仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けて ひとつ「働き方」変えてみよう!

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第2回「働き方を変える、日本を変える行動指針」(仮称)策定作業部会 議事録

1 日時:平成19年9月26日 7:59~10:00


2 場所:KKRホテル東京10階 平安の間


3 出席者

(有識者)
佐藤 博樹 東京大学社会科学研究所教授
武石 恵美子 法政大学キャリアデザイン学部教授
樋口 美雄 慶應義塾大学商学部教授
八代 尚宏 国際基督教大学教養学部教授
山川 隆一 慶應義塾大学大学院法務研究科教授

(団体の代表者)
紀陸 孝 (社)日本経済団体連合会専務理事
田中 常雅 東京商工会議所人口問題委員会副委員長
(醍醐建設株式会社代表取締役社長)
坂田 甲一 (社)日本経済団体連合会労働法規委員会
労務管理問題検討部会長
古賀 伸明 日本労働組合総連合会事務局長
横山 陽子 日本サービス・流通労働組合連合中央執行役員
杉山 豊治 情報産業労働組合連合会政策局長

4 議事概要

○樋口座長 それでは、定刻前ですが、皆様おそろいですので、第2回の「考え方を変える、日本を変える行動指針」策定作業部会を始めたいと思います。
本日は、早朝からお集まりいただきましてありがとうございます。
まず、本日の議事の進め方でございますが、前回は労働者側として電機連合のお話を伺いましたので、今回は経営者側のお立場としまして、株式会社資生堂の岩田喜美枝取締役執行役員常務にお越しいただいております。朝早くからありがとうございます。
はじめに、ワーク・ライフ・バランスに関する資生堂の取組につきまして30分程度ヒアリングをお願いさせていただき、その後、ワーク・ライフ・バランス憲章に関する議題に移りたいと思います。
それでは、早速ですが、岩田取締役から御説明をお願いします。
なお、岩田さんは次の御予定がありますので、8時30分には退席されますので、皆さんよろしくお願いいたします。それではお願いします。

 

○岩田氏(株式会社資生堂・取締役執行役員常務) おはようございます。岩田でございます。今日は、このような機会をちょうだいしまして本当にありがとうございます。
私は今、資生堂で人事を担当しておりまして、資生堂のワーク・ライフ・バランスの推進の責任をさせていただいております。そして、同時に、34社でワーク・ライフ・バランス塾というのを作りまして、私がその塾長をさせていただいて、3年間、ワーク・ライフ・バランスの推進についてみんなで一緒に勉強するという機会もありましたので、それらの経験を踏まえて、まず、最近のワーク・ライフ・バランスについての議論で気になることを幾つかお話ししたいと思います。
まず、ワーク・ライフ・バランスを育児期の両立支援というふうに狭くとらえる議論があるように思います。もちろん両立支援というのはワーク・ライフ・バランスの中の非常に重要な領域ではありますけれども、この領域は、例えば、次世代育成支援対策推進法というのが1つのきっかけになったと思いますし、また、昨今の学生の採用難が背景にあると思いますが、ある意味では企業は、特に大企業の間では、競い合いのレベルにまで、うまく世の中の歯車が回り始めたような感じがいたします。
一方、育児期に限りませず、すべての社員の働き方の見直しという点では、動きが大変鈍いという感じを持っております。
2番目ですが、ワーク・ライフ・バランスを実現するための働き方の見直しとして、長時間労働の問題に目をつぶって、多様な働き方、フレキシビリティを強調する議論がありますけれども、これも私は非常に違和感がございます。働き方の見直しのやり方は2つしかないわけで、1つは、1人当たりの総労働時間をいかに短縮できるかということです。もう一つは、仮にそれが短縮できなかったとしても、一人ひとりが自分の生活の都合に合わせて働き方を柔軟に変えられる、そのことの選択肢が準備されているということがあれば、それもワーク・ライフ・バランスの実現には非常に有効だと思います。この2つのやり方があり、またこれ以外のやり方はないということです。
そして、イギリスなどのワーク・ライフ・バランスは、労働の柔軟化というレベルで取り組んでいると思いますけれども、日本の現状を見ますと、特に当社の現状を見ますと、今、企業がまずやるべきことというのは、長時間労働の是正の問題であると思っています。
労働の柔軟化の方は、ある意味では諸制度を導入すれば、それで大きな山は越えるわけで、経営がそういうふうに判断し、人事部がそういう仕事をすれば、柔軟化のための諸制度というのはいろいろ入れられるわけです。
一方、長時間労働の問題というのは、企業風土の問題であったり、働き方や働くプロセスの改革であったり、これは人事部だけの意向ではできません。制度の問題ではなくて、実態の問題であるということで、こちらの方が非常に難易度が高いと思います。
そういうことで、重点的に取り組む喫緊の課題というのは、長時間労働の是正の方であると考えています。
それから、3つ目ですけれども、ワーク・ライフ・バランスを最低労働条件の引上げによって実現しようという向きの議論もあると思います。最低労働条件のあり方についての議論というのはもちろん別途あると思いますけれども、企業の立場から申し上げますと、ワーク・ライフ・バランス実現のための働き方の見直しというのは、法令遵守のためにやるものではなくて、むしろいかによい人材、いかに多様な人材を確保できるかという企業の人材戦略であったり、あるいは少子化ですとか、男女共同参画社会の実現といったような社会的課題に企業の立場でやらないといけないことは何かという観点からの取組であると思います。ですから、最低労働基準のレベルを超えた、その上の取組であって、具体的な取組は、企業がそれぞれ特徴を出して自主的に取り組むべきものであると思っています。ですから、政府が何らかの形で関与をするということであれば、規制的な関与ではなくて、プロモーショナルな関与であっていただきたいと思います。
4つ目ですけれども、ワーク・ライフ・バランスの実現は、企業にとってコスト増になるという思い込みが多くの企業経営者の中にあります。私は社外でワーク・ライフ・バランスについての講演をさせていただくことも時々あるんですが、よく中小企業の経営者が私に対して、それは大企業だからできるんでしょう、経営に余裕があるからできるんでしょうというような質問をされるんですね。「なぜそういうふうに思われるんですか」とこちらからお尋ねしますと、例えば、「育児休業を充実したいと思っても、代替要員を雇わないといけないのでコストがかかる」とおっしゃるんですね。「じゃ、あなたのところは育児休業は有給なんですか」と聞いたら、いや、「無給です」と。育児休業を有給にされている企業は余り聞いたことがない。どの企業も無給だと思います。「それでは、育児休業をとられてお休みをされている方の人件費で代替要員の人件費は通常は十分賄えるんではないですか」と言うと、ハッとしたような顔つきをされるんですね。何かワーク・ライフ・バランスですとか、それに限りませんが、男女共同参画という議論をすると、頭から、企業にとってコスト負担があるという思い込みがあるように思います。休業ですとか、短時間勤務ですとか、労働時間管理に関するところは、原則ノーワーク・ノーペイで各社やっていると思いますので、それであれば、コスト増になるということはないということです。
今日は主としてお話しするのは、長時間労働の是正の問題についてなんですけれども、これもコスト増を伴わないやり方があるはずで、当社はそれを追求しております。もちろん人手を増やして1人当たりの労働時間を短縮するというやり方をすれば、コスト増になりますけれども、そういうことが許されるような経営環境にはないというのはおわかりいただけると思います。企業の競争力を落とすことなく、そしてむしろそれを強める方向で、いかにすれば実現できるかということだと思います。それは言葉を変えれば、1時間当たりの労働生産性をいかに高めることができるかという取組にほかならないと思っています。
具体的には、私はこの5つしかないように思うんですが、まず、業務の廃止ということです。仕事を全部棚卸しをして、売上や利益に余り結び付かないようなものは、思い切ってやめる。いわば仕事の選択と集中なんですが、それをコーポレートレベルでもやり、部門でもやり、グループでもやり、個人でもやるということだと思うんですね。そういうふうにして思い切って仕事をやめて生み出した時間の一部は、優先度の高い仕事に振り向ける。そしてまた、一部は、社員に時間短縮という形で戻すということであると思います。
第2の業務プロセスの簡素化ということですが、決定権をなるべく現場におろすとか、会議のやり方を合理化するとかということです。業務プロセスの簡素化というのも大変難しい課題です。
そして、3番目に書いてありますのは、仕事と人の間のミスマッチ。質のミスマッチ、量のミスマッチ、がさまざまなレベルであります。これもコーポレートレベルであり、部門レベルであり、グループレベルであるということですから、それを常に調整し続けるというやり方です。
4番目は、社員の時間意識とか時間マネジメント能力の強化ということについてです。育児期の女性社員は、これは非常に長けていると思います。保育所に迎えに行く時間を念頭に置いて、大変時間意識の強い働き方をしております。そうではない社員は、いわば終電が1つの歯止めになっているぐらいで、あとは時間意識が強くない方が一般的であると思います。
例えば、ノー残業デーというのは、有効でないとは決して言いませんけれども、ノー残業デーというのは、4番に該当するある種意識改革だと思うんですが、4番だけでは、しばらくすると、またもとのもくあみになるという失敗を各社、何回も何回も過去やっていると思うんですね。ですから、この4番というのはとても大事だと思いますけれども、ほかの1、2、3とか5をやらない限りは、決定的な解決にはならないと思います。
5番目は人材育成で、1人当たりの能力を高めることによって、必要とされる時間を短縮する。これは、時間はかかることですけれども、王道だと思っています。
このように、ワーク・ライフ・バランスの実現のために必要となる1時間当たりの労働生産性の向上の取組というのは、いわば業務改革なんですね。ですから、非常に地味な、しかしながら、大変エネルギーのかかる社内改革であります。
特に、後で当社の事情も見ていただきますが、問題は、工場とかにはなくて、営業ですとか本社ですとか、そういうホワイトカラーの生産性向上の取組、これがワーク・ライフ・バランスの実現のための取組の核であると思っています。
ですから、経営者の中には、「ワーク・ライフ・バランスというと、社員にほどほどに働けばいい、私的な生活をもっと大事にしなさいというようなメッセージになって、誤ったメッセージを与えるのではないか」ということを言われる経営者もいらっしゃいますが、それはとんでもないことで、会社にとっても、社員にとっても、時間当たりの生産性を高めるというのは、とても大変な取組であると思っています。
さて、次のページにまいりますけれども、今申し上げましたように、今、日本が再重点で取り組むべき課題というのは、1人当たりのトータルの労働時間をいかに短縮するか。過剰な残業の縮減であったり、年休の取得率の引上げだったりするわけですが、そう私は考えておりますので、その点を中心に当社の実情と取組のお話をさせていただきたいと思います。
まず、当社の36協定の内容は、そこに書いてございますように、原則は月45時間、年間360時間。特別条項というのがついておりまして、年6回までは月80時間、そして年750時間という枠の中でやっております。
時間外労働の実態を見ていただきますと、そこに書いてありますような実態で、御留意いただかないといけないのは、販売会社の場合は、営業職がみなし労働制を適用しておりますので、見かけ上非常に小さくなっておりますが、実態上は、本社に勝るとも劣らないほどの労働の実態がございます。
ここ1、2年、長時間残業の問題を一生懸命推進しておりますので、本社はまだまだ微々たる残業の削減なんですが、研究所とか工場は、結構効果が出始めているかなという感じがいたしております。
年休の消化率。私が社内で年休のことは余り前面に出して言っていなかったということがあったのかもしれませんが、年休の消化率は、2006年度はこういう状況で、前年に比べると、またさらに下がっております。
社員の意識調査を見ますと、ワーク・ライフ・バランスをとりたいと、非常にその必要性を感じている方が58%強いますし、ワーク・ライフ・バランスが現実にとれているかどうかということについては、「とれていない」と回答している方が54%という現状にございます。
当社がこれまで取り組んできたことについて、次のページでございますが、まず、大変お恥ずかしいことなんですが、2001年に労働基準監督署の本社への立入調査がありました。そこで急いでやりましたことで、今はもとのもくあみになってしまっているのがここに書いてあるようなことで、各部門から人事部に改善策を提案するということですとか、23時以降の残業を禁止するとか、ノー残業デーを1週間に1回設定しておりました。これがなぜ失敗したかというと、先ほど申し上げましたように、働き方の見直し自体に踏み込まなかったというところが失敗の原因であると思っています。私は資生堂に2003年の12月に入りましたが、私が入社した後、経験したことを、次のブロックで整理をしております。
まず、月80時間以上社員がいる部門については、人事部がその部門の責任者からヒアリングをして、改善策の協議をしております。また、月100時間を超えるなど、特に長時間残業した社員については、産業医がカウンセリングをする。これは必ず実施をされております。
また、当社はフレックスタイム制をとっているんですけれども、そういたしますと、朝遅くなる、夜遅くなるという傾向にどうしてもなりますので、フレックスタイム制度は残しておりますけれども、本社機能があります汐留オフィスでは、なるべく社員は遅くとも9時までに、管理職は8時半までに会社に入るようにということを社員たちに要請しております。
2005年度から男女共同参画アクション20という行動計画を立てまして、その中でも男女共同参画を推進するという観点から働き方の見直しの取組を提唱しております。
同じ年ですが、残業と休日出勤の事前申請の制度化をいたしました。各人がパソコンで上司の承諾を得て、事前に申請をするという仕組みですけれども、この事前申請ができなかったものは、事後にハンドライティングで紙ベースで申請するわけですが、そのために手数料ということで、1件680円を取っております。本当はもっと金額を上げて、若干ペナルティ的な要素を持たせたかったのですが、社内の合意がとれず、こんな額になっております。
そして、次からお話しすることは、多分ほかに余り例がない、当社の取組だと思っております。
1つは、9番目のリーダーの評価項目に「働き方の見直し・労働生産性の向上」を入れているということです。リーダーというのは、部下のいる職制管理職のことを社内でそういうふうに言っておりますが、半期ごとの業績評価の項目の中に、10%のウエートで「働き方の見直しと労働生産性の向上」を入れています。目標については、全社的な目標は持っておりません。各リーダーがそれぞれその職場の事情に応じて、なるべく数値の目標を掲げるようにと指導しております。残業をどの程度縮減するとか、年休の取得をどの程度上げるとかということを目標を掲げ、そのために何をやるかということを計画し、半期ごとにそれをチェックをして、その結果を賞与やその後の昇給に影響が及ぶ業績評価の中に入れているということでございます。
これは、こちらの期待どおりやってくれているリーダーと、まだまだ形だけしかやっていない方もたくさんいまして、これが十分な効果を上げているという段階には、残念ながらまだいっておりません。
そして、今年に入りまして、男女共同参画の行動計画の次の第2フェーズに入りまして、ここでも大事な柱として働き方の見直しを掲げております。
11番ですけれども、先ほど申し上げましたリーダーの評価項目と連動することなんですが、当社は、毎年3月にストラテジーコンファランスといっておりますが、国内外の資生堂グループの事業所責任者を一堂に集めまして、社長が次の年度の会社の経営方針を発表するという、会社にとっては1年で一番大きな行事がございます。今年のストラテジーコンファランスで社長から、いかに働き方の見直しが大事かということをお話をして、部門長、事業所責任者に働き方の見直しのプランをしっかり立ててほしいということを、話しました。
このように、従来は人事部だとか、あるいは人事担当役員が一生懸命旗振りをやったり、制度改正をやっておりましたけれども、この課題が社長レベルに上がり大きな経営課題の1つになっているということが当社の特徴かと思っています。
まだまだ成果が出るまでには至っておりませんけれども、幾つか好事例が出始めておりまして、財務部と久喜工場を例に掲げております。本当に地道な仕事なんですね。財務部は、29のことをやりました。そのうちの1つは、例えばこのようなものですけれども、財務部は財務関係の書類の作成というのは日常的に、特に四半期に1回、大量の書類を作成するわけですが、それをエクセルで計算しますと、縦横のパーセントが端数処理の関係で100%に必ずしもならないんですね。それを100%になるように、そこのところは手計算でやっていたんですが、そんなばかなことはやめようということ、これが29の中の1つなんです。そういうことの積み上げなんですね。今、財務は逆戻りしているんですが、この当時は、少なくとも全前年比で30%ぐらい削減ができました。
久喜工場の場合は、間接部門も含めて、工場の作業工程のことですから、私も内容はよくわかりませんけれども、40を超える項目に取り組んでいます。これは工場長が先頭に立って取り組みましたので、3割の削減ができています。このような取組を本気で2年続けますと、1年で残業が7割になるわけですから、これを2年続けると0.7×0.7で0.49になる、2年続けると残業が半減できるんだということを私は社内で話をしているんですが、そのためには本当に大変な地味な作業があるということでございます。
以上、簡単でございますが、お話を申し上げました。私は、ワーク・ライフ・バランスを会社の中においても、そしてまた社外でも一生懸命発信しているんですが、ワーク・ライフ・バランスは、社員一人ひとりの生涯にわたる人生の設計といいましょうか、社員一人ひとりの幸せのためになくてはならないものであると思います。それだけではなくて、会社が成長するための源泉だと思うんですね。会社が成長するためには、当社のような業界は特にそうなんですが、市場が飽和状態にあって、その中で存続し続けるためには、いかに新しい価値を伴ったサービスや商品を提供し、市場に受け入れられるかということだと思いますが、その新しい価値というのはどこからくるんだろうかというと、それは社内の中からではないんですね。だから、社外の風をいかに社員が会社の中に運んでくれるか。そのためには、社員が会社の中で一生懸命働いていただくというのは当然のことなんですが、会社の外での生活をいかに本気でやるかということを通じて社員の多様性を確保したいという思いがございます。個人の幸せと会社の成長が両立する、その解は、ワーク・ライフ・バランス以外にないのではないかと思い込んでおりまして、そのような思いでやらせていただいております。
どうも今日はありがとうございました。

