仕事と生活の調和関係省庁連携推進会議合同会議(第5回)議事録

1 日時:平成20年10月23日(木)16:00~18:00

2 場所:共用第4特別会議室

3 出席者:

 小渕内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)

(部会構成員)

 樋口美雄部会長、市川隆治委員、海老井悦子委員、大沢委員、松井孝眞(社)日本経済団体連合会労政第二本部長(川本裕康委員代理)、北浦正行委員、近藤英明委員、榊原智子委員、佐藤博樹委員、杉山豊治委員、橋本葉子委員、八代尚宏委員、横山委員(小室委員、古賀委員はご欠席)

(関係省)

 文部科学省 栗山課長、厚生労働省 生田参事官、小林課長、土屋課長、堀補佐、経済産業省 松井室長 (総務省は欠席)

(内閣府)

 松田室長、板東室長代理、山田次長、武川次長、齋藤次長、本多参事官、酒巻参事官

4 議事概要

○樋口部会長

 それでは、定刻になりましたので、第5回「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」「関係省庁連携推進会議」合同会議を開催いたします。
本日はお忙しい中、また、足下の悪い中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。会議の開催に当たりまして、小渕大臣からごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○小渕大臣

 皆様こんにちは。ただいま御紹介いただきました、少子化対策、男女共同参画担当の内閣府特命担当大臣の小渕でございます。委員の皆様方には本日お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。また、日ごろより活発な議論を通じて、仕事と生活の調和の推進に向けて御尽力いただいていますことに、この場をお借りして感謝を申し上げます。
さて、仕事と生活の調和ということでは、当の大臣の私が今、大変苦労をしております。と申しますのは、現在、私は1歳の子どもを抱えながら大臣をさせていただいておりまして、朝晩の送り迎えを始めとして、仕事と生活の調和を実現していくのはなかなか難しいなということを、我が身をもって感じております。
しかし、大変なことも多いんですけれども、最近は開き直って、そうした中にも楽しさを感じながら、また自分自身がこうしていろんな苦労を重ねたことが、今の自分の仕事にまさに生かしていけるのではないかと、前向きに考えております。
しかし、そうは言いましても、今、女性の7割が出産や育児を機に仕事を辞めているという現実があります。そうしたことを考えると、やはり周りの方々、上司や会社の理解をいただいていかなければなりませんし、子育て支援の一環として、働きやすいフレックスタイム制や短時間勤務制度の導入なども考えていかなくてはならないと思います。
また、お父さんの存在も大事だと思います。お父さんが子どもと一緒に過ごす時間をしっかり持てるように、男性の働き方の見直しを始め、仕事と生活をしっかり調和させられるように、企業のトップの方々とも懇談を深め、いろいろと話をさせていただいてまいりたいと思っております。
担当大臣としてしっかり仕事と生活の調和を推進してまいりたいと思っております。委員の皆様方には引き続きまして、いろいろな御指導、お力添えをいただけますように、心からお願いを申し上げまして、ごあいさつに代えさせていただきます。
どうか皆様、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○樋口部会長

 ありがとうございました。
それでは、事務局から本日の議事につきまして説明をお願いいたします。

○内閣府本多参事官

 本日の議事でございますけれども、お手元の議事次第をごらんください。今日は来年度の予算概算要求について、簡単に御説明をいたします。その後、今年度の取組みにつきまして、この部会の第1回及び第2回で、各省庁及び各団体からこういうことをやりますということで御説明をいただいておりましたけれども、その状況につきまして簡潔に御報告をいただく予定でございます。
その後、点検評価につきまして、この部会の下に設置するワーキンググループとアニュアル・レポートの案を提出しております。こちらについて意見交換を行っていただくこととしております。
なお、本日、川本委員、古賀委員、小室委員は御欠席です。また、川本委員の代理として、日本経済団体連合会労政二部本部長の松井様に御出席をいただいております。
また、事務局で仕事と生活の調和推進室の人事異動がございましたので、お知らせいたします。今、大臣とともに所要のため退席いたしましたけれども、室長に松田政策統括官、室長代理として板東男女共同参画局長、次長に武川官房審議官、参事官に酒巻男女共同参画局調査課長が着任をいたしております。
また、連携推進会議構成員の方でも人事異動がございましたので、併せてお知らせいたします。文部科学省生涯学習政策局、栗山政策課長、厚生労働省労働基準局勤労者生活部、小林企画課長、経済産業省政策局産業構造課経済社会政策室、松井室長でいらっしゃいます。
以上です。

○樋口部会長

 ただいま事務局から説明がありましたとおり、初めに来年度予算概算要求につきまして説明をお願いします。

○内閣府本多参事官

 それでは、お手元の資料1をごらんください。また参考資料として、この部会でまとめていただきました「仕事と生活の調和の実現に向け当面取り組むべき事項」をお配りしております。この取り組むべき事項を踏まえて各府省、予算要求をしてきておりますので、こちらを参考でお配りをしております。
時間もございませんので、20年度の取組状況をこの後、各省から御報告いただくことになっておりますし、また1月には部会で政府予算案について詳細に報告をする予定としておりますので、今回は概算要求のうち、主要な新規事業を中心に手短に説明をさせていただきます。
まとめ方として、一番左に憲章・指針のどこに該当するかというのを書いております。また、事業名、概要、要求額等の横に当面の取組事項ということで、当面の取組事項の中のどこに該当する事業であるかということも記載をいたしております。
まず「1 総論」の中で「『カエル!ジャパン』キャンペーンの推進」でございます。これは今年度から実施しているものなんですけれども、この仕事と生活の調和推進室として要求をするのは21年度が新規要求となりますので、ここでは新規扱いとして挙げております。このキャンペーンにつきましては、今年度から継続して来年度も引き続き取り組むこととしております。
2点目「仕事と生活の調和推進企業ネットワーク構築」でございますけれども、こちらは企業の担当者の方のネットワーク化を図って、情報交換等を行っていくということを考えております。
続きまして、1ページ目の一番下でございますが「中小企業における次世代育成支援対策の推進」がございます。こちらは中小企業が次世代育成の行動計画を策定していく支援をするものでございまして、これはここでも御議論いただきました、企業の取組みの見える化に資する事業として要求をされているものでございます。
今、取組みは新規ものをピックアップして御説明をしておりますが、次に2ページ目でございます。下から4つ目に「中小企業労働契約改善事業」がございます。これは本年3月に施行されました労働契約法を踏まえまして、モデル就業規則の策定等を実施していくというものでございます。
続きまして、少し飛びますけれども3ページは基本的に継続、拡充の事業が掲載されております。
4ページですが、こちらにキャリア教育関係の新規事業が2つほどございます。中ほどに「発達段階に応じたキャリア教育総合支援事業」がございます。これは文部科学省の方で、児童生徒が勤労観・職業観を身に付けるためにキャリア教育を行っていく、そのための調査研究を行うというものでございます。
その下にも「小学校におけるキャリア教育の指導内容の充実」という事業が掲載されております。
5ページも継続ものあるいは一部新規ものですので、説明は省かせていただきます。
6ページになりますが、6ページの中で新規事業といたしましては、下から3つ目に「育児・介護休業制度の拡充」がございます。こちらは本年度から育児・介護休業法の改正に向けた検討が始まっておりますので、後ほど本年度の取組みの中でも御説明をいただきたいと思います。
7ページになります。7ページの中で新規事業といたしまして、高齢者の就労促進ということで、下から3つ目「高齢者の職業経験を生かした登録制による就業支援の実施」といたしまして、高齢者の方が持っている技術等を登録し、その中で地域にある高齢者ニーズとマッチングさせる仕組みを構築するといった事業でございます。
8ページでございますが、この中で額は小さいのですが、下から2行目に人事院の取組みとしまして、女性職員の採用・登用拡大推進のための取組みということで挙がっております。
9ページにいきますと、この中では下から3つ目に「認定子ども園の設置促進等」が新規事業として挙がっております。これは認定子ども園の設置促進を図るための「こども交付金」による総合的な財政支援という内容でございます。
10ページは飛ばしまして、11ページをごらんください。これは内閣府の取組みになりますが、その他のところで下から2つ目「仕事と生活の調和政策研究」がございます。これは仕事と生活の調和についてのデータベースの構築を考えております。データベースと申しましても、網羅的なものと言うよりは重要なもの、主要なものに絞って、そういった文献を一覧できるような仕組みをつくれるように要求しているところでございます。
その下「仕事と生活の調和に関する先進的事例収集」。こちらも内閣府の要求でございますけれども、これも事例の収集はいろいろ行われておりますが、それを引き続き行うとともに、既存のものも含めまして検索しやすいような情報提供の仕組みを考えたいと思っております。
概算要求については、非常に簡単ですけれども以上でございます。

○樋口部会長

 ありがとうございます。何か御質問ございましたらお願いします。
今、補正の方もやっているわけですが、それと並行してこういったこともということですね。

○内閣府本多参事官

 補正については、また後ほどご説明いたします。

○樋口部会長

 それでは、次に今年度の取組みにつきまして、この部会の第1回及び第2回会合におきまして御報告いただきました内容から、追加や変更がある場合、御報告を事前にお願いをしておりましたが、それでは内閣府から順次、簡単に説明のほどお願いいたします。

