1.日時
平成22年6月29日(火)8:00~8:20
2.場所
総理大臣官邸 2階大ホール
3.出席者
(関係閣僚)
- 菅 直人
- 内閣総理大臣
- 仙谷 由人
- 内閣官房長官
- 玄葉 光一郎
- 内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)
- 荒井 聰
- 国家戦略担当大臣、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
- 長妻 昭
- 厚生労働大臣
- 直嶋 正行
- 経済産業大臣
(団体の代表者)
- 米倉 弘昌
- (社)日本経済団体連合会会長
- 岡村 正
- 日本商工会議所会頭
- 古賀 伸明
- 日本労働組合総連合会会長
- 岡本 直美
- NHK関連労働組合連合会議長
- 麻生 渡
- 全国知事会会長
(有識者)
- 大沢 真知子
- 日本女子大学人間社会学部教授
- 佐藤 博樹
- 東京大学社会科学研究所教授
- 樋口 美雄
- 慶應義塾大学商学部教授
4.議事概要
○玄葉内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画)
ただいまより「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」を開催いたします。
「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「行動指針」については、平成19年12月に本会議で策定されました。ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた新政権としての姿勢を示すとともに、官民一体となって取組むことを政労使のトップが新たに合意すべく、今般「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」において「憲章」及び「行動指針」の改定案をとりまとめていただきました。
最初に、仕事と生活の調和連携推進・評価部会の座長をお務めいただいた樋口委員から、改定案について御説明いただきます。
○樋口委員
それでは、説明申し上げます。本体は資料2にございます「憲章」及び「行動指針」でございますが、説明はA3判の資料1でさせていただきます。
ただいま玄葉大臣から御発言がございましたとおり、政権も交代し、労使のトップの交代を機に、平成19年12月に策定されました「憲章」・「行動指針」を改定し、一層積極的に取り組むという決意を表明するために、このような案を作成いたしました。
最近の施策の進捗状況あるいは経済情勢の変化を踏まえ、労使等の代表者と有識者からなる「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」におきまして、この案は作成されたものでございます。下線を付している箇所が変更点でございますので、ごらんいただきたいと思います。
資料1の左側にございます「憲章」についてでございますが、今回前文を新たに設け、政労使の合意により策定するものであることを明記するとともに、「ディーセント・ワーク」あるいは「新しい公共」といった、新たな視点を盛り込んでおります。
また、右側3列にございます「行動指針」についてでございますが、これは企業や働く者、国や地方公共団体の取組に関し「パパ・ママ育休プラス」の導入、更には労働基準法の改正など、最近の施策の進捗や経済情勢を踏まえた取組を追加してございます。
一番右側の数値目標でございますが、過日閣議決定されました新成長戦略等との整合性を図りつつ、特に男性の育児休業取得率を13%にするなど、2020年の目標を設定してございます。
資料2の1ページに「憲章」がございますが、その前文でも触れておりますように、仕事と生活の調和は国民一人ひとりの願いであると同時に、我が国の活力を向上させていく上でも、非常に重要なかぎになるものであると認識しております。
政労使の皆様におかれましては、より強い連携の下で仕事と生活の調和の実現に向けて取組を進めていただきますよう、委員を代表してお願い申し上げたいと考えております。
以上でございます。
○玄葉内閣府特命担当大臣
ありがとうございました。
それでは、ただいま御説明いただいたとおり、資料2の「憲章」及び「行動指針」改定案をもって、当会議として合意することとしたいと思いますが、御異議はございませんか。
(「異議なし」と声あり)
○玄葉内閣府特命担当大臣
ありがとうございました。
ここでプレスが入りますので、しばらくお待ちください。
(報道関係者入室)
○玄葉内閣府特命担当大臣
それでは、新たな「憲章」及び「行動指針」について合意をいただきましたので、仕事と生活の調和の実現に向けて新たな決意をもって、主体的、積極的に取組んでいく証として、構成員の皆様に御署名をいただきたいと存じます。事務局が回りますので、順に御署名をお願いします。
御署名をいただく間、経済界と労働界の代表の方から、一言ずつではありますが、決意表明をいただきたいと存じます。