 

○樋口座長 ありがとうございました。それでは質疑に移りたいと思います。御質問のある方は挙手をお願いいたします。八代さん。

 

○八代委員 どうもありがとうございました。2点ぐらいお聞きしたいと思います。1つは、成果主義との関係で、よく成果主義にすれば、ますます成果を上げるために長時間労働になってしまうという批判があるんですが、その点、どう考えておられるのか。
特に上司に対する成果主義の適用は重要だと思います。先ほど、話があった社員は9時だけれども、上司は8時半に来いというのは非常にいいことだと思います。それは、上司がより働けば、部下は楽になる。例えば、上司が仕事が遅く、なかなか決断をしないと、それだけ部下はむだな仕事をしなければいけないわけですから。昔働いていたOECDでは、給料に応じて働くという仕組みで、上に行けば行くほど仕事はきつくなるということをやっていたわけですが、それが資生堂では意識してどこまでやっておられるのかということ。
とりあえずその2点について、よろしくお願いしたいと思います。

 

○岩田氏 御質問ありがとうございます。
成果主義が自動的に長時間労働に結び付くというものではないと思っています。成果主義に基づく評価を上司がやるわけですが、その評価のときに、長く働いているのがいい成果を出しているような曇った目で評価をしていないかどうかという、そこにひとえにかかっていることで、成果主義がイコール長時間労働を招くということではなくて、その間にある問題は評価の問題であると思っています。
2番目の点は全く同感で、社長も私たち役員が一番働けと言われているんですが、その次は管理職が働け。だから、上になればなるほど、役職、責任が重くなるほど働くんだということに変えようとしております。ややもすると、もうそろそろ早めに帰った方がいいよとやさしく声はかけてくれるんですけれども、上司は帰る、それでは長時間労働はなくなりませんので、2点目に先生がおっしゃったことは本当にそのとおりだと思います。

 

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。佐藤さん。

 

○佐藤委員 どうもありがとうございました。ワーク・ライフ・バランスというのは、企業が自主的に取り組むものだというお話だったのですけれども、ワーク・ライフ・バランスの取組は、1時間当たり労働生産性を上げるということで、企業からすれば、社員の時間が有限で、この限られた時間を効率的に使おうという取組だと思うのですが、これは環境経営みたいなものと同じで、何もしなくて企業が自主的に取り組むものなのか、自主的でも、企業が自主的に取り組むような環境というのも政府なりが作っていくことがやはり必要なのか。政府が取り組むにしても、企業の自主性を尊重するようなというお話だったと思うのですが、政府は何もやらなくていいのか、そうではなくて、政府として企業の取り組みを促進することが必要なのか。もし必要であれば、政府としてどのような取組が必要なのかということを伺いたいです。

 

○岩田氏 1つは、そのことの必要性というのか、企業経営にとってそれがやはり必要であるということを経営者にわからせていただくような情報発信ですとか、それから、今申し上げましたような、取組は各社さんとも大変苦労されていると思うんです。ですから、もしうまくいっている会社があるとすれば、好事例についての情報をいただきたいと思います。また、これまで国はいろいろなガイドラインを作っておられます。時間設定法でしたか、それに基づくガイドラインもありますけれども、ああいうレベルのガイドラインではなくて、もっと実務的なところのガイドラインが必要です。こういうやり方があるんだということを情報提供していただければありがたい。多くの企業はそれを求めているのではないかと思います。

○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。杉山さん。

 

○杉山委員 先ほど、成果主義との関係があったのですが、いろいろな取組をされている中で、それでも言うことを聞かないといいますか、長時間労働を続ける方もやはりいらっしゃるというのが数値からも見えると思います。なぜ長時間労働を是正できなくて働き続けるのか、個別の課題になるかもしれないのですが、原因はどのように受けとめられているかというのが1つです。もう一点は、成果型の中で、人材育成の重要性に触れられていましたけれども、人材育成にかけるコストについては、2003年以降という中でどのような動きになっているのかという2点教えていただけますか。

 

