1 日時:平成19年10月18日(木)18:00~20:15
2 場所:中央合同庁舎4号館4階 共用第2特別会議室
3 出席者
(有識者)
武石 恵美子 | 法政大学キャリアデザイン学部教授 |
樋口 美雄 | 慶應義塾大学商学部教授 |
山川 隆一 | 慶應義塾大学大学院法務研究科教授 |
(団体の代表者)
紀陸 孝 | (社)日本経済団体連合会専務理事 |
田中 常雅 |
東京商工会議所人口問題委員会副委員長 (醍醐建設株式会社代表取締役社長) |
坂田 甲一 |
(社)日本経済団体連合会労働法規委員会 労務管理問題検討部会長 |
古賀 伸明 | 日本労働組合総連合会事務局長 |
横山 陽子 | 日本サービス・流通労働組合連合中央執行役員 |
杉山 豊治 | 情報産業労働組合連合会政策局長 |
4 議事概要
○樋口座長 定刻になりましたので、第5回「『働き方を変える、日本を変える行動指針』(仮称)策定作業部会」を始めたいと思います。
本日は、上川少子化担当大臣にお越しいただいております。
上川大臣から一言よろしくお願いいたします。
○上川特命担当大臣 御紹介いただきましたが、少子化担当大臣を仰せつかっております上川陽子と申します。
本日は、お忙しい中にもかかわらず、諸先生方におかれましては御参集いただき本当にありがとうございました。いよいよ中間取りまとめに向けての議論を集約する段階に入ったということで、私も実際に議論に参加したいと考えまして、本日、出席をさせていただいた次第でございます。
ワーク・ライフ・バランスの実現につきましては、国会においても少子化の流れを変える方法としてのみならず、我が国の社会のあるべき姿として、また、企業の生産性向上による競争力向上の観点からも大変重要な問題であるという御指摘がなされているところでございます。ワーク・ライフ・バランスの実現は大変幅広く、また、我が国の社会全般のあり方にかかわる大変大事な課題であると思っておりまして、こうした国会などの議論も踏まえながら、中間取りまとめに向けまして、引き続きの御熱心な御議論をよろしくお願い申し上げたいと思っております。
本日は最後まで参加させていただきますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
ありがとうございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、まず、前回までの作業部会における議論及び前回の作業部会以降事務局に寄せられた意見等を踏まえて作成されたワーク・ライフ・バランス憲章及び行動指針に盛り込むべき内容、数値目標の考え方、ワーク・ライフ・バランスの実現度指標の整理を順次説明していただきたいと思います。
まず、内閣府の濱田参事官から説明をお願いいたします。
○濱田参事官(少子・高齢化対策第2担当) それでは、私から、ワーク・ライフ・バランス憲章(案)、行動指針に盛り込む内容について簡単に御説明申し上げます。
まず憲章ですが、「いま何故ワーク・ライフ・バランスか」のところで、前回の御議論の中の、やはり仕事の大切さをちゃんと基本として打ち出すべきであるという御意見も踏まえまして、記述を改めさせていただいております。また、雇用労働者、サラリーマンが中心の記述にするという点につきましても、前回の御議論の中で、働く者の多くがサラリーマンであって、その家族を踏まえれば、国民の大半が働き方に左右されることも前提として我々は議論すべきであるという御議論を踏まえて、こういう書き方をさせていただいております。
その後、現実の社会につきましては、前回お示しした4つの姿をそれぞれ書かせていただいております。そして、それらの、悩み、苦しみは、日本人として切実なものであり、決してみずから選択した結果ではないというところでまとめさせていただいております。
その次のパラグラフにつきましては、共働き夫婦が増えてきた現実に加え、一方で、職場や家庭においては、働き方や男女の役割分担が変わっていないという現実を書いております。
次のパラグラフにつきましては、働き方の二極化について書かせていただいております。生活に不安を抱える正社員以外の労働者が大幅に増加している一方で、正社員の労働時間がますます長くなる傾向にある。そんな中で、企業の生産性は国際的に見て低いという状況を示しております。そうした中で、仕事と生活の間でフリクションが起こっている。さらに、そうした中で、家族や地域、社会が変わっていって、家族の団らんや地域社会が失われていって、そうした問題の一つの帰結が少子化であり、人口減少問題につながっているのだということを書きまして、こうした事態は、働き方に対するこれまでの考え方、制度が、近年の価値観、ライフスタイルの多様化に対応できなくなっていることを示していると結論づけております。
多様な選択を可能とするワーク・ライフ・バランスが今求められているということを書いております。
次の「明日への投資」という部分につきましては、それを企業の側面から見た場合についても、人口減少時代、労働力減少時代に労働者を確保・育成していくことの必要性を考えれば、ワーク・ライフ・バランスの取組は短期的にはコスト増としても、長期的に見れば明日への投資と考えられるということを書いております。
こうした共通認識のもとで、ワーク・ライフ・バランスにつきましては、まず労使が積極的に取り組んでいただくことはもちろんですが、国や自治体、すべての国民が協力して立ち向かうことによって初めて実現可能となる。個人の持つ時間は有限であり、その価値を高め、安心と希望を実現できる持続可能な社会を実現すべく官民一体となって取り組んでいくため、本憲章を定めるものであると前文を締めくくっております。
それから、「ワーク・ライフ・バランスが実現した社会の姿」については、前回もお示ししましたとおり、鍵括弧の中で定義めいたものを書かせていただき、その後で、3つの具体的な要素、方向性を書かせていただいておりまして、1番目が「みんなが仕事があり自立できる社会」、2番目が「みんなが生活のための時間があり、健康で豊かな生活ができる社会」、3番目が「みんなが一人一人のライフステージに合わせて、働き方・生き方を選べる社会」となっております。そうしたものが実現することで、先ほど申し上げた失われた家族や地域のつながりが再生し、少子化の流れも変えることができて、人口減少時代に、意欲ある方が皆さん働くことができる全員参加型社会が実現できる。企業にとっても、それが生産性向上や競争力の強化につながって、さらにそれらが相まって社会全体の持続可能性が向上するということで社会全体の姿を描いております。
それから、2から5までがそれぞれの果たすべき役割ということで、前回の御指摘の中に、指針と憲章の間がきちんと仕分けされていないという御指摘がありまして、憲章においては基本的な役割のみを書かせていただくことを基本姿勢としております。企業と働く者は協調して職場の意識や風土改革と働き方の改革に取り組む。
国民についても、企業経営者も働く人もそれぞれ職場を離れれば国民の一人であって、仕事外の生活では自分のワーク・ライフ・バランスのあり方を考えて、家庭や地域の中で積極的な役割を果たしていただく。また、消費者として求めようとするサービスの背景にある働き方に配慮していただく。
国の役割については、ワーク・ライフ・バランスの実現ということが社会全体の持続可能性のために不可欠であるという観点から、国民全体のワーク・ライフ・バランスの実現を図るために、国民運動を通じた気運の情勢や制度的な枠組みの構築、環境整備に積極的に取り組むということを書いております。
それから、地方自治体については、地域によって実態が異なり、ワーク・ライフ・バランスの現状がいろいろ異なるという観点から、地方自治体自らの創意工夫のもとに地域の実情に合わせて取り組んでいただくという点を書かせていただいております。
「行動指針に盛り込む内容について」でございますが、行動指針の性格につきましては、前回から申し上げているとおり、企業や働く者の取組や支援する国や地方自治体の施策の方針であるということでございます。
それから、「『ワーク・ライフ・バランスが実現した社会』に必要とされる諸条件」ということで、それぞれ先ほど<1>から<3>までで申し上げた3つの要素の中で、実際に必要な条件は何かということを書いております。
<1>が、「就労による経済的自立」については、若者が円滑に職業に移行できる等の4つのポイントをお示ししております。<2>の「仕事以外の時間の確保」につきましては、労働時間関係法令の遵守、長時間労働により健康を害することがないなど5つの点をお示ししております。<3>の「多様な働き方の選択」という観点で申し上げれば、子育て中の親、働く意欲のある女性や高齢者などが、ライフステージに応じて多様で柔軟な働き方が可能となる制度があり、実際に利用できることといったような3点を御指摘させていただいております。
前回はマトリックスになっていました各主体の取組をこうした形に整理させていただいていたものです。最初に書いてあるのは基本的な考え方で、こうした実現の取組は、企業で働く者が自主的に取り組んでいくことが基本であるけれども、社会の持続可能性にかかわるものであり、国と地方自治体もそうした個人や企業の取組を積極的に支援していくことが基本的な考え方であるという点です。
まず1番目、「企業、働く者の取組」ということで、企業トップ、労使で取り組んでいただく問題、管理職の方に意識していただく問題、働く方個人に取り組んでいただく問題ということで、「総論」のところで横串の横断的なことを書かせていただいております。それから、「就労による経済的自立」のところは、代表例として、トライアル雇用などを活用しつつ、フリーターを含め、人物本意の採用を行うといったような3点を書かせていただいております。それから、「仕事以外の時間の確保」については、時間外指導基準を含め、労働時間関係法令の遵守の徹底というような3点を書かせていただいております。「多様な働き方の選択」については、短時間正社員、在宅就業等々、個人が置かれた状況に応じた柔軟な働き方を支える制度の整備、それらを利用しやすい職場風土づくりといったような点を3点書かせていただいております。
それから、「国民の取組」につきましては、ワーク・ライフ・バランスに対する相互理解であるとか、積極的な家族や地域における役割を果たすといった点、それから、消費者の一人として、サービスを提供する労働者の働き方に対する配慮といったものを書かせていただいております。
3番目が「国の取組」ですが、「総論」のところで、横断的な取組、ここでは「ワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けた枠組み作り」としてくくらせていただいておりますけれども、気運の醸成や合意形成に始まり、いろいろな制度的枠組みの構築、働き方に中立的な税・社会保障制度のあり方の検討、それから、ざっくり書いてありますが、取組企業への支援ということを書かせていただいております。それから、「就労による経済的自立」ということで、学齢期からのキャリア教育等3つの点を書かせていただいております。「仕事以外の時間の確保」ということで、労使による労働時間設定の改善の取組を支援するといったような4つの点を書かせていただいております。「多様な働き方の選択」ということで、多様な働き方の推進、育児休業等々書いてありますけれども、そのための条件整備など、3つの点を記述させていただいております。
「地方自治体の取組」につきましては、地方の実情に応じた理解の促進や合意形成をはじめ4つの点を整理させていただきました。
「4 数値目標」につきましては、前回、厚生労働省から御説明させていただきました内容をここに書かせていただいております。
「5 実現度指標の在り方」につきましても、現在、男女共同参画会議の専門調査会のほうで検討を進めておりますけれども、とりあえず現在の考え方ということで取りまとめさせていただいております。
以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
それでは、この憲章あるいは指針は、政府が、各府省の壁、部局の壁を越えて連携し一体となって取り組むものだという趣旨がありますので、参加していただいております役所からお話を伺いたいと思います。
最初に、厚生労働省の生田参事官から、数値目標について御説明をお願いいたします。
○生田参事官(厚生労働省) 厚生労働省の生田でございます。お手元の資料3で御説明いたします。これは前回、10月18日に御説明しました内容に若干の修正を加えておりますので、修正点を中心に御説明したいと思います。
1ページめくっていただきますと一覧表がついております。この順に御説明しますと、
まず分類の考え方としましては行動指針の3要素に振り分けることとしますが、前回、必ずしもそのような整理になっていませんでしたので、その3要素に振り分けております。従来、就業率につきましては、共通事項ということで書いてありましたけれども、「みんなが仕事があり自立できる」というところに一番かかわりが深いだろうということで、そこに含めまして、最初の項目に「就業率」、「フリーターの数」、「第一子出産前後の女性の継続就業率」というのを含ませていただきました。
就業率につきましては、前回説明したとおりですけれども、1ページめくっていただきまして、「別紙」で、年齢別の現在の実績値と2012年、2017年の数値目標が書いてあります。この60歳から64歳と、65歳から69歳につきましては、従来、男女別に表示していたのですけれども、特段その差を設けるということではなくて、一体的に目標を設定すべきではないかと再整理いたしまして、一体的な数字で目標を掲げております。
1ページめくっていただきまして、<2>「フリーターの数」です。これにつきましては、今回新たに数値目標に加えさせていただいているものですけれども、もともと再チャレンジ支援総合プランなり、あるいは、進路と戦略という政府決定の中で、フリーターの数を減らすことが目標として定められておりまして、現在、2003年の数字を2010年までに8割に減らすという目標値が設定されております。それにつきまして、現状の数字は187万人ですけれども、ピーク時の平成15年に比べて、5年後には4分の3、10年後には3分の2に減らすという目標値を設定させていただいております。今のペースを引き続き維持し、さらに加速するという考え方です。
もう一つ新しく加わったのが、<10>の「保育等の子育てサービスを提供している割合」です。これにつきましては、前回、別欄で、まだ目標値の設定ができないということで整理していましたが、今回、保育サービスにつきまして、5年後に29%、10年後に38%。それから、放課後児童クラブにつきまして、5年後に40%、10年後に60%という数字を入れさせていただいております。これにつきましては、こういうサービスを利用することを希望される方が利用できることを10年後の数値として設定し、それに向けて取り組むという意味での目標値でございます。
続いて、目標値の考え方につきまして、前回、説明はしているのですけれども、再度整理して順に御説明したいと思います。
まず、全体的な考え方につきましては、資料3の1ページ目に書いてあるとおりで、これは前回御説明したとおりです。繰り返しですけれども、これにつきましては、国民、企業、政府等の取組を推進するための社会全体の目標として、政策によって一定の影響を及ぼすことができることについて目標値を設定するもので、数値目標につきましては、社会全体として達成することを目指す目標であって、個々の個人や企業に課されるものではないということを再確認しておきたいと思います。
順に御説明いたします。
<1>の「就業率」につきましては、先ほど申し上げたようなことです。この考え方は計量モデルを用いて推計しておりますけれども、一定の政策効果を見込んで将来見通しを出した数字です。
