「ここにいるわが子のため」に全ての時間を使う。そして、満面の笑みで応えてくれる娘
- 執筆者の横顔:
- (1)公務員、(2)5,000人~、(3)30代前半、(4)30代前半、(5)本人・妻・子1人、(6)平成19年4月~20年3月(1年間)
育休が教えてくれた父親という「仕事」
横川 純一さん
僕が育休を取ろうと思ったきっかけは、今から5年以上前、妻から聞いた「育休って、男の人でもとれるらしいよ。」という一言です。それから「子どもができたら、育休を取るのも悪くないな」という考えを持つようになりました。その後長女が誕生し、ひと月もするとまったく別人のように成長する娘の姿を見て、「二度と戻ってこない今の時期に、娘ともっとかかわっておきたい」との思いに駆られるようになりました。
「自分が休めばまわりの人に迷惑がかかる」育休取得に当たってこのことは本当に悩みました。そこで心に決めたのが、「子どものためでなく、自分のための今しかできない経験をさせてもらうために育休を取ろう」ということでした。「人員配置をする前に希望を伝えたほうが良い」とのアドバイスもあり、ある日課長に時間をとってもらい育休をとる意思について正式に伝えました。一番緊張したのはこの時です。課長からは「本当に取るんだね、みんなで応援するよ」と一言。この一言に勇気づけられ、自分自身の決意とともに「はい」と答えました。
育休に入る前は、一日家にいて一体何をしようという不安もありましたが、そんな浅はかな考えは育休が始まると一瞬にして吹き飛んでしまいます。家事と育児で時間に追われる毎日。会社では当たり前の「昼休み」もありません。子どもが離れなかったりして思うように家事ができないとき、用意した食事を食べてくれないとき、些細なことでも自分に余裕がなくなるとものすごいストレスとなってのしかかります。時には爆発して一緒に声を出して泣くことも。とにかく、妻には早く帰ってきて!!!と毎日思っていました。乳幼児期の子育て中はパートナーの存在がとても大きいことを感じました。
思ったより甘くない育休生活ですが、もちろん育休を取ったからこそ経験できたこともたくさんありました。何よりわが子の「はじめて」に立ち会えたことでしょう。「はじめて立った」「はじめて言葉をしゃべった」などなど、娘の成長を一番近いところで感じられました。接する時間も桁違いです。四季も今まで以上に感じられるようになりました。ひとりで歩いていると通り過ぎてしまうような景色も娘と見るとまた違って見えました。ぽかぽか陽気の時に砂場で寝っころがったこともありました。自分の子ども時代を思い出しました。
会社での仕事は「大勢のだれかのため」の仕事です。しかし、育休中は「ここにいるわが子のため」に全ての時間を使っています。そして、彼女はそれに応えてくれます。満面の笑みでかけてくる娘の顔を見て、自分はこの子の父親なのだ、ということを自覚させられます。一年間の育休生活でそれを強く感じることができました。