○岩田氏 原因はさまざまあると思いますけれども、1つだけ挙げるとすると、いろいろな意味で30代にしわ寄せがいっているんですね。バブル期に大量の採用をいたしましたけれども、その後、経営が大変困難だったときに採用をぐっと絞っているんですね。それが30代です。ですから、しっかり計画的に人材を採用するとか、育成するとかということができなかったということがあるのかなと思います。
当社だけではないと思いますけれども、いわゆるバブルが崩壊した後、これが2点目の御質問にも関わってくるんですが、多くの企業は人材をコストとしか見なかったと思うんですね。そのコストを抑制するために、どういうふうにしたかというと、正社員をできるだけスリムにして、いわゆる非正規という方を増やしたとか、あるいは当社のように正社員の採用をグッと抑制したとか、あるいは1人当たりの賃金単価を抑えるために、賃上げについてもずっと抑制してきたとか、こういうことが長く続いたと思います。そのことも多分、今、いろんな問題の遠因になっているのではないかなと思います。人材というのはもちろんコストですから、しっかり人件費を管理する必要があると思いますが、同時に人材というのは資源ですので、そこにしっかり投資をすることによって、さっきも言いましたように、価値創造というのは人しかできませんので、価値創造をしていただく、そこにしっかり投資をするということだと思います。
当社もかつては非常に人材育成に熱心な会社だったんですが、しばらく手薄になっておりましたので、遅まきながら、昨年改めて「資生堂『共育』宣言」を発しまして、全社員がそれぞれの分野のプロフェッショナルになるように、例えば、研修だけが人材育成ではありませんけれども、研修ということに限って見ましても、人事部の研修投資を3倍程度に増やして、しっかり人材を育成するということにもう一回やり直そうということで取り組んでおります。

 

○樋口座長 ほかにいかがですか。紀陸さん。

 

○紀陸委員 長時間労働の抑制のためにBPRに取り組まなければいけないというお話を伺いました。ありがとうございました。
1点お伺いしたいのは、それに関連いたしまして、資料1の「誤った議論」の(2)でございます。今の御指摘ですと、長時間労働の問題に目をつぶって、労働の柔軟化、多様な働き方、フレキシビリティの向上、こっちの方に軸足がかかっているということで、この2つを対比されて、別物だという御認識のようなのでございますが、私ども、例えば労働の柔軟化というのは、まさに一番下のところに(1)から(5)までの生産性向上のための施策があると理解し、BPRが長時間労働是正のために基本的に大事だと思います。そのBPRの中に、仕事の配分とか社員の配置の見直しをして、それと同時に労働の柔軟化も進める。社員の配置換えだとか仕事のやり方の見直しとか、それによって具体的にはこれだけの人は代替勤務でもいい、代替勤務の方が効率が上がるとか、あるいは仕事のやり方の見直しによって、自己啓発の時間ができるとか、必ずしも労働の柔軟化と長時間労働の是正というのは対立するものではなくて、長時間労働是正のために、あるいは労働の柔軟化をすることによって、長時間労働が是正できるとか、そういうつながる部分というのは結構あるのではないかと思います。
働き方の柔軟化というのは、非常に多義的に使われますけれども、やはり会社の中の仕事を見直すことによって、さまざまな従業員、さまざまな仕事がありますから、その組み合わせをマトリックス的に考えないといけない。自分の会社の中の仕事を洗い出して、それに必要な人たちはどういうことをやったら自分の能力アップにつなげられるかとか、いろんなことを考えていかざるを得ないわけで、BPRと働き方の柔軟化というのはかなり絡む。
そうすると、長時間労働と必ずしも、バッティングという言い方はおかしいのではないか。どっちが大きいか、どっちが小さいかということでなくて、両方に絡んでくる問題だというふうに私どもはとらえているんですけれどもね。

 

○岩田氏 その場合に、労働の柔軟化ということで、何を念頭に置くかということで議論が違ってくるかとは思うんですけれども、例えば就業形態の多様化であるとか、フレックスタイム、裁量労働、在宅勤務ということを柔軟化とおっしゃっているとすると、それと長時間労働の是正とは対立するものではありません。私の御説明がそういう印象だったら申しわけないのですが、両方ともそれは追求すべきものだと思います。けれども、もし就業形態の多様化だとかフレックスタイム制の導入などを柔軟化と言うとすると、それでは、正社員の長時間労働の問題は是正できないと思っております。2つやらないといけないんですけれども、どっちが日本の今の現状の中で課題として大きいか、どっちから先にやらないといけないか、どっちが難しいかと言ったときに、私は後者の方ではないかと思っております。柔軟化の取組を否定しているわけではないんですが、順番があるというのが私の意見です。

 

○樋口座長 それでは、最後に山川さんお願いします。

 

○山川委員 ありがとうございました。
資料1の3でさまざまな取組を伺いまして、大変興味深いことだと思いました。特に、リーダーの評価項目に働き方の見直し等を入れるというのは、前からこういう企業があるといいなと個人的に思っていまして、大変すばらしいことではないかと思いました。
働き方の見直しの中味については、1ページの方ですが、業務プロセスの簡素化とか仕事の配分の見直しということが多分大きくなると思うんですけれども、その具体的なプロセスはどうなるでしょうか。4ページの方では好事例も上がっていまして、リーダーが率先して考えていくのか、あるいは現場全体を巻き込んで実施していくのか。その場合に、例えば、具体的な場やプロセスを会社として決めるのか、そういった仕事の見直しの具体的なプロセスみたいなものを御紹介いただければと思います。

 

○岩田氏 もちろん、今やれることはたくさんありますので、やれるところはすぐやりなさいと部門長や事業所の責任者、そしてその下にいる職制管理職には言っております。会社として取り組む課題もあります。例えばですが、業務の廃止についてです。今どういうことをやっているかというと、当社の場合、非常に大きい本社なんですね。グローバルな市場で海外の比率がどんどん大きくなっておりますので、そういう中での本社のあり方というのを検討しておりまして、何分の1かの小さな戦略的な本社にしようと思っているんですが、そのために、本社のスタッフ部門の業務の見直しをやりました。これは外部のコンサルも使ったんですが、業務をいちいち洗い出して、これはやめられる、これはアウトソースできる、これは残すというふうに、それを今やっております。
それから、もう一つは、内部統制の法制化がありましたので、それに向けて、財務報告を作成する過程に絡む部署はもちろんですけれども、全社的に、プロセスの見直しだとか、文書化ということもやっております。ワーク・ライフ・バランスのためということだけではなくて、他の経営上の課題に取り組む中でも業務の見直しをしています。もう一つ大事なことは、情報基幹システムを今、当社の場合には新しいシステムに転換しようと思っていますけれども、そのときに、今ある仕事を前提にしてシステム化するのではなくて、むしろ、グローバルによく使われているソフトがあるので、それに自分たちの仕事をいかに合わせていくか。自分たちの仕事を削ぎ落としたりしながら、そちらに合わせていくか、カスタマイズをなるべくしないというやり方で業務を見直すということもやっています。このように、さまざまな局面で取り組んでおります。

 

○樋口座長 ありがとうございました。時間もきておりますので、質疑の方はこれで終わりたいと思います。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

 

(岩田氏退室)

 

○樋口座長 それでは、次の議題に移らせていただきます。
ワーク・ライフ・バランス憲章のイメージについて、この後御議論いただこうと考えております。まず、事務局から説明を受けまして、意見交換をします。では、お願いします。

 