○内閣府本多参事官

 それでは、資料2-1をごらんください。こちらの内閣府の取組状況ということで、追加変更分を含め全体を書いたペーパーでございます。 「カエル!ジャパン」キャンペーンについては、たびたびこちらでも御協力をお願いしてきたところでございまして、ダウンロードシステムのスタート等を行っているところでございます。また、ポスターも東京メトロ、また大阪市交通局等で掲示をされたところでございます。政府広報も幾つか実施しております。 「(3)パパの育休体験記の募集」でございますが、これは別紙を付けておりますけれども、この応募につきましては、ここにお集まりの委員の皆様にもいろいろと御協力をいただきまして、10月17日に応募を締め切りました。これまでのところ70件を超す応募がございまして、皆様の御協力に感謝いたします。これにつきましては、おそらくほとんどすべてのものを公表できるかと思いますので、公表資料の作成に向けて進めてまいります。 「(4)内閣府『隗より始める』プロジェクト」ですが、これは内閣府で業務効率化のための取組みということで、外部のコンサルティング会社からのコンサルティングを、受け始めたところでございます。 「(5)ハンドブックの作成」とありますが、お手元にこれをお配りしております。こちらも最近つくったものでして、実は今ちょうど印刷を進めているところで、お手元にお配りしているコピーは少し見にくいところがあるかと思うんですが、もう少しきれいなものをつくりまして、必要な方のところに配布させていただきたいと思っております。今後、御要望がありましたら、どうぞ私どもの方までお伝えください。 「(6)認知度等の調査」ですが、これも資料をお付けしております。これはインターネット調査でワーク・ライフ・バランスに関する意識調査を行いまして、それを9月に公表いたしました。内容についてはワーク・ライフ・バランスについて希望と現実のギャップ等そういったデータが取れておりますので、後ほどごらんいただければと思います。 「(7)仕事と生活の調和担当者交流会」ということで、これは来年度予定しているCWOネットワークの、いわばきっかけづくりということで、各企業の人事担当の実務課の方を集めて意見交換をするという取組みをこれから始めます。 ほかに「(8)シンポジウム等の実施」等のイベントを実施しております。 内閣府からは以上でございます。

○樋口部会長

 続きまして、総務省から順次お願いをしたいと思います。総務省はいらっしゃらないですか。

○内閣府本多参事官

 ちょっと今日はいらしていないようです。

○樋口部会長

 そうですか。そうしましたら、文科省お願いします。

○文部科学省栗山課長

 20年度の取組みということでよろしいでしょうか。
文部科学省では、この仕事と生活の調和推進の実現に向けた取組みということでは、大きく分けて2つありまして、1つは勤労観・職業観を育てるキャリア教育。これは学齢期からしっかり実施していくというもの。それから、社会人になってもいつでも学び直しができる社会の構築。こういった観点から取組みを進めているわけでございます。
7月に教育振興基本計画というのを閣議決定いたしましたけれども、そこでも現代社会が抱える課題の対応として、仕事と生活の調和に関する学習の推進というのを挙げたところであります。
実際には、キャリア教育の推進ということで言えば、今度は新しい学習指導要領が23年から実施されますけれども、それを前倒しして着実に実施していくということが、基本的な取組みですが、これを推進するような意味で職業教育、キャリア教育ということでは専門高校等、地域産業界が取り組んで、その地域の担い手となる職業人を育成するとか、あるいは研究機関と連携した先導的な取組みをする。そういう先進的な取組みをする事業に対する支援をしております。
それから、来年度では先ほど御紹介がございましたけれども、小・中学校における指導の系統性を確保する、あるいは外部人材の活用といったようなことで、キャリア教育のプログラムの開発に必要な経費の予算要求をしております。
そのほか、女性の研究者を支援しようということで、これもその環境支援のための経費ですとか、女性研究員の採用といったことに必要な予算の拡充も図っていくべく、今、予算要求をしております。こういった施策を通じて、この調和推進の施策を推進してまいりたいと考えております。
以上でございます。

○樋口部会長

 ありがとうございました。 それでは、厚労省お願いします。

○厚生労働省小林課長

 それでは、厚生労働省関係の御説明を申し上げます。 資料2-2-1というのを、先ほどの内閣府の資料の次にお付けをいたしております。こちらに第1回4月のときに御説明させていただきましたものの、その後の進捗状況を反映させた資料をお付けいたしております。全体の項目は1ページから3ページにかけてございますが、本日はそのうち何点か個別に御説明をさせていただきたいと思います。 4ページ「仕事と生活の調和推進プロジェクトについて」という資料をお付けいたしております。これまでは仕事と生活の調和推進モデル事業という形で御説明を申し上げてきたところでございますが、より発信力あるネーミングをということで、仕事と生活の調和推進プロジェクトという名の下で、数々の取組みを展開しておるところでございます。 この7月には、その取組みの第1弾といたしまして、ここにございますモデル企業各社の経営トップから「トップ宣言」を発表していただきました。資料の少し後の方にリーフレットで「仕事と生活の調和推進プロジェクト」というものをお付けいたしておりまして、そこにございますように、各企業のトップの方のトップ宣言を発表していただいたところでございます。 また、その資料の次に、これは読売新聞になりますけれども、モデル企業の挑戦ということで、各社におけますその取組みを御紹介申し上げる連載広告を掲載しております。年末までに10社掲載予定でございますが、お手元にはこれまで掲載をされました2社の分の資料を参考としてお配りをさせていただいております。 来年3月におきましては、各社におきましてアクションプログラム等を策定、発表していただくという段取りになっております。 仕事と生活の調和推進プロジェクトの状況は、以上でございます。 引き続きまして、育児・介護休業制度につきまして御説明いたします。

○厚生労働省定塚課長

 次に、資料の5ページ目をごらんいただきたいと思います。この資料は7月に当方の研究会報告という形で、今後の仕事と家庭の両立支援の研究会報告書を出していただいたものでございます。
今後の両立支援の基本的な考え方ということでは、子育ての時間確保ができる働き方の実現ということで、短時間勤務の重要性について、また、父親も子育てに関わることができる働き方の実現という項目などを挙げ、子育てや介護をしながら働くことが普通にできる社会への転換をすべきだという提言になっております。
また、具体的な提言事項としては、その裏側のページが各論となっておりますけれども、4つの大きな区分に応じまして項目を記載しております。
重要な項目としては、先ほど申し上げた子育ての時間確保という部分で、短時間勤務と所定外労働免除などの柔軟な働き方を選べることとすることが必要である。また、その右でございますけれども、父親も子育てに関わることができる働き方の実現ということで、こうしたことについては、本部会でも7月の御提言でいただいていたところでございますが、パパ・クオータを参考とした「パパ・ママ育休プラス制度」といったものを提言しているところでございます。
この研究会の報告なども参考にしながら、8月末以降、労働政策審議会、雇用均等分科会の場で、労使も含めて御議論を開始していただいているところでございます。
以上です。

○厚生労働省生田参事官

 それでは、続きまして仕事と生活の調和に関連しまして、第一次補正という形で10月16日の参議院本会議で成立いたしました内容につきまして、御報告したいと思いますけれども、資料2-2-2という黄色の横長の紙が入っていると思いますが、その1ページを使いまして御説明をいたします。
「安心実現のための緊急総合対策(労働関係)」と書いてございます。仕事と生活の調和に絡みます部分につきましては、左側の「非正規雇用対策等の推進」でございます。まず、日雇派遣労働者等の安定就職実現等の関係でございますが、これにつきましては労働者派遣法の改正につきまして、政情はなかなか不安定でございますけれども、この臨時国会に法案を出すべく今、準備中でございます。24日に法案要綱の諮問をすることになってございまして、それを受けまして、日雇派遣労働者の方が相談できる窓口をきちっとつくるということで、日雇派遣労働者に対する支援の強化に6.8億円の予算がついてございます。
それから、非正規労働者の雇用の安定でございますけれども、フリーター等の常用雇用化支援の拡充でございます。これにつきましては、補正の段階から支援対象を従来34歳以下だったんですけれども、35歳から39歳も支援対象にするということでトライアル雇用の助成金の対象にし、トライアル雇用の後の正社員雇用の場合の助成処置の対象にもするということで、そういった年齢層を入れるということでございます。
ジョブ・カード制度の整備・充実につきましては、訓練期間中の生活保障のための給付をすることができる制度の創設ということで、月10万円貸与するということですが、一定の条件を満たせば返還免除をするということでございます。
それから、その下に住居のない不安定就労者等に対する安定的な雇用確保のための総合的支援と書いてございますが、いわゆるネットカフェ難民の方への対応でございまして、住居の入居初期費用、最高40万円までと、それから、月給が出るまで1か月ありますので、1か月分の生活費20万円につきまして貸与する仕組みをスタートするということでございます。
それから、一番下の大都市圏における非正規労働者の就労支援体制は、東京、大阪、愛知に非正規労働者の就労支援のためのワンストップサービスセンターをつくるということでございます。
右側の「女性の就労支援」でございますけれども、子育て中の女性のワンストップ支援センターでございますマザーズハローワークにつきましては、今年度98か所、既に設置をいたしておりますけれども、この補正で今年度中に更に10か所設置をするということでございます。
それから、高齢者の就労支援の関係でございますが、これにつきまして65歳までについては新しく雇い入れることについての支援があったんですけれども、この補正によりまして、65歳から69歳までの間について新しく労働者を雇い入れた場合の支援、それから、トライアル雇用という形で労働者を3か月間施行雇用するといった場合の支援を新しく追加するということで、予算を組んでございます。それ以降のページは、この内容を詳細に示したものでございます。
以上でございます。

