仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けて ひとつ「働き方」変えてみよう!

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第2回 仕事と生活の調和推進官民トップ会議

1.日時  平成19年12月18日(火)8:10~8:30


2.場所  総理大臣官邸 4階大会議室


3.出席者

(関係閣僚)
塩崎 恭久内閣官房長官
高市 早苗内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)
大田 弘子内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
柳澤 伯夫厚生労働大臣
甘利 明経済産業大臣
土屋 正忠総務大臣政務官

(団体の代表者)
御手洗 冨士夫 (社)日本経済団体連合会会長
岡村 正日本商工会議所会頭
髙木 剛日本労働組合総連合会会長
岡本 直美NHK関連労働組合連合会議長
麻生 渡全国知事会会長

(有識者)
大沢 真知子日本女子大学人間社会学部教授
佐藤 博樹東京大学社会科学研究所教授
樋口 美雄慶應義塾大学商学部教授

(欠席者)
八代 尚宏

国際基督教大学教養学部教授

4.議事概要

○上川内閣府特命担当大臣  
「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」については、本年7月に本会議を開催し、8月以降、作業部会で検討を進めていただいてきたが、今般、それぞれの案を取りまとめていただいた。最初に作業部会の座長をお務めいただいた樋口委員からご説明をお願いしたい。

○樋口委員 
 配付されている3枚紙に沿って、お話をさせていただきたい。「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」については、8月31日の第1回作業部会以来、11月28日まで8回の作業部会を開催し検討を重ねた。この間、労働組合、大企業、地方の中小企業の取組のヒアリングも行い、実態の把握についても努めてきた。「憲章」は国民的な取組の大きな方向性を示すものであり、「行動指針」は企業や働く者等の効果的な取組、国や地方公共団体の施策の方針を示したものであり、11月28日の作業部会において、全会一致で了承されている。
 以下、「憲章」及び「行動指針」の内容についてご説明したい。仕事と生活の調和の緊要性として、働き方の二極化が進行するとともに、共働き世帯が増加する一方で、働き方、性別役割分担意識が変わっていないことから、仕事と生活の間で問題を抱える人が増加している。さらに、これらの問題は個人の問題にとどまらず、少子化対策や労働力確保という観点からも社会全体の課題になっていると整理している。
 そこで、個人の生き方や人生の段階において多様な働き方の選択を可能にする必要があり、働き方の見直しが生産性の向上や競争力の強化にもつながるものであり、明日への投資であるということを明示している。
 2ページ目で、仕事と生活の調和が実現した社会の姿を描いている。そこでは国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階において多様な生き方が選択、実現できる社会としている。これを実現するために、より具体的には3本の柱として、就労による経済的自立が可能な社会、健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、多様な働き方・生き方が選択できる社会の実現を掲げ、企業や働く者、国民、国、地方公共団体の役割を明示している。また、「行動指針」で設定した各主体の取組を推進するための社会全体の目標が示されている。取組が進んだ場合に達成される水準として10年後の数値目標を設定しており、これに至る5年後の目標値も掲げている。具体的には年齢階層別の就業率、年次有給休暇の取得率、第1子出産前後の女性の継続就業率等、14項目にわたる目標を掲げている。
 また、3ページの下にあるように、数値目標を含む関連指標を合成した「仕事と生活の調和」実現度指標を作成することとしており、これらにより全体の進捗状況を把握、評価し政策に反映させるとともに、学識経験者や労使の代表からなる点検・評価の場を設けることとしている。

○上川内閣府特命担当大臣
ただいま説明いただいた「憲章 (案) 」及び「行動指針 (案) 」については、作業部会で精力的にご議論いただいたものと承知している。これらの案をもって当会議として正式に決定することとしたいが、ご異議ありませんか。

(「異議なし」の声あり)

○上川内閣府特命担当大臣
 それでは「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に皆様で合意いただいたので、今後、仕事と生活の調和の実現に主体的、積極的に取り組んでいく証として、委員の皆様にご署名をいただき、総理にお渡しし、決意を新たに取り組んでいくこととしたい。なお、本日ご欠席の八代委員には事前にご署名いただいている。
 署名していただく間、経済界と労働界の代表の方から一言ずつ決意表明をいただきたい。

