パパの育児休業体験記 3-10

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パパの育児休業体験記

2回の育休から感じた、社会とのつながりの必要性、思いやりのある共同生活に向けた関係性の変化

執筆者と家族の写真
執筆者の横顔:
(1)公立学校教員(教諭) 、(2)150人、(3)30代後半、(4)30代前半、(5)本人・妻・子2人、(6)(1年10ヵ月間)

家族のステキな未来のために ~期間限定専業主夫のすすめ~

竹村 直人さん

 現在2回目の育休中です。第1子のときは生後4か月から7か月間。今回は生後6か月から約1年。いずれも完全母乳の子を離乳前から長期で、というパターンです。
 育休取得によって得られたものはたくさんあります。自分の子どものさまざまな成長を事細かに目の前で体感できること。お座りなど、何かができたという成長だけでなく、絵本を読んだときの反応の変化など、日々の小さな成長も体感できます。子どもの笑顔を見ていると、子育てという経験ができる幸せを感じます。また、子育て経験が支えるいい意味での自信と自覚、そして子どもとの間に築かれた相互の信頼関係。上の子が1度目の反抗期を迎えた今、改めて実感しています。加えて、共働きの間、何かと家事労働の負担が高まりがちであった妻と、今後も「思いやり」のある共同生活を続けていく上で、私自身が専業主夫として、家事・育児を含めた家庭生活をトータルに見渡す機会を得られたことは大きなメリットです。さらには、子育ての苦労を真に実感することによって、自分の両親との関わりにもなにがしかの変化があったように思います。
 もちろん、育休中は、慣れない子育てに加え、今までは「適当に」分担していた家事にも大きな責任(と妻からの期待)がのしかかり、肉体的にも精神的にもたいへんな側面はあります。その意味では子育て専業主婦の苦労を実感できます。たとえば離乳食。慣れるまでは、毎日の大人の食事だけでもたいへんなのに、離乳食までもと感じてしまい、バタバタしていました。そんななか、育休生活の中で一番つらかったのは、仕事がなくなることで、外界とのコンタクトが切断されたことでした。時折入手する「ママ・サークル」の案内には足は向かず、買い物に行っても「授乳室」でミルクをあげることはできず(男子禁制)、おむつ交換台も女子トイレにしかないこともしばしば。なかなか「ママ(パパ)友」を作るきっかけもなく、ネットで「育児サイト」をのぞく程度。情報をかき集めて、がんばって家事に育児に励んでも、仕事のように誰かしらに評価してもらえるわけでもなく、社会から疎外され、自分自身がどこかに埋没していくような感覚に襲われたこともあります。もちろん、そんな夫を「評価」するのは妻の役目でしょうが、妻も夜間授乳をしながらの仕事復帰直後。肉体的にもたいへんで、なかなかそんな精神的余裕もないようです。その意味で、とくに子育て中の専業主婦・主夫が、社会とのつながりをもって、そのサポートを得ながら、心身ともに余裕をもって子育てに取り組むことができる体制づくりが必要だと感じました。このことは子どもの豊かな心を育んでいく上でもプラスになると思います。
 育休取得は、今後の自分の人生を考えたときに、夫婦の関係、子どもとの関係などにおいて、得るものが大きいというのが今の私の結論です。しかし、日本の職場の現状は、男性が育休を取得し、その後職場復帰するということについて、かなりの困難を抱えています。私の職場は、上司や同僚の理解が得られ、比較的取得しやすい職場でしたから、2回も取得することができたのですが、その際「とれる条件のあるところからとっていく」という発想のもと、男性が取得するということを社会的にアピールするささやかな一事例になれば、という思いもありました。男女ともに社会のなかで生き生きと働き、生活できる社会の確立のためにはもっと男性の育休取得が必要だと感じています。

 現在私は、妻の仕事の関係で、外国での育休生活を送っています。外国での生活は初めてですので、言葉や生活習慣などで戸惑うことも多いのですが、地域のベビーサークルで育休パパに出会うなど、日本とは異なる社会環境からくるよさも感じています。ともあれ、今回の育休も、家族のきずなが強まるいい機会ととらえ、前向きに今の生活を楽しんでいこうと思っています。

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