○樋口部会長

 厚労省は、以上でよろしいですか。
それでは、続きまして経産省お願いします。

○経済産業省松井室長

 経済産業省の取組みについて、報告させていただきます。当面取り組むべき事項に記載されておりますとおり、経済全体の生産性の向上を図っていくという観点から、中小企業の活性化が非常に重要でありますので、中小企業生産性向上プロジェクトをとりまとめ、取組みを実施しております。
中小企業が適正な利益を上げ、持続的な成長を遂げられるようにするためには、特に下請取引の適正化の推進ということが極めて重要でありますので、その主な3つの取組みの実施状況を報告させていただきます。
1つ目でございますけれども、下請取引に係る各種相談への対応、裁判外紛争解決、下請適正取引ガイドラインの普及啓発を行うべく、4月から47都道府県に下請け駆け込み寺を整備いたしました。現在のところ、1,480件ほどの相談が寄せられております。
2つ目としましては、原油高、原材料高といったコスト増の転化を妨げるような買いたたき。こういった違反行為が行われないように、事業者に対する書面調査を拡大するとか、公正取引委員会と連携しながら下請法に関する取締強化を行っております。書面調査件数にしまして、昨年度が13万社でありましたものが今年度17万社にまで拡大しております。
最後の3つ目としましては、これまで10業種における下請適正取引ガイドラインを作成しております。これは4月に報告させていただいておりますけれども、これに加え下請取引に係る望ましい取引事例として、ベストプラクティス集を作成いたしました。これを22万部ほど配付しております。また、それらの認知度や活用度の向上を図るために、下請け駆け込み寺での説明会を活用して、普及活動を行っております。
なお、ベストプラクティス集の中でワーク・ライフ・バランスについても触れさせていただいております。一例でございますけれども、各企業は労働者の仕事と生活の調和が図られやすくなるよう、取引先への計画的な発注、納期設定に努める。そういった記載ですとか、労働条件や雇用に配慮した単価設定に向けて事業者間で協議を行うべきであるといった記述をさせていただいております。
以上でございます。

○樋口部会長

 また後で、関係省庁に対する質問がございましたら受けることにしまして、委員の皆様から説明をお願いしたいと思います。
まず、最初に海老井委員からお願いします。

○海老井委員

 福岡県ですけれども、5月のときに福岡県の取組みとして「子育て応援宣言企業」の登録事業について、御報告させていただきました。その後ですけれども、そこに1枚紙を用意しておりますが、平成15年9月から始まりまして5年経過しておりますけれども、これは内容的には企業トップの方に、仕事と子育ての両立支援のための各企業独自の取組みを宣言していただいて、それを県の方に登録してもらって、県がそれを冊子等にして情報を発信していく。 そして、下にありますように、宣言企業の入札参加資格の審査における加点をするとか、あるいは育児休業を取るときの煩雑な事務手続に係る支援を行うとか、こういったことをしながら拡大をしているところです。 登録目標3,000社ですけれども、現在のところ約1,800社です。先だって御報告しましたときには1,464社で、その後350社増えたということになります。それまでの増加に比べますと、少し鈍化しているところもありますけれども、着実に増えてきていると思っております。 そして、登録宣言の内容ですけれども、やはり育児休業をとりやすいような環境づくりをする。例えば制度についての周知を図るとか、あるいは代替要員を準備してとりやすいようにするとか、そういったとりやすい環境づくり。それからまた、職場に復帰した後、両立しやすいようにということで労働時間の短縮。こういったところがやはり多く見られます。 今後も3,000社に向けて取り組んでいきますけれども、実はこうした取組みで昨年は「にっけい子育て支援大賞」をいただきましたが、今年度は5月に第1回ベストマザー賞で、出産育児子育て支援に優れた取組みを行っている自治体ということで特別賞をいただいたところです。これを励みにして、なお一段とワーク・ライフ・バランス、そして、子育て応援宣言登録事業を進めていきたいと考えております。 以上です。

○樋口部会長

 ありがとうございました。
それでは、日本経団連の松井委員代理からお願いします。

○松井代理

 第2回会合でお示ししました資料に、その後の具体的な活動を追加しております。少し薄めになっておりますが、網掛けの部分が追加した点でございます。 まず、「1.日本経団連の会合や講演会等における周知広報」に関することとして、昨日でございますけれども、少子化対策委員会で小渕大臣から御講演をちょうだいし、ここで委員の企業に対して周知しています。それから、業界団体、各地の経営者協会での講演を重ねております。前回御報告では5回程度ということでございましたが、現時点での実績は9回となっております。 2番目の項目、冊子等を通じての周知・広報でございますけれども、書籍で『ワーク・ライフ・バランスの推進事例集』というものをつくりまして、関係者や、各種会合等に参加いただいた方々にお配りして周知に努めております。 もう一つ、毎年労使交渉時期にトップマネジメントのアンケートを行っておりますが、ここで特にワーク・ライフ・バランスについて各社の取組状況等を調査し、その結果をフィードバックしました。 裏になりますが、国によるワーク・ライフ・バランス推進活動への協力ということでございます。先ほど御報告のありました「カエル!ジャパン」キャンペーン等について、ここでは具体的に東京経営者協会となっておりますが、各地の経協等にメールマガジンの発信等を行い、周知の御協力をしています。 それから、特に力を入れておりますのが「家族の日」・「家族の週間」国民運動でございます。これについてはここにありますように、会長名で協力依頼を重ねております。下にございますが、具体的に我が団体も含めて会員企業にノー残業デーを推奨しておりまして、11月中にはこの取組事例を集約して、各方面に情報発信をする予定でございます。 以上でございます。

○樋口部会長

 ありがとうございました。
社会経済生産性本部の北浦委員、お願いいたします。

○北浦委員

 それでは、私の方から報告させていただきます。
私どもは次世代のための民間運動ということで、民間レベルにおきましてワーク・ライフ・バランスの推進を進めてございますが、これに関しましての資料はお手元に、資料ナンバーはございませんが1部パンフレット等を載せさせていただいております。 基本的には私どもは当初の計画に沿って、今、進行中でございまして、まだ十分御報告できないところがあるんですが、そのうち、ここにお手元にございますワーク・ライフ・バランス大賞につきましては、既に募集を締め切りまして、現在、選考の過程にございます。 内容はこのパンフレットの裏側にございますように、3つの部門に分けまして募集をいたしました。組織活動の部門、普及支援活動の部門、それと標語の部門ということで、それぞれ応募をいただきまして、現在、選考に入っているわけでございます。それぞれ3つほど、賞の対象を選びたいということで進めておりまして、来月の半ばまでには確定できるという段階でございます。参考までに、前年のものが中に入ってございますので、ごらんをいただければと思います。
なお、これらのものにつきまして、その次にございますワーク・ライフ・バランス・コンファレンスということで、この大賞の授賞式を兼ねまして、私どもはイベントを開催する予定でございます。お手元にございますように、11月21日に開きまして、受賞企業に対しての賞状の授与等を行うことと、それから、前年受賞した企業であります日立ソフトウェアから講演をいただくことになっております。
なお、私どもといたしましては11月23日勤労感謝の日ですが、これは仕事だけではなく生活も考えるという意味で、ワーク・ライフ・バランスの日ということで、うたってございます。 そのようなこともありまして、11月21日の前の段階でコンファレンスを開かせていただくわけでございまして、御関係の方々にもいろいろ御協力をいただければ幸いだと思っております。
資料はございませんで、まだ途中でございますが、私どもはこの時期に合わせまして各職場の現場のリーダーの方に対しまして、ワーク・ライフ・バランスを進めるための参考になるようなハンドブックを、作成してございます。そんなに大部なものではございませんが、とりわけ人事部門に関してのいろいろな啓発、啓蒙のものがございますが、現場のリーダーの方で直接従業員、社員の管理をされている方々を対象にした、いろいろな心得なり、いろんなノウハウなどを掲載したハンドブックを今ちょうど作成している途上でございます。出来上がりましたらまた御報告を申し上げたいと思っています。
以上でございます。