○御手洗委員
 今回、「憲章」、「行動指針」が作成されたことにより、各主体の役割や取り組む方向性が明確にされ、国民がいきいきと働き、生産性の向上に結びついていく基盤ができたということで非常に歓迎している。「憲章」と「行動指針」に明記されているように、あくまでも推進の中心は企業とそこに働く人々であるので、各企業の自主的な努力や取り組みを後押しする多様な選択肢を確保していくことが非常に重要だと思っている。今回、数値目標も設定されているが、これはあくまでも達成したときの社会の理想的な水準を掲げたものと理解している。国が規制強化をして、必達目標とすることのないようお願いしたい。
 われわれ経団連としても、すでに各会員企業に対して、ノー残業デーなどワーク・ライフ・バランスを実現しやすいような職場環境の整備等々、幾つかの例を挙げながら、各社の自主的な取り組みを呼びかけている。今回、この憲章と行動指針ができたことを契機に、さらに積極的に取り組むよう呼びかけ、各企業のワーク・ライフ・バランス関連施策の実施状況を自主的に公表することによって、基盤の強化と拡大に向けて努力していきたいと思っている。

○岡村委員
 ワーク・ライフ・バランス社会を実現するためには、仕事とそれ以外、つまり仕事と自分自身、家族、社会がいかに調和していくかが極めて重要である。この運動を社会全体の運動に広げるために、政府、国民、企業、労働者等の各主体が前向きに取り組もうという今回の憲章と行動指針の持つ意義は極めて大きいと考えている。また、ワーク・ライフ・バランスへの取組は企業にとっても、イノベーションの創出等の効果をもたらすものであるので、商工会議所としても、会員企業への啓蒙普及に努めてまいりたい。政府においても、特に我が国の企業の大層を占める中小企業の取組促進のため、中小企業の実情に配慮した支援の実現をお願いしたい。

○高木委員
 男女共同参画、仕事と子育ての両立支援、労働市場改革、それぞれの政策をワーク・ライフ・バランスということでひとまとめにし、より普遍的で広がりのある政策として取りまとめていただいたこと、そしてワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けて憲章と行動指針を作成していただいた、樋口座長を始め、作業部会の皆さんに心から敬意を表したい。あとは、「憲章」と「行動指針」をいかに実行していくかということに尽きると思う。労使が自主的に取り組むことが基本だが、政府にも積極的な役割を発揮していただくよう期待したい。政策制度の多くは厚生労働省の管轄となる面が多いと思うが、総合的な戦略を立て、実行ある政策パッケージを提示し、政府全体で取り組む姿勢で対処していただきたい。地方での取組についても、政府は是非その具体策について地方に示していただきたい。ワーク・ライフ・バランス憲章に政労使が署名をするということは、ワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けて、政労使がそれぞれの役割と責任を担い、解決すべき課題を克服していくことを意味していると思う。企業は個別利益に過度にとらわれることなく、社会全体の利益を追及するという視点でアプローチをしなければならないと思う。連合としても、早速、来年春の交渉の場で経営側とこの問題について突っ込んで議論をしていきたい。経営側の皆様もよろしくご対応のほどをお願い申し上げたい。

○岡本委員
 前回も指摘したが、女性、特に働く女性のためだけの施策ととらえられてきたことが、男女共同参画や少子化対策のボトルネックになっていたと思う。男女や年齢の違いに関わらず、誰もが多様な働き方、生き方を選択できるワーク・ライフ・バランス政策への転換は大きな前進である。これは生活時間を取り戻すための総合的な働き方の改革であり、特に時間外労働が恒常化して、家族や地域における責任を担えずにいる男性正社員の働き方を変えていくことが重要だと思う。多様な働き方とは、憲章、行動指針にあるように、働く側にとって選択可能な働き方である。経営側として、こうした働き方を労使と協力して促進していくことに共通認識を示していただいたと理解している。政府に対しては、子育てや介護を支える社会基盤を整備するとともに、どのような働き方をしても、不当な不利益を被らないよう、均等待遇の法制化や、中立的な税・社会保障制度の整備など、制度改正に早急に着手することをお願いしたい。