<2>の「フリーターの数」につきましては、フリーター比率、すなわち、15歳から34歳の労働力人口に占めるのフリーターの数の割合でして、これを現状よりも1%以上減らすことを想定した数字です。
<3>の「第一子出産前後の女性の継続就業率」につきましては、両立環境が整わないという理由で、退職した女性が、仮に継続就業できた場合の10年後の目標値として設定しております。
<4>の「労働時間等の課題について労使が話し合いの機会を設けている割合」につきましては、理想的な水準を10年後のところに書いてあります。
<5>の「週労働時間60時間雇用者の割合」につきましては、既に、子ども・子育て応援プランで目標が設定されておりますけれども、それをさらに加速させて、60時間以上の雇用者の割合を減らすということで目標を設定しております。
<6>の「年次有給休暇取得率」につきましても、子ども・子育て応援プランの政府決定がありますけれども、それをさらに加速させて、完全取得という理想水準に近づけるという考え方で設定しております。
<7>の「心の健康対策(メンタルメルスケア)に取り組んでいる事業所割合」につきましては、取組が進んだ場合に理想的に達成される水準を10年後のところに書いてあります。
その下に、<8>の「働き方の柔軟度」に「テレワーカー比率」があります。これにつきましては、テレワーク人口倍増アクションプランという政府設定が既にありまして、そこに書いてある2010年まで倍増という数字をそのまま整理させていただいたものです。
同じく<8>の「短時間正社員制度の導入割合」につきましては、育児・介護に加えてそれ以外の要因で短時間正社員制度を導入していただいている企業の割合ということですけれども、今回ここに書いてある50%という設定につきましては、育児のための短時間制度導入事業所割合は、それだけであれば50%ありますので、10年後にはそれに近づけたいという考え方で設定させていただいております。
<9>の「労働者の自己啓発支援」ですけれども、この労働者割合につきましては、自己啓発をしたいという労働者の希望が実現した水準を10年後として掲げております。その下の事業所の自己啓発支援ですけれども、これにつきましては、労働者の自己啓発が実現できるように、その取組に合わせて一定の水準アップが図られるといいということで、理想水準として設定しているものであります。
<10>の「保育等の子育てサービスを提供している割合」につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。
<11>の「男女の育児休業取得率」につきましては、子ども・子育て応援プランで既に目標値を設定しているもので、女性80%、男性10%の目標が既にありますのでそれを書かせていただいております。
一番下の<12>の「6歳未満の子どもをもつ男性の育児・家事関連時間」ですが、これにつきましては、子ども・子育て応援プランの中で、先進国並みにするという目標が既に掲げられておりまして、先進国の中でフランスの水準が一番低い水準ですので、少なくともフランス並みにするという意味で、2時間半という時間を最終目標として掲げさせていただいております。
以上でございます。
○柴田政策統括官 座長、失礼します。
○樋口座長 どうぞ。
○柴田政策統括官 厚労省にお願いがあります。今、数値目標について説明いただきましたけれども、口頭で聞いていてもわからないです。先生方が前回、そこのところの説明をきちんとしてくれという話ですから、きちんと資料で出してください。そうでないと、こんな進め方をしていては、わからないまま前に進まなければいけないことになりますから。
○樋口座長 その点、よろしくお願いします。
○生田参事官 はい。整理してお配りしたいと思います。
○樋口座長 続きまして、実現度指標について、男女共同参画局の神田課長から説明をお願いいたします。
○神田調査課長(男女共同参画局) 前回、御質問などがありました行動指針と実現度指標との関係について、御説明をしたいと思います。
実現度指標については現在検討中でありまして、今後、修正があり得ることをお含みおきください。
まず、実現度指標とは何かということですが、我が国の社会全体で見た「ワーク・ライフ・バランスの実現の状況」及び「官民の取組状況」を数量的に把握するものです。特に、前者の「ワーク・ライフ・バランスの実現の状況」については、「仕事・働き方」、「家庭生活」、「地域活動」、「学習や趣味・娯楽等」、「健康・休養」の5分野ごとに整理させて進捗状況を図るということでございます。
これと行動指針の中の3要素との関係ですが、それは下の表を御覧いただきたいと思います。例えば、実現度指標の中では、「仕事・働き方」の分野の指標が多いわけですが、そこがどうこの3本の柱に整理されているかということで、まず2のところ、「みんなが生活のための時間があり、健康で豊かな生活ができる」ということですと、まず「仕事・働き方」の枠を取り払いますと、
○印として、「仕事のための拘束時間が過度に長くなっていないか」、こういうものを指標で測定していきたいと思っています。
あと、3つ目の柱のところにありますように、「みんなが働き方、生き方を選べる」というところですが、そこの一つ下に下がっていただきまして、「多様な主体が希望に応じて働けるか」ということが出てくるのかなと思います。また、その下にありますように、「希望する働き方を実現する機会は設けられているか」ということもここに整理できるかと思います。
また、第1の柱、「みんなが仕事があり、自立できる」というところですが、これも2つ目の
○印にありますように、「仕事・働き方」の中では待遇面での公平性はどうなのかというところが、恐らく、この第1の自立できるのかというところに整理できるのではないかと思います。
ほかの分野については、「家庭生活」、「地域活動」ということですけれども、それは第2の柱の中で、例えば「家庭で過ごす時間はとれているか」というところ、また「地域活動」についても、「希望する人が地域活動等に参加できているか」というところで2つ目の柱に整理されるかと思います。
「健康・休養」については、第1の柱にありますが、「仕事を通じて心身の健康を害することはないか」というところで整理されるのかということであります。
このように、指標づくりは5分野でやっていますが、5分野の枠を取り払って、この3本柱に整理することも可能と。それをフォローすることによって、この3本柱がどう進んでいるかということも把握できる仕組みになっております。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
数値目標ではとらえられないような指標も含めて、この実現度指標の中では扱っていくという趣旨でそれはよろしいわけですね。
○神田調査課長 はい、そうです。
○樋口座長 わかりました。 そうしましたら、生産性の話ですが、生産性の向上等について、先ほどは厚労省関係の数値目標の説明がありましたが、経済産業省として現在どのような検討を進めているかについて御説明いただけますでしょうか。
○高橋経済社会政策室長(経済産業省) 経済産業省でございます。
まず、生産性の数値目標については、今年の夏に大田大臣のもとで全政府で取りまとめた「成長力加速プログラム」の中に、御案内のとおり、「生産性の5割増を目指して」ということが書いてあります。そこに、本文の中にはどこまで明記されているかわかりませんが、過去10年間の平均1.6%を2.4%にするということが、本文ではないかもしれませんが、書いてあると思いますので、政府としてはそれを目指してやっていくことに尽きると思います。
ただ、経済産業省として、当然、そのための主要なパーツについて政策として取り組むべきということはよくわかっておりますので、私どもはまず、経済成長戦略大綱を取りまとめて、そのもとで、ITやサービスといったところの生産性の向上に向けた施策を行っております。また、特にこの場合、中小企業が問題になるのだと思いますが、中小企業については、とりわけそこに施策の焦点を当てたプログラムパッケージをつくっていまして、「IT化の促進」とか「省力化投資の促進」であるとかに加え、ノウハウを持った方、例えば大企業来のOBの方などを想定していますが、を中小企業に派遣して、コンサルティングに乗ってもらう事業の拡充を検討したりしております。
もう一つ、下請取引の適正化という話があって、この会議の場でも議論になっていると思います。そこについては、「生産性の向上」という中で、大企業と中小企業との間で適正な利益シェアということで、中小企業の生産性を上げようという観点から、この下請取引の適正化にも取り組んでおります。ただ、下請取引につきましては、公取等といろいろな調整があって、やや寄せ木細工のようにつくってきたものがここにはありますので、その位置づけに苦慮しているところです。いずれにしても、こうしたいろいろなものを「生産性の向上」に絡めてそれは引き続きやっていかなければいけないと思っておりますし、いろいろな場で甘利大臣もそのような旨を申し上げさせていただいておりますので、引き続きそれについては全力でがんばりたいと思っております。
以上でございます。
○樋口座長 よろしくお願いいたします。来年度の予算にも関連してくることですので、ぜひ早急に対応をよろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、文部科学省から、キャリア教育の取組について御説明をお願いいたします。
○大西進路指導調査官(文部科学省) 本日はお招きいただきましてありがとうございます。
私どもから、今日、机の上に2つのパンフレットを置かせていただいております。1つが、ちょっと古いものですが、平成17年5月につくりました「キャリア教育の推進に向けて」というものと、「『キャリア・スタート・ウィーク』の更なる推進に向けて」という2つのものを用意させていただいております。
まず、「キャリア教育の推進に向けて」のパンフレットをお開きいただければと思います。文科省におきましては、「キャリア教育」という言葉自体は、平成11年の中教審答申において初めて言葉として出てきました。ただ、「キャリア」という言葉の定義づけが、人それぞれ解釈が違うということもありまして、教育を進めるに当たってはどう定義づけするかということで、平成14年度に協力者会議を立ち上げて検討を進めた結果が、開けていただいたところの左上にあります「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」です。
キャリア教育を求められる背景というのは、社会の変化であるとか、あるいは、学生個人についても、個人の資質能力であるとか、上から4つ目のところは、人間性というか、社会性というか、そういうところの欠如であるとか、あるいは、モラトリアム傾向が強くなってしまって、進学も就職もしなかったり、これはニートにつながっていくと思います。あるいは、何を学びに進学していくのか、そういう目的が希薄なまま進学するような学生が増えてしまったということが背景にありました。
それで、この協力者会議におきまして、もう一度言葉の定義づけと、何を取り組んでいくかということを検討していただきまして、そこにありますように、「『キャリア』教育」として、「『児童生徒一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしいキャリアを形成していくために必要な意欲・態度や能力を育てる教育』ととらえ、端的には、『児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育』とする。」ということで位置づけております。
従来、学校教育の場合は、小・中・高等学校につきましては、学習指導要領の中で、例えば中・高については、進路指導ということで特別活動の中の進路指導ということで取り組まれていましたし、それぞれの各教科で、例えば小学生であっても、社会科の教育教科の中で地域の職場訪問をするとか、調査をするとか、そういうことが盛り込まれております。小・中・高については、そういう形で進められてきております。
大学部分につきましては、大学の自治地がありますので、大学の教育は大学がそれぞれ考えていく形で進められております。大学の場合は、特に入り口から出口までということで、就職とか、従前から問題意識を持っておりまして、各大学で取組が進んでいるところであります。
私のところは小・中・高等学校についてですが、それについての具体的な事業としては、さらに大きく開いていただきますと、左から2つ目のところに「新キャリア教育プラン推進事業の実施」ということで、まずは、小・中・高において、どのように教育課程に位置づけていくかという問題がありますので、調査研究を、48の地域を指定して全国で実施していただきまし。これにつきましては、その成果につきまして、近々、DVD等で調査研究報告書という形で、私どもの国立教育政策研究所から提供させていただくことになっております。
それから、その隣にあります「キャリア教育実践プロジェクトの実施」で、これは中学校の職場体験事業ですが、平成17年から実施してきております。平成18年度で全国で約1,000校の学校に、5日間の職場体験について実施していただきました。
それから、この後ですが、平成19年度からは、高等学校の普通科のところでのキャリア教育の実践ということで、調査研究を始めさせていただいております。
もう一つのパンフレットに、「『キャリア・スタート・ウィーク』の更なる推進に向けて」ということで、これは5日間の職場体験について取り出したパンフレットです。これについては、後ほど内容等を見ていただければと思います。
以上で終わります。
○樋口座長 ありがとうございました。文部科学政策もワーク・ライフ・バランスには関連するテーマで、ある研究者の研究によると、学生時代に家庭科の授業を受けたか受けないかで、その後大人になった時に、性別役割分担に対する意識が非常に大きく違うというようなことも指摘されておりますので、できる限り数値目標に盛り込むことができるようなものがありましたら提出していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、今まで各府省から御説明いただきましたが、これについて御議論していきたいと思います。
多岐にわたりますので、まずは憲章と行動指針のところまで、行動指針も数値目標の前のところまでについて御議論いただき、その後、数値目標等々について御議論いただきたいと思いますので、どなたからでも結構ですので御自由に御発言いただきます。いかがでしょうか。
○紀陸委員 まず憲章についてですが、前回、18日に骨子をお示しいただいて、いろいろ論議をさせていただきました。その上で、このペーパーを昨日の段階で拝見させていただきました。基本的に、この「ワーク・ライフ・バランス」という言葉自体、国民になじみが薄いので、読みやすく、わかりやすいという点の強調が必要だと思います。
私ども、ここにおられる坂田委員、田中委員とも相談させていただいて、口で言っているだけでは皆様方にもなかなかおわかりいただきにくいかと存じますので、資料1の憲章の案に対する改訂案を検討させていただければと思います。その点につきまして、樋口先生の御了解をいただきたいと思います。
○樋口座長 私の了解というよりも皆さんの了解になるかと思いますが、前回の議事録を私ももう一度読ませていただきました。そのときに確かに、坂田委員から、今回出す憲章はコンパクトなものがいいという趣旨の御発言があったかと思います。その後、各委員からそれについての御意見をいただきまして、古賀委員あるいは八代委員から出ておりまして、特に八代さんから、この憲章についてのボリューム感についてという発言がございました。その中で言えば、緊要性ということを考えると、長さは趣味の問題ですけれども、憲章だけ読んである程度わかるような内容のボリュームは必要かと思いますというような御発言があり、その後、皆さんの御意見をいただきまして、私からお諮りして、異議なしということをいただいたと速記録に残っております。