○樋口部会長

 ありがとうございました。
それでは、日本商工会議所の近藤委員お願いします。

○近藤委員

 資料はございませんので、資料なしでお聞きいただきたいと思います。
前回の6月18日の評価部会以降、商工会議所でどういう活動をやっていたかについて御報告をさせていただきます。
1番力を入れていたのは、実は今年の8月に中小企業庁で中小企業ワーク・ライフ・バランス対応経営普及委託事業の公募がございまして、これの入札に参加しました。この事業計画を練るのに8月は全力を投入いたしました。結果としては2位で請けることはできなかったわけでございます。
ただ、この内容について特に、中小企業にコンサルを派遣してワーク・ライフ・バランスの取組みへの指導あるいは検証を行うというのがございまして、事前に私ども12社に了解を取っておりましたので、残念ながら請けることができなかったわけでございますけれども、その12社について今、それぞれ従業員のワーク・ライフ・バランスの確保について、これまでの取組状況あるいは課題、ありたい方向について今、ヒアリングを行っているところでございます。今後の政府への政策提言への参考にしたいと考えております。
それから、セミナーの開催も1件でございますが、7月に品川支部でワーク・ライフ・バランス力向上セミナーというものを、小規模事業者を対象に実施をしております。それから、今後12月には山梨にセミナーの講師を派遣することを考えております。7月には少子化対策予算の拡充と両立支援策の推進についてというのを決議して、当時の上川大臣等に陳情したところでございます。11月13日には、小渕大臣に講演をしていただく予定でございます。
以上でございます。

○樋口部会長

 ありがとうございました。
情報産業労連の杉山委員お願いします。

○杉山委員

 情報労連の方ですが、5月5日に報告させていただいた内容を踏まえまして、この7月の時点で労働組合ですから大会という形で決議をするわけですけれども、その中で今回、策定してきました憲章と行動指針を積極的に受け止めて推進するというのを組織決定させていただきました。
7月からまだそんなに経っていませんので、具体的なところはこれからになってからとなりますが、当面としては、例えば労働時間の関係で言えば中期時短目標というのを確認しましたので、最終的な年度は2012年度末、それに至る2009年度末を、最低到達ということですべての加盟する組合、企業で達成するべく取組みを進めることになります。例えば年休の有給休暇の完全取得であれば、2012年度末には完全取得を達成するとしていますけれども、まずは2009年度末までに個人ベースで1年も10日もとっていない人を解消する等、そのようなステップ・バイ・ステップでの目標を立てて、それを確認してやっているというところになります。
また、非正規の関係では、これは従来から取り組んできていますが、春闘等の労使交渉の場なども利用しながら、非正規労働者の正規化をすぐできるところで積極的に取り組むですとか、賃金人事制度を導入していくといったことを取り組んでいきたいと考えています。
情報労連では、加盟する産業で特に大きい産業として情報サービス業を抱えています。情報サービス業は、一番長時間労働が特徴的な業界とも言われています。そういった意味では、そこの業界をどう改善してワーク・ライフ・バランスを実現していくかということで、この夏から秋にかけて議論をしてまいりまして、政策的対応をしていくということを決定しました。 来月になりますが、11月6日に情報労連主催で、情報サービス業界に対するワーク・ライフ・バランスの実現という意味合いのフォーラムを開催させていただきます。そこには労使の関係者の皆さんをお招きして、ワーク・ライフ・バランス実現のアピールとスタートということでやっていきたいと考えています。
いずれにしても、この秋から来春闘時期の労使交渉の場で、他のものを含めて具体的な進展を図っていくことになるとことを述べて報告に代えます。

○樋口部会長

 ありがとうございました。 日本サービス流通労連の横山委員、お願いいたします。

○横山委員

 それでは、私の方からは連合の取組みと、サービス流通連合の取組みというとで、2点報告をさせていただきます。
まず、連合の部分でございますが、この間、厚生組織と地方連合それぞれに取組みを要請してまいりました。厚生組織、特に職場レベルにおいては、改正の労働時間等設定改善指針を活用した労働時間の短縮を取り組むということで、組合自らが主体的に働き方改革宣言というものを、それぞれのレベルで発信して変えていこうという職場の改革、それから、自己改革を進めていこうということで発信をしております。
また、地方連合会におきましては、国民の意識改革という観点から地方議会において、ワーク・ライフ・バランスまちづくり宣言というものを、それぞれ決議するよう働きかけをしてほしいということで要請をしております。
ただ、なかなか議会においては難しい部分も出ておりまして、具体的には新潟などでは否決を受けているということで、このまま議会の中でやっていくのか、あるいは労使または政労使の宣言にした方がいいのではないかという報告も受けているところです。
こういった地方連合、それから、厚生組織の取組みというものを具体にどうおこなったかについては、この12月にまとまってまいりますので、その部分が出てまいりましたら、また改めて御報告させていただきたいと思っております。
次に、サービス流通連合のところでございますが、この夏に実施をいたしまして、2年に一度行っているんですが、意識調査ということで4万人の組合員の意識調査のアンケートの結果が出てまいりました。発刊は来年の1月になっておりますが、そこの中ではワーク・ライフ・バランスについての設問というものもございまして、例えば仕事と生活のバランスについてという設問に関しましては、仕事中心、どちらかというと仕事中心を合わせると回答の6割で、中身を見るとやはり男性の方が女性よりも仕事中心という回答が多く、特に20代から30代では、仕事中心という回答が30%台になっております。 また、仕事と生活のバランスをよくするために必要なことということで、上から順に答えが多かったのは、労働時間の短縮、それから、自分自身の意識改革、次に休暇・休業などの社内制度の充実、そして定休日増、営業時間の短縮というような答えがございました。
前回の中で、隘路となっている部分ということで、大店法の撤廃以降の流通小売業の中での過当競争になっている営業機会の拡大ということを挙げておりましたが、この間、日本百貨店協会とサービス流通連合の中で労使委員会というものを発足しまして、会議を既に数回行っておりますけれども、営業機会の短縮に向けた方向性を模索しているところでございます。サービス提供の在り方に対する各企業のコンセンサスと、それから、業界を挙げた自主規制等が求められるのではないかと存じます。いずれにしても今後の実施も踏まえて今、緒に就いたところでございます。
ワーク・ライフ・バランス憲章の中にも一文として、消費者として求めようとするサービスの背後にある働き方に配慮するということが入っておりますが、業界の中でも話をしていますし、できればこういった場も通じて、大きないろいろな部分で国民全体の運動の中でのワーク・ライフ・バランスの実現という合意形成を、進捗状況を報告する中でまた話し合っていければと思っております。
以上でございます。

○樋口部会長

 ありがとうございました。
最後に、全国中小企業団体中央会の市川委員、お願いいたします。

○市川委員

 特に資料はお配りしておりませんけれども、私どもは厚生労働省の委託事業でございます一般事業主行動計画策定等支援事業の受託をさせていただいおりまして、中小企業のための認定マニュアルの作成を、現在、進めているところでございます。
好事例ということで、認定企業の10社ほど調査分析をするとともに、行動計画の策定、公表の手順、認定を受ける方法の説明をこのマニュアルの中で取り上げていきたいと思っております。
それから、講習会、セミナーにつきましては、私どもの傘下の県中央会指導員に対する講習会を予定いたしております。また、地域セミナーとしまして全国6か所での地域セミナーの開催の予定をいたしております。
次世代育成支援対策推進センター。これが全国で94ほどございますが、そのうち36が私どもの都道府県中央会、そして、全国中央会を合わせまして37か所、全体の4割を中央会組織で担わせていただいておりますけれども、引き続きこのセンターの活動を続けていきたいと思っております。
普及、啓発につきましては、内閣府の「カエル!ジャパン」パンフレットにつきまして、私どもの会員団体に配布し、普及、啓発を行っているところでございます。
以上です。

○樋口部会長

 ありがとうございました。
様々な取組みが進んできているかと思いますが、皆様の説明につきまして忌憚のない御意見を御自由に御発言願いたいと思いますが、どなたからでもどうぞ。
八代委員、どうぞ。

○八代委員

 少しこの趣旨から外れるかもしれませんが、せっかく御説明があったので生田参事官に対して、この安心実現のための緊急総合対策の日雇派遣労働者の支援ということについて伺いたい。これは一見すると単に窓口を増やすというだけのように聞こえるんですが、果たしてそれでいいのか。
つまり、ハローワークというのは、もともとどんな労働者にもオープンになっていたわけで、これまで日雇派遣を使っていた労働者は、行きたければ今でだって行けたわけであって、それが窓口を増やすだけで本当に来てもらえるのかどうか。 具体的に言うと、日雇派遣会社がやっていたよりもよいサービス、せめて同等程度のサービスをしないと、ある意味で来てもらえないわけで、今回禁止されればやむを得ず行くことになるわけですけれども、そこをどういうサービス向上を考えているのかということです。
具体的には、例えばネットの情報をもっと活用して、これはハローワークに行かなければだめで、今までのように行かずに済ますというわけにはいかないんだろうと思いますけれども、その点をどうするのか。
日々雇用を自発的にやっていた人から見れば、明らかに不便になるわけですけれども、この不便の度合いをどの程度少なくできるのか。それから、もともとやむを得ず日雇派遣をやっていて、本来安定雇用を求めていた人にとって何が変わるのかということです。変わらなければ結局これは単にハローワークの人員を増やすだけにとどまってしまう。 例えばそこで求められるものとして、日雇いの直傭は当然あるんだと思いますが、1か月以上の派遣というものも紹介されるのかどうか。これまで、たしか派遣というのは不安定雇用だからってハローワークでは余り紹介していなかった。もし誤解だとしたら、間違いを訂正していただきたい。
とにかく、日雇派遣労働者にとって本当に役に立つものかどうかというのを、ちゃんと精査されているのかどうかということです。
それから、もう一つはいわゆるネットカフェ難民に対する対応として、20万円の貸付けと住宅費用10万円ぐらいというと、30万円ぐらいを貸すわけですけれども、ではその借りる人に対してどういう証明を求めるのか。つまり、住宅があるという証明は住民票を出せばいいんですが、ないという証明はどうやって出すのか。
逆に言えば、モラル・ハザードが当然起こると思うんですが、それをどうやって防ぐのか。それがないと、あまり実効性のある対策にはならないのではないか。その点についてよろしくお願いします。