○濱田参事官 それでは、お手元の「ワーク・ライフ・バランス憲章(仮称)のイメージ(議論のための事務局たたき台)」という資料について御説明させていただきます。
表題に書いてあるとおり、あくまで現段階の私どもの事務局の方で作成したたたき台でございますので、そういった前提で御議論いただければと思っております。
問題意識といたしましては、私どもは、今回のワーク・ライフ・バランス憲章をいかに国民の方々に訴えていくのか、浸透させていくのかということを考えていかなければいけない、それが今回の作業の成否を決するのではないかと考えてございます。そのために国民にどういう点を訴えていったらいいのか、今なぜワーク・ライフ・バランス憲章なのか、ワーク・ライフ・バランス憲章が実現した社会というのが具体的にどんなイメージなのかを訴えていくのが大事なのではないかという点で今回の資料を作らせていただいております。そういった点も踏まえまして、こういった内容でいいのかということについて御議論いただければと考えてございます。
内容でございますが、1番が今回の憲章の性格でございますが、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた国民の取組の大きな方向性を示すものということでございます。
2番目、盛り込む事項といたしまして、先ほど申し上げましたワーク・ライフ・バランスに、今なぜということで、緊要性について書くべきではないかということでございます。まず、個人について申し上げれば、現状での希望と現実にギャップがある。将来の人生設計に不安があるという点でございまして、希望については、仕事だけではなく生活も大事にしたいという方が若い層を中心に多くなっている。現実を見渡すと、非正規の方、低賃金の方、経済的に自立できないという若者が増加している。一方で、正規社員の中に長時間労働が増加して、家事、育児・介護等よりも仕事を優先せざるを得ないという状況がある。また、女性や高齢者など、就業意欲を持っていながら活かせていない方々がいらっしゃる。そういったことを背景にして、家族や地域の子育て等を支える力という面を見てみると、それが低下しているのではないかということでございます。
企業について見ても、働き方やワークスタイルに対する多様な考え方が出てきているのに、それが働き方という面で対応が不十分なのではないか。
また、よく言われていることでございますが、先進諸国の中で最も時間当たりの生産性が低いという現状がある。また、今後、人口減少という状況の中で、いかに人材を確保していくか、その困難さがますます増大していくという状況にある。
また、それらをまとめてマクロの点で見てみても、将来見通しとして少子高齢化で人口減少が進む中で、多様な人材の確保や活用を図る、また生産性を向上させ、さらに、少子化の流れを変えていくということが、社会全体の長期的な持続可能性の確保というために必要なのではないか。こういうような現状認識のもとで、現状での希望と現実の乖離を解消して、人生設計の見通しを確かにすると同時に、社会経済の将来を見通した多様な人材の活用や、生産性の向上面につながるような方策が今必要なのではないか。それはすなわち、国民の働き方やライフスタイルに対する考え方、多様化に対応するような方策が必要なのではないかという認識でございます。
特に、働き方やライフスタイルの考え方について、世代間などでギャップがあり、それについて互いの考え方をそれぞれ尊重する。どんな働き方がだれにとってもいいというものではなくて、お互いそれぞれいろんな考え方があり、それを尊重するというような意識改革を進めて、ワーク・ライフ・バランスに対する認識を国民の間で共有するということが必要なのではないかということで、今、まさにワーク・ライフ・バランスに取り組まなければいけないということでございます。
それで、ワーク・ライフ・バランスの意味するところは何かという点が2番目でございます。
1ページめくっていただきまして、一応定義めいたものを書かせていただきましたけれども、国民一人ひとりすべての人が、仕事だけではなく家庭や地域生活などにおいてもライフ・ステージに応じた自ら希望する生き方を実現できるようにする。
それは具体的にどんな姿かというのが(1)から(6)でございますけれども、若者が結婚や家族形成を可能とするような就業による経済的な自立が図られている。また、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進などで労働者が健康も保持できるし、日常生活が普通に送れるような時間が持てる。
3番目は、若年期から子育て期、子育て後、高齢期といったいろんなライフ・ステージに応じて多様な働き方が選択可能である。それによって若者は結婚や子育て、社会活動に参加しやすくなる。中年で見れば、親の介護でございますとか、高齢期に備えるとか、それが社会活動に参加しやすくなる。また、意欲ある高齢者は、なかなか今働けていない方々が就業可能になるのではないかと。
それから、職業キャリア形成とか社会貢献といったライフの充実の面も可能になるのではないか。
正規労働者や非正規労働者の均衡処遇というのも実現していくのではないか。
先ほども岩田取締役のお話の中にもございましたけれども、働き方を効率的なものにしていく、見直していくという中で、企業の生産性も向上していくのではないか。それによって企業の競争力というのも強化されていくのではないかというイメージでございます。
(3)以下に個別の話を書いてございますが、(3)が国民的な合意形成ということで、何よりもワーク・ライフ・バランスの実現に向けては、国民の合意形成というものが必要であるということで、国民運動の展開ということを訴えていってはどうか。
また、ワーク・ライフ・バランスの実現というのも、労使が合意しながら進めていくというのが基本ということで、労使がいろんなレベルで働き方についてルールづくりに取り組むなど、労使の自主的な取組を推進していくことが重要である。
それから、前回の作業部会でもお話がございましたけれども、24時間サービスなどの利便性を徹底追求したサービスを求めるという消費者としての国民の意識というのも考えていかなければいけないのではないか。
また、ワーク・ライフ・バランスの現状についても、地方によっては大きな差があるということで、それぞれ地方の実情に応じたワーク・ライフ・バランスというものを考えていかなければいけないのではないかという点でございます。
(4)については、企業の経営者の方や管理職の方にやっていただきたいような役割、求められるような役割というのはどういうものかということでございまして、1点目は、時間が制約されているという中で、業務の見直し、むだな会議をなくすとか、先ほど岩田取締役の話の中にもございましたように、いろんな業務そのものを減らしていくとか効率化していくというものも含めまして、効率的な仕事の進め方について、トップの方の意識改革、また、社内でのリーダーシップ、働き方の意識、少しプロトタイプかもしれませんが、こういうような意識を持っている方々に考え方を転換していただいて、組織の風土づくりというものをやっていただくことが期待されるのではないかと。
また、労働時間も含めまして、ワーク・ライフ・バランスに配慮した複線的で選択可能な雇用管理の制度づくりといったものが必要とされるのではないか。
また、自社のみならず取引先や関連企業に対する配慮といったものも求められるのではないか。
また、少し個別の話になっておりますけれども、子育て、介護を行うような労働者に対する配慮、また、労働者の自己啓発・能力開発に対する支援ということも今後重要になっていくのではないか。
また、いろんな選択肢を用意しながら、職場の雰囲気で使いにくいような現状もあることから、そういった選択肢が利用できるような職場の雰囲気づくり、これは主に管理職の方に求められると思うのですが、こういった職場の雰囲気づくりというのも重要になっていくのではないか。
それから、1ページめくっていただきまして、ワーク・ライフ・バランスに関するコンプライアンスということで、働きすぎ等の中で労働時間関連の法制度などについての遵守などもございますし、これ以外にも、もちろん法律ではないけれども、長時間労働の抑制とか、例えば、年次有給休暇の取得促進などに取り組むといったことも重要になっていくのではないかと考えてございます。
(5)は、労働者に求められる取組ということで、労働者自身も効率的な働き方でございますとか、メリハリのある働き方というものは考えていただかなければいけないのではないか。
また、ライフの方の充実という意味でも、自己啓発や能力開発、職業生涯を通じた自己実現といったようなものを考えていくことも重要になるのではないか。
また、職場でいろいろな制度が利用できない理由の1つに、同僚の目というのもあるのではないかということで、同僚同士、お互いのことを思いやる、お互いの立場を理解するといった意味での相互理解といったことも今後重要になっていくのではないかという点でございます。
(6)、これはワーク・ライフでライフの方の充実の重要性を書かせていただければということで、家事・育児ないし、今後もさらに重要になっていくと考えられます、地域における活動といったものの重要性を国民全体で再認識していただきたいという点でございます。
 (7)が行政の方の基本姿勢ということで、ワーク・ライフ・バランスそのものは、先ほど来申し上げているとおり、持続可能な社会を維持していくためにも不可欠であるということで、個別の労使の取組が重要でございますが、それだけではなくて、社会全体で取り組むということで、行政もそれを支援していくことが求められるのではないかということでございます。
それで、大きく分けて2点書かせていただきましたけれども、ワーク・ライフ・バランス推進のための枠組みづくりということで、4点、これはあくまで例示でございますけれども、書かせていただいております。多様な働き方についての制度的な枠組みづくりや就業の促進。働き方に中立な税・社会保障制度等の構築、多様な働き方を支えるような保育をはじめとする子育て支援の再構築、労使合意の仕組みですとか、国民運動の展開等が政府の取組として考えられるのではないかということでございます。
それから、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業、労働者に対する支援ということで、ワーク・ライフ・バランスを実現した企業に関する情報発信ということが考えられるのではないか。また、何より中小企業に対する配慮、支援といったものが求められるのではないか。それから、長時間労働の抑制や年次休暇の取得促進などを国が積極的に取り組んでいく必要があるのではないか。それから、仕事と家庭との両立支援、また、地域活動に参加しやすくなるため、なかなか地域活動に対して参加するきっかけや情報がないといった声もかなりあるということで、そういった声に応えていく取組も重要になるのではないか。また、自己啓発や能力開発に対する支援といったようなものも国の役割として重要になるのではないかという点でございます。
資料は以上でございますが、あくまでたたき台でございますので、こういった点について御議論いただければと考えてございます。
次に、ワーク・ライフ・バランスの定義という資料を付けてございますが、これについては、従来公表されておるいろいろな調査会等の報告書の中で、ワーク・ライフ・バランスの定義的なものを書いたところを抜き刷りしたものでございますので、御参照いただければと思います。
説明は以上でございます。

 

○樋口座長 ありがとうございました。この定義というのは、前回要望が出たところですね。
  それでは、意見交換に移りますが、本日は、憲章のイメージについて御議論いただきまして、次回は、行動指針に盛り込むべき事項ということで御議論いただきますので、それを念頭に置きながら、今日は話し合いをしていただければと思います。どなたからでも。佐藤さん。

 

○佐藤委員 前回の議論と岩田さんの御報告を伺って、憲章に何を盛るべきかなんですけれども、1つは、ワーク・ライフ・バランスというのは何かということをきちっと書けということですね。ワーク・ライフ・バランスというのは、国民一人ひとりの視点、個人からの視点なんですね。個人が希望するライフスタイルを選べるという。多分、そういう個々人がワーク・ライフ・バランスを実現できる社会が、ワーク・ライフ・バランス社会ですね。そうすると、今なぜワーク・ライフ・バランス社会を日本は目指さなければいけないかという、その必要性をきちっと議論することが必要です。
もう一つは、ワーク・ライフ・バランスというのは個人の視点なんですけれども、個々人がワーク・ライフ・バランスを実現できる社会をワーク・ライフ・バランス社会とすると、その社会というのはどういう条件で成立しているのは、社会の仕組みですね。これが明確でないと、どういう社会にすれば、ワーク・ライフ・バランス社会が実現できるか、つまりそこで生きる人々がワーク・ライフ・バランスを実現できるかという、ワーク・ライフ・バランス社会は何と何と何ででき上がっているのかということが明確にされていないと、つまり、個人や企業や政府がどう行動を起こすことが必要なのか行動指針を確定することができないと思いま。ですから、ワーク・ライフ・バランス社会は何か、ワーク・ライフ・バランス社会を目指す必要性はなにか。ワーク・ライフ・バランス社会というのは、何と何と何によって支えられているのか。これがわかれば、それを実現するために、企業や個人や政府が努力するということが明らかになると思います。
そうすると、これを見ると、2ページの上にワーク・ライフ・バランスは何かと定義されている。必要性は1ページ目にあるんです。ワーク・ライフ・バランス社会、個々人がワーク・ライフ・バランスを実現できる社会というのはどういう社会なの?というと、多分2ページの1、2、3、6なのですが、これは、経済的に自立できるとか、余り長時間残業でないとか、いろんな働き方の選択肢があるという、多分こういうものが必要でしょう。これだけで十分かどうかを検討すべきです。
もう一つは、ここにアウトプットも入っているのですね。ワーク・ライフ・バランスが実現できると、結果としてそれは持続可能な社会であるとか、企業の活力なり生産性が上がる。ただしそれは結果なのです。しかし、資料のワーク・ライフ・バランスにはアウトプットが入ってしまっている。ワーク・ライフ・バランス社会というのは、最低こういうものがなければいけない、それを実現するために企業や個人や政府が取り組むことが1から7までが並列に並んでいるのですけれども、その辺を整理した方がわかりやすいのではないでしょうか。

 

○議長 坂田さん。

 

○坂田委員 別な角度から感想を申し上げたいと思います。憲章に盛り込む事項ということで、(1)から(7)まで掲げてございますけれども、この中で(1)の部分が、ワーク・ライフ・バランスとは何なのか。なぜ今ワーク・ライフ・バランスなのか。そしてまた、何のためにワーク・ライフ・バランスが必要なのか。「緊要」と書いてありますから、急いで必要なのかということを書いてあるんだと思いますが、感想として申し上げますと、私にとって違和感があるのは、個人から見て、希望があって現実があると。それが乖離しているから、それを解消するんだ、あるいは解消してあげるんだというふうに読めてしまうところです。これは非常に基本論になるんですけれども、それぞれ個人個人に希望があって、それが現実と合わないというのは人生そのものなのではないか。その乖離をできるだけ詰める努力をそれぞれの人がしているのが、職業生活でもあり、家庭生活でもあると思うんですけれども、このことに関して、国の政策としてどこまで踏み込むのがいいのかということに関して、ちょっとこの書きぶりは行き過ぎなのではないかという感想を持ちます。
それから、希望というのはいろいろある中で、なぜ仕事でなければ生活というくくりになるのか。ここのところは1つしか上がっていないわけで、生活ということだけをなぜフューチャーするのか疑問です。ワーク・ライフ・バランスというのは多様性を認めることであるということだと思います。つまり、仕事と人生が一体化している。これもよし。生活が中心であって、仕事はそれなりに。これもよしというのがワーク・ライフ・バランスだと思うんですけれども、私としてはそういうふうに理解していたわけなんですが、この表現ですと、逆に単線化を進めているように思えてならない。
何よりも問題と思うのは、基本的な部分が相互にがわかっていて議論しているということならば、議論している人たちの間では誤解がないのかもしれませんけれども、憲章の受け手は国民全員であって、国中に対して発信するということだと、より誤解のないような書きぶりにしなくてはいけないのではないかという感想を持ちました。
ただ、この中でも、下から2つ目のパラグラフで、多様な人材の活用であるとか、生産性の向上というのは、ワーク・ライフ・バランス実現に伴って、これはどちらが先か後か、これもよく考える必要があると思いますけれども、非常に重要なポイントであって、こういったことについては書き込んでおくということは大変いいことだと思います。
以上です。

 

○樋口座長 どうぞ。

 