この点、今回どのように扱ったらいいかなと考えておりまして、皆さんから、使用者側が取りまとめたペーパーを配付したいということについてどのように扱ったらいいかについて、御意見がございましたらお願いいたします。
○古賀委員 せっかくつくっていただいたのですから、参考に、ぜひ見せていただいて議論の対象にしてはいかがかと思います。
○樋口座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(発言なし)
○樋口座長 それでは、配っていただけますでしょうか。
(資料配付)
○樋口座長 それでは、これにつきまして、紀陸さんから御説明をいただければありがたいと思います。
○紀陸委員 ありがとうございます。かいつまんで、本日の資料1に対する改訂の素案としておりますが、私どもも余り時間をかけてということはできませんでしたけれども、本日の御論議の対象とさせていただく意味で配付させていただきました。ありがとうございました。
前文のところを少し縮めさせていただきました。というのは、皆さんが読むときに、憲章というものは、全体を含めてそんなに長文のものではなかろうと。大体そこで何を言われているのかということをまず読み取って、かつ、その後に指針のほうに目が行くという流れではないかと思いまして、エッセンスをわかりやすく書くという意味で、特に前文のところにおいては、働き方に関する現状認識、特に、資料1のほうでは情緒的な書き込み例が多いものですから、現状が真っ暗で先の展望も全くないような書きぶりなので、そこまで暗く書く必要はないだろうと。特に、ワーク・ライフ・バランス推進の意義、ワーク・ライフ・バランスの取組の意義、そこをわかりやすく書くことのほうが大事ではないかという認識でおります。要するに、今、このままで行くと、企業も個人も、仕事の面でも、家庭生活の面でも負担が多くなる、だから働き方とか仕事のやり方を変えていって先行きの展望を開こうと、そんな趣旨で書いて、それで十分ではないかと。
さらに、「ワーク・ライフ・バランスが実現した社会の姿」のところで、従来から、<1>、<2>、<3>の大きな柱となっていました。ただ、それぞれが、先ほどの資料1の3ページ目のところに記述がありますが、<1>として「みんなが仕事があり自立できる社会」、<2>として「みんなが生活のための時間があり、健康で豊かな生活ができる社会」、<3>として「みんなが一人一人のライフステージに合わせて、働き方、生き方が選べる社会」とありますけれども、これは確かに、こういうことが完全に実現して、こんなハッピーな社会はないだろうというイメージをここで与えているんですけれども、本当にこのワーク・ライフ・バランスの論議というのはここまで考えてこれまで論議されてきて、本当にこれからもこれをねらっていけるのだろうかと。ここまで広がりを持った論議をしてきたつもりもありませんし、これからもそういうことはできにくいだろう。要するに、余り風呂敷を広げていくと、中身がどんどん大きくなっていって取組がしにくい。こういう本当にハッピーな世界を目指してどうやって取り組んでいけるのだろうかと、自信がなくなってきてしまうわけです。そういう意味で、余り風呂敷を広げないで、目標をある程度絞った上で、どのようにしたら取組やすいことになるだろうかということを念頭に置いて、憲章の素案を直してはどうか。
そういう意味で、筋立ては現行の資料1の流れを余り変えていません。刈り込むところは刈り込ませていただいて、できるだけ全体の枠組みは壊さない範囲で、少し縮めたと。かつ、風呂敷を広げないようにという意味で修正をさせていただいたところであります。
私どももこれで完全だとは申し上げませんが、少し、刈り込みないし焦点の絞りが必要ではないかということで改訂の素案とさせていただきました。
以上です。
○樋口座長 ただいまの御説明について、あるいは、先ほど事務局から示されました案について御審議願いたいと思いますが、今は憲章について提出されたわけですが、行動指針に盛り込む内容についてはどんな感じでしょうか。
○紀陸委員 申しわけありません。本当は、時間があれば、憲章の改訂素案と同時に行動指針のほうも提出しなければいけなかったのですが、時間が間に合いませんでしたので、追っつけてできるだけ早く行動指針の改訂案も提起をさせていただきたいと思っております。基本的にこの改訂素案に即して指針のほうのあれも出したいと思っております。
○樋口座長 いかがでしょうか。
どうぞ。
○横山委員 まず、事務方から御説明をいただきましたワーク・ライフ・バランス憲章と、今、紀陸委員からいただいた部分ですけれども、私、この場で、ワーク・ライフ・バランスというのは、男性とか女性、非正規とか正規、あるいは、家族的な責任を持っている、持っていないにかかわらず、すべての部分が対象にするべきものだということを申し上げてまいりました。そのような観点から見ますと、今、紀陸委員から御説明をいただきました「ワーク・ライフ・バランスが実現した社会の姿」の真ん中中断以降のところで、<1>、<2>、<3>とありますが、<2>のところで「自らのための時間が持てる」あるいは<3>で「個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択できる」とありますけれども、ここだけの説明では、今までの世の中の流れが、どちらかというと、ワークが男性でライフが女性というような観点で、家族的責任を持つというと、やはり女性のほうに負担が行ったというところが、現行の、ずっと続いてきた中に根深くある問題で、置かれた状況ということで書いてしまいますと、やはり女性に負担が行ってしまい、男性は今、特に30代の男性ですけれども、仕事以外のワーク・ライフ・バランスが保てないという部分が改善されないのではないかという意見が一つです。
もう一つは、最初に事務方から御説明いただいたところですけれども、できれば、小さな文言の修正をお願いしたいと思います。3ページ、「ワーク・ライフ・バランスが実現した社会の姿」の1番で、「ワーク・ライフ・バランスが実現した社会とは」とありまして、<1>に「みんなが仕事があり自立できる社会」の中の3行目、意味合いはわかるのですが、「希望すれば結婚することや子供を持つことができる」となっています。この「子供を持つことができる」というのは、やはり不妊とかで悩んでいる方とかもいますので、希望すれば持てるとしてしまうとちょっと抵抗感がありますので、「可能になる」ということなのかどうかわかりませんけれども、少しこちらの言い回しを変えていただきたいと思います。
以上です。
○樋口座長 まず皆さんから御質問、御意見を伺っています。
○武石委員 私、2回ほど欠席しているものですから議論を十分に把握していない部分もあるのですけれども、議事録を読ませていただいております。
紀陸委員から案をいただいて、2つの案が出ているわけですが、率直に言って、これまでの議論の中で、今、どうしてワーク・ライフ・バランスが必要かというところで、従業員のニーズとかそういうこと以上に、社会の変化の中でワーク・ライフ・バランスが求められているいろいろな状況があるということの議論をずっと丁寧にしてきたように思います。その部分というのは省略してはいけないと思っています。ワーク・ライフ・バランスというものが一般に十分正しく理解されていない部分も多い現状にあっては、どうして今ワーク・ライフ・バランスかという議論から始まるというのは必要なのではないかと思っています。
ただ、先ほど紀陸委員がおっしゃったのですが、「みんなが」という言い方は私もちょっと気になりました。つまり、「みんなが仕事があり」と言ってしまうと、仕事がない選択をどう評価するのかという部分があって、仕事がないことも一つのワーク・ライフ・バランスだと思いますので、その辺の書きぶりはもっと多様性がある中身にしていくべきではないかと思います。
私はむしろ、事務局からお示しいただいたワーク・ライフ・バランス憲章の中でもう一つ書き足りないと思っている部分があります。例えば、「明日への投資」というところは、企業の視点で「明日への投資」ということが書かれていますが、もう一つ、労働者の視点としても、自己啓発、あるいは、キャリアを自分で考えていくというのは、将来に対する自分への投資になると思います。それは、変化が激しい今の社会の中では、そういうことを推進するというのは社会全体にとってもメリットがあることだと思いますので、こういうところにもっと、自己啓発とか生涯学習の視点を入れていただいて、育児とか介護だけではなくて、自己啓発あるいはいろいろな活動を支援するワーク・ライフ・バランスなのだということを、むしろ全体としてもう少し強調していただきたいという気がしました。
それは、3ページのところにも、「ワーク・ライフ・バランスが実現した社会の姿」の<3>のところに、ライフステージに合わせた働き方ということがありまして、ここも育児・介護を中心に書いてあるのですけれども、例えばここにも個人の、自分のキャリア開発のための学習というものも例示していただくと、よりいろいろなライフステージが包含されるのではないかと思います。
ですから、私は、紀陸委員の御提案では、今までの議論が随分捨象されてしまっているという印象を受けました。
以上です。
○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。
○山川委員 私も、今の武石委員の御発言と基本的に同じような感じを持っております。ただ、先ほど紀陸委員から御指摘がありました情緒的な表現は確かにちょっと入っているかなと。私は法律分野なので余り情緒的な表現はふだんは使わないという感覚ですので。ただ、憲章だから多少情緒的になったほうがいいというお考えがもしあるのであれば、それも一つの考えかなとは思いますけれども、ちょっと表現ぶりを考える必要があるかなと思います。
もう一つは、実は、私は、内閣府からの御提案のほうに、やはり武石委員と同じですが、補充したほうがいいのではないかという感じを持っています。特に4ページ、前後のバランスが余りよくないというのはおっしゃるとおりで、前回は休んでしまいましたので議論をフォローしていないのですが、4ページの「関係者が果たすべき役割」のところが、前の部分に比べると余りにも少ないので、例えば先ほどの3本柱に即したような形の記述にしたほうが、バランスとしてはとれているのかなという感じがいたします。
ただ、今回、先ほどお出しいただいた紀陸委員の提案の「生産性の向上に努めつつ」などというところは、むしろ、企業と働く者、これまでの会議でもかなり生産性向上は重要であることは共通の認識だと思いますので、「関係者が果たすべき役割」に入れるというのは考えられる。いずれにしても、こちらをむしろ具体化したほうがよいのかなという感じがいたします。
もう一つは、先ほどの「明日への投資」のところで、これは言わずもがなになるかもしれませんが、「企業にとってマイナスである」ということが具体的にどういうイメージなのかわかる記述があったほうがよろしいかなと。端的に言えば、労働力を十分に活用できなくなるということですけれども、先週の金曜日の日経新聞を見ましたら、男性の一般職志向が増えてきたという記事が載っていて、それで企業が対応に苦慮しているという記事がありました。そういう働き方を望む方がいること自体は、選択ですから何の問題もないのですけれども、それが、例えばワーク・ライフ・バランスとか考えて、十分に働くという選択肢をした場合には、大変だから一般職のほうを選択せざるを得ないという感覚だとしたら、むしろ人材活用が損ねられているという感じですので、例えば、「企業にとってマイナス」になるというのが、ワーク・ライフ・バランスの実現が図れないと、かえって従業員あるいは労働者の意欲を損ねるおそれもあるとか、そういう視点も入ってもいいのかなと思います。
最後に、先ほどの紀陸委員からお出しいただいた提案についての質問が1点あります。1ページ目の2段落目に、「これまで培われてきた良き勤労観を維持しつつ」の部分の意味で、確かに、一生懸命に働くということはそのとおりですが、そういう意味で、つまり、働きがいが持てる働き方、そういうことでよろしいのかどうかお伺いしたいと思います。
以上です。
○樋口座長 それでは、今の御質問の細かいところからいかがでしょうか。「培われてきた良き勤労観を維持しつつ」と。
○紀陸委員 あるいは、ここも情緒的なのかもしれませんけれども、基本的には、資料1の前文のところが、要するに、現状の問題点の指摘というところですけれども、何か、印象として、今までの働き方を全部否定しているような書きぶりに読み取れます。そうではなくて、働き方の改革というのは基本にあると私どもも思っております。ただ、その場合に、悪いところは是正していくという意味で、今までの中でも、全部だめなのではなく、努力すれば報われるということもありますよね。そういう意味で、ここの「良き勤労観」ということを使っています。ここもちょっと舌足らずかもしれませんけれども、いいところは残して、悪いところは是正していく、そういうようなニュアンスで使わせていただいております。
○樋口座長 よろしいでしょうか。
○山川委員 はい。
○樋口座長 ほかにどうでしょう。
○古賀委員 武石さんと山川さんの意見と一緒のようなことになるのですけれども、紀陸さんから出されたワーク・ライフ・バランス憲章、とりわけ前段の部分は、これでは余りにも現在の実態とか課題みたいなことが浮き彫りにならない。したがって、事務局から出されたものぐらいのことは、私はきちんと書くべきだろうと思います。
ただ、何度も出ておりますように、表現が、私が言うのも何ですが、「苦しみ」とか、あるいは、さっき紀陸さんと山川さんの論議になりますが、「仕事に専念するという旧来の習慣が根強く残っており」とか、こういうところは少し書き換えることが必要ではないかということと、紀陸さんが出された前段の部分でも、いいキーワードはあると思いますので、そういうものをこちらに少し移していくことは必要だと思います。前回も私は申し上げましたけれども、憲章をわかりやすく国民に伝えるためにはまた違う手法があると思います。ダイジェストで1枚で示すとか、そういうことがあるわけですから、この事務局原案を少し表現あるいはワードを少し入れ換える等々をやるべきだと思います。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
今日が5回目ということで、過去4回について皆さんでいろいろ議論してきたのだろうと思います。その中で、例えば田中さんから提示していただいた生き方あるいは暮らしということについても、我々はワーク・ライフ・バランスとして考えていくべきだろうというようなことで、基本的な合意はそこはあったのではないかと思います。
今日は、紀陸さんを含めてお三方のお名前で出された内容を見ますと、分量が減ったというだけではなくて、分量と同時に、従来議論してきた、わりと重要だといったところが、仕事というところに全部落ちているのかなという感じがします。例えば<3>のところですと、「柔軟な働き方」ということですが、従来からあったのは、働き方と同時に生き方、人々の暮らしについても選択肢をということがあったわけですが、今回提出されたものを見ますと、落ちている。あるいは、<1>のところは、従来は、若者というよりも、もっと広く、例えば第一子を出産した後でも子どもを持ちながら働き続けることができるようにということであったのですが、それが今回は見当たらなくなってきています。その点、どのように考えたらいいかと思っています。
ワーク・ライフ・バランス憲章という形で、社会にこういった問題を問うていくという趣旨を我々は持ってきたわけですが、もし、これであれば、それぞれの労使で議論すればいいことであって、ワーク・ライフ・バランス憲章まで作って、政府全体で掲げてというようなことをやる必要もないのではないかと思うところもあるのですが、その点、いかがお考えでしょうか。