○樋口部会長

 では、2点お願いします。

○厚生労働省生田参事官

 まず、日雇派遣の関係でございますけれども、これにつきましては、ここでは補正予算で予算措置を講ずるものについて記載するということで、ハローワークの特別相談窓口のことを書いてございます。
日雇い派遣につきましては、現在審議会でどう対応するのかということの議論がされていますけれども、最終的には方向性としては原則禁止として、一定の職種につきましては日雇派遣を認めるということでございます。専門職種について日雇派遣を認めるという方向になってございます。
日雇派遣につきまして、禁止された職種についてどんな感じになるのかということで、我々が想定しているものでございますけれども、現在日雇派遣の事業をやっておりました、大手ですとグッドウィルやフルキャストにつきましては、事業を縮小しておりまして、日雇派遣労働者が5万人程度いたと言われていましたけれども、その2社の職員がいなくなっているという状況で、ほかの派遣会社にも分散していると思いますが、そんなにもう日雇派遣労働者があまり残っていないのではないかという状況でございます。
そのいなくなった労働者は一体どうなっているのかということですけれども、大体3つぐらいパターンが考えられて、1つが今まで30日以内の短期の派遣、特に日々更新が多かったと思いますが、日雇いの派遣だった方が2か月だとか3か月という形で、長期の派遣になっている方が相当いらっしゃると思います。
それから、現実にハローワークに職業紹介を求めて来られる方が、今でもたくさんいらっしゃいますので、そういう方につきまして期間雇用あるいは正社員という形で、職業紹介が現実になされているということがございます。
3つ目でございますけれども、これにつきましては日雇派遣をやっていた会社というのが、実は職業紹介も兼業しているケースがほとんどでございまして、日雇紹介という形で職業紹介をされるということが考えられております。実際そういう取組みをされているところも多いんですけれども、そういう場合は労働者を登録しまして、職業紹介先が見つかりましたらそこに御紹介をして、手数料を民間会社が得て営業をするという形になりまして、雇用主としての責任はあくまでその紹介先の企業が負うという形で働かれるということでございます。
多分、1つだけの方法では対応できずに、いろんな方法を組み合わせて派遣労働者の方の不利益にならないような対応をしていくということだと考えてございます。
それから今回の法改正では、さまざまなメニューがこれ以外にもございますけれども、今日は時間もございませんので説明は省略いたしますが、総合的に派遣労働者の支援をしていくという考え方でございます。
ネットカフェ難民の関係でございますけれども、これにつきましては、今まで日雇で日銭を稼いでいた方につきまして、1か月での給料、要するに月給でもらうという方が増えますので、そういう方につきまして1か月間生活できないので、それが20万円貸与するという意味でございます。 あと住居の費用につきましては、住宅入居の初期費用として最大40万円お貸しするということですが、この40万円の方は直接住宅会社なり家主の方に払い込むという形で、実際に住んでいる。それについて手当するというやり方でございます。
20万円の方は返還免除をするわけではなく、返還していただくという考え方でございます。

○樋口部会長

 よろしいでしょうか。では、ほかにいかがでしょうか。

○八代委員

 JSDにお聞きしたいんですが、今おっしゃった、まさに消費者のサービスへのニーズと働き方の矛盾というのは、例えばコンビニの夜間営業の禁止というか自粛ですけれども、そういうことをやっている自治体が増えているんですが、あれに対して労働組合としてどう考えているのか。 つまり、それはそれとして労働者の利益になる面と、雇用機会が失われるという、まさにコンフリクトがあるわけですね。だから、それをどうお考えになるかという点。 もう一つは、はっきり言えば、深夜に客が多いコンビニは閉める必要がないわけで、少ないところは閉めればいいと思うんですが、そのコンビニの契約に縛られて経営者は夜閉めたいんですけれども閉められないという問題がよく指摘されているわけです。 だから、そういうところはもう少し全体として、これは別に組合だけではなくて企業の方も含めて、コンビニ契約をもっと弾力的にするというのが一番合理的なやり方ではないかと思うんですが、そういう点については労働組合の対応を後で教えていただければと思います。

○樋口委員

 横山委員、お願いします。

○横山委員

 今、京都のコンビニの業界、地域の問題などが出ていて、一般に今、言われているのは深夜に開いているお店が、全部開いていることはないのではないかという議論であったり、開けている方の経営者の方々からよく言われているのは、要はコンビニなど巨大冷蔵庫だったりそういったものは、開けていても閉めていても基本的な費用が余り変わらないので、実際に売れている生産性を昼間と夜とで比べると、圧倒的に夜は非効率だけれども、開けてさえいれば、初期費用が余り変わらないのであれば、全体的な総体としての売上は上がるのでということで、なかなかその24時間をやめて短くすることができにくいとは伺っています。 実質そこで働く人を応募しても、やはり深夜はなかなか応募がないということで、実際は経営者の方々がやられているということがあって経営者の方たちの方で、自分たちではやめられないので何か業界的な縛りであったり、そういうものが入れられないかという声も聞いています。 雇用に関しては深夜ということではなく、やはり労働組合は営業時間と労働時間は別ということでこの間進んでまいりましたけれども、やはりそこが拡大して伸びしろが伸びきった段階では、非常にそこも難しいというのも事実として挙がってきていますので、やはりどこかで規制は必要であると、今、組合の立場としては365日24時間がすべてにとって必要ではないという考えに立って進めているところです。

○樋口部会長

 それでは、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員

 確認だけで、私が聞き逃したんですけれども、日本商工会の近藤委員が御説明されたときに、どこかで委託事業か何かを予定されていて、だけれども取れなかったけれども12社のコンサルティングなりに従業員をやるという話でよかったんですか。

○近藤委員

 はい。

○佐藤委員

 それはどこがやっているんですか。

○近藤委員

 中小企業庁です。

○佐藤委員

 そうすると、それはどこかが取って、どこかがやっているわけなんですか。

○近藤委員

 はい。やっています。最終的には中小企業向けの導入マニュアルを作成するということになっていますから、それができたときには、うちでもシンポジウムあるいは説明会をやりたいと思います。

○佐藤委員

 すみません、先ほど説明がなかったので。

○経済産業省松井室長

 先ほど説明しなかったんですが、経済産業省と中小企業庁でやっておりまして、東京商工会議所さんは残念ながら2番手だったということで、ほかの業者さんに、今、事業委託をさせていただいておりまして、今、10社ほど選考過程にありまして、これから進めていくという状況にあります。

○樋口部会長

 どんな事業なんですか。

○経済産業省松井室長

 4月の段階で1回報告させていただいておるんですけれども、中小企業向けのワーク・ライフ・バランスの導入マニュアルを作成するということで、それに当たって10社ほどモデルの会社を選んで、コンサルをしながらそこら辺のコンサル結果を踏まえて、導入マニュアルの方に反映してあげるという事業であります。

○樋口部会長

 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。
よろしければ、関係省庁の皆様にも、いろいろ積極的な施策に今後も取り組んでいただくということをお願いして、次のテーマに移りたいと思います。
次は、点検・評価についてでございますが、事務局から説明をお願いいたします。