○田中委員 今、佐藤先生と坂田さんのお話、私も同じなんですけれども、前回もお話ししたとおり、国民運動の道標と言っているんですが、よくマップが見えないんですね。先ほど言っているいろいろなフェーズが混同しているということで、メモを今朝作ってきたので、勉強させていただきたいと思います。私がどう感じているのかということをそれを見て、まずお話しさせていただきたいと思います。
まず、ワーク・ライフ・バランスという言葉が出てきているのですが、国民運動にするには、とてもこういう言葉だけは成り立たないと思うんですね。どういう生活をしようというような指標を出さなければいけない。例えば、生き生きと働く、豊かに暮らすというようなことを実現しようじゃないかという呼びかけでないと具体性がないし、中身が見えないと思います。
では、生き生きと働くというのは何か。今までいただいた資料を少しずつ整理をすると、例えば多様な働き方とか、生涯設計であるとか、やりがいを追求するといったような幾つかのキーワードが出てくると思います。それから、豊かに暮らすというのも、多様なライフスタイルを実現するということであったり、豊かな家庭生活であったり、社会参加であったり、そのほかにいっぱいあると思うんですが、例えばそういうフェーズが出てきて、それを実現するために、個人とか企業とか社会はどうしていったらいいのかということが出てこないとわからないと思います。
一方で、この話の中に入ってきているのが、社会ニーズという結果論、つまり結果目標が同時に混同して入っているんです。これは別に出す必要があると思うんです。例えば、出生率のアップだとか少子化の問題であるとか、グローバル化に対応した産業構造の変化をどうしていかなければいけないのか。労働力の確保であるとか、急速な高齢化への対応をどうしたらいいのか、こういったことは社会のニーズとしてであって、それぞれに対してバランスできるような環境整備をどうやって整えていくかという議論が必要だと思うんです。
これは思いつきで整理をしただけなんですが、少なくともこういうことがはっきり全員が全員、ここで認識できなければ、とても国民に訴えられるようなものにはならないと思います。

 

○樋口座長 せっかく配っていただいたので、これも含めて御議論いただけたらと思いますが。

 

○古賀委員 今、議論がございますように、憲章のたたき台が提示されたんですけれども、佐藤さんおっしゃったように、ワーク・ライフ・バランスの必要性とかワーク・ライフ・バランス社会とは何かということをもう一回整理をしないと、いろんな見方でのことになると思います。私も先ほど意見が出たように、何か希望と現実のギャップがあるからということだけじゃないと思うんですね。ワーク・ライフ・バランス社会を我々が議論しているのは。したがって、必要性というか、ワーク・ライフ・バランス社会というのが本当にどういうものなのか、あるいは必要性が何なのかということをフェーズを合わせないと、次のステップには行けないのではないかという感じがしております。1つは。
  それから、2つ目は、国民的、日本全体の課題として取り上げているんですけれども、もちろん日本は雇用社会ですから、労使ということが中心になるのだろうと思うんですけれども、国民的な取組の方向性というのは、文字どおり国民全体としてどう取り組むのかというところをどれぐらい比重として置くかということもあると思うんですね。そういう意味では、その整理も1つ必要だろうと。雇用関係の労使を中心にするのか、文字どおり国民的な全体のカバーをどうしていくのかということについても打ち出し方もかなり違ってくるのではないかと思います。
  それから、3点目は、これは、まだ僕自身がモヤモヤしてわからないんですけれども、まさに憲章と指針ですね。次にまつわる行動指針ですね。これはまだ今お答えになるというレベルじゃないと思いますが、私の疑問というか、モヤモヤしたものだけを発言させてもらっているんですけれども、憲章と行動指針というのがイメージがつかめていないと、憲章はどんな位置付けなのか、行動指針というのはどんな位置付けなのかということがどうもつかめていないので、どういう議論展開をすればいいのかということも含めて、自分自身で整理がつかない部分がある。3点目は、私自身の悩みみたいなことになりましたけれども、この3点だけ提起をさせていただきたいと思います。

 

○樋口座長 基本的な問題が大分提示されていますが。先ほどどなたかから長い時間働きたい人というのも世の中はいるし、働きたくないという人もいるしと。それぞれの希望が別個、個別にあるわけで、それの夢がある意味では実現できれば、これによって生き生きと生きていけるのかなというようなことだと思うんですね。確かにそうなんですが、これが時々ぶつかり合うことがある。そこに摩擦が起こってきたときに、では、社会としてそれをどう解決するかということが問題になってくるだろうと思うんですね。
  例えば、経済学の中で考えれば、個々人の持っている価値観が実現できというようなときに、往々にしてそれがぶつかったときに、そこの間で交渉事が起こって、片方で我慢するというようなことになってくるわけで、例えばそこに政府がなぜ介入しなければいけないのかというときには、まさにそこの外部性というような問題があって、例えば上司の方が、今日の話ではありませんが、非常にワーカホリックであると。そうすると、それに査定される人間というのは、それに従わざるを得ないということがあったときに、そこに先ほどの資生堂の例で言えば、評価の中にワーカホリックというものについては評価しないよとか、あるいは働き方の見直しということを評価しているんだというようなことが入ってくるんだろうと思うんですね。それは個別企業の中であれば、それは個別企業でやればいいわけですが、それが往々にして企業間の取引ということになってきたときに、政府が介入していくことが必要だということがあるわけで、1つは、個々人の希望というのが必ずしも固定化した確定したものでないことが多いんですね。それは、往々にして、例えば教育を通じて人の考え方というのも変わってくるということもあるし、社風によっても変わってくることがあるということで、何となくここのトーンとしては、個人の希望というのは確定しているんですと。確定していて、現実の方が違った、その間にギャップがあったときに、現実の方を希望に沿って即して修正していくんだ、ギャップを埋めていくんだということだったわけですが、その個々人の価値観が確定しているという前提で憲章を書いていっていいのかどうか。そこもある意味では社会の風土といったところを含めて、今回は教育というところは余り出ていないんですが、中には社会学の先生方の中には、教育の重要性というワーク・ライフ・バランスについては主張なさる方もいらっしゃるわけで、その点はぜひ議論しておいた方がいいのかなと思うんですが、いかがなものなんでしょうか。

 

○土居教育再生会議担当室長代理 教育再生会議はまた新政権で継続することになりましたので、よろしくお願いしたいと思います。これまでの報告の中で最大の問題は、社会総がかりの教育再生ということで、結局、学校教育は学校だけの問題ではない。社会全体の問題だということで、ワーク・ライフ・バランスが最大のキーワードになっております。結局、今ありましたライフが個人の希望によるプライベートライフだけなのか、やはりソーシャルライフという側面があって、それは企業のCSRとも関係してくる話ではないのか。
  そこで、実は使用者側からも張委員とか、池田委員が参加されまして、いじめの問題、自殺の問題、こういった問題について、企業の責任ということで積極的に取り組んでいこうという話になり、ワーク・ライフ・バランスがキーワードになりました。これは初めてのことなんですが、今度経団連でも企業行動憲章の実行の手引を改正していただきまして、社員の教育への参加の条項を追加していただきました。「子育て」という言葉は、どうしても自らの子育てというプライベートライフに近い話だと思うんですけれども、もうちょっと他人の子どもを含めて、教育を社会全体で考えるという、そこまでいかなければいけないんじゃないかということで、かなり大きな議論として提言されております。したがって、先ほど佐藤委員がおっしゃったような、要するに、社会の仕組みの中で何が求められているかという問題として、次世代の若者の育成の問題、ニート・フリーターの問題も含めて、こういった問題に企業の社員が参画していくということの意味合いといいますか、義務ではないと思いますけれども、その辺あたりもちょっと触れていただくのをぜひ期待したいと思っております。

 

○樋口座長 八代さん。

 

○八代委員 このワーク・ライフ・バランスというのは、確かに人によってイメージが違うのですが、私は、既に今までの日本社会でも一種の家族単位でのワーク・ライフ・バランスは成立していたと思っています。ただ、それが男性は仕事に、女性は仕事以外のことに専念するという、非常に偏ったワーク・ライフ・バランスです。そういう硬直的・画一的なワーク・ライフ・バランスだけでなく、女性も働き、男性も教育とか子育てとか、自己啓発のための余暇を選択できるような、個人単位での新しいワーク・ライフ・バランスに変えていくということが、本人の幸福だけではなくて、「希望」という言葉がちょっと狭すぎるのだと思うのですが、社会的な価値にも貢献するのではないかということをもうちょっと打ち出す必要があります。
  もう一つは、先ほどちょっと御説明があったのですが、今より少しずつよくしようというようなニュアンスにとれるのですが、それではだめで、目標を決めなければいけないです。それが行動指針だということになるのかもしれないんですが、行動指針というのは、目標をどうやって実現するかということであって、まず、目標というのがここはないので、何となく少しず労働時間を短くしましょうということでは困る。これは諮問会議ではきちっと、就業率のアップ、労働時間の削減というのは数値で示しているわけで、ぜひそれを、いつまでにできるかは難しいと思うのですが、例えば、男女共同参画でも女性の管理職比率を2020年までに3割というのは具体的に出しているわけで、そういう目標を憲章の中にも入れないといけない。
  これも難しいかとは思うのですが、例えば、最後の3ページに書いてある例示ということで、税・社会保障制度等働き方に中立的な制度の構築と言うけれども、中立的というのはどういう意味なのかということです。これは要するに、配偶者控除の廃止、第3号被保険者の廃止ということに決まっているわけで、せっかく例示なら、それぐらい具体的に書かないと意味がないということです。
  それから、2ページに書いてある正規労働者・非正規労働者の均衡待遇の実現というのは、例えばどういうことなのか。何をもって均衡待遇と言うか。これが一番の争点なので、例示でもいいですから、どういうことなのかとか、もうちょっと具体的に定義しないと、絵に描いた餅になってしまうのではないかと思います。
  要するに、別に政府が何か強制的に労働時間を短くしようというのでない、短くしても不利にならない状況を作る。働きたい人は働けばいいのですが、今は、長時間働ける人だけが不当に有利になっているんですね。企業や官庁の昇進面においても。ですから、短時間働いても、短時間で生産性の高い人が、長時間だらだら働く人よりも決して不利にならないような多様性というものが必要になってくるのではないか。それをするためにどうしたらいいか。それは別にお説教することではなくて、制度改革と結び付かなければいけないので、そういう点は具体的な均衡処遇にあたると思います。 以上です。

 

○樋口座長 武石さん。

 

○武石委員 必要性のところでいろいろと御意見が出ていて、私も同感です。多分、1ページの個人とか家族や地域、企業、いろいろ求めているところ、それぞれ正しいと思うんですが、先ほどから、ギャップはいつでもあったと。希望と現実のギャップはいつでもあったわけですが、それは、今まで放置しておいても、何とか社会が回ってきたんだと思うんです。しかし、それがもう放置できないところにきているというところが問題です。1つは、それで持続可能なのか。あるいは、これから人口がどんどん減っていく中で、一人ひとりが能力を遺憾なく発揮してもらわないと、日本の経済は立ち行かないわけで、いかに高い生産性を上げてもらうか。そういうことが本当に喫緊の課題として直面していることだという、そこの緊要性という緊要度が十分伝わってこないのかなという気がしています。個人、家族、企業のこの課題を整理すると、今、社会がこういう問題に直面しているというところをきちんと盛り込むべきだと思うんです。
  そうすると、その背景として、グローバル化とか、非常に競争が激しくなっていて、どんどん働く人は忙しくなっていて、新しい自分への投資をする時間もなくなっていて、本当にどんどん疲弊していると。それは持続可能じゃないというような論理構成の中で、緊要度というのをきちんと書き込んでいく必要があるのかなという感じがしています。
  以上です。