○紀陸委員 後のほうからいきますけれども、特に、「実現した社会の姿」の目指す方向の<1>、「みんなが仕事があり自立できる社会」は、「とりわけ若者が」として、みんなが、みんながということで広がりすぎるという点を絞っておりますが、若者だけということではなくて、そこはある程度広がりを持ったとらえ方をしている意味で「とりわけ」と書いております。決してほかの人たちは対象外という意味ではありません。
もう一つ。今、樋口先生がおっしゃった、ワークとライフの特にライフの部分ですが、私どもは、ここは資料1の案と余り変わっていませんで、定義をきちんとすることによって、個人の生活の部分をどうするかというところは個人の自助的な責任だろうと。ここは、企業とか社会、国などがああしろこうしろという世界ではないので、自分たちの生活の中身をどういうふうにやるかというのは個々人の責任の領域なので、余り踏み込む必要はないのではないかと。我々が意図的にここを外しているというわけではなくて、そこの重要性は決して否定するものではありませんが、人の行動とか人の心の中に余り入っていくことまで必要ないのではないか。定義としてきちんと、一人一人がやりがいとか生きがい、充実感を感じながら云々、ライフステージに合わせて多様な生き方ができるとかと書いておけば、大きなねらいは憲章が目指す方向を示しているわけですから、憲章はこれでいいだろうと。
あと、仮に、行動指針の中で取り上げるところがあれば取り上げて、こういう建て付けでいいのではないか。個人がなかなか自助努力で変えられないところは働き方の部分で、そこはまさに多くの人は企業や組織の中で働くわけで、そこは使う側と働く側の両方が一緒になってやる。あるいは、それでもできない部分は国とか自治体が後ろでサポートする。そこが特に必要なので、そこに大きなねらいの焦点を当てればいいのではないかというのが私どもの考え方です。
○樋口座長 もともと我々が議論してきたのは、生き方について、こういう生き方じゃなくてだめですよという話ではないわけです。自分の考えに基づいてそれが選択できる環境をどうつくっていくかということを言ってきたのですが、それが落ちてしまうことになる。確かに、仕事が大きな制約になっていることは間違いないわけですが、それだけではない問題というので、今回、いろいろな指標、目標値が提示されているわけですね。これは、旧労働省関係のものだけではなく、その他の厚生省のほうもありますし、あるいは、経産省、文科省というところについても議論しているわけで、何となく個別の話になってしまっているのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
○紀陸委員 そこは繰り返しですけれども、働き方とか就労形態、就業形態をさまざまにしようということは、個々人が生きがい、やりがいを持つとか、仕事と家庭の充実感を持つとか、それがねらいですよね。そのために、広い意味での働き方を変えていく。これは企業労使だけではありませんよね。もっと広い、全く個人の生活を充実させるための違った社会参画の仕方がいろいろあるかと思いますが、そこの部分を変えていく。それが、何のためにということがこの定義の中に織り込まれているわけですから、決してそこは関係ないということではなくて、両方が常に対になっていて、片方を変えれば片方に当然その影響が出るような形で両方ともよくなる、それを狙うのがワーク・ライフ・バランスではないか。
恐らく、各国とも、ワーク・ライフ・バランスというのはそういう形でされてきていると思います。ワークも、ライフもよくやって、そのバランスをとりましょうというと話が非常に複雑になってくる。そこの部分は、まさにライフの中に余り立ち入らないで入っていくと、まさにさっきの風呂敷を広げるという話になりますので、そこは余りやるべきではないのではないか。そこは恐らく、外国の事情は余り知りませんけれども、イギリスとかヨーロッパにおけるワーク・ライフ・バランスの論議も、そういうような流れで行われてきているのではないかと思います。
○古賀委員 いいですか。
○樋口座長 はい、どうぞ。
○古賀委員 紀陸さん方が出したペーパーも、社会の姿の前提、その前段で、「ライフステージにおいて多様な生き方が選択・実現できる社会」と書いてありますね。だから、事務局が出したペーパーに、働き方とか生き方が選択できると書いても別にいいのではないですか。そのくらいは。
○紀陸委員 いやいや、決してそっちの論議をしなくていいということではなくて、同じ比重で論議の仕方をしなくていいだろうと。我々は、先生が言われたように完全に捨象しているわけではないので、そこの議論は要りませんということではなくて、議論の重点はこっちにある、ワークのほうの見直しに重点があるのではないか、そっちの流れのほうが理解されやすいという意味です。決して、バサッと切り捨てて論議したほうが言っているわけではありません。我々も、これは国民運動と言っているものですから、いろいろな広がりの中で論議をすることの必要性は決して否定しておりませんけれどもということです。
○樋口座長 ですから、否定しないのであれば入れておけばいいのではないかという御質問だと思います。
○古賀委員 そういうことです。
○紀陸委員 別に切っているわけではないですよ。このワーク・ライフ・バランスの定義自体を我々はいじっていませんから。
○樋口座長 目指すべき姿というところでそれが入ってきてもいいのではないかという御指摘だと思います。
○紀陸委員 多様で柔軟な働き方あるいは生き方ができるとか、例えばそういうふうに修文するぐらいの話でいいのではないか。そうすると、見た人はわかりますよね。多様な働き方、生き方。そういうようなことで、個々人さまざま、年齢階層さまざま、男性女性さまざまですから、そういう言葉で、そういうワードで、じゃ、自分はどうするのかということを、自分でやれる部分はやる。やれない部分はみんなで変えましょうよ、そういうメッセージだという受けとめ方ができるのではないかと思っています。
○古賀委員 それだったら、文言は別にして、事務局が出した、それぞれのライフステージに合わせた働き方、生き方を選択できる社会でしょうと。そこに、さっき武石さんからは、子育てとか親の介護だけではなくて、自分を啓発するとか、そういうことも入るのではないかと。そういうものを入れながら、ライフステージ、個人の置かれた状況に合わせた働き方、生き方ということでいいのではないですか。
○紀陸委員 別にそんなに言葉の表現にこだわるつもりはありません。
○古賀委員 そうでしょう。
○紀陸委員 この文言でということではなくて、要するに、目指すべき社会の提示の仕方として、こういうような大きな方向性だけ示せばいいのではないか。あとは、具体的な中身は行動指針のほうで落としていけばいいのではないかという主張です。
○坂田委員 よろしいでしょうか。
○樋口座長 はい、どうぞ。
○坂田委員 このワーク・ライフ・バランス憲章の改訂素案を提出した趣旨ですが、憲章とは何かというか、どうでなければならないかということを考えたときに、やはり国民運動のベースになるものだということですから、多くの国民に実際に読まれて、その趣旨がきちんと理解されて推進が図られるものであることが非常に大事だと考えます。そう考えると、この対象、国民全体に対して発信するということであれば、やはり簡潔でわかりやすいことが非常に重要なことではなかろうかと思うことが一つ。
それから、恐らく、この憲章は、今年決めて来年変える、あるいは、3年後に変えるというものではなくて、耐用年数はもっと長いものだろう、少なくても10年だろうと思いますので、前文については、それだけの期間にも耐えられるような、普遍妥当的とまでは言いませんけれども、できるだけそぎ落としたものにする必要があるのではないかと考えます。
そうしたことを考えますと、事務局の案では、現在のトッピック、例えば就職氷河期であるとかいう表現もありますし、これは5年たったら生きている言葉かどうかちょっとわからない。そういう具体的なものはできるだけ落とせるものは落として簡潔にしていく必要があるのではないかと思います。
一方、働き方の問題だけを言っているのではないかと言われますけれども、これは、読んでいただければわかると思いますが、国民全体の問題としてとらえるべきだと考えておりまして、その面ではむしろ、事務局の案のほうが「サラリーマン」という言葉が3回も出てまいりますけれども、むしろ、この「サラリーマン」という言葉自体、私は非常に抵抗があるのですが、働く者により光を当てたもののように私には思えます。そういう意味では、改訂案のほうが国民全体に対するものだということを少しでも打ち出したつもりです。
もちろん、働き方を変えれば、それだけでワーク・ライフ・バランスが実現できると楽観的に考えているわけではありません。教育システム、その他もろもろの社会のインフラなどについて、例えば保育サービスの整備というようなことも含めていろいろ必要なわけですけれども、そういった取組が一体的に推進されて初めて実現可能性が追求できるものだと考えています。そういう意味で考えますと、事務局案と改訂案では余り違いがないのではないかと考えます。
ですので、前文においては、働き方にかかわる現状の問題をいろいろ指摘するよりは、ワーク・ライフ・バランスの推進の意義を簡潔に記していきたいと考えたのが我々の考え方でありまして、ポイントは、多く読まれてほしいということと、誤解があってはいけない。国民をミスリードすることがあってはいけないと考えたので、そういう意味で、働き方にフォーカスを当てたように見えるのかもしれません。
以上です。
○樋口座長 <1>、<2>、<3>というのは、後の数値目標と直結する問題で、これにつきましては、今回初めて提出されたわけではなく、これまでも何回も出てきたことです。2回目、3回目、4回目における議論においては、経営側が、ライフのところは従というようなことで、働き方に問題があるのだという認識が必ずしも明確には示されなかった。前回までである程度基本的な合意ができた上で文章化する作業に入ったのではないかと私は認識しております。前回までの議事録を読ませていただきますと、そのような印象を持っております。
でありまして、ここのところは、この後の作業、あるいは、もう既に進められている作業と直結するところなので、どう扱ったらいいかということについてまずはこだわっているわけですが、その点、いかがでしょうか。
○紀陸委員 おっしゃるとおりで、この憲章と指針と数値目標、この3つの中の柱になっている。それだけ我々も、目指すべき社会の目標としてどういうところをねらっていくか。それによって、この行動指針も、数値目標のところの内容も変わってくるのだと思って、そういう意味で、どの範囲というか、どこに焦点を当てていって論議を進めていったらいいのか。そういう意味で重要だと思っておりまして、ここのところの広がり、ねらいは何だろうかと。ワークの世界も、ライフの世界も、その2つの塊を、両方を並列的に並べて、どっちもいいようにと考えることが、本当にそれがワーク・ライフ・バランスの論議なのか。本当にそうなのだろうかと。
確かに、ねらうところはワークもライフもですけれども、働く人、さまざまな国民的運動として取り組んでいくやり方としてどういうアプローチがいいのか、そういうところがこの3つにかかわる問題だと思っておりまして、それこそ、みんながということを言っていくと、本当に、5年先、10年先、こういうハッピーな世界ができるのか。みんなそれぞれの分野においてみんなハッピーになる。そんなことが本当にワーク・ライフ・バランスのねらいなのでしょうか。こういうところでできる範囲の挑戦をしていきましょうと。坂田さんが言われたように、ハッピーになることを目指すべきであるけれども、それが完全に実現できる社会、そんなことは現実世界でありっこないじゃないですか。そんなものをみんなここで論議して責任を持てますか。持てないですよね。そういう論議をしてきたはずではないので、だから、風呂敷をそこまで広げないといけないというのはね。
○樋口座長 その点は最初からの議論です。
○紀陸委員 我々は決して全否定しているのではなくて、この3つの中で、この塊の中でどういうところをねらっていくかと調整をお願いしているわけです。
○樋口座長 ですから、坂田さんは先ほど、基本的なものは事務局案と変わりませんとおっしゃったわけです。ところが、紀陸さんの説明だと、変わりますよと受け取れると。
○紀陸委員 いやいや、そんなことはありません。ここは、みんながハッピーだという言い方でいいのかという意味の修正です。
これが、確かに、目指すべき社会をどうするかというところの姿になりますから、全部横串ですので、そこについてどうかという論議をしていただきたいということでありまして、決して、私どもの改訂素案の表現だけにこだわっているという意味ではありません。ねらうべき範囲、やり方、そこについて数値目標として何をとるかということにつながってきますし、実現度の数値もまた出ますよね。そういうときに、すごく枠を広げて、そこまで本当にこういう短期の論議で責任が取れるようなことまでちゃんとフォローできるかという懸念を含めて、ちょっと絞ったほうが目標が見やすいし、それこそ、憲章答申と数値目標と実現度指標のつながりがいいのではないか。そういうような問題意識です。
○山川委員 よろしいですか。
○樋口座長 はい、どうぞ。
○山川委員 表現の問題か、あるいは、実質にかかわる問題か、なかなか微妙なところかと思いますけれども、逆に、微妙なところを最後まで詰めてしまうと今後の進め方が難しくなるような気もしますので、例えばですけれども、行動指針とかそちらの議論もしてみて、必要に応じて、じゃ、こういう考え方だったら憲章のほうについてはどういう表現を使うかとか、両にらみで行ったほうが、今後、それぞれの意見が出しやすいのではないかという気がします。
○樋口座長 今の御意見について、いかがでしょうか。
○田中委員 今の意見ではないのですが、私は、全体像をちゃんとお話ししたいと当初からお話ししていたのですが、そろそろまとめていかなければならない、それから、前回のお話も含めてどういう程度にまとめたらいいのかなということで、私は、紀陸さん、坂田さんと、この程度にまとめたらどうかという意見に賛成させていただいております。
一つは、従来から言っているとおり、労使関係の間で解決するというイメージがすごく強い、サラリーマンというようなお話が強い。特に私どもは中小企業の団体ですので、中小企業の現実に何も触れていないんですね。99.7%の企業数が中小企業であったり、従業員も70%が中小企業であるという現実から随分離れている。そのわりには細かくいろいろ書いてあるということに違和感があるので、もっとすっきりした案がいいだろうと思います。それが1点。
もう一つは、今の憲章の中で、少子化の解決案だということであったり、生産性を向上するための解決案であるというようなことが誘導されているように思います。それについて、ワーク・ライフ・バランスはそれ自体とても大事な話だと思います。ひょっとしたら少子化の対策にもなるかもしれないし、うまくいけば生産性の向上にもつなげたいということがあるかもしれませんが、少子化対策としてワーク・ライフ・バランスを打ち上げるとか、生産性の向上のためにワーク・ライフ・バランスを打ち上げるとかいうのは、ちょっと無理があるのかなと思います。これからの目標指標とかその効果を測定する上でもそういったことにつながっていくと思うので、そういう意味では、それについては余り憲章の中で、なぜワーク・ライフ・バランスかといったようなことで誘導していくのは、少し無理があるかなと思いましたので、憲章はもう少し簡潔に掲げるべきだと思います。それは、単純に働き方だけではなくて、生き方のほうも少し語句を入れていくような形でシンプルにしていけばいいのかなと考えます。
