人生で見たときには、1日当たりの労働時間は、やはり定時で帰って、寝る時間はきちんと7時間なり8時間きっちり取って、あるいは帰り道とか定時後に家に帰るまでの間に自分自身の趣味、あるいは自分自身の時間というようなものをつくっていくというような理想をちょっと書かせていただいているので、本当にこの三角形というのが全員に対して当てはまるかというとそうではないのですが、組合としての運動論としては、この三角形というのがやはり理想であって、こういう運動を展開していくということもやっていきたいという思いです。  あと、8ぺージ目のグラフは、確かに編み目が今の労働時間とということですけれども、これは多分、私自身もそうなんですが、やはり現実の所定労働時間ありきというもので今はまだつくられているという、そこは御指摘があったということは電機の中でも言っていきますし、これから御紹介するときに、この波のつくり方というのは、これが1つのモデルというような形で御紹介をしていく方が誤解がないかということで、今後はそういう形で御紹介をさせていただきたいというふうに思います。

 

○八代委員 どうもありがとうございました。非常に興味深かったのは、やはり慢性的な人手不足ですけれども、それは必ずしも人を増やせばいいというわけではないという根の深さというのは大変だと思いますが、仮にそうだとしたら、やはり今の人員でどれだけ労働時間を短くできるように生産性を上げていくか。特に時間当たりの生産性を上げていくということが鍵だろうと思います。よく工場では、カイゼンという形で現場の労働者がいろいろな提案をするわけですけれども、ホワイトカラーの方ではそういうのが余り見られないのではないか。例えば、この会議はなぜ必要なのか。私は、会議というのはホワイトカラーにとって一番むだな仕事の典型だと思いますが、例えば集合メール等を十分に活用することで会議の代替というのはできるはずで、そういうことを事務現場の労働者が提案していくといいますか、そういうような仕組みがあるかどうか。  それからもう1つは、通勤というのが特に都市部では長い。一種の生活時間を脅かすものですが、これもできるだけ通勤時間を短くするようなインセンティブをつける。例えば、思い切って通勤手当を廃止することを組合が要求する。当然それは基礎手当に振り替えなければいけないのですが。今の通勤手当というのは遠くに住むことへの奨励金みたいな意味を持つわけで、都市部のマンションの高い家賃にはいわば何の補助もなくて、遠くの一戸建ての家に住むことに対して暗黙の補助をしているわけです。だから、例えばそういうような形で個々にどうしたら通勤時間も含めた広い意味での時間当たりの労働生産性を上げるか。そのインセンティブを高めていくかということを労使で考えていただくというようなことがあるかどうか。  それから、同時に仕事のアウトソーシングというのは組合の方は大体嫌うようですけれども、むしろ労働者の無駄な時間を減らすためには、積極的に付加価値の低い部分をアウトソーシングすることを例えば経営者に求めていくということも1つではないかと思いますが、そういうようなこともあるかどうか。よろしくお願いします。

 

○斉藤氏 会議の効率化は、先ほどお話もあって、ホワイトカラーの生産性の向上というのは非常に図りづらいというのは御指摘のとおりだと思っていまして、この秋、この5カ年プログラムの働き方の意識改革の中で実は1つの事例として考えていた内容ではありまして、会議のあり方というものが、職場でいう常識になっているようなものをもう一回原点に返って裏から見て、本当にこの会議は必要なのかというようなところから運動を進めていかなければいけないのではないかと思っています。  その中で、まだどう出していくかというのはあるのですが、メールというのが実は非常に便利なのですが、メールが起こしている問題も多いだろうなというのも実はあって、人が会いに行って一言5分話せば済むようなものをメールで送ってしまうがために、そのメールを読み手がどう受けとめるかというのはみんな違うので、誤解をもって会議などに参加してくると、ニュアンスはそうじゃなかったみたいなところから始まらなければいけないというようなこともあって、実は情報ツールというか、ITツールが便利になり過ぎているがゆえに、仕事を増やしているということもあるんじゃないかというような点検もやっていきたいと考えてはいるところです。  あと、通勤の課題については、そういう発想もあるのかなというふうには思うのですが、やはり労働組合の立場からすると、住むところ自身もそれぞれ個々人のライフスタイルにあるのかなというようなところで、例えば週末、農園とかやりたいと思うと、やはり地方に住みたいという人もいる。あとは、子どもの生活環境として都市部で学校に通わせるよりはというような、それぞれの従業員というか、労働者のライフスタイルというものとの兼ね合いもあるのかなと思っていて、一律に在宅勤務を推進することでそういうものが要らないというような極論にはならないのかなと。ただ、御指摘いただいたような発想というものも、いろいろ働き方の多様化の中で検討は必要なのかなと思っていますので、今後いただいた意見として私たちも考えていきたいと思っています。  それと、アウトソーシングについては、実は26ぺージの一覧の中で、短時間正社員制度というものを電機連合として考え方の概念を整理していきたいと思っています。というのは、必要な外部労働力というのは産業の中にある一定は必要だとは思うのですけれども、本当に今職場を振り返ったときに、本来ここは派遣の方、あるいは請負の方でいいのかというようなところが、コスト面から見たところでしかそういう配置になっていなくて、それが結果的にさまざまな企業の情報漏洩、あるいはスキルが続かないというような課題ということでも出てきているのではないかというふうに考えますと、1つ、正規の従業員では敷居が高いかもしれないけれども、外部労働力というような位置づけでは困るという、中間層的な働き方というのが本来あるのではないかというふうなところをちょっと考えていきたいというふうなことで、多様な働き方の1つとして短時間正社員制度というものもあるんじゃないか。ここを組合としては整理をしていきたいと考えているところです。