 

○樋口座長 個別に行動指針とか憲章に織り込むべき事項というのも御議論いただきたいんですが、すみ分けといいますか、憲章で何を書き、そして行動指針で何を書くか、それぞれの位置付けというのを議論をしていただくと、後々いいかなと思うんですね。当初は憲章と行動指針を1つにしたらということも議論としてあったときに、僕はどうかなと思ったのは、憲章というのは、ここ4、5年とかという話ではなくて、もっと長く、ずっと存在しているんだろうと。ロールモデルじゃないですが、行動指針の方は、例えば3年後までに何をするのかというような形で、ここのところは、今回の憲章では、行動指針ではおり込むか、また、3年たったときに、それを振り返ってみて、どこが達成されているか、達成されていないかとか、どこに問題が残っているのか、大きくなっているのかということで、行動指針の方はわりとフレキシブルに変えていくということを考えたことがあったりしたんですが、その点、どうなんでしょうか。行動指針と憲章のすみ分けをどうしたらいいかということについて。

 

○八代委員 ただ、そうしたら、憲章というのは、憲法みたいに何とでもとれるような文章になってしまわないか。だから、私は、憲章にも数値目標は必要で、行動指針は、むしろ工程表なんですね。それをどうやって、やっていくかと。だから、フワッとした話だと、余り意味がない憲章になってしまうのではないかと思いますが。

 

○樋口座長 数値目標でも憲章の方は長い目で見たときの目標値を入れて、例えば、行動指針の方は3年後、5年後というような短期的な工程表として入れていくべきだということですね。こういう意見が出ましたが、いかがでしょうか。

 

○田中委員 私は今の意見には反対なのですが、憲章は、やはりしっかりとした憲法であるべきだと思いますし、その後の具体的な行動計画が指針に出てくるべきだと思います。
  今、ここの席で感じているのは、前回からもずっと言い続けているんですが、労使関係の話に入っていくんですね。そこだけが全体の解決ではないと思うので、例えば目標を立てるというと、労使関係の目標がまず立つという話ではこんな大げさな国民運動を起こすような話ではないと思います。
  それから、特に労使関係の話になると、大企業の話の中で、所得と勤務の柔軟性を作ろうという話に入っていくわけですが、それ以前の話として、起業だとか、個人企業、NPOといったいろいろな働き方があると思うんですね。そういうことの教育も含めて、しっかりと間口を広げていって、次の社会のイメージを作っていかないと、単純に労使関係だけの話をしていくような話であれば、ワーク・ライフ・バランスなどという話を掲げるべきではないと思います。

 

○樋口座長 坂田さん。

 

○坂田委員 私も今の意見におおむね賛成なんですけれども、やはりワーク・ライフ・バランス社会がどういうものなのかということについて、ここで議論している中でもかなり違いがあるわけです。そのままの状態で、数値目標であるとか、次の段階に進んでいくのは非常に危ないといいますか、道を誤る恐れがあるのではないかと思います。
  また、希望と現実のギャップということに関して、これは見過ごせないレベルにきているという議論もございましたけれども、見過ごせないということが、1つには収入が低すぎて生活できないとか、1つには生命の危険を伴うほどの恒常的長時間労働というようなことであれば、それはそれぞれ、労働関係諸法令で規制されるべきだと思います。現に行われているだろうと考えます。
  そういったこともございますので、冒頭、佐藤先生がおっしゃられたように、どういうものがワーク・ライフ・バランス社会なのかということの議論、あるいはそのすり合わせを徹底的にやるというのが最初の段階ではなかろうかと思います。
  それから、希望と現実のギャップのところでもう一つ、希望は固定的なものかどうかという示唆がございましたけれども、それは一面ではそのとおりだと思うんですが、その問題というのは、国民全体に示すという話ですと、少なくとも私くらいのレベルの国民にはなかなか理解できる話ではございませんので、私あたりは、日本は資源のない国だから勤勉でもっているんだというふうに教わってそういうふうにやってきたわけで、そのことがあなたはそういう教育を受けたことによってそうなんでしょうという議論になってくると、非常に難しい迷路に入っていきかねないと思います。国民運動というならば、もっとわかりやすく、普通にわかる話でないと、浸透しがたいのではないか。あるいは間違った浸透をしてしまう、ねらいと違う浸透をしてしまう恐れがあるのではないかと心配をいたします。

 

○樋口座長 今のお話は教育まで含めない方がいいという話ですか。

 

○坂田委員 いや、そういうことではないです。含め方に気をつけるべきということです。

 

○樋口座長 そうですか。どうぞ。

 

○山川委員 憲章と指針の関係については、私自身はもともと樋口先生と同じようなイメージで、憲章というのは多少抽象的にならざるを得ず、基本的な、憲法のようなもの、あるいはチャーターということになるんでしょうかね。そのようなものだと理解していて、これに対して、具体的なことが行動指針となると考えていましたが、資料2を見ましたら、行動指針よりもさらに詳細で、いろいろ目配りがきいているんですが、報告書の原案のような感じを抱いていまして、これに基づいて憲章を作っていくという位置付けかなと思っていました。
  目標というのは、どういう意味を持った目標というかということですけれども、概念を理解してもらうだけだと、憲章とも言えなくて、ある程度の方向性は示さないと、憲章とは言えない。その中身をどうするかは、わかりやすくするとか、どの範囲まで広めるかという点を含めてまだ十分考えていませんけれども、位置付けとしては、大枠と概念と方向性の基本的なことを示すのが憲章ではなかろうかという感じがしています。

 

○佐藤委員 憲章と行動指針なんですけれども、機械的に憲章に数字が入らないということはない。入る場合もあれば、入らない場合もある。つまり、ワーク・ライフ・バランス社会が何かといったときの条件として、例えば、日本社会全体として実労働時間何百時間というのが絶対条件だと合意できれば当然入ると思います。だから、機械的に数値が落ちる、落ちないという話ではなくて、ワーク・ライフ・バランス社会が何かというところが大事だと思います。ワーク・ライフ・バランスというのは、個々人が希望というか、ライフスタイルを実現できるといったときに、それを支える条件として、例えば一定以下の実労働時間が必要とすれば、それは目標として入ってしまうだろう。ですから、それは初めから排除するものではないのではないか。憲章は数値が入らないということではなくて、何がワーク・ライフ・バランス社会なのか、それを実現するために何と何と何が不可欠だというときの合意ができ、それに数字があれば数字が当然入るのではないか。
  行動指針ですが、さきほど皆さん言われたように、具体的なアクションをある期間でやっていくということが入る。ただ、そのときに、行動指針の担い手を政府だけに限るのか、企業も入れるのかという議論がもう一つあると思うのですね。行動指針というのは、だれがやる行動指針なのか。国民全体もあるが、政府も企業も入るのか、あるいはこれは政府だけなのかという議論があると思います。

 

○古賀委員 憲章と行動指針。私のイメージは、今、佐藤先生がおっしゃったようなことでいいんじゃないかなと思います。ただ、第1回目のこの会議でも申し上げましたけれども、少なくとも両方ともが何か抽象的なものになってしまうことは避けなければならない。その前提であるワーク・ライフ・バランス社会とは何なのか、その必要性、この合意形成というのを大前提としながらの発言でございますけれども、やはり一定程度検証しながら、次にどういうステップに行くべきかということがきちっとサイクルとして回せるような憲章、行動指針、それとアクションということが連動する、そういうところは絶対に外してはならないのではないか。このことだけ申し上げておきたいと思います。

 

○樋口座長 いかがでしょう。憲章と行動指針。工程表になるんでしょうね、という話が出てきましたが。

 

○八代委員 確かに今言われたみたいに、憲章だとしたらこれは詳し過ぎるわけで、かなり具体的なことが書いてある。だから、行動指針と一緒に議論しないと生産的じゃないような気もするわけです。行動指針がきちっとできていれば、逆に憲章は抽象的なものでも構わないと思うので、事務局は、まず憲章を作って、それから行動指針というイメージだと思うのですが、もうちょっと並行的にやった方がいいような気もするのですが。

 

○樋口座長 今日、憲章をかためる必要はなくて、次回、行動指針、いろいろ出てくると思いますので、これはどちらに書くのかという書きぶりもまたそこで調整してもらえればいいかとは思いますが。

 

○柴田政策統括官 今、お話がありましたように、憲章と行動指針というのをどう整理するのか。これは本当は理屈で言えば、憲章をカチッと決めてから行動指針を作るとか、そういうのもあるんだろうと思うんですけれども、時間的にも非常に短い時間の中でやらなければいけないという現実の問題もありまして、今日は憲章のとりあえずのイメージというのを議論していただく。次回は、指針についてのイメージ。また材料を出したいと思いますので、そこで議論していただきながら、これは憲章を書かないで指針でいいんじゃないかとか、こういうのは大方針だから憲章に入れた方がいいんじゃないかという仕分けをだんだん議論しながらしていただけたら。すみません、現実的な処理としてはそうせざるを得ないかなと思っておりますので。今、いただいた御指摘はよく頭に置いて、我々も整理しようと思います。

 

○佐藤委員 行動指針は、だれのため、だれがアクションを起こす行動指針なのかということは、これはいろんな方がいるわけですね。政府というのもあるでしょうし、企業もあるし、その他の団体みたいなものもあるし、個人もあるのですけれども、全部を想定するのか。行動指針は政府がやるものだけという考え方もあるのですね。その辺は議論しておかないと作れないのではないかという気がするのですけれども。

 

○樋口座長 これは、国民に訴えるんだから、政府ということだけじゃなんじゃないでしょうか。

 

○佐藤委員 そうすると、今度、アクターもいろいろあるときにどこかで切るのかですよね。ワーク・ライフ・バランス社会を実現する担い手というのはいろいろあり得るわけで、ただ、すべては挙げられないだろうから、先ほどの教育というのはどうなのかなんですね。例えば、学校教育というものを担い手のアクターとして考えると入るということにもなるでしょう。

 

○柴田政策統括官 もちろんこの場で議論していただくことでありますけれども、私どもの大雑把なイメージとしては、憲章は、政府だけではなくて、まず国民にわかっていただかないと。先ほど坂田委員からもお話がございましたように、何で今やるんだというのもなるほどなと。ワーク・ライフ・バランスと聞いたこともないような人でもそう思うというふうにしないと、多分なかなか難しいので、これが一番この案を作ったときの我々の悩みでもあったんですけれども、国民も含めて訴えかけて、じゃ、何が必要でどうしていくんだという大まかな方針を示すというのが憲章だと。指針は、私どもが一応考えていたのは、政府。中心は、政府が何をやっていくのかと。当然それをやるには政府だけでできないこともあります。民間の方にもいろいろと御協力いただかなければいけないこともありますけれども、御協力いただくということで、政府中心の指針というふうにするのかなと。私どもが思っていたのはそういうイメージでございます。もちろんここで議論していただきたいと思いますけれども。