○樋口座長 ワーク・ライフ・バランスがそれ自身重要だというのはもっともなことだろうと思いますが、これの作業部会が成立した経緯を考えてみますと、経済財政諮問会議、男女共同参画、「子どもと家族を応援する日本」戦略検討会議、このそれぞれの3つから成り立って、共通のものをつくっていこうということでできたもので、少子化は関係ないと言われてしまうとそちらの流れが消えてしまうということがあります。実は、私はそこのワーク・ライフ・バランスの担当ということでこの場に臨ませていただいていますので、それを落とせと言われると、ちょっと困るなと。
○田中委員 少子化対策の目標は、出生率を上げるという目標なのか、そうではなくて、環境を整備するかということにかかわってくるということですね。
○樋口座長 そうです。まさに環境整備ということで、選択肢を増やそうということだと私は認識しております。
○田中委員 環境整備であれば、そういうふうにうたえばいいと思います。
○樋口座長 山川先生から、この問題は指針と密接に関連するところなので関連して話したほうがいいのではないかということで、例えばこちらを簡潔にするとすれば、その部分をむしろ行動指針に盛り込むということもあるかと思いますが、そこら辺を議論していただくとありがたいと思います。いかがでしょうか。
紀陸さんのほうで考えがありますか。事務局から出た問題で、代案として出されたもので落ちているものがありますが、それは指針のほうに盛り込むということで。
○紀陸委員 はい。今の山川先生の御指摘はありがたいと思います。確かに全体のバランスがあるでしょうから、指針とこの数値目標の横串も視野に入れて、その上で憲章の再検討というやり方で結構だと思います。
○樋口座長 どのような御意見がございますか。
○山川委員 今のはどういう意味ですか。ちょっと意味がわからないんですけど。
○樋口座長 例えば、案として3人の署名で出てきたものが非常にシンプルになってかなりの部分が落ちている。落ちている部分については、紀陸さんの案では、むしろ、行動指針のほうに盛り込んだらどうかという案だと私は理解しました。そういうことですね。
○紀陸委員 はい。
○山川委員 しかし、事務局案は、今おっしゃったように、僕も「サラリーマン」という言葉がどうかとか、あるいは、そこだけにフォーカスが当たっているのではないかということはやわらげるにしても、この数ページは、現状の具体的課題とかそういうことも記述されているわけです。これを全部行動指針に持っていくといっても、それはできないのではないですか。まさに行動指針というのは行動することの具体的なことですからね。だから、その辺が僕はちょっと理解できないんですけれども。
○樋口座長 これは、実は2回前までさかのぼってしまう議論です。これまでこの議論をずっとやってきて、それで合意がとれたと私は思っていました。問題点はどこにあるかということも憲章に盛り込んでいくということで、有識者の皆さんで合意して、そして事務局に書いてくださいというお願いをしたと私は思っております。議論がさかのぼっているのですが、どうでしょうか、紀陸さんとしては、やはり行動指針の中に現在ある問題点を書いていくべきだというお考えですか。
○紀陸委員 私としては、資料1の特に前文の取り扱いについて、余りにも長すぎる、情緒的すぎるから、そこをもう少しコンパクトに要約してはどうか、それが大きな柱です。だから、この部分の表現をどうするかというのは、そう大きな論議になるところではないと思います。そこのところはどういう修文をするか、もう一回両方の案をにらみながら、キーワードをどうするか詰めていただければいい話だと思います。
かつ、ワーク・ライフ・バランスが実現した社会の書きぶりだとか、その後の関係者の果たすべき役割の部分、ここのところは確かに多少アンバランスがあると思います。だけど、特に私どもはこういうところの部分は指針のほうで言及していくべきことなので、憲章としてそんなに多くの分量を費やす必要はないだろうということです。また、山川先生がおっしゃっている全体のバランスは、数値目標とかもにらんだ上でもう一度最終的な検討をしてはどうかとおっしゃられたと私は理解しておりまして、それならオーケーですよという返事をしたつもりです。
○樋口座長 これまでの議論で、憲章と指針とどう棲み分けるかといったときに、憲章のほうはなぜ今こういった問題を扱う必要があるのかということを国民に訴えようということだったと思います。指針のほうは、むしろ、八代さんの言葉を使えば、工程表であると。具体的に何をどう進めていくかというようなものであると。ということで、そこに数値目標とか、具体的にこういう取組を含めるという棲み分けがなされ、それで合意していたのではないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
○紀陸委員 同じです。全体のエッセンスを憲章で書いて、そのブレークダウンを指針でやる、そういう受けとめ方です。この部分は余り差異はないのではないでしょうか。ただ、憲章自体、しり切れトンボではなくて、完結版ですよね。それをさらにそれぞれの主体ごとにブレークダウンしていくのが指針であるという理解です。
○山川委員 さっきの私の表現が舌足らずだったかもしれませんが、主旨はむしろ、資料2などを検討していって、この項目が要らないということであれば、逆に憲章のほうの表現が変わる。理由づけの部分を行動指針に盛り込むということではなくて、具体的な検討項目に応じて憲章の表現ぶり等も変わるのではないかと。いわば資料2そのものの検討と両にらみで進めてはどうかという主旨でした。
○樋口座長 それでは、資料2について御意見を、今、山川先生から御指摘いただいたような、この部分は要るとか、要らないとか、加えろとお話を少しいただいたほうがよろしいかと思います。
○武石委員 要る、要らないということではないのですが、先ほどの生田参事官と神田課長の数値目標のほうともかかわってくることで、数値目標の<1>、<2>、<3>に対応して御説明をいただいたのですが、それが、厚生労働省の分類と内閣府の分類が違っていたりします。例えば女性の就業率は、内閣府は3で分類しているけれども、厚生労働省は1で分類している。つまり、1、2、3の中に何が入るかということの合意がまだとれていないような気がします。というのは、多分、1、2、3の意味合いが微妙にずれているのかなという気がして、それぞれにオーバーラップする部分があって、きちんと分類できないとは思うのです。この辺、例えば就業率の数値目標は1なのか、3なのかというあたりはどうなのかなと。さっきの御説明のときに、私も、そうすればこの<1>、<2>、<3>の整理がうまくできていないのかなという印象もあったのですが、その辺はいかがでしょうか。
○樋口座長 これは事務局のほうからお願いします。
○濱田参事官 就業率などについては、今の案でもそうですが、どちらかというと全体にかかわるような指標ではないかというのが現在の認識で、今の数値目標の資料も全体という感じで書かれております。女性の継続就業率などについては、従来、議論の過程の中で、女性の就業促進のような形を<1>のところで整理するのか、<3>のところで整理するのかということがやや固まっていなかった部分もあって、今、その過程で整理しきれていない部分がありますが、今回一応、内閣府の案では<3>のところで整理しようということでお示ししたところですので、それで一応の整理ができれば、厚生労働省や男女局とも調整してそういった形にしていきたいと考えております。
○生田参事官 ちょっとよろしいですか。
○樋口座長 はい。
○生田参事官 本日お示しした資料では、就業率につきましては、一番上の「みんなが仕事があり自立できる社会」というのは、働くということに着目したものであるということで、これと一番関連が深いという意味で一番上の項目で整理しております。ただ、今後、実現度指標等との整理の過程でどこに位置づけるかについては、内容が確定すればそれに合わせるということにしていくことになりますので、今後、両省で調整していくということかと思っております。
○樋口座長 それは事務局のほうで責任を持って整理していただきたいと思います。
○濱田参事官 はい。
○樋口座長 むしろ、内容のところで、これはどうかということについて何かありますか。
○山川委員 内容と言えるかどうかわかりませんけれども、資料2の4ページから5ページ目で、これは行動指針の中に数値目標と実現度指標の2つを盛り込むという趣旨なのか、これまでの経緯を私が余り把握していないのかもしれませんけれども、数値目標を、ある項目の中に入れて記述して、実現度指標もそれとともに記述するということになるのか。つまり、数値目標と実現度指標ということの関係ですね。特に両者が異なるということになるのかどうか。普通は、数値目標があれば、それの達成度というふうに直結するのかなと単純に思えるのですけれども、計測の関係上、何か別の指標が出てくるのかどうか。両者の関係をお伺いしたいと思います。
○樋口座長 これも事務的なことですので。
○濱田参事官 数値目標については、そもそも数値目標と実現度指標のあり方については、これの作成の原点である骨太の方針においても数値目標及び実現度指標のあり方を盛り込むということは定められておりまして、数値目標の性格については、一応現在まで御議論いただいて今ここに、4ページのところで整理させていただいたような数値を社会全体の目標値として設定するということで御理解いただければと考えております。
実現度指標についてはまだ検討中ではありますけれども、ここに書いてあります数値目標で達成度をはかるもの以外にも、もう少し幅広い範囲での進捗度をはかれるものということで、今、作業を進めていただいているところでございます。
○樋口座長 よろしいですか。
○山川委員 はい。
○樋口座長 では、ほかにいかがでしょう。
○紀陸委員 大きく2つ。一つは、資料2の「行動指針の性格」の後の2です。先ほどの論議で、実現した社会のイメージ図を<1>から<3>に分けて細かく書いてありますが、この記述をもう少しシンプルにしていただきたいということが1点。
2つ目は、2ページ以降、3として「各主体の取組」がありますが、この中に「企業、働く者の取組」と「国の取組」の2つについて、それぞれ「総論」があって、そのほかに、「就労による経済的自立」、「仕事以外の時間の確保」、「多様な働き方の選択」、それが同じ形で置かれている組み立てになっています。こういう組み立てがわかりやすいかどうか。特に「総論」と、その下に挙げられている3つの課題というか、それがかなり重複しているような感じがしておりまして、もう少しこの辺は整理ができるのではないかと思います。
特に、この指針の性格が、国民的に運動を進めると言いつつ、かつ、国・自治体の主な役割として、企業で働く人の自主的な取組の後押しをするとなっておりますので、そのニュアンスがもう少しはっきり出るような組み立てにしていただけたらと思っております。
○樋口座長 すみません、具体的にどうすればよろしいでしょうか。
○紀陸委員 総論と各論で分けなくてもいいだろうと。2ページ目のところに、総論と各論に分かれていますね。それから、3ページ、4ページにかけても総論、各論と分かれておりますね。このワードはかなりラップしていると思います。あえて総論とその他の3つを分けて書く必要があるのか、もう少し骨太に書けないかという話です。
○樋口座長 例えば、「(就労による経済的自立)」と書いてあるこれを、1行を外せということですか。
○紀陸委員 これは、この前にも似たような、「総論」の中に7つもありますよね。「就労による経済的自立」、「仕事以外の時間の確保」、「多様な働き方の選択」もぞれぞれ3つずつありますが、こんなにたくさん書かなくて、もう少しねらい目は総論と各論を一緒にして骨太に書けないでしょうかという話です。「国の取組」の部分も全く同じことで、この辺は、中身的に整理が必要だという趣旨の提言です。
○樋口座長 それでは、ダブっているところを直して重複感を外してほしいという要望ですが。
○柴田政策統括官 このように整理した理由ですけれども、一つは、ワーク・ライフ・バランスで目指す社会の<1>、<2>、<3>がありますけれども、それに対応してどのようなことをやっていくのかという対応関係をできるだけ明らかにするようにというお話がありましたので、この「就労による経済的自立」、「仕事以外の時間の確保」、「多様な働き方の選択」に分けて記しております。ですから、今までの議論を踏まえてこういう整理をしているということが一つ。
それから、総論を起こしたのは、あちこちに同じことがいっぱい出てくるじゃないかという話がありましたので、重複するようなものは総論で整理をすると。こういう形で整理をしております。ですから、さらに重複があるのであれば、もちろんそれは整理いたしますけれども、今までの議論を踏まえてこういう整理をしているということで御理解いただきたいと思います。
○樋口座長 ほかに御意見ございますか。紀陸さん、よろしいですか。
○紀陸委員 趣旨はわかります。結局、繰り返しになりますけれども、さっき田中さんのお話がありましたけれども、企業によって取組にかなり温度差があります。それと、今やっていて、次のステップの課題をどうしようかというところと、ワーク・ライフ・バランスという言葉自体、聞いてもわからないという企業がたくさんあるわけです。その現状を踏まえて、どうしたらいろいろな企業に取り組んでもらえるか、我々はそういうことも考えなければいけないと思います。その場合に、基本的には、各社が自律的にやるのだと、そこの部分をもう少し表に出さないと、。
○樋口座長 温度差があるというのは確かに御指摘のとおりで、取り組んでいないところにどう取り組んでもらうか、そこに政府がどう支援していくかというようなことですよね。
○田中委員 行動指針とか目標設定とかいったときに、中小企業が、それを設定されたり行動指針を決められても、実際に動きようがないのではないかと思います。至るところで、労使で相談をするという話がありますけれども、再三言っているとおり、中小企業は労使は運命共同体で、やっぱり経営者もプレイングマネージャーです。ですから、どうしたら本当にそういうふうに実現できるのかというイメージがないと、ここに書かれていることはほとんど、提示されても動きようがないだろうと思います。
今までの流れから言って、それは中小は関係ない話なのか、大企業から決めていけばいいのかといったようなことなのかどうなのか、再三、中小についてのことを言っているのですけれども、やはり前面に出できていないのですが、その辺はどうお考えなのかお聞きしたいと思います。
○柴田政策担当官 まず、特に政府の指針のところもそうですけれども、これは、今我々が政府としていろいろ検討しているもので、今やっているもの、今後やっていこうとしているものを整理していると。もちろん、重複はないようにしておりますけれども、そういう中で、中小企業が一番問題であることは我々もよくわかります。だからこそ、中小企業をどうするかというのはこれからいろいろ知恵を出していかなければいけないのですけれども、もし、田中委員が、こういうことをやったらいいのではないかというお話があったら、ぜひここに書き込もうと思いますので、御提示いただきたいと思います。
○樋口座長 政府が余り直接的にタッチしないほうがいいという意見もありますし、むしろ、実質的にこういうものではどうだというものを出していただくと書きやすいかと思いますので、それを提出していただけますか。
○田中委員 再三言っているのは、例えば会社を、企業を誘導するとか、事業承継をやりやすくするとか、そういったことは何度かお話ししているけれども、そういうことは余り関係ないというお話で進んできているように思います。要するに、個人経営者は関係ない、個人企業も関係ないというようなお話がずっと続いているような気がするのですが、その辺はいかがでしょうか。
○樋口座長 これは私見ですが、関係ないのではなくて、まさに関係するところですから、当然、起業すればそこで働く社員もいるわけですから、そこでのワーク・ライフ・バランスも考えていかなければいけないということになってきますので、それはまた、経産省との話になるかなと思いますが、盛り込めるものがあったら、それは盛り込んでいきたいと。