 

○八代委員 一点だけ補足しますと、通勤手当の問題は、別に社員が山奥に住んではいけないと言っているのではなくて、それの費用は自分の賃金から出していただければいいわけです。今の通勤手当が山奥に住むことを促すような一定のバイアスを持っているということです。

 

○斉藤氏 済みません。

 

○山川委員 先ほどの、制度をつくられても、例えば職場の雰囲気で利用しづらいというようなお話は興味深いこととしてお伺いしたのですが、そういう個別の職場での組合員なり労働者なりの不満とか苦情を吸い上げたり、対応していったりするシステムで何か有効なものがあるかどうか。別のところの研究会で苦情処理制度の研究をしているのですけれども、こういう事項は苦情処理制度に上がってくることは恐らくほとんどないだろうと思われますが、例えば、先ほど八代先生の言われたような、職場レベルで仕事のやり方の改善を話し合うとか、そういうようなことに苦情や不満を吸い上げて持っていく。そういうシステムとか、ルートみたいなものでは、何かいいアイデアとか事例がありますでしょうか。

 

○斉藤氏 今言っている例えば制度が使いづらいとかというのは、まさに労働組合が開催している懇談会とか、職場の懇談会などで組合員の方から私たちの職場では年休が取りづらいとか、時間外が多くてというような意見が出てきている。その組合員の意見を組合として内部で会社に対して提案していくものと、自分たちの運動として何とかしていくものを振り分けて、会社、経営側に対して言っていくものというものは整理はしているということで、意見として吸い上げているのは、やはり職場単位で組合員の方たちの懇談会というようなもので吸い上げてきているということです。会社の上司には言えないけれども組合であれば言いやすいという、そういう窓口では労働組合は機能しているのではないかと思っています。

 

○山川委員 それを、例えば職場レベルで、仕事のやり方について話をしようじゃありませんかと、そういう形につなげることもあり得るということでしょうか。

 

○斉藤氏 そうですね。あり得ると思いますが、単純にそれを自分の部とか本部というような形で、本部長がここに座って、みんな、文句があれば言ってくれと言われても、多分言えないと思うんです。そこのやり方としては、直接的な自分の上司ではない、第三者的なほかの部の人であったりというようなことは必要だと思うのですが、結局、同じ企業の中の管理職と上司、部下みたいな関係の中で、たとえほかの部の上司であっても、自分が言った意見は必ず会社の中で取り上げられるというふうになると、やはり皆さん、文句はありませんというふうに言うしかないのかなという気はしますので、その企業の中で言い易い立場にどういう人があるのかというところは検討が必要だと思います。

 

○樋口座長 1点お聞きしたいのですが、電機連合はすごく先進的な取組をしているということで我々も認識していますし、あるいは日経の働きやすい企業として電機はみんな上の方に並んでいるということで注目しているのですが、今日のお話で、組合員のワーク・ライフ・バランスを進めるというようなことについての主な取組について御紹介いただいたと思うのですが、先ほど出てきました請負とか派遣、この人たちのワーク・ライフ・バランスとか、あるいは、そこに対する発注の仕方について何か検討なさっているのか。あるいは、よく言われますような週末発注の下請の話とか、あるいはトラック輸送に対して厳しい競争的な、価格だけではなくて、時間の問題であるというようなことがほかから大分議論されてきているのですが、電機連合として、これが個別の企業別組合だったら、多分、組合員のことについてということだろうと思うのですが、全体を預かる組織として、こういった社会的な問題ということについて何か考えていらっしゃるのかということを教えていただけますか。

 