 

○樋口座長 アクターのとらえ方について憲章で気になっていたのは、労働者に求められる取組という形で、個人じゃないんですね。これは、先ほどから出ているように労使関係というのは非常に強く出ているんですが、実は夫婦の間の交渉というのがこの陰にはすごく大きな問題としてあるわけですね。夫婦それぞれ意見が一致していれば問題ないんですが、違っているというところはあって、労使交渉と同時に、個人あるいは労働者というと、働いている人というふうになってしまうので、そこをどう考えるかですよね。
  さっきから出ている男女の性別役割分担の話というのは、まさに夫婦の間での話ということで、ここがゆがんでいるのではないかという御指摘が八代さんから出てきている問題だろうと思います。ですから、労使交渉の色彩が強過ぎるというふうに受けとめるのはあるかなということで、これはあくまでも労働関係だけではないということだろうと思うんですね。

 

○八代委員 ちょっと誤解があると思うのは、単に夫婦の問題ではなくて、男女の役割分担は、実は企業における働き方から来ているのだと思うんですね。ですから、それは別に悪いことというのではなく、高度成長期型の日本の企業というのは、家族ぐるみ雇っていた。つまり、奥さんに家事・子育てに専念してもらうことで、夫がすべての時間を企業のために使うようにして、家族単位でワーク・ライフ・バランスを実現していたわけで、それはそれで高度経済期のすぐれたモデルだと思います。しかし、それが成り立たなくても、まだ惰性でそれを前提に考えている企業が依然として多いのではないか。組合もある意味で同じ考え方をしているところもあるのではないか。ですから、そういう労使の意識改革というのが非常に大事で、それも法制度からきているので、さっき言ったように、所得税の配偶者控除とか、第3号被保険者がまさに企業の配偶者手当制度とリンクしているわけです。したがって、やはり企業の意識を変えてもらうためには、政府の法制度を変えるということも非常に重要ではないかと。単に企業にお願いするのではなくて、まず、政府が引き金になって、結果的に企業や組合の行動も変わっていくというのが大事じゃないかと思いますね。

 

○樋口座長 坂田さん。

 

○坂田委員 企業は、市場で競争しているわけなんですけれども、人材獲得のための競争という、これまた熾烈な競争にさらされているわけで、先ほど、資生堂様のお話の中にもありましたけれども、ワーク・ライフ・バランスという言葉がある程度一般化した今の段階では、その対応をとらないことには、あるいは対策を打たないことには、その競争で負けてしまうというところがございまして、例えば、弊社のようなところでも、ワーク・ライフ・バランスに関するメニューは取りそろえながら人材確保に向けて闘っております。各社そのようにやっていると思いますので、余りそのことは心配されなくてもよろしいんじゃないかというのが私の感想であります。市場が決めてくれるのだろうと思います。

 

○八代委員 市場というのは長い目で見たら効率的で、今おっしゃったような先進的な企業も当然あるでしょうが、他方で遅れている企業も非常にあって、その間のタイムラグの長さというのは結構あるのではないか。私はまだまだ日本の市場というのは十分競争的ではなくて、非効率的なことをやっている企業もちゃんと生き延びていると考えております。だから、それをスピードアップさせるためには何らかの政策が必要である。先進的な企業だけに任せておくということでは、余りにも時間がかかり過ぎるのではないかと私は思っております。

 

○坂田委員 だとすれば、その辺のことがこの憲章には書き込まれていないように思いますので、きちんと書き込んだ上で共通認識に到達することが大事なのではないでしょうか。
  もう一つだけ話をさせていただきますと、これはひが目なのかもしれませんが、ワーク・ライフ・バランス社会実現のために、全体的に会社がよくない、経営者がよくないからうまくいっていないんだ、したがって、直すべきとするトーンが節々に見えて、つらいものがあります。例えば、2ページの下から4分の1ぐらいのところに、「社内でのリーダーシップ」とございまして、「長く期職場にいること=よく働くこと」と思っているのは改めるべしと書いてあるわけなんですが、少なくとも私の見聞する範囲といいますか、周辺では、こんなことを考えているマネジャー、あるいは管理職というのは、かなり時代の最後尾を行くというか、そういう感じではないかと思います。
  もしこれがデータでもって事実であると示されるのであれば、それは甘受せざるを得ないと思いますけれども、データがないならば、先ほどステレオタイプというふうに言われましたが、余りこういうふうな決めつけた書き方というのは、何度も言っていますけれども、誤解のもとになるのではないかと。できるだけ誤解は避けるためにも、ある程度包括的な表現にならざるを得ないのではなかろうかと考えております。

 

○樋口座長 どうぞ横山さん。

 

○横山委員 今の長時間労働の部分なんですけれども、どこにこれが現実で示されるかというと、30代男性の時間外の長さという部分で端的にあらわされているのと思うんですね。30代男性は仕事以外に関わる時間、例えば子育や家族と過ごす時間が、日本は世界に比べても短いというのがまさに出ております。進んでいるところ以外はまだ本当に働き方を選べていないということが30代男性の時間外の多さということで証明されていますので憲章の中で長時間について盛り込んでいくことが必要だと私は思っております。

 

○樋口座長 柴田さん。

 

○柴田政策統括官 すみません、また事務局の悩み事を申し上げますけれども、まとめるときに、国民に向かって発信するんだというところまではいいんですけれども、先ほどから御議論ありますように、国民といっても、今、8割ぐらいですか、労働者中心に説明するのかどうかというのがまず1つあります。
  それから、今お話がありましたように、例えば、経営者の方でも非常に先進的にいろいろ努力されている方、それから、まだそこまでいっていない方もきっとあるだろう。わかりやすく訴えかけるには、まだこれからという人に対してどういうふうに言うのかという、そこに的を当てていった方が、本当のことを言うと、もっともっとわかりやすいかなという気も事務局としては非常に悩み事としてはあるんです。
  ただし、先ほども言いましたように、国民、いろんな方がいらっしゃいますから、いろんな方を頭に置きながら言うと、若干わかりにくくなってしまうなというのが我々議論しているときの悩みでありまして、したがって、その辺をどっちの方、どっちの方というのは、何も右か左かということではないかもしれませんけれども、どっちの方にポイントを置いてまとめていったらいいのかということも、ぜひ先生方に御指導をいただきたいと思っております。
  それから、例えば、現実と希望のギャップというのはおかしいじゃないかというお話がありました。ここも、ただ現実と希望のギャップということだけだと、確かに今日御議論いただいたようなことがあるかもしれませんけれども、まず、だれに訴えるのかというときに、普通の、ワーク・ライフ・バランスという言葉自体もまだ十分に知らない方々の方が多数だと思いますけれども、そういう方々に訴えかけるときに、まず、国民に訴えるということからしないといけないかなと。
  そのときに、僕らはここはここもちょっと悩んだんですけれども、これから少子・高齢化がどんどん進むと。労働力がなくなると。労働力を確保しなければいけない、生産性を向上しなければいけないためにこれをやるんですよというだけで、一人ひとりの国民がすぐ自分の問題だと考えてくれるかどうかというところの実は非常に悩ましいところがありまして、それで、並べ方も、まず、一応気持ちで、その気持ちがあらわれているかどうかは別にして、まず国民に申し上げる。それから、それは社会全体としてもこうなんだという整理でここはしてありますので、その辺の整理の仕方というか、訴えかけの仕方というのも、国民がなるほどそうだなと思ってくれないことには話が進みませんので、御指導をいただけたらと思います。
  済みません、いろいろ悩みが多いものですから。

 

○古賀委員 今の御提起は、1つは、最初の佐藤さんの議論に返っていくと思うんですけれども、必要性とかワーク・ライフ・バランス社会とは何か、その要素はどういう要素なのか、ここをしっかり組み立てるべきだと思うんですね。田中さんの参考資料にもありますけれども、「いきいきと働き」「ゆたかに暮らす」。我々の言葉で言うと、やりがいのある仕事と充実した社会との両立について、自分の意思で多様な選択が可能となる社会とか、キーワードは幾つかあると思うんですね。添付資料にもございますように、そこをまずきっちり固めないとだめなのじゃないか。それは私は国民全体に訴えかける1つの主軸として成るんじゃないか。しかし、ひるがえって現状はどうなのかというところがくると思うんですね。現状はどうなのかというところのような組み立てをすればいいんじゃないかと思うんですけれどもね。
  それから、行動指針、憲章もそうでしょうけれども、だれに訴えていくんだということですけれども、これは余り限定をすべきではないんじゃないか。国民個々人は何をすべきなのか、あるいは、その中でも働く人たちは何をすべきなのか、企業経営者は何をすべきなのか、あるいは、地域行政は何をすべきなのか。もちろん政府は何をすべきなのか、みたいなことでわりとくくれるんじゃないかなと思うんですね。言うまでもなく、先ほどもおっしゃったように、5,500万人の雇用労働者がいるということは、家族も含めれば、日本というのは世界に冠たる雇用社会ですから、そういう意味で雇用の関係というのは、そこはどうしても比重がかかるような見方にはなるでしょうけれども、それはあくまでも働き手、企業経営者、個々人、地域行政、あるいは政府、それぞれの立場で何をすべきかという、行動指針なのか、憲章なのかわかりませんけれども、そういうふうにとらまえるべきじゃないかなと思いますけれども。

 

○樋口座長 アクターとして、あるいはプレイヤーとして出ていないのは地域と。行政というのは、国を想定している……。

 

○山田官房審議官 これは地方自治体も含めて。

 

○樋口座長 分けた方がいいんじゃないですか。地方自治体として何をというふうな。
  もう一つは、先ほどから出てきている、少子化が進むから労働力減少が起こる。したがってワーク・ライフ・バランスだという主張もあると思うんですよね。自分のため、それは希望ということではなくて、この間、フランスへ行って企業経営者の調査をやってきたんですが、今まで会社に勤めていた人が企業経営者、中小企業の経営者になった。何が一番大きな問題だといったら、今まで3週間以上バケーションをとっていたのが、忙しくてバケーションをとれなくなった。これで起こっている問題は、今までは3週間のバケーションの間に自分を客観的に見るチャンスがあったと言うんですね。忙しすぎることによって、仕事にのめり込むことによって、前の仕事しか考えられなくなった。自分の存在というもの、向かうべき方向というのが日々わからなくなってきている、これが最大の問題だということなんですが、まさに今の働いている人たちにそれが起こっているのが日本でもあるんじゃないかなと思ったんですが、実は、希望なんて考えている余裕が逆になくなっているのかもしれないという感じがするんですがね。

 