○田中委員 再度出している、多様な働き方とか働き口とかいうことの中に、そういう項目を入れて最初からお話はしているんですけれども、今見ますと、多様な働き方というのは、既存の起業の中での多様な働き方の議論しかされていなくて、そこから外には踏み出さないということが、毎回何度も言っていますけれども、そういうお考えのようなので、じゃ、ここに入れたのはどうかと言われると、判定しようがないです。いいとか悪いとか私からは言えない話になってしまうと思います。
○樋口座長 それは事務局が決めるのではなくて、我々が、どうするかということを決めればいいことだろうと思いますので、そういう意見が出たということを踏まえたいと思います。
○坂田委員 よろしいですか。
○樋口座長 はい、どうぞ。
○坂田委員 これまでの議論を繰り返すことになりますけれども、まず、行動指針、これは工程表という話もありましたけれども、我々が考える行動指針の性格としては、まず1つ目には、取り組む各主体が自主的に多様かつ柔軟に取り組むことができる、それを基本とするということ。2つ目に、個人とか企業を縛るものではないということ。3つ目に、各主体の努力を喚起するものでありたいということ。こういったことが前提となっている、その上で明記したらということが、実際、工程表として生きるためには大事なのではないだろうかと思います。
その各主体の取組の記述の中で、特に「企業の取組」のところでは、今、中小企業のこともありましたけれども、中小企業も含めて企業の規模にかかわらず多様な働き方の選択肢を生み出すための労使の自主的な取組を基本とするという意味では、ここに列挙しているいろいろな内容ですけれども、これは各社にとって参考となる、いわば例示という性質のものであるということを明らかにしていただければ、それぞれの企業で自主的にのびのびと取り組むことができるのではないかと考えます。
まず前段は以上です。
○樋口座長 具体的にどうすればいいかというお話をいただけますか。
○坂田委員 一つ一つですか。
○樋口座長 はい。一つずついただければ。
○坂田委員 行動指針ですから、具体的にどうするかということがわかるものでありたいと思うわけで、そういう意味では、非常にわかる部分と非常にわからない部分があって同居しているところにちょっと問題があるかなと思います。非常にわかるところは、1ページの<2>の最初、「労働時間関係法令が遵守されていること。」は非常にわかります。逆に、どうしたらいいかわからないというのは、3ページの「国民の取組」の最初、「国民ひとり一人が、個々人の多様性を理解し、互いに尊重し合う。」、これはまじめに考えてみるとどういうことなのか全くわからないと思います。どうしたらいいのということがよくわからない。そういう、かなり違う性格のものが入り交じっておりますので、その辺は今一度整理する必要があるのではなかろうかということ。
それから、削るべきものも中にはあると思いまして、今、「国民の取組」のところでは4番目の「消費者の一人として、サービスを提供する労働者の働き方に配慮する。」という表現がありまして、これもわからないということもさることながら、例えば、夜中に買い物に行かないということなのか、あるいは、クリーニング屋に行って、これを明日までにやってくれというようなことを言わないということなのかというふうに考えたときに、これは結局、働くことをシェアするための時間をむしろ減らすことであって、ここで言っているワーク・ライフ・バランスの趣旨とは合わないのではないかと思います。
まずこの点だけ指摘しておきたいと思います。
○樋口座長 3ページの(2)の今のところの「消費者の一人として」というところを、もっと具体的に書けというお話だと受けとめてよろしいですか。
○坂田委員 そういうこともありますし、「消費者の一人」というところは具体的にというよりも、ここは削除するべきだと思います。具体的にするべきだというのは、最初の「個々人の多様性を理解し、互いに尊重し合う」とは具体的にはどういうことなのかと。私にはなかなか、私のイマジネーションの外のものです。
○樋口座長 今、指摘があった2点について、お願いします。
○柴田政策統括官 まず、「国民ひとり一人が、個々人の多様性を理解し、互いに尊重し合う。」だけではわかりにくいというお話でしたが、例えば一つのイメージとしては、企業でだれかが育児休業を取るというときには、自分の仕事が大変になると受けとめるのではなくて、育児は人生の上で大事なのだということをお互いに理解し合う、それがワーク・ライフ・バランスを進める上で必要なのではないか、そういう意味で書いております。主旨がはっきりしないというのであれば、そこらいくらでも改めようと思います。
それから、「消費者の一人として、サービスを提供する労働者の働き方に配慮する。」は、意味としては、例えばお正月の営業とか、そういうものが本当に必要なのかという問題意識はあります。ただ、今、坂田さんがおっしゃったように、そういうことはかえって、ワーク・ライフ・バランスというのは自分の時間を確保するためのクリーニング等を外注する面があるのではないかと。そういう意味では逆行するのだというのであれば、そういう考え方もあるかもしれませんけれども、どうぞここで御議論をいただければと思います。
○樋口座長 では、最後のところは削除したほうがいいという御意見が出ましたが、どうぞ。
○杉山委員 第2回、第3回とこの項でも発言させていただいていたと思いますので、初めに、憲章、指針の内容で書かれてきているところはよくまとまってきたのではないかという感想を持っています。その上で、今の消費者のところですけれども、今、御指摘された内容も確かにあるかもしれませんけれども、実際にワーク・ライフ・バランスを実現していこうというときに、その文脈の中には、これまでの生き方もしくは暮らし方の中で、がまんとか配慮、そういったものをしっかりと暮らしの中、生き方の中に根付かせていこうというものもあるのだろうと。そして、これは第1回の中でも、委員の先生からも発言がありましたけれども、24時間営業とか正月の営業など、今あるサービスが当たり前とは思わないで、そういったところについてもワーク・ライフ・バランス、働いている人にとって本当にどうなのか、消費者にとってがまんできることはないのかという観点は、やはり必要ではないのかなと思います。そういった意味では、削除することには賛同しづらいかなと考えています。
それよりも、指針に書かれている中身、これは実現をどうするかという論議とつながっていくのでちょっと外れてしまうのですが、実現度指標の中に、可能な限りわかりやすく相対がとれるような書き方をしておいたほうがいいだろうなと。例えば、先ほどの個々人の多様性の文言のところもありましたけれども、多分、趣旨はわかりますけれども、これを数年後に実現度を見ようとしたときに、どこの項目で、どの数値をもって見るのかという対比が多分取りづらいということが問題だろうなと。そういう意味からいけば表記の問題ですので、ぜひ、実現度指標のチェックができるような、相対がとれるような書き方をしていただければ、それはそれで理解できるのではないかと考えます。
以上です。
○樋口座長 数値目標のところもぜひ御議論いただきたいと思いますが。
○古賀委員 よろしいですか。
○樋口座長 はい、どうぞ。
○古賀委員 行動指針の取り扱いで、先ほどおっしゃっていたように、こういうことがありますねと、まあこれは一つの参考として、取り組めるものもあれば、取り組めないものもそれぞれ置かれた状況によってあるから、取り組めるものは行動指針はあるけど置いておいていいですよねというような扱いなのか、それがちょっとわからない。
私が第1回目から提起しているのは、そういうことになれば、やっぱり大きなマクロの数値目標だけを示しただけでは、段階をどのようにステップアップするかということが分からないから、行動指針をやるスキームをつくってやるべきだということ、例えば次世代育成のスキームを使ってワーク・ライフ・バランス全体に広げることでもいいし、樋口先生も少し、この場ではなかったでしょうか、例えば自治体の問題であれば、これは本当にアイデアみたいなことで言っているので物議をかもしてはいけないのですが、例えば円卓会議を地域のワーク・ライフ・バランスの議論をしてみるとか。何かそういう扱いによってこれはかなり違うのではないかと。盛り込む内容も。という感じがします。それが一つです。私の考えは、もうずっと言っているとおりです。
それから、数値目標ですけれども、これは例えば、前回も、だれだったか忘れましたけれども、経済的自立ということからすれば、貧困率とか生活保護世帯率とかいうのも入れるべきではないかとか、あるいは、我々の意見では、60時間以上だけではなくて、やはり総実労働時間1,800というのをもう一回きちんと掲げるべきではないかとか。それと、これは佐藤先生でしたか、前回、受け答えをして終わったのかもわかりませんけれども、個人が要求があったものが満足できるのかどうかということによっては、少し数字の取り方が違った角度で取れるのではないかとか、幾つか具体的なことが出ているんですよね。それだけではないかもわかりません。それがどうなのかということを一回きちんと、その件は、こうこうこういう理由で、こういう数値目標についてはふさわしくないと思いますとか、一つずつけじめをつけていただかないと、言いっ放しみたいなことになっているのではないかと思いますので、そのことは課題提起しておきたいと思います。
○樋口座長 回数もそれほど多くないわけですので、後でということはなるべく避けたいと思います。今日出したものについて議論を残しておくと、範囲をそれこそ確定しておきませんと、また次回繰り返しになってしまいますので、ぜひこの際出してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○山川委員 これもこれまで議論に出てきたことかもしれませんけれども、積極的に取り組む企業を評価すると、顕彰制度等が挙げられていますが、この顕彰制度の持つ意味について、例えば、たしか次世代育成推進法についてはマークをつけられるようにするとかいうことがありますが、そのことが、例えば優良企業として評価されて、これまでは難しいという議論だったと思いますが、政府の入札の際にその情報の中に含めるとか、そういうことがあり得ないかどうか。多分、財政の見地から機械的なことは難しいと思いますけれども、情報の中の一つに、この点では優良企業ですよということを入れるといった、規制型とインセンティブ型とがあって、そのインセンティブの具体的な仕組みみたいなものも検討されてはいかがかと思います。
○樋口座長 その点はすぐにはお答えできないかもしれませんので、事務的に検討していただくということで、皆さん、よろしいでしょうか。
(発言なし)
○樋口座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
○武石委員 欠席が多いのに申しわけないのですけれども、全体に労働時間にかかわる問題が多いのですが、もう一つは、転勤とか単身赴任の問題を取り上げておく必要がないかなという気がします。数値目標ということではないのですが、ワーク・ライフ・バランスに配慮した異動のあり方について検討するということぐらいかなという気がするのですが、どこかに転勤あるいは単身赴任の問題を入れていただきたいということが一つです。
それから、正規・非正規の問題は重要なので、いろいろなところに書いてあることはとてもいいことですが、ちょっと難しいなと思うのは、一つは、就業形態にかかわらず適正な待遇や能力開発を行うということがあって、要は、就業形態が何だろうがきちんとした待遇が受けられることは重要なことですが、一方で、非正規から正規に移行できるような仕組みもする、それも大事なことですけれども、若干、考え方として、やはり非正規はだめで正規がいいのかなという価値観があることを、全体でどう整理するのかなと。
私もそこは混乱している部分があるので、整理する必要があるかなという気がしています。それを感じるのが、数値目標の中に自己啓発のところで正規・非正規別の目標値が出ているのですけれども、こういうものを就業形態別に目標値を掲げるのはどうなのだろうか。これは、調査に基づく数値なのでこういう目標値の立て方になっていると思いますが、正規・非正規の問題は、問題提起だけになってしまうのですけれども、この行動指針の中で、少し統一的な価値観に立ってというか、そういう考え方の整理が必要かなという印象を持っています。
以上です。
○樋口座長 今の最後の点については、厚生労働省、どのような正規・非正規で、自己啓発の比率が別個に出ているということについてはどう考えますか。
○生田参事官 今までに出た御意見をまとめて御報告いたします。
まず、正規・非正規の問題につきましては、現実に正社員と非正社員で自己啓発を行っている労働者の比率が相当違いますので、それぞれについて、実体として自己啓発の比率を伸ばしたいということがございます。実際、統計データとしてもこのように分かれた数字が取られているのでそれを使わせていただいているということで、別にまとめて取るという考え方を否定しているわけではなくて、それぞれ伸ばしたいという考え方でございます。
それから、数値目標全体につきましては、目標の数をたくさん出すのではなくてできるだけ絞り込んだ形で設定するという前提で、今回、こういう提案をさせていただいております。まず、総実労働時間1,800時間の問題につきましては、平均的な労働時間について就業形態で短時間の方が増えれば自然に1,800時間に近づくという問題がありまして、私どもとしては、ワーク・ライフ・バランスを考える場合、長時間労働をできるだけ抑えるようなタイプの目標値の設定がいいのではないかと考えまして、60時間以上の雇用者の割合の数字、あるいは、年次有給休暇取得率の数字、こういったものを目標として、とにかく長時間はできるだけ避けるようにしたいということでございます。
それから、生活保護につきましては、経済状況によって相当変わってくる数字でありまして、ワーク・ライフ・バランスのための目標値として設定することが可能かどうかという大きな問題があります。また、貧困の問題についても、貧困の定義自体、私どもとしては非常に難しいと思っておりまして、今の段階でここに出す数字はなかなか作りにくいと考えております。
それ以外にもさまざまな御指摘をいただいておりますけれども、検討という点につきましては今後検討させていただきたいと思っております。
以上でございます。
○樋口座長 ほかにいかがでしょう。
○紀陸委員 幾つかあります。一つは、<7>のメンタルヘルスの問題です。ここは、300人以上の数字だけを対象にしてありますが、やはり国民的な運動というからには、300人以上だけを取り上げることが本当にいいのか、300人未満のほうがはるかに人数的比率が大きいはずなので、こういうデータ自体を数値目標に掲げるのはいかがかという点が一つ。
2番目として、「働き方の柔軟度」とありますけれども、柔軟度というのは、これはキーワードですので、この言葉をどう使うか。特に私どもが問題にしているのは、短時間正社員制度の導入割合がこの中に入っていますが、このイメージがどういうものなのか。基本的には、正社員の方で女性の方、育児休業を取っておられる方々をイメージしておられるようですけれども、それだけではなくて、さまざまな短時間正社員のことを考えた上でこういう数値になっているようですけれども、こういう定義自体が非常にわかりにくい、こう言われてもピンとくる人がどのくらいおられるのか。こういうデータはふさわしくないのではないか。逆に、「働き方の柔軟度」のところに、テレワーカー比率とか在宅勤務者の割合とかをそこに書いてしまえば、短時間正社員というのは要らないのではないかとすら思います。