○内閣府酒巻参事官

 それでは、資料の3に基づきまして、点検・評価ワーキンググループの開催について御説明させていただきます。
1ページ目は、ワーキンググループの開催に関する御提案でございます。
1として趣旨が書いてございますが、ワーク・ライフ・バランス憲章、行動指針の点検・評価をするに当たりまして仕事と生活の調和実現度指標の更新に向けた作業等を行うためワーキンググループを開催したいということでございます。
実現度指標は、男女共同参画会議のワーク・ライフ・バランス専門調査会において作成いただきまして、本年3月に公表したものでございます。後ほど概要につきまして御説明をさせていただきたいと思っております。
今後は、評価部会の方で見直しをしていくということで、ワーキンググループを設置したいということでございます。
2が構成でございますが、別紙に掲げる者をもって構成するということ。それから、ワーキンググループに座長を置き、評価部会長が指名するということ。
3は、会議の公開についてですが、原則公開とするということ。また、庶務その他の事項につきまして記載をさせていただいております。
2ページ目、ワーキンググループの構成員についての御提案でございますが、この部会から、佐藤先生、樋口先生、それからワーク・ライフ・バランスの専門調査会で指標を開発したときに御協力いただきました独協大学の阿部先生、法政大学の武石先生、生活全般の統計資料につきまして使用してまいりますので、それぞれ詳しい方ということで、総務省統計局の清水課長、日本女子大学の永井先生、東京大学社会科学研究所の三輪先生にお願いしたいと考えております。
3ページ目以降、実現度指標につきまして、現在の指標の考え方、それから見直しに関する論点につきまして簡単に記載をさせていただいております。
現在の指標でありますが、実現度指標の構成といたしまして、まず、個人の暮らし全般にわたる仕事と生活の調和の実現状況、これを個人の実現度指標として作成しております。
官民の取組みによる環境の整備状況、これを環境整備指標として作成しております。指標の体系につきまして、少しページが飛びますが、6ページ、7ページに体系図を掲載させていただいております。少し字が細かいので大変恐縮ですけれども、最初に個人の実現度指標でありますが、これは、生活全般の5つの分野につきまして作成をしております。仕事・働き方、家庭生活、地域社会活動、学習や趣味・娯楽等、それから健康・休養という5分野でございます。
これの下に労働については、中項目の指標、その他の分野につきましても、小項目の指標というものを設定しております。
例えば、仕事・働き方につきましては、中項目指標といたしまして、柔軟な働き方が選択できるか、多様な主体が希望に応じて働けるか、過重な負担となったり、生活が維持できないような働き方をしていないか、というような指標を設定いたしまして、更に柔軟な働き方の内訳といたしまして、個人が人生の各段階における希望に応じて柔軟に働き方が選択できるのか、それから、待遇面での公正性が保たれているのかといったような指標を設定しております。
現実に、こうした指標を作成するに当たりまして、これを測定するためにふさわしい統計資料を幅広く集めまして、それの動向を合成することで指標をつくっております。
それに使いました統計資料につきましては、資料の右側の欄に少し細かくて恐縮なんですが、多くの指標が掲載されております。
個人の実現度指標につきましては大体80弱ぐらい、環境整備指標につきましては30ぐらいの指標を使って作成しております。
この中にワーク・ライフ・バランスの数値目標で使っております指標も盛り込んでおりますが、それ以外にも幅広く統計を集めまして作成したものであります。
この小項目指標を組替えまして、憲章で定められました仕事と生活の調和が実現した社会の姿、3つでございますが、就労による経済的自立が可能な社会、健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、多様な働き方、生き方が選択できる社会の指標を計算するということも可能になっております。
7ページ目、環境整備指標でございますが、こちらは指標としては一本の指標ということで作成しておりまして、それぞれここで掲げましたような構成要素、統計指標を使いまして作成をしたものであります。
計算結果ですが、3月に公表した資料の抜粋になりますけれども、4ページ目にグラフを掲載しております。5分野の指標の動向をグラフに掲げておりますが、例えば仕事・働き方の指標については、大体上昇傾向にあるということでございまして、内訳といたしましては、働き方の柔軟性に当たります、育児休業利用者が増えているといったことを反映して、仕事・働き方の指標が増えているほか、家庭生活につきましては、男性の家事・育児への関わりが増加したというようなことを背景に改善しているとか、地域社会活動、これは三角印の点線でありますが、最近は低下をしておりますけれども、これは地域の交際とか付き合いが希薄化しているということが統計上ありまして、そういったものを反映して低下しているということでございます。
環境整備指標につきましては、2002年までは横ばいでありましたが、その後、改善しておりますが、この背景としましては、保育サービスの充実でありますとか、景気が改善したということも背景にあるかもしれませんが、収入面での自立する機会の改善、例えば職業訓練後の就職率が高まっているということを背景に改善しているということでございます。
これを憲章で定められました3分野につきまして計算したものが5ページのグラフでありまして、例えば就労による経済的自立が可能な社会につきましては、90年代後半から改善しておりまして、それから、健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会は改善しておりましたが、最近は横ばいになっているという動きになっております。
3月に公表いたしました実現度指標は、以上のようなものでございますが、これについて見直しの考え方といたしまして、現在、考えていることを簡単に記載しておりますのが3ページの2.でございます。現在の指標を公表いたしましてからまだ余り時間が経過していないこともございまして、基本的には現在の指標体系を前提としたいと考えております。
ただし、指標の動向につきまして、やや実感に合わないという面があるかもしれませんので、構成要素を見直す中で、そうしたところの改善を図っていきたいというふうに考えております。
その際、憲章で示されました、仕事と生活の調和が実現した社会の姿、3つの社会の実現をどう適切に把握するかという観点も含めて検討していきたいということでございます。
特に留意する点といたしまして、先ほど若干御紹介させていただきましたが、経済的自立の指標が90年代後半以降一貫して改善しておりますが、90年代後半、雇用環境がかなり悪化した時期でございまして、若干実感に合わないのかなということもございます。
それから、仕事と働き方につきましては、統計指標をかなり多様なものを集めまして作成をしておりますが、家庭生活、地域社会活動等につきまして、やや統計指標が少ないという印象もございまして、この辺りを改善することでより実感に合うような指標がつくれないかということを考えております。
検討のスケジュールにつきましては、後ほど評価部会全体のスケジュールの中で御説明させていただきたいと思いますが、大体3回ぐらいをめどに開催させていただきまして、改定案を作成し、部会に御報告して御議論いただきたいと考えております。 簡単ですが、以上でございます。

○樋口部会長

 それでは続きまして、今の扱いのスケジュールも含めまして御説明をお願いいたします。

○内閣府本多参事官

 それでは、資料の4と5を御覧ください。
部会については、第5回からPDCAサイクルの、言わばCの段階、チェックの段階が始まったという位置づけで考えております。
今、説明がありました実現度指標を1つの評価のツールとしながら、それを含めて点検評価をどうやって行っていくかという御提案が資料4と5でございます。
最終的にチェックの結果の発表としてアニュアル・レポートというものを考えておりまして、それが資料5の方になります。こちらを先に御説明いたしますと、今後ワーク・ライフ・バランスの取組みについて、世の中に発信していくということで、年に一度は何かしらまとめて発信をした方がいいのではないかということで、今回、アニュアル・レポートを提案させていただいております。 ほかの政策ですと、例えば少子化でしたら少子化白書等、白書という形で発信をしているケースが多いんですけれども、ワーク・ライフ・バランスについては、特に白書という枠組みは根拠法もないこともありまして考えておりませんで、やや軽い形でミニ白書というようなイメージで、このレポートを考えております。
内容といたしましては、まず、骨子のところで第1章として、仕事と生活の調和実現に向けた取組み状況、ここでは国や地方公共団体だけではなく、労使の方の取組みも含めるというのが仕事と生活の調和については重要かと思っております。
第2章として、状況と評価ということで、この中で、今、説明をしました実現度指標と、憲章行動指針に盛り込まれております数値目標の状況を記載する。
併せてそういった数量的、定例的な評価だけではなくて、せっかくこの場で各団体、各省庁の取組みについて意見を交換しておりますので、そういった政策の進捗状況についても、ここで記載をするということを考えております。
また、第3章では、今後の展開についてもやはり記載する。そのほか、多少を読みもの的な性格も持たせたいと思っておりまして、実際の取組み事例や調査データの紹介、また、募集をいたしました男性育休体験記の紹介といったことを盛り込みたいというふうに思っております。
作成のサイクルといたしましては、例えば今回20年度分の状況をとりまとめて、次の夏ぐらいに発表するということで、そういったサイクルはどうかと思っております。
作成に当たっての留意事項としまして、できるだけわかりやすくするということを心がけていきたいと思っております。形としては、この部会と連携推進会議の合同のこの場でとりまとめるということで、事務局が引き受けるということを考えております。 実現度指標、アニュアル・レポート含めたスケジュールが資料4でございます。今回第5回で点検評価について、このワーキンググループとアニュアル・レポートについての御意見を賜った後、ワーキンググループが設置されましたら、まず、2回ほどワーキンググループの方で実現度指標について改定方針、また、実際に改定の試算をしてみるという作業をし、その結果を次の部会を1月ごろに開催させていただいて、そこで再度御意見をいただきたいと思っております。
その場でもおそらくいろいろと御意見が出るかと思いますので、それを受けて、もう一度ワーキンググループを開催する。更にそれをまた部会に戻すということを3月ごろにやりたいと思っております。
そこから部会として、平成20年度の取組み状況と今後の施策について、第1回、第2回でやりましたような各省庁各委員からの報告を、第7回、第8回ということでやっていきたいと思っております。
その次に、平成21年度版の当面取り組むべき事項のとりまとめをする。この辺りでアニュアル・レポートの案をお示しする。
こういった内容を含めて、6月にアニュアル・レポート公表するという手順を考えております。
以上について、御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。

○樋口部会長

 ありがとうございました。憲章及び行動指針をつくる際に、1つは数値目標ということで、10年後あるいは5年後の幾つかの数値目標を入れました。
それと並びまして、実現度指標というようなことをやってきたわけでありますが、最初の憲章、行動指針の中には、男女局の方がつくるというようなことで進めてきたものを、前回お認めいただきましたように、こちらの連携推進・評価部会というところでつくっていくということになったわけであります。
つきましては、ここで皆さんに全員に議論していただくというのも1つというふうに思いますが、やはりワーキンググループをつくって、その中において数値だけではなく、これまでの指標の在り方についても御検討いただくということで、これを発足してはどうかというような提言だったと思います。
一方におきまして、それを使って、またアニュアル・レポートということで、我々の連携推進・評価部会のメッセージを発信していこうというような取組みについて考えているわけでありますが、御自由な御議論、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
大沢委員、どうぞ。