○上川内閣府特命担当大臣
次に官房長官からお願いいたします。

○町村内閣官房長官
まず、短期間に精力的なご議論をいただきました皆様方に心から感謝を申し上げたい。仕事と生活の調和、特にその中心となる働き方の改革については、これまで一部の先進的な取組にとどまり、社会的な広がりに欠けていた面が否定できない。今般、経済界、労働界、及び地方の代表者等の方々にその推進に合意をいただいたことは、社会全体を動かす大きな契機となると確信している。政府としても、今後このトップ会議を仕事と生活の調和の推進のための中核的な場と位置付け、全力で取り組むとともに、推進状況の点検・評価も行いたいと考えている。皆様には引き続きご協力をいただくよう、お願い申し上げる。

○上川内閣府特命担当大臣
それでは、署名も終わったようなので、総理にお渡しすることとしたい。樋口委員、御手洗委員、高木委員はこちらにお願いいたします。

〔憲章・行動指針 手交〕

○上川内閣府特命担当大臣 
最後に総理からご挨拶をお願いしたい。

○福田内閣総理大臣 
「ワーク・ライフ・バランス憲章」を確かにお預かりした。それぞれの立場からご見解を述べていただいたことに、お礼申し上げたい。
 我が国は、戦後、国民の懸命の努力によって、経済的な豊かさを手に入れてきた。しかし、現在、働く意欲がありながら、安定した仕事に就けない人々がいる一方、仕事に追われて家族のだんらんや地域で過ごす時間も持てない人もいるなど、多くの国民が仕事と生活の間で大きな悩みを抱え、将来に不安を感じ、豊かさを実感できないでいるのではないか。また、そのことが我が国社会の活力を低下させ、少子化につながっていると考えている。我が国の将来を考えるとき、仕事と生活の間にある諸問題を解決していかなければならない。私は仕事と生活の調和の実現により、国民が明日に希望を持ち、今日を安心して過ごせる、希望と安心の国づくりが可能となり、さらには少子化の流れを変えることも可能となると確信している。そのためには労使を始め、すべての国民の意識の改革が不可欠であり、その意味で、本日、経済界、労働界、そして地方、有識者の方々、皆様方にご参加いただき、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「行動指針」が取りまとめられたことの意義は誠に大きい。
 この「憲章」及び「行動指針」の理念は決して働くことの意義を否定するものではない。国民の皆様が意欲を持って働きながら、豊かさを実感して暮らせるよう、多様な選択が可能な社会をつくることにあると考えている。この理念を一人ひとりにご理解いただき、仕事と生活の調和の実現に向けた積極的な取組をお願いしたい。政府としても、皆様の取組を積極的に支援するとともに、多様な働きかけに対応した社会的基盤づくりを積極的に行ってまいりたい。最後に、委員の皆様方にはこれまでのご尽力に感謝を申し上げたい。
 本日はワーク・ライフ・バランス推進運動出発の日である。そこで、この機会に社会保障制度全般について一言申し上げたい。われわれには病気や老後もあり、仕事と生活の調和に加え、年金、医療、介護など、将来にわたって国民に信頼される社会保障制度に裏打ちされた社会、すべての人が安心して暮らし、本当の意味での豊かさを実感できる社会を作っていくために取り組んでいかなければならない。これは社会全体の問題である。このため、私は社会保障に関する国民会議を開催し、さまざまな立場におられる方々に幅広くご参加いただき、社会保障のあるべき姿と、その中で政府にどのような役割を期待し、どのように負担を分かち合うのかということを国民の方々が具体的に思い描くことができるような議論を行いたいと考えている。望ましい将来社会に向けた実りある国民的議論が行われるよう、皆様方にもご協力をお願い申し上げ、私の挨拶とさせていただきたい。

○上川内閣府特命担当大臣 
本日合意いただいた「憲章」及び「行動指針」は、引き続き検討が行われる「子どもと家族を応援する日本」重点戦略にも反映されることとなっている。