その下の「労働者の自己啓発支援」ですけれども、これも、勤労者の方々が自分でどのくらいこういうものに取り組んでおられるのかということだけで、企業がこれをどう支援しているのかというのは、これもまさに会社によってさまざまですし、さっきのお話のように、正社員とか非正社員とかに分けてこれを目標にすることが果たして妥当かどうかというふうに思います。いろいろな企業さんで、これ以外に、OJTとかOffJTに力を入れているとかということもありますし、そういうことと関係なくこれだけ出てくると、何となく、つながりが余りよくない指標ではないかと思っております。「自己啓発を行っている労働者の割合」だけをとれば、企業もサポートしていることが読み取れるのではないかと思っておりまして、事業所の割合のデータはなくてもいいのではないかと思います。
差し当たり以上です。
先ほど申し上げましたように、行動指針のほうは、田中さんともちょっと御相談して、できるだけ早く文章を出させていただきたいと思います。
○樋口座長 ただ、今もう既に議論になってきて、この部分を変えていくのだというようなことですので。
○紀陸委員 比較的筋立てを大きく変えないで、できるだけ、それこそシンプルと思っていますので。
○樋口座長 今、われわれも相当時間を費やしてここに来ておりますので、またゼロからということになるとね。
○紀陸委員 そういうふうにしないようにします。
○樋口座長 どうですか、今から出しますというのですが、その点について。
○古賀委員 全体の日程はどうなっていますか。
○濱田参事官 今決まっているのは、次回11月14日に部会、28日に部会、この2日間が決まっておりまして、最終的には、年内にトップ会議に上げて御決定いただくということが骨太の方針で決まっているというのがスケジュール関連でございます。
○樋口座長 トップ会議に出して、フィードバックすることはないですか。向こうで、この点を直すというのは。
○柴田政策統括官 正直申し上げて、今、日程的にかなり厳しくはなっていますけれども、当初から説明申し上げたとおり、我々事務的には、一回この場で中間報告を取りまとめてトップ会議に報告して、そこでまたいろいろ御議論いただいて、さらにこちらで議論して最終的に取りまとめ、またトップ会議にかける、こういうものが基本形だろうと思っております。ただ、そこは、時間がどんどん厳しい状況にもなりますから、いろいろ応用問題はあると思いますけれども、基本形はそういうことだと思っております。そういう意味では、かなり厳しくなっております。
○樋口座長 最終的な限度が12月末ですか。
○柴田政策統括官 11月末か12月初めくらいにはまとめていただかないと、ここで決まったものを今度は予算に反映していく作業がありますから、その辺でまとめていただければと思っております。
○樋口座長 どこを直せということがあれば、事務方も検討しやすいのではないかと思います。
○紀陸委員 そのような形にしたいと思います。
○樋口座長 それをこれから検討なさると。
○紀陸委員 要するに、さっき言った、国がやる、企業がやる、労使がやるというものを1個1個ここでやっていくのではなくて、ペーパーでお出しすれば論議としては比較的やりやすいですよね。そういう趣旨です。論点を新しく提起するのではなくて、直し方の整理といいますか、そういうようなニュアンスとして受けとめていただければいいと思います。
○樋口座長 情緒的な言葉とか、そういうところを直したいという趣旨ですか。
○紀陸委員 もちろん、そういうものもありますけれども、組み立てとしてもう少し工夫したやり方のほうが受け入れられやすいだろうと思います。私どもも、まとめながら、企業の御意見も聞きながらやっておりますので、みんなが使いやすい、得心が得やすい形にすることが必要だと思います。それがないと、さっきの繰り返しですけれども、いろいろな企業がおりますので、なかなか受け入れにくいということがありますので、どのようにしたらそれがなくなるかという観点からの表現の整理といいますか、課題の提起の整理、そこら辺の話ですので、ドンガラと全部を変えてということではないので、審議スケジュールもある程度理解しておりますから、その枠の中でと思っております。
○樋口座長 ということですが、どうでしょう、よろしいでしょうか。
○武石委員 全体のボリューム感ですけど、憲章のボリュームが多いというお話がありますが、多い・少ないは趣味の問題だという御発言があったようですけれども、私は多いとは思わないし、今の行動指針もこれぐらいの内容があっていいと思います。その中で、不適切な表現とかは置き換えていただくのはいいのですが、全体としてこのくらいのものは入っていてほしいなと。プラス、さっき私が申し上げた転勤の問題なども入れられれば入れていただきたいと。それは私からの希望として申し上げたいと思います。
○樋口座長 それでは、紀陸さんの問題で、どれくらいの期間でお出しいただけますか。
○紀陸委員 1週間で。
○樋口座長 1週間で事務局に出していただくということで。
○紀陸委員 はい。
○樋口座長 時間的にどうなのでしょうか。
○山田官房審議官 先ほどの武石委員の御発言とも関連するのですけれども、今日出していただいた憲章についての改訂案は、すっきりさせるという御趣旨でしょうけれども、ボリュームが相当違う形になっているわけですよね。ですから、行動指針についても、表現ぶりとかそういうようなことであるならば、そこは調整はいろいろとやりようがあると思いますけれども、いわゆるボリューム感であるとか、どこまで具体的に書くのかとか、そこら辺については、ある程度認識を共有しておかないと、また繰り返しになってしまうような気がするのですが。
○樋口座長 今、紀陸さんから説明があったように、ともかく、表現がおかしいところがあるのではないか、それを直す程度だということでしたので、そのように私は理解しましたが。そうでないと基本的なところにまでなってしまいますので。
○柴田政策統括官 作業をする上での確認ですが、先ほど、特に企業と、そこで働く方の取組のところで、例示にすればいいではないかというお話がありました。これは、指針で例示として明示にするのかどうかは、今日ではなくてもいいですけれども、できればこの場で決めておいていただかないと、私どもも作業をするときに非常に困りますので、そこはぜひお願いしたいと思います。
ただ、さっき紀陸さんがおっしゃったように、大きなところも小さなところも、みんなワーク・ライフ・バランスに向けて前進するのだと、そこはいいわけですよね。
○坂田委員 はい。
○柴田政策統括官 だけど、そこの取組方は、ここにいろいろ書いてあるものが全部一遍にできるわけではないだろうという御認識なら、そういうことで、例えば各主体の取組のところの書き方を工夫するとか、そこは可能だと思います。だけど、例示にするとかということになりますと、そもそも指針で例示というのは何なのだろうかということがありますから。もちろん、この場でお決めいただければいいことですけれども、もし、そういうことであるならば、この場で御議論いただいておいたほうがいいのではないかと思います。
○樋口座長 ちょっと整理したいと思います。まず、紀陸さんから出された問題については、1週間で考え方を事務局に出していただいて我々で議論するというようなこと。
もう一つ。指針について、数値目標について、3点ほど出されました。これについては議論しておいたほうがいいだろうと思いますが、<7>で299人以下というメンタルヘルスの関連で、これが扱われていないのはおかしいということで、これは逆に中小企業のほうはどう受けとめますか。
○田中委員 取組方というのは、具体的にどういう取組をすることをイメージしているのでしょうか、教えてください。
○樋口座長 その点、どうでしょう。
○生田参事官 このメンタルヘルスケア対策の具体的内容につきましては、何でもいいと言うと語弊がありますけれども、メンタルヘルスに役立つような対策であれば何でもいいということでありまして、例えば、管理者の研修とか、あるいは、管理者にメンタルヘルスのための情報を提供するとか、あるいは、労働者の方にメンタルヘルスという面ではこういうことに気をつけたほうがいいというような情報を提供するとか、そういった内容で構わないという整理でございます。ということですので、今、大企業ではこのくらいの率になっておりますけれども、それは、今言ったような内容がカバーされているからということで理解しております。
ただ、この同じ統計データで、中小企業も含めると実施率が非常に低いということですので、その場合、平均値で目標値を設定すると、大企業に取り組んでいただくときに、低い数字しか外に出ないということになるものですから、それではやはり不適当だろうということで、今回、大企業に率先垂範していただくという観点からこういう目標値の設定をさせていただきたいということでございます。
○樋口座長 ただ、使用者側が、中小企業も一体になって取り組むのだから、数字に中小企業も入れてほしいという要望でしたら、これは入れたほうがよろしいのではないかと思いますが、どうでしょう。
○生田参事官 もし、中小企業も入れたほうがいいという御指摘でしたら、もちろん、入れることにやぶさかではございません。
○田中委員 中小企業は、管理者がそういう教育を受けるということが、まず合わない。それを数値目標にすること自体がおかしいと思います。
○生田参事官 今申し上げましたとおり、管理者に対する教育だけではなくて、労働者御本人に対してこういう点について気をつけたほうがいいという情報提供で構わないと思います。リーフレットとか、リーフレットにまではならなくても言葉で言っていただくようなことでも構わないのですけれども、そういったものも含むという概念でございます。
○山川委員 関連して、いいですか。
○樋口座長 はい、どうぞ。
○山川委員 今のご説明のような資料を出してもらわないとわかりません。例えば、労働者健康状況調査とはどんなものなのかなど。先ほども、これは柴田統括官と同じ指摘になるかもわかりませんけれども、この目標値については何とかの計画で決まっていますなどという発言をずっとされていました。だから、そういう、既存の政府決定などがあるのであれば、そこで決まっていることはこうで、それに準拠するのだということを明らかにすべきではないか。あるいは、今は決まっているけど、これをこう加速するとか、そういうものがないと、今のような話になると思います。何のために今やるのかとか、今どういう調査でこういう統計をとっているのかとか、あるいは、今でも政府でいろいろなところで決まっている目標もあるなどということを少し整理していただけたらありがたいです。
○生田参事官 それは、先ほど申し上げましたけれども、至急整理して皆さんにお配りしたいと思っております。
○樋口座長 それでは、この<7>については、299人以下を入れるかどうかについてペンディングにすると。
○生田参事官 検討させていただきます。
○樋口座長 それと、短時間正社員。これは定義がはっきりしないということでしたが、後ろを見ますと、参考で、<8>-2のところに、こういうものですと書いてあるように思えるのですが、これについても事務局からお願いします。
○生田参事官 短時間正社員につきましては、大きく2つに分かれておりまして、一つは、普通の正社員の方が、育児・介護期間とか、自己啓発あるいは、地域活動をされるというときに短時間になるというケースと、もう一つは、正社員ですけれども、通常の正社員の方とは違ってずっと短時間でおられるような方のいずれかを「短時間正社員」と呼ぶという考え方でございます。
ここで目標値として設定させていただきました理由は、ワーク・ライフ・バランスという場合に、育児・介護につきましては現在でも多くの企業で取り組んでいただいているということがありまして、女性雇用管理基本調査は30人以上規模の企業で、育児期間中について短時間勤務を導入している企業が50%あると伺っております。そういった分野については進んでいるのですが、それ以外、育児・介護に加えてなにがしかの形で短時間の制度を導入していただく企業を想定して、それにつきまして、今、育児だけについては50%ということを既に達成しているのですけれども、10年後には50%になるという目標が立てられないかということで数字を設定させていただいております。
もう一つ。自己啓発についても先ほど御指摘がありましたけれども、労働者につきましては、労働者が受けたい、自己啓発を行いたいということの希望をかなえるということで目標値を設定させていただいております。一方、事業主、事業所の割合につきましては、その労働者の自己啓発をかなえるという観点から、事業所としても御協力をいただきたいということで、こういう目標を設定させていただいております。そのアップにつきましては、労働者の割合のアップ率と同じようなアップ率でお願いしようということで、これを設定させていただいております。
この場合の自己啓発の支援の中身ですけれども、これも後ほどまた紙でお配りいたしますけれども、自己啓発の機会としてこういうものがあるのだといったような情報提供ですとか、もちろん、勤務時間の配慮ですとかいろいろなものがありますけれども、情報提供といったようなものも入るという考え方でございます。
○樋口座長 今の御説明で、短時間正社員の定義はどうかということですが、どうぞ。
○紀陸委員 定義自体はわかりますけれども、いわゆる短時間で正社員の方が一人でもいる、そういう企業が増える、それがここでねらっている働き方の柔軟度が増したという尺度足り得るかということですよね。正社員でというのは必ず前提にあって、一般の人より労働時間が短い人、これが望ましい働き方なのかというと、これだけが一つの指標たり得るかというと、ちょっと違うのではないかと。あえてこういうものを何のために出すのか、それがよくわからない。基本的に、恐らく大多数は、育児休業の方々がその制度に乗っかっていけば、ほとんどの比率は達成できるわけでして、あえてこれを出す必要があるかということがちょっと理解できません。なくてもよしという感じです。
○樋口座長 事務局、よろしいでしょうか。
○生田参事官 この制度につきましては、育児・介護につきましては、先ほどから御説明しておりますように、それなりの達成率に既になっているわけですけれども、ワーク・ライフ・バランスを考える際に、育児・介護以外の事由についてもなにがしかの形で企業に取り組んでいただくということがワーク・ライフ・バランス社会をつくり上げる上で重要ではないかと私どもとして考えております。その場合の育児・介護に加える部分につきましては、事業主の方が各事業の実態に即した形で設定していただくということを前提に、とにかく第一歩をなにがしかの形で踏み出していただくことができればということでございます。
○樋口座長 これは労働政策審議会の均等部会でも昨日議論があったところなので、定塚さんからお願いします。
○定塚職業・家庭両立課長(厚生労働省) 今、生田参事官から申したとおりですが、まさにワーク・ライフ・バランスの多くの選択肢を用意するという部分の選択肢として用意していただきたいと考えています。今、紀陸委員がおっしゃったように、そういう意味では1人でもいいわけですし、制度を準備していただいて、それで実際に使っている人、今希望する人はいなかったということでも構わないと思いますけれども、現在では、育児・介護以外の事由で、正社員で短時間という道がなかなかないという状況下で、選択肢を広げる第一歩としたいと考えています。
確かに、短時間正社員制度という言葉はまだこなれていない、周知されていないことは御指摘のとおりであることは十分承知しているのですが、ワーク・ライフ・バランスということを進める上での一つのキーワードということで、同時に我々もPRさせていただきたいと思っております。
○樋口座長 これは、私の間違いでなければ、日本経団連としてもこれを掲げていましたよね。一昨年の春闘方針ですか。
○紀陸委員 個別企業が努力するならいいのですが、大きな社会全体の目標として掲げるのはどうかということです。私どもとしては。
これは全体目標ですよね。
○樋口座長 そうです。