○大沢委員

 指標づくりは大変いいことだと思うんですが、このように、平均値で果たして実態がわかるのかということの懸念がございます。特に若い人たちを中心に格差が拡大していく中で、平均値で議論してしまえば、例えば働き方がよくなっているとか、そういうことが見えたとしても、そういった希望どおりに働ける人と、それからなかなか希望どおりではないという格差の拡大の問題を、分散がどういうふうになっているのか、そういったことについて御議論いただければと思います。

○樋口部会長

 これは、平均値と同時に格差といいますか、標準偏差ということについても幾つかの指標を入れていって、それで扱うという理解でよろしいんですか。

○内閣府本多参事官

 指標の中でも盛り込めるところは盛り込みまして、また、アニュアル・レポートでは、データ、指標に限るわけではなくて、個別に分布が見られるようなものも、必要なものは入れていきたいというふうに考えております。

○大沢委員

 すみません。うまく説明できなかったんですが、つまりワーク・ライフ・バランスというのは、多様性にどう社会が対応していくのかということが重要な点だと思ったんです。ですから、9月のインターネット調査を見ても、仕事と家庭の両立だけではなくて、個人の生活を優先したいという人もいれば、かなり人々の生き方が多様になっている、こういった多様な人々が豊かな社会になって、多様な生き方のニーズを持ったときに社会がそれに対してどう対応していくのか、企業がそれにどう対応していけるのか、そういったことが、やはりアニュアル・レポート中では非常に重要なんではないかと思います。
ですから、これはファミリー・フレンドリー施策とは違って、ワーク・ライフ・バランスというのは、それぞれの人がそれぞれのバランスを持って生きるということがポイントになって、その多様性をどう社会あるいは企業が提供できるか。
もう一つは、これは国民すべてがそういう機会が提供されるということであって、決してこの機会が雇用形態によって、ある雇用形態のみの選択になってはならないというふうに思いますので、そういった多様性を確保できる社会に、どのように私たちの社会が近づいているのかというような視点で、アニュアル・レポートが出てくると、日本の持つ問題もわかりやすくなっていいのかなと思いましたので、意見を述べさせていただきます。

○樋口部会長

 もっともな御議論でありまして、多分、今の指標においても、多様な働き方、生き方が選択できる社会の指標というのが幾つか入っているわけです。その中で、個人が人生の各段階における希望に応じて柔軟に働けるかどうか。これも重要な指標という形で入っていると思いますが、そこについても更に検討して、加えることができるものであれば、再検討するというようなことを考えていきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
八代委員、どうぞ。

○八代委員

 この骨子案を見ますと、いきなり取組み状況とその実現というだけなんですが、やはりミニ白書というのであれば、ある程度その基になっている阻害要因、何がワーク・ライフ・バランスを阻害しているのか。これは難しいと思いますが、例えばアンケートでも、同じ形で毎年取っていくことによって阻害要因がどの程度変わって来ているのかという分析も是非していただきたいということ。
やはり、危険なのは、これから景気後退に入ってくると自動的に労働時間が減って、ある意味で、一見実現しているように見える可能性があるわけで、やはりそういう過去の不況期と比較するとか、他の条件を一定にしてみないと、日本というのはもともと残業で調整している企業が多いわけですから、そういう景気循環要因みたいなものもちゃんと分析する。この辺りは樋口先生の知見を活用して、もう少し分析的にやっていただきたい。そういうお願いであります。

○樋口部会長

 どうぞ。

○佐藤委員

 八代委員と前半は同じですけれども、確かに第1回ではアニュアル・レポートですので、そうすると、突然第1章というよりかは、やはり憲章をつくった背景なり、そこに阻害要因みたいなことが書かれているわけですけれども、そういうもので始まらないと、多分わからないかなという気がします。第1回は、なぜこういうものをつくって、トップが集まってこういう取組みを始めているんだということを少し書いた方がわかるかなという気もしまして、今、お話を伺っていました。

○樋口部会長

 榊原委員、どうぞ。

○榊原委員

 関連なんですけれども、私もこういうレポートが出てきて、しかも、これから継続的に定点観測をやっていくということですね。とてもいいと思うんです。
ただ、せっかく出発なので、やはり現状が一体どうなっているのか、どこに問題があると、例えば政府、内閣府が認識しているのかということに相当スペースを割いてきっちり問題認識というものを明確にされるという役割が特に1回目にはあるのではないかと思うんです。
というのは、少子化社会白書のこれまで出たものを私はとても有効に活用させていただいているんですけれども、特に1回目に現状分析がしっかり入っていて、そこに何度も立ち返って見させていただいているんです。そうすると、政府がきちんとした取組みを始めた、原点の状況にこういうような社会の現状があった。それが今どこまで来ているのかというような比較にもなるし、政府は少なくともこことここには問題があるということは認識しているから、だからこんな政策が出てくるんだということにも理解がつながるし、現状分析というのが、まず、きちんと最初にあるということがいろんな意味で大事だろうなと思います。
それから、少子化の白書の方で特に参考になっているのが日本の現状がこうであって、取組みが今後であるというのに対して参考になるような各国の取組みというのを、結構いろいろな形で紹介しているんです。それも参考になるので、今後への希望なんですけれども、そういったものも使っていただきたい、取り入れていただきたいという希望もあります。
ここにも入っておりますけれども、調査やデータの紹介とありますけれども、生データは非常に大事で、ネットに出ているデータはちょっと怖いものもあるんです。政府が出しているこんなアニュアル・レポートで、ここにあるこういうデータはワーク・ライフ・バランスの議論においてきちんと使えるデータですということで出ているととても安心してこちらも使えるんです。そういう意味でデータの紹介というものをこういうところでやっていただく意味というのはとてもあると思います。

○樋口部会長

 ありがとうございます。重要な問題が幾つか提起されたと思うんですが、皆さんのお知恵を拝借しながら進めていくしかないと思いますが、一つこれを出す主体はどこなんだという問題があるんです。政府が主体で白書ですということであればはっきりするんですが、あくまでも仕事と生活の調和連携推進評価部会、この部会は官民トップ会議の中に設けられているというようなことから、政府のレポートとみなすのか、それともそうではなくて、そこに出ているトップ会議の政労使の集まりが主体ですというふうにするのかによって、勿論政府のスタンスもあるでしょうし、企業のスタンスもあれば、組合のスタンスもあり、そしてまた個人のというようなことも我々のようなもののスタンスというのもあると思うんですが、ここのところははっきりさせておいた方が後々議論していく上で、位置づけがはっきりするのかなと思いますが、その点はどうなんでしょうか。

○内閣府山田次長

 その辺も是非御議論いただきたいと思いますけれども、我々としては、やはり、憲章と指針というものが政労使という枠組みの中でできてきて、これからの動きというものをきちんと評価し、それを政策あるいは各主体の取組みにつなげていこうということですので、できればやはり政府というよりも、関係者の方々も含めた主体として出していくという方が社会的には意味があるんではないかという感じを持っております。

○樋口部会長

 どうぞ。

○内閣府松田室長

 実は、私のところは議員立法で、法定白書が全部で7本、青少年も入れると8本、今やっていまして、男女共同参画白書は別にしまして、青少年、高齢、自殺、少子化、犯罪被害、食育とございます。これは歴史のあるもの、ないものいろいろありますが、もともとイギリスの議会に提出するというホワイトペーパーから入った、いわゆる政府の公式的なものと言われております。いくつかは統廃合されたものもありますが、逆に、今回、いわゆるワーク・ライフ・バランスをせっかく始めたんだから、あえて白書と呼ばずに、アニュアル・レポートと呼んではどうかということで、とにかく始めようということでご提案をさせていただきました。
その上で、発行主体が部会という形は多分余りないと思うんですけれども、皆様に一言一言入っていただくとか、コラムを書いていただくとか、参加方針もいろいろあろうかと思いますし、いい形で参加型のアニュアル・レポートということになればというのが、今の考えでございます。

○樋口部会長

 いかがでしょうか。その方が思い切ったことを政府に対しても評価できるというようなことになるかと思うんです。
どうぞ。

○松井委員代理

 これは御配慮願いたいということで2点ほど申し上げます。まず、アニュアル・レポートの作成について。ワーク・ライフ・バランスの取組みというのはどちらかというと意識改革だとか、そういったものだと思うんです。御異議はあるかもしれませんが、やはりまだまだ現場といいますか、日本の国民性というのは参加の文化よりも、むしろ所属の文化が根強いと思います。
そういった意識の改革というのは、劇的な変化が、多分短期間では表れないと思うんです。アニュアル・レポート、年次報告とすると、短期間でその成果を余り性急に求めるために、変化はしているのに劇的ではないから取り組んだけれども、駄目だったねとか、まだ一歩足りないねということになり、取組みに何となく後ろ向きになりそうな気がします。表現などについても、ちゃんと進んでいるんだよというような表現に御配慮願いたいというのと、そういう観点から見たときに、毎年出すべきものなのかどうか、その辺も御検討いただきたいというのが1点。
それから、実現度指標について、家庭生活指標、それから地域・社会指標、学習や趣味・娯楽等指標、健康・休養指標、これを充実させていくということはやぶさかではないし、どの委員の方々も賛成だと思います。これらはこれでよいと思うんですけれども、私どもも事務局で会員企業にアンケートをするたびに言われるんですが、事務局はよかれとしてやっていっても、アンケートを答えるのは1人であって、いろんなところからいろんなアンケートが来るんだよねという声を聞くんです。それだけ負荷がかかっているんだと思います。
ですから、こういう指標をつくるときにも、新たな調査ですとか、そういう方向ではなくて、既存のものを十分活用できるような御配慮をいただければありがたい。
以上でございます。