○斉藤氏 今の時点では、産業内の企業の労使という枠の中でのワーク・ライフ・バランスという形になっているということではあります。ただ、私どもの加盟組合の中に、メイテックという大手の常用派遣の会社がありまして、そこから言われるのは、なかなか主体的に自分のところが取り組もうと思っても、お客先で駐在になっていると、そういう運動をやりたいと思ってもなかなかできないと。そういう課題の中では、電機連合でこういう取組をしているのを社会的な運動というような裾野を広げていただけると、自分のところがそういう活動をしているという、客先中も同じような取組をしていて早く帰れるようになるとか、そういうふうな形にはなっていくのかなと。  あと、やはりサプライチェーンの関係で言えば、大手の企業が意識を変えて働き方が変わると発注の仕方というのも必然的に変わっていくようにしないといけないなというふうには思っていて、これも私ども産業の特徴だと思うのですが、大手の企業のグループ会社というものが多いところになっていますので、大手がこれに取り組み始めますと、そこのグループ、関連企業の中では同じような取組というものが労働組合、会社の中で進んでいく。時間はかかるとは思うのですけれども、そういうものをきっちりやっていくことで社会的に広がるような運動に展開していきたいと思っています。ただ、メッセージというふうな形で出しているかというと、そこまではちょっと手が回っていないというのが正直なところです。

 

○古賀委員 私が電機連合の委員長のときにスタートしましたこの研究会が、やっと報告書がまとまったということで非常に感慨深いものがありますけれども、1つは質問、それから2点ほど要望しておきたいと思います。  1つは、こういう考え方に対して電機産業の経営側はどう感じておられるのか。電機連合として政策をつくったわけですから、これから経営側といろいろなディスカッションをすると思いますけれども、経営側はどう考えているのか。今の感じでいいですけれども、聞かせてください。  それから、今の質問にもあったように、電機連合としてぜひこれを土台に行っていただきたいことの1つは、時間外労働の削減、あるいは年休取得等々の、どちらかというと、ハードの部分を詰めていくときには、先ほど八代先生等々からも指摘があったように、必ず仕事の仕方とか、あるいは仕組みとか、そういうものを変化していく中で生産性を上げていくということが非常に重要になってくる。したがって、運動という側面だけではなくて、やはり経営側とその辺を職場の隅々に至るまで労使が知恵を出し合う努力、そういうことが片一方で非常に重要になってくるので、そんな組合としての運動もぜひ進めていただきたいということが1点。  2つ目は、樋口先生ご指摘のように、パートタイムはほとんどいませんけれども、電機産業は請負、派遣、そういう人たちも一緒に電機産業全体を支えているわけです。そういう人たちに対する視野を電機連合としても広げて、働く者全体の連帯とか幸せを考えなければならない。そういうときに、この政策がどう波及されていくか。あるいは、どう波及させていくべきかということについても、今後のステップとして考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 

○斉藤氏 私も、この場でやっとできましたという報告になるんだなというふうに思っていたのですが、電機の会社側、経営側の考え方というのは、先ほど来この会議の中でも論議をされていますが、総論はやはり賛成ですが、例えば5カ年プログラムに掲げられている1つ1つのものを挙げていくと、やはりそこは労使の目指すものが違っていて、1つ1つの実行というところでは、これから非常に論議をしていかなければいけないと思います。ただ、今年の春闘、総合労働条件改善闘争の中では、やはりワーク・ライフ・バランスについては労使で取り組んでいこうという共通認識はある中でつくられてきたプログラムということですので、地道にはなりますけれども、組合だけが運動として展開するのではなくて、とにかく経営側を巻き込みながら、1つ1つやっていかなければいけないという認識に立っているということです。それは、労使共通の認識だというふうに思っています。  その中で、経営側から随所で一番言われるのは、この中にある地域・社会貢献というものが非常に理解しづらいというか、理解はするのですが、なぜそのための休みを制度化しなければいけないんだとか、短時間勤務はどういうニーズで必要なんだとか、あるいは休職はどういうものが必要なんだというところが、組合として取り組むに当たって、会社側にそこを説得していく材料をまとめていこうということで、理念としては非常に重要な取組だとは思っているのですが、本当に休みをつくってまでやらなければいけないのかというようなところが、今、会社との間で一番ギャップがあるというところではあります。  あと、時間外労働の話と請負については、私どもの運動の中で、本当に緒についたばかりですので、これから推進していく中で、やはり請負、派遣の方、あるいは電機産業全体に働く組合もない労働者の方たちにも、この運動が波及できるような、これをきっかけにした新たな運動というのを打ち上げていきたいというふうに考えておりまして、それについては、いただいた御意見を参考にしながら進めていきたいというふうに思っています。ありがとうございました。

 

○樋口座長 まだいろいろ御質問はあるかと思いますが、時間がきておりますので、ここまでにさせていただきたいといいうふうに思います。
  事務局から連絡事項がございますか。

 

○濱田参事官 先ほど作業スケジュールを御説明申し上げましたけれども、スケジュールに従いますと次回は9月上旬ということでございますが、委員の皆様方、大変御多忙でございますので、11月の最後の日程まで調整させていただきたいというふうに考えております。それで、ただいまお手元にお配りした日程表に印を書き込んでいただいて、できましたら今日、机の上に置いておいていただければありがたいのですが、この後、御予定があるような方にはファックスかメールで御送信いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

 

○樋口座長 それでは、本日の会合はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。