○柴田政策統括官 今回、希望と現実の乖離ということで、とりあえず整理させていただいた理由なんですけれども、国民にニーズがあるから、そのニーズをできるだけ実現していくという説得の方がいいのかなと思って、こういう構成にしてみたんです。それは、働き方とか、生活と仕事の調和というものについて、天からこうあるべきだというものが何かあって、それをやるべきだと。済みません、議論をわかりやすくするために極論を言っているんですけれども、そういうアプローチをするのか、やはり国民がみんなで、みんないろいろと考え方がだんだん変わってきているから、それに対応しないと、労働力の確保とか生産性の向上とかというところにもつながりませんよと言って説明した方がいいのかなという考えで、もちろん言葉の使い方はいろいろ気をつけなければいけないと思うんですが、今日の我々のたたき台はそういう考え方で作ってみた。どこかでワーク・ライフ・バランスというのがいいものだと。だけど、現実は違うでしょう。だからこうすべきだというふうに言うのがいいのか。みんながだんだん仕事と生活のバランスということをいろいろ多様化してきている。だから、それに合うように変えていかないと、結局は労働力の確保とか生産性の向上にもつながらないんだと言うのかというと、この考え方では、どっちかというと後者で、天から言うのではなくて、後者の方がいいんじゃないかなと思って、こう作ってみたというのが今日のたたき台の考え方であります。

 

○樋口座長 佐藤さん。

 

○佐藤委員 特に企業経営者の方からすると、何で企業がターゲットになるのかということがあると思います。希望というと、希望がいつも実現できる社会ばかりじゃなかった。それなりに企業も対応してきたというお話があったんですけれども、まず、希望というと、フワフワしたものみたいに思われるかもわかりませんが、例えば女性が結婚し、子育てしながら仕事をしたいという、これは切実なニーズなわけですね。これがフワフワしたものだというのではないと思うので、ところが、企業の方は、今までそういう社員が多いということを想定していなかったわけですね。男性がメインで、女性は退職していくという状況での企業組織なり仕事の仕方が、組織の慣性としてかなり残っている。他方で、社員の方は急激に変わったわけです。ここ10年で。だから、今までのように放っておいて対応できるかというと、質的に変えなければいけないので、かなり社会が企業を押さなければいけないという状況があるのではないでしょうか。
  それで、フワフワしたものではない切実なニーズというのがあるので、それは希望だから、それにフワフワしたものは対応しなくてもというものではないのじゃないかなと思います。
  それともう一つ、なぜ企業かというと、古賀さんが言われたように、日本は雇用社会だということで、24時間の中で企業が一番、社員の生活時間以外の時間を使っているのですね。仕事以外に使う時間を増やすためには、企業の働き方が変わらないとだめなのですね。だから、企業の働き方、企業が変わらない限り、仕事以外に使える時間が確保できないのです。これは雇用社会では、働き方が変わらない限り、ワーク・ライフ・バランス社会は実現できないので、悪者だからどうこうではなくて、それは普通の議論であり、どこの国でもそういう議論をするのだということです。

 

○樋口座長 山田さん。

 

○山田官房審議官 重点戦略のときに出た議論を御紹介しますと、働き方についての希望というのはいろいろ違っていて、一律にこういう働き方があるべきだというところから何か方向性を出すというのはなかなか難しいだろうということで、まさにワーク・ライフ・コンフリクトという考え方が出てきたと思うんですけれども、統括官から御説明しましたように、ニーズとの乖離というところから1つ座標軸を作っているというのが今の基本的な考え方だと思うんですね。ですから、そこのところを、当然坂田さんおっしゃるように、希望と現実の乖離というのはいつもあるものなのかもしれませんけれども、いろんな現象を見ていると、かなり乖離が大きくなってきているんじゃないか。その問題でいろいろなひずみが出てきているんじゃないだろうかという現状認識が恐らくあるだろうと思うんですね。そうじゃないとおっしゃるのであれば、そこはぜひ御議論いただきたいと思うんですけれども、そういう観点に立って整理をしているという意味でございます。

 

○紀陸委員 ねらいは同じかもしれないけれども、先ほど坂田さんが言われたように、佐藤先生も同じかもしれませんけれども、個人というのは企業人の顔とか、あるいは家庭人の顔だとか、地域の住民だとか、消費者とか、いろんな顔があるわけですね。経営者もまたいろんな方々がいて、例えばオーナーの経営者が、我が社はいろんな従業員がいて、そのニーズに全部応えなければいけないのか、そんなのは無理だよ。そういうワーク・ライフ・バランスだったらノーだよとなりかねません。私どもも働きがいを、あるいは生きがいを感ずるような選択肢の付与ということを言っていますが、言葉の使い方として、わがまま勝手のいろんな従業員の人たちを満足させるために経営をやっているんじゃないよというような受けとめられ方をされるとまずい。そういう意味で、表現の仕方を工夫する必要があるんだと思います。
  何度も申し上げるんですけれども、ワーク・ライフ・バランスというのは、望ましい状態が定常的にあるのではなくて、まさに挑戦だと思うんですね。さまざまな人たちに合うように挑戦し続けるということだと思うんですね。福田内閣と同じようなもので、日々緊張ですよね。日々緊張でさまざまなニーズをどうやって満たし続ける努力をするか。そこから、さっき八代先生が言った遠い目標といいますか、何か、北斗七星のようなものがないとばらばらになるから、そこに向けて挑戦をする。そういう雰囲気を出せるような憲章であり、行動指針であるべきだと思います。そういう意味では、余り縛らないで、さまざまな人たちがこの挑戦に取り組みやすいような雰囲気づくりをどうやっていくかですね。先ほど田中さんから、生き生きとか豊かとか、こういうやわらかそうな、乗りやすい、解釈が違ってもいいんですけれども、乗りやすいような雰囲気を作っていくワードというのはあるいは意味があるのかもしれないですね。

 

○武石委員 個人の希望という話で、ワーク・ライフ・バランスが実現すると、個人にとって物すごくすばらしい社会がきて、バラ色の社会のように描くのは、私はちょっとどうかなという気がしていています。個人は選択をしていかなくはいけないと思うんです。多様性、一律的なものじゃなくて、いろんな働き方がある。そのときに選択をして、その選択の結果には自分が責任をとらなくてはいけないわけで、八代先生がおっしゃるように、今までは企業から与えられていたものの中で考えていればよかったわけですが、いろんな選択肢の中で自分がどういう生き方をしたいのかとか、どういう人生設計を送るのかということを考えなくてはならない社会になるんだというメッセージは、ぜひこの憲章の中で入れていただきたいなと思います。

 

○樋口座長 企業にしろ個人にしろ、行動を変えるということは大変なことで、それなりのエネルギーが必要ですから、それに向かってという。
  行政の方からもいろいろあるかと思うんですが、内閣府の方から御意見ありましたら。ほかからも御意見ございましたら。

 

○土居教育再生会議担当室長代理 教育の話ばかりして恐縮ですが、教育の方も、社会の方から大上段にということではなしに、まさに個人の選択として、プライベートなライフという側面からも重要です。最近の若い人は非常にソーシャル的な役割を自覚して、地震のボランティアに行くとか、社会貢献をやっているわけですが、教育活動についても、いろんな学校の講師に行くとか、自分で塾を開いて講習会をやるとか、あるいは教育NPO法人の理事になるのに、今は企業の役員幹部は兼業禁止で、禁止されているとか、いろんな問題がありまして、そういう個人の選択としてもぜひ開いていくという方向もあり得るので、これも小さくていいですから、ぜひ触れていただきたいと思います。

 

○樋口座長 ほかにどうでしょうか。

 

○神田調査課長 この場をお借りしてご報告させていただきたいのですけれども、本日は、非常に有益なご議論をいただき、ありがとうございました。男女共同参画局では、ワーク・ライフ・バランス社会の実現度指標というものを作るべく、佐藤先生に検討会の座長をお願いして作業を始めております。これは、今の議論をまさに指標化するとどうなるかということですけれども、御想像にお任せしますが多くの課題に直面しているわけですが、1つ報告という意味で御紹介をさせていただきますと、今御議論にありました「希望」をどういうふうにして指標でとっていくのかというものについて、必ずしもそういうのを指標化して統計でとるというのは、そんなに完璧にできるものではないということは、感じておりますということでございます。
  また、目標の話がございましたが、目標値についてはまた別のところで御議論していただいていると思いますけれども、具体的な指標としてどういう目標をとっていくのかというのは、先ほど、正規と非正規の賃金の均衡といっても何を意味するのだろうかという御議論がありましたが、具体的な統計として何をどうすべきであろうかというところの議論があるのとないのとで、今後の議論が変わっていくと考えています。恐らく実現度指標は目標値をある意味でサポートしつつ、それをわりと幅広い観点で評価をする。ワーク・ライフ・バランス社会がどこまで実現をしているのか、また、政府や官民の取組がどうなのかといったところから客観的に幅広く指標化をしていくというものですので、ある意味で目標値をより周りからサポートしていくような指標になっていくかと思いますが、その辺、ある程度具体的な数値も入れながら御議論いただくことが、私どもにとっても非常にプラスになると思っております。以上です。

 

○樋口座長 ほかにどうですか。

 

○生田参事官 非常に技術的なことで恐縮なんですけれども、まず、用語の問題でございまして、ワーク・ライフ・バランス憲章という、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を憲章につけるということにつきまして、この言葉のイメージについてさまざまな意見が各方面からございまして、どういう名前にするのかということについて御議論いただけると物すごくありがたいなと思います。
  それから、もう一つは、「非正規」という用語でございまして、これにつきましては、正社員で高齢化した方が嘱託で短時間働かれるという形がございまして、そういうものについて非正規というふうに一律に名付けるのがいいのかという御意見とか、非正規の中にはパートだとか契約社員だとか派遣だとか、さまざまなものがあるんですけれども、そういったものについて一律にくくれるかという問題もございますので、用語の使い方につきまして注意していただきたいと思っておりまして、これは内閣府とまた御相談をしたいと思っております。
  もう一つは、ワーク・ライフ・バランスの定義の関係でございますけれども、これにつきましては、重点戦略検討会議だとかさまざまな場でいろんなアイデアが既に出されておりまして、そういうのを基本に議論していただいた方がいいんじゃないかと思っております。
  一番気になりましたのが、2ページの一番上のところに(1)から(6)ということでワーク・ライフ・バランスの結果としてこういうことが実現できるのではないかと書いてあるんですけれども、その中の(1)から(6)の中の(5)だけがワーク・ライフ・バランスが実現できたら、これが実現できるというものではなくて、恐らく同時に実現すべきものと整理されるもので、結果として出てくるものではないと思うんですね。ですから、整理の仕方についても、今までのせっかくの御報告がたくさんございますので、そういうのをベースにしながら考えていった方がいいのではないかと考えてございます。
  それ以外に、事実関係の御指摘で、事実と違うんじゃないかと思っているものがたくさんございますので、これは内閣府と技術的に御相談させていただいて、若干訂正が今後の調整の過程で入るかもしれませんけれども、よろしくお願いしたいと思っています。

 

○樋口座長 名称の問題が出ましたが、代案はあるんでしょうか。

 

○生田参事官 これは今、全く代案はございません。

 

○樋口座長 わかりました。
  それでは、そろそろ時間がきておりますので、意見交換はこの程度にしまして、事務局から次回について何かありましたらお願いします。

 

○濱田参事官 次回の作業部会の日程でございますが、10月2日の火曜日夜18時から20時で、場所の方は、第1回の作業部会の場所と同じでございまして、内閣府の合同庁舎4号館共用の第2特別会議室ということで、また正式な御案内は出させていただきますので、よろしくお願いいたします。
  事務局からは以上でございます。

 

○樋口座長 それでは、本日の会合はこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。