○紀陸委員 パートさんが非常に多いところとか、逆にほとんどいないところとか、やはりさまざまなので、こういうふうにポッと出てくると、それこそ、あまねくいろいろな企業がこういう制度を目指さなければいけないのか、しかも、このことは何なのかというところで、これは嫌だよというふうになりかねないかと。特に「働き方の柔軟度」というのは大事なキーワードですからね。あえてこういう言葉を使わなくてもいいのではないかということでして、先ほどの論議と同じですけどね。
○樋口座長 ということは、「勤務時間の柔軟度」という言葉を落としたほうがいいという御指摘だと。
○紀陸委員 そういうことですね。端的に、我々は、裁量労働とか変形とかフレックスとか、ああいうものが入ればと思うけど、そこは例として難しいという事情があるようですので、だったら、あえて入れなくてもいいのではないか、かえって誤解を招くようなことがあると、かえってぐあいが悪いのではないかということです。
○樋口座長 今の御指摘は、「勤務時間の柔軟度」という用語を落とすということでよろしいですか。
○定塚職業・家庭両立課長 紀陸委員の御指摘はそれではなくて、「短時間正社員制度」を落とせという主張だと思います。
○紀陸委員 そういうことです。
○樋口座長 そのものを落とせと。
○定塚職業・家庭両立課長 「柔軟度」を落とすだけであれば、我々は全く異論ございません。
○紀陸委員 これが勤務時間の柔軟度の代表指標足り得るかというと、そうではないだろうという意味です。
○樋口座長 そうすると、何か別の指標がありますか。
○紀陸委員 なくてもいいと。ここで、変形労働時間とか裁量労働とかフレックスタイムとか、ああいうもののデータで取れれば、それがまさに勤務時間の柔軟度ですよね。
○樋口座長 フレックスタイムの導入企業割合を入れたほうがいいのではないかという提案ですか。
○紀陸委員 フレックスとか裁量とか。ただ、それは余りいい指標にはならないという御説明なのでね。そうしたら、あえてこの項目はなくてもいいのではないかと。
○山川委員 今、審議会で、短時間正社員制度というのはどういう議論をされていますか。そこを少し、その延長線上でこういうことであれば入れるべきだし、そうではないということであれば、紀陸さんがおっしゃるように、入れないと。
○定塚職業・家庭両立課長 昨日の雇用均等政策部会で、男女雇用均等基本方針の中に、「短時間正社員制度の普及・定着を図る」という文言を案として事務局から提示いたしました。使用者側委員から、普及・定着というのは言い過ぎではないかという御指摘もあったのですけれども、最終的にはやはり、樋口先生もおっしゃったように、日本経団連の文書にも短時間正社員を進めるということがあるという御指摘もありまして、「短時間正社員制度の普及・定着」という言葉を入れようということで決着させていただいたという経緯でございます。
○山川委員 そういう議論経過があるのだったら、確かに「働き方の柔軟度」という<8>の横に入るかどうかはわからないにしても、重要というか、一つの要素として位置づけられるのではないですか。私はそう思いますが。
○樋口座長 いかがでしょうか。
○田中委員 全体の話ではなくて、やはり中小企業の話をさせていただくと、制度導入の割合で評価するというのはなかなか合わないだろうと。個別対応はかなりしていますよね。中小が個別対応をしていることによって、第一子出産後の女性の失業率が高いとか、地域に定着をしているとか、いろいろな理由があると思うので、一律の導入割合で評価をするというようなことについては、中小企業には余り合わないかなと。多様性を推進するということでいいような気がします。
○樋口座長 数字にならないと数値目標にならないので。そうすると、実際に短時間になった人の比率か何かを取ったほうがいいと。制度がなくても、ということでしょうか。
○田中委員 そういう事例があるか、ないかということを聞いたら、ある事例が出てくると思います。そういう制度があるか、ないかと言われると、一律ではないと思います。例えば、ある期間中、そういう待遇で折り合ったとか、こういう便宜を図っているとかという事例は中小にもいっぱいあると思います。
○樋口座長 いかがでしょう。
○定塚職業・家庭両立課長 現在、育児休業制度があるかどうかということの統計を取っておりまして、30人以上の企業で50%の企業ということでお答えをいただいております。おそらく、設問の仕方で、うまくすれば、田中委員がおっしゃるようなことも含めて、実際に短時間で正社員という方ができるという企業があればいいと思っているわけですので、なるべくそういうものも取れるような形で統計を取るように努力していきたいと思います。
○武石委員 私、これは育児・介護に加えそれ以外の事由を含めた短時間制度だと思っていたのですけれども、それでよろしいですよね。
○定塚職業・家庭両立課長 はい、そのとおりでございます。
○武石委員 そうすると、私はこの項目は入れたほうがいいと思いますし、「働き方の柔軟度」は非常に重要な項目だと思うのですが、今、統計でありましたか。
○定塚職業・家庭両立課長 申しわけございません。今これにぴったりの統計がないものですから、育児や介護で取った統計が50%ということです。育児・介護だけではなくて、もう一つということで数値目標を設定したい、来年度、実態を把握してまいりたいと思っております。
○樋口座長 育児や介護だけだと、もう50%を達成しているわけです。
○武石委員 ですから、今の実態であるというのも、育児・介護以外のものがないと、ということになるのでしょうか。育児・介護で短時間がいる場合でもいいのかどうか。
○生田参事官 人事院が平成17年に行った調査で、育児・介護以外につきましては、重複も若干あるのでこの数字が正しいというわけではないのですけれども、合計で8.6%、育児・介護以外の事由で短時間勤務制度を導入しています。ですから、1割弱は今でもあると思っておりまして、25%、50%という数字も書いてありますけれども、そういう点も含めて、あとは、制度として導入している場合に、中小企業につきましては、先ほど定塚が申しましたように、もう少し弾力的に判断できるような方法も含めて考えさせていただければと思います。
○樋口座長 それでは、これはこのまま議論してもしようがないのでペンディングといたします。
最後の自己啓発の企業側の支援による割合については、どのような扱いにすればよろしいでしょうか。
落としたほうがいいというのが紀陸委員の意見だったと思います。
落としてよろしいでしょうか。
(発言なし)
○樋口座長 それでは、これは落とすことにさせていただきます。
数値目標についてはこれくらいということで、もう時間もだいぶ過ぎておりますので、残っている基本的なところをちょっと議論していただきたいと思います。
まず、今までのところで確認しておくべきことがあると思います。憲章について何を書くかというところについては、これまでの繰り返しになりますが、なぜ、今、ワーク・ライフ・バランスに取り組む必要があるのか。そして、ワーク・ライフ・バランスとは何であるのか。また、それぞれの主体の果たすべき役割とは何かということについて、これはそこのように。
ただ、今回、事務方から提出されましたものは文章が情緒的であるということがありまして、それについて修正を求めるということだったと思います。
また、お三方から出された御説明において、これは今から議論するところですが、分量が多すぎるのではないかということで、基本的には、事務方から出された考え方で変更はないということで、もう少し言い方をシンプルにできないのかということであったのではないかと思います。
もう一つ。行動指針については、言うならば工程表で、具体的にそれぞれが何を取り組んでいくのかというようなことを提示するべきであると。しかも、実効性を上げるよう配慮したところについて書いていく必要があるだろうと。このためには、例えば目標値であるとか、後から出てきました、男女局から出されたものを使いながらフォローアップをしていくことが必要なのだろうと。それをここに、行動指針という形で盛り込んでほしいと。そのようなことであったかと思います。
ただし、残っているのが、一つは分量の問題をどうするか。もう一つは、基本的には変える必要はないことは合意されているだろうと思いますが、分量をどうするかということと、例示なのか、それともそうではないのかということについては、事務局から、ここで決めてもらわないと書けないので、どうするかを議論してほしいということだったと思います。
私の理解は、前回までで、わかりやすくするということはみんな共通に念頭に置いていることでありまして、それについては、ぜひ事務局にもがんばってほしいと思いますが、分量については、これくらい必要だという意見が多くの委員から出されたと思っていますが、それはここで決めていただければ結構だと思います。
○山川委員 例示のところでもいいですか。
○樋口座長 はい。では、例示について。
○山川委員 例示かどうかという点ですけれども、そもそも例示かどうかが意味があるのは、何か法的に強制力がある場合は重要かと思いますけれども、この行動指針自体として法的に強制力があるものではないと思いますので、中にも「努める」とか出ておりますので、例示という実益はあまりないですし、例示だとほかにもあるかもしれないし、別に努めなくてもよいということになりますので、例示を扱うのはいかがかなと思います。つまり、例示とすると、努力もしなくてもよい項目と位置づけられることになります。
ただ、本当に努力しなくてもよいという項目、そうすべき項目があるのであれば、そう書くべきで、これは事項自体の問題になりますけれども、中間的なものとしては、例えば「何々するなど」という形にして最終的なものを抽象的なことで「何々に努める」というふうに、文章自体に例示的な色彩を置くことは、ものによってはあるかもしれませんが、全体として例示というと、そもそも行動指針と言えないような感じもします。もともと法令遵守などは当然ですし、かつ、何らかの法令上の整備を図ることは、それは国としてやるべきかどうかを検討するということですので、なかなか一律には言えませんけれども、全体として例示ということは、この指針の性格から見てそもそもそうする必要がないのではないかと思います。
以上です。
○樋口座長 ほかにいかがでしょうか。
○紀陸委員 私ども、坂田さんのほうから、例示というのは、資料2の2ページ、「各主体の取組」の冒頭のところに、「企業と働く者が自主的に取り組んでいくこと基本である」と、ここから発しているわけですね。ここが基本であるならば、この下にあるのは、実は全部、例示という言葉はあれですけれども、いわば応用動作でこれに取り組んでくれと読み取れるのですけれども、そこをもう一つ念押しで、企業によって優先度が違いますから、これは当たり前でやっているというところと、全然やっていないところと、取り組む場合の優先順位がかなり違ってくる。そういう意味で、自主的に取り組む場合の選択肢をここに掲げるので、こういうようなことでやってくれというような、そういうような書きぶりにしてはどうかという趣旨です。
かつ、具体的に3ページのところで、「(3)国の取組」のところの総論の2つ目に、「次世代育成に対する企業の取組促進のための対策の検討等」とありますが、こういうものは意外と、例示ではなくて、本当にやる可能性だってあるわけですね。こういうものが多少混じっているということがありまして、そういう意味で、表現として例示がいいのかどうかわかりませんけれども、そういう点について懸念があるので、あえてそういうことを申し上げているということであります。
○樋口座長 どうぞ。
○山川委員 以上のような御趣旨でしたら、優先度に応じた書き方といいますか、表現ぶりといいますか、あるいは、並び方等もあるかと思います。それは恐らく可能ではないかと思います。
○紀陸委員 そういう趣旨です。
○山川委員 はい。
○柴田政策統括官 それでは、表現を工夫します。
もう一回確認ですけれども、ワーク・ライフ・バランスを進めるということで取り組むことは、これはいいということですね。その取り組むに当たっては、労使が自主的にいろいろ相談しながらやっていくというところもわかりました。今、紀陸さんがおっしゃったのは、優先順位とか濃淡をつけて進めていくということではないかというお話もありましたけれども、そういう御趣旨でよろしいわけですね。この場で、皆さんがそういうことでよいということであれば、そのように表現を考えてみようと思います。
○樋口座長 そうですね。少なくとも、全部が例示では何のために行動指針をつくったのかということになりますから、そのように扱っていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(発言なし)
○樋口座長 よろしければ、そのようにさせていただきたいと思います。
それでは、もう一つ。分量です。これは結果として短くなることはあり得るわけで、むしろ、盛り込むべきことが何であるかが確定していれば、結果的に、分量は短くなるかもしれないし、逆に、新たに付け加えろということがありましたから、その場合には長くなるということで、その点はよろしいのではないしょうか。
よろしいでしょうか。
(発言なし)
○樋口座長 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきたいと思います。
大臣から何かございましたらお願いいたします。長い間、御参加していただきましてありがとうございます。
○上川特命担当大臣 この間議論が積み上がってきた上での本日の会ということで、この間の委員の皆様の真摯な姿勢に対し、心から敬意を申し上げたいと思います。
今の時代認識については、共通はしているわけですが、恐らく、それをどのように表現するのかということについて、それぞれのお立場で少し濃淡があるのではないかという感じがいたしました。そこのところは、文章の書き方、冗長にならないような工夫、こういうことに努力していくことによって、しっかりとしたものになるのではないかという感想を持ちました。
今の時代認識をしっかりしていないと、なぜワーク・ライフ・バランスという、しかも、憲章もつくり、行動指針もつくり、数値目標も掲げながら、今、御議論いただいて、それを国民運動として展開していくのかということについて国民の共感を得ることができないのではないかと思います。時代認識と、なぜワーク・ライフ・バランスが必要なのかについてのつなぎの表現については、今日の御議論を踏まえた上での検討を事務方にしっかりとしていくようにしていきたいと思います。
それから、ワーク・ライフ・バランスの憲章と行動指針及び数値目標ですが、それぞれのお立場で施策をつくることによって実現した成果が、それぞれの主体のところにしっかりと前向きに効果が及んでいくという確かな実感がないと、ただ憲章、行動指針、また、数値目標を掲げたけれども、絵に描いた餅になってしまうというところについても、少し問題意識の根底にあったように感じました。そこのところについては、国民の皆様に、いろいろな立場で、この目標に向かって共同作業をしていくことによって、それぞれのところにプラスになって返ってくる、だからみんな少しずつ努力して取り組もうではないかということが実感できるようにしていく努力についても、さまざまな御指摘の中で、深く感じたところでございます。
これから時間が大変短いので、どの程度そしゃくしながらできるかどうか分かりませんが、最大限努力をしていきたいと思います。1週間でそれぞれのアイデアというか、案を出していただくというお話もございましたし、また、各委員の先生方におかれましても、こういうふうな表現ぶりにしたらいいのではないかということの前向きな、どんな小さなコメントでも結構ですので、具体的にこうしたらいいというアイデアの案をお示しいただければ、さらに共同作業も成果が上がってくると思います。その点につきましては、最後の胸突き八丁の大変厳しい上りになっているかと思いますが、皆さん力をあわせて登っていくことについての御協力を平にお願い申し上げたいと思います。
本日は大変ありがとうございました。
○樋口座長 ありがとうございました。