○樋口部会長

 何かございますか。どうぞ。

○内閣府本多参事官

 毎年つくることがふさわしいかどうかについては、御意見をいただければと思うんですが、使うデータにつきましては、この指標に関しては既存の調査を政府統計を中心に使っていきたいと思っております。
また、内容についても、勿論、今ここで骨子案として出したようなものを載せるんですけれども、アニュアル・レポートは評価をするためだけのものではなくて、アニュアル・レポートを出すこと自体で意識を変えていく、促進していく効果というものも持たせられるかと思っております。
そのためには、例えば数値には現われないけれども、個別の企業なり、あるいは地方公共団体なりでこういう取組みをして、こういう効果が上がったということで、元気が出るような情報も入れて、批判していくというよりは、後押しをしていくような性格のものにしたいと事務局としては考えております。

○内閣府松田室長

 就業構造基本調査や社会生活基本調査のように、かなり精度を細かく見ていくような統計は5年に一度というのがございますので、5年に一度大きく構造変化みたいなものを分析するものと、毎年見ていくものの2種類がある中で、アニュアル・レポートとしてできるか、できないか、その辺を考えながらつくってまいりたいと思います。

○樋口部会長

 名前がアニュアル・レポートとなると、年に1回というのが、これは最初から決まっているわけで、5年に一度とだと何というのでしょうか。ちょっと変えなければいけないのでは。どうぞ。

○内閣府本多参事官

 実は名称も、中の議論でもアニュアル・レポートというのはわかりにくいんではないかと、せっかくワーク・ライフ・バランスを仕事と生活の調和ということで、皆さんにわかるように言い換えたのに、それに“アニュアル・レポート”を付けたらまたわからないのではないかという御指摘もあって、レポートの名称についても御議論いただければと思います。

○樋口部会長

 どうぞ。

○佐藤委員

 どこがとりまとめるレポートにするか。資料5をそのまま見ると、下の作成のプロセスは連携推進評価部会と関係省庁連絡推進会議でまとめると。つまり、評価部会とミッションは決まっていますね。そのミッションをやる上で集めた情報とか、そこで議論した評価、内容をまとめるということであれば、この辺になる。
もう一つは、内閣府の仕事と生活調和推進室でとりまとめるということもあり得ると思うんです。でもこのまとめだと、評価部会なりでまとめるとなれば、従来の白書とは違って、ここでのミッションが、評価する上で必要な情報を集めたりしますね。そういうもの併せて載せて、我々は、こういうふうなものをウォッチしながら評価しましたということを、国民等々に問うようなものとしてレポートをつくるということになるのかなと思うんです。そうすると、従来の白書とは違うと思うんですが。

○内閣府本多参事官

 イメージしていたのはこの部会での議論なので、現状認識的なところが欠けていたというのも、それはこの部会の議論を蓄積したものがこの章立てになっている。これまで取組み状況について御説明いただいて、今後、実現度指標についてやっていただく。そういう情報を集積したもののイメージというものだったものですから、こういう内容になっているんですが、ただ、仮に政府の方が作成主体となるとしても、もう一つのやり方として、室が作成するけれども、この部会の了解を得るというやり方もあるのかなと思っております。

○樋口部会長

 やはり、これを立ち上げた趣旨から考えれば、政労使、社会合意というのがベースにありますということで、その評価をするのも、その下でやっていくということであれば、一方的に政府がやりましたというものではなくて、この部会の名前で出すのか、あるいはトップ会議の名前で出すのかわかりませんけれども、やはりニュートラルに評価しましたと。それでこれを進める上では、どういうふうに今後やっていくべきかという形をやった方がよろしいんではないかと思いますが、どうでしょうか。
既に、これを決めなければいけないということでもないし、アニュアル・レポートになるのか何になるのかわかりませんけれども、そういったものを出すというようなことを、まず、御確認いただくのと同時に、このワーキンググループについて、こういう形で進めていっていいかということも含めて御議論いただけたらと思います。
榊原委員、どうぞ。

○榊原委員

 何かクリアーにイメージできていないので、議論からずれていたら申し訳ないんですけれども、この部会でこういうことをやりました、こんな議論がありましたというような部会の活動報告のようなものがイメージされているんでしたら、恐らく出たときには価値があって、それなりの方にお知らせしてという意味はあると思うんですけれども、例えば私のような報道に関わるようなものが、記録性のあるものとして、何年も手元に置いておこうとは多分思わないだろうと思うんです。
そうではなくて、やはり社会の状況を刻んだレポートというものだと残しておこうと。そこに部会が関わり、部会の評価が加わったというものだと記録性の高い汎用性のある資料になるだろうという気がします。

○樋口部会長

 どうぞ。

○内閣府山田次長

 そこは、先ほど現状分析だとか、阻害要因だとか、そういうものを盛り込むべきだと、そういうお話は受け止める必要があると思っておりまして、やはりここの第2章のところで我々が念頭に置いていたのは、ワーク・ライフ・バランスの進捗というものを、どういう枠組みで構成するかということをいろいろと議論して、昨年の行動指針になったわけですので、数値目標なり実現度指標というものを見る中で、その動きがどうしてこうなっているのかという辺りも含めて、今、榊原さんがおっしゃった現状分析的なことを事務局の方でまとめた上で、それをまたこちらの部会に提出して御議論をしていただいて、それを構成要素の中に含めた形でアニュアル・レポートをつくっていきたいと考えております。
ですから、おっしゃったような、世の中の人たちが今はどうなっているのかということがわかるような形でのものを、ここでおまとめいただくような形でやっていきたいなと思っております。

○樋口部会長

 よろしいですか。もう一つのアニュアルというか、年次報告といいますか、1年に1回こういったものを出していった方がいいというのかどうすのかという御意見をいただけたらと思います。
どうぞ。

○八代委員

 基本的に毎年出さないと、要するに忘れられるというリスクが一番あって、そこはやはり記録性ということから言っても、当然最低1年には1回で、ただ、同じことを言っていれば先ほど御懸念があったみたいに、ほとんど進歩していないんではないかということで、そこは安定的な継続的なデータプラスそれぞれ毎年トピックスといいますか、何に重点を置いてやるかということを書いていけばいいんではないかと思います。
私も、日経の子育て大賞、先ほど福岡県が実施をされたのにも関わっているんですが、3年やっていると、随分企業も変わっている面があるんで、そこはできるだけ負担にならない形で、そういう先進的な企業の取組みを紹介していくということであれば、毎年出しても幾らでも新しい中身はあるかと思いますし、是非毎年出していただきたいと思います。

○樋口部会長

 今、そのような意見が出ましたが、いかがでしょうか。
そうしますと、毎年出していこうというような意見で、よろしいでしょうか。ただし、そのときにはいろいろ御指摘がありましたように気を付けなければいけないことがあるという受け止め方をしたいと思います。
御意見がなければ、そのように扱わせていただきたいと思います。
どうぞ。

○海老井委員

 アニュアル・レポートという名称ですけれども、最初に私も目にしたときに、これはどういうレポートなんだろうかなと。白書とか年次報告とは違うのかなと。ワーク・ライフ・バランスだから、特にこういう名称を付けたのかなと考えたんですけれども、ワーク・ライフ・バランスという言葉自体も、まだまだ注釈付きじゃないと流布されていないというところもありますので、余り片仮名文字を続けるのはどうかなという違和感を持っております。

○樋口部会長

 では、ネーミングも含めて、今後、検討していくということで、とりあえずは年に1回出すということと、主体はあくまでもここですというようなことです。それを確認いただくということでよろしいでしょうか。
では、まだ残っているテーマもございますので、そのように扱わせていただきたいと思います。
特に資料3につきまして、こういう形で進めるということについては御承諾いただけますでしょうか。 (「はい」と声あり)

○樋口部会長

 それでは、そのように決定させていただきます。
次に、ワーキンググループの座長の選出でございますが、私は佐藤委員にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」と声あり)

○樋口部会長

 大変だと思いますが、よろしくお願いいたします。
では、御異議がないようでしたら、座長を佐藤委員にお願いしたいと思います。
では、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

○内閣府本多参事官

 今後のスケジュールにつきましては、先ほど御説明いたしましたとおりでございまして、これからワーキンググループを立ち上げて2回ほど検討し、この部会については、次回は1月ごろの開催をしたいと思っております。その際にはワーキンググループでの検討の状況と、政府の予算案について御報告をさせていただきたいと思います。
ちょっと先になりますけれども、次回の会合の日程につきましては、後日調整をさせていただきます。
事務局からは、以上です。

○樋口部会長

 それでは、本日の会合は、これで終了させていただきます。 どうもありがとうございました。

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