パパの育児休業体験記 1-14

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パパの育児休業体験記

育児能力が対等であることで、父親が育児に継続して取り組みやすい環境に

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(1)公務員、(2)1,000人~4,999人、(3)30代後半、(4)30代前半、(5)本人・妻・子1人(女児1人(1歳9ヵ月))、(6)平成19年1月~7月(7ヵ月間)

やっぱりハードルは高い?~育休を体験して~

田中 雄造さん

 大学時代の同級生である妻とは、交際中から「互いに仕事を続けながらの快適な家庭生活」について、お互いの考え方などを日々徹底的に話し合ってきた。加えて、家事を始めとする日常生活・社会生活全般について、男女の役割を固定化せず常に行為と責任を共同で担うことをモットーに暮らしてきた。その中で、子供が生まれた際に私の育児休業取得も含めた仕事と育児の両立は、出産前後の2人が置かれた状況に鑑みてより良い方法を選択しようと話し合っていた。
 妊娠判明後、出産後の生活を話し合った結果、妻は里帰り出産をせず、産後休暇後すぐに復職し、私は出産直前期から約1年間休暇・育児休業を取得することにした。理由は、(1)私が育児・家事に専念できる環境で育児に取り組むことが、今後の人生を豊かにし、仕事にも大きく役に立つと考えたこと、(2)転職して1年目の妻は、育児に加え仕事にも精力的に取り組みたいと考えたこと、(3)中小企業である妻の職場に他に育児休業取得者がおらず、長期の休業が躊躇されたことなどが主なものである。
 その後、すぐ職場に自己の育休取得方針・時期を伝え、また自己の異動など育休中の職務の停滞の回避のために必要なことは協力する旨を伝えた。結果として私の異動はなく、休業中は職場に代替職員の一時的な配置があったが、それでも過去例を見ない忙しさであったようだ。
 出産後は、すぐ復職する妻の体力回復のため日常家事の多くを私が担うほか、育児は全て夫婦一緒に取り組んだ。そのため常に育児能力が夫婦対等であり、それが結果的に私が育児に継続して取り組みやすい要因となったと思う。また、妻の復職後は、予想以上に育児・家事に時間がとられて自分の時間を確保できず、マネジメント能力の重要性を実感した。また、子育てサークルなど他の赤ちゃん親子(親はほとんどお母さんだけ)と交流する場にも参加したことで、コミュニケーション能力を向上させることができたと思う。
 出産及び母乳の授乳以外は、育児に関して男性にできないことはない。ただ、家事も担うとなると、その能力に大きく左右されるので今すぐにどの家庭にも薦められるものではない。また、現実に体を動かすことだけが育児ではなく、育児について夫婦で話し合い、考えることも「育児」そのものであると思う。
 「男性の育児休業取得が難しい」ということばかりが注目されるが、働く女性が産前産後休暇・育児休業を取得する場合にも本来同じ問題があるはずである。使用者側における従業員が抜けることの影響も、休業者側におけるキャリアへの影響や復帰時の不安なども男女を問わないものである。出産・育児により職場に何らかの影響があることは本来当たり前ではあるが、現実に従業員が抜けた穴を埋めることは職場にとって大変であることから、個人ではなくチームで仕事をするようなマネジメント体制をなるべく整えるべきである。また上司・同僚に迷惑をかけると思うこと自体が休業取得の心理的負担となっていることや育児休業を取得しない者等に不公平感があること等に鑑み、負担増となる職員に付加手当を支給するといった制度も有効であると思う。
 子育て中の親は子育て仲間であり、男性であっても育児に真剣に取り組む姿を見せれば、子育て中の母親たちにもすぐに受け入れてもらえると思う。ただ、そうした環境が苦手な人もいるので、男性が参加しやすい育児・社会環境を整えることも重要である。
 最後に子育て支援策について強調しておきたいことは次のとおりである。まず、まだ女性による育児を前提としたものが多く、男性にも利用しやすいものを提示すべきである。また、産休・育児休業等が利用されることにより仕事等で影響を受ける人への配慮も含めた施策が講じられるべきである。そして、男性は、育児・家事を行う意欲があってもその能力がないのが現状と思われ、意識改革を呼びかけるのみならず、その能力に欠けることを前提とした具体的支援策を講じるべきである。

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