始めに、米倉委員からお願いいたします。
○米倉委員
米倉でございます。仕事と生活の調和推進に向けた新たな「憲章」と「行動指針」が策定されましたことは、それぞれの主体がその役割や取組の方向性について、再確認する大変よい機会でもあり、歓迎いたしているところであります。
仕事と生活の調和推進には経済成長が欠かせないものであります。政府におかれましては、菅総理の強いリーダーシップの下、今般策定されました新成長戦略の具体策を、早期かつ着実に実行されることを期待いたしております。
経団連といたしましても、これまでも会員企業に対し生産性の向上を前提としたワーク・ライフ・バランスの重要性や、実践しやすい職場環境の整備などを訴えてまいりました。経済状況、職場や働く者の理解、意識改革など、ワーク・ライフ・バランス推進に向けた課題は多くございますが、今後も継続して推進に取り組んでまいりたいと思います。
私からは以上でございます。
○玄葉内閣府特命担当大臣
ありがとうございます。古賀委員、お願いいたします。
○古賀委員
連合の古賀でございます。菅総理新体制のワーク・ライフ・バランスの実現に向けた積極的な意思表明の下に、改めてこうして「ワーク・ライフ・バランス憲章」と「行動指針」を策定いただきました樋口座長始め、まず部会の皆様に心から敬意を表する次第でございます。
新しい合意では「ワーク・ライフ・バランス憲章」と政府の新成長戦略における雇用・人材戦略の目標を連動させたことにより、ワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けた政労使それぞれの役割と責任、そして解決すべき課題がより明確になったものと思います。
この新しい合意が働き方の改革に向けた総実労働時間の短縮や、あるいは「ディーセント・ワーク」実現に向けた均等・均衡待遇の推進、最低賃金の引き上げなど、公正処遇の確保の取組を一層促すものになるように、政府の積極的な施策展開を期待いたします。
間違いなくこれからの日本の社会は、このワーク・ライフ・バランス社会を目指すことによって、さまざまな課題を解決していく必要があると私どもは思っております。私たち連合も構成組織、地方連合会と連携し、このワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けた労働組合としての役割と責任を積極的に果たしていくことを申し上げ、決意の表明とさせていただきます。
以上でございます。
○玄葉内閣府特命担当大臣
ありがとうございます。岡村委員、お願いいたします。
○岡村委員
日本商工会議所の岡村でございます。
国民の生き方や働き方が多様化する中で、ワーク・ライフ・バランスの推進は我が国が取り組むべき重要なテーマであると思います。こうした重要なテーマにつきまして、このたび政府と民間の多様な団体による新たな「憲章」が策定されましたことは、社会全体としてワーク・ライフ・バランスの取組を加速させるために、誠に時宜を得たものだと考えております。
ワーク・ライフ・バランスの取組は、一人ひとりの働き方や生き方を見直す上で大変有用であり、企業にとっても生産性の向上、人材確保等、企業のさらなる発展につながるものであると確信いたしております。
商工会議所といたしましても、地域の中小企業等に対しましてワーク・ライフ・バランスの重要性や効果について、これまでにもパンフレットの作成、配布並びにセミナーの開催等を通じまして啓発活動を行ってまいりましたが、今後もさまざまな機会をとらえて取組の成功例、問題の克服例の紹介等を行いまして、全国的な推進を図ってまいりたいと思っております。
政府におきましてもワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組む中小企業等のため、その環境整備に一層努めていただくことをお願い申し上げます。
以上でございます。
○玄葉内閣府特命担当大臣
ありがとうございます。岡本委員、お願いいたします。
○岡本委員
私は佐藤先生とともに、男女共同参画の第三次の基本計画の答申案に関わってきました。この答申案においてもワーク・ライフ・バランスの推進は重要な施策となっています。
答申案の中でこれまでワーク・ライフ・バランスが進まなかった理由の1つとして、大企業の問題であるとか、子育て期の女性の問題といった狭いとらえ方をしている場合や、個人の生活の充実のためのものという理解が不十分だったということを挙げていますが、今回「憲章」・「行動指針」が改定され、こうした課題への対策が強化されたことは、基本計画の実行にとっても大変心強いと思います。
新合意を契機に誰もが多様な働き方、生き方を選択できるワーク・ライフ・バランス施策の推進、特に子育てや介護を支える社会基盤の整備、どのような働き方であっても公正な処遇となる労働条件の均等待遇の法制化、働き方の選択に中立的な税、社会保障制度の整備など、制度改正に向けた政府のリーダーシップの発揮に期待をしています。
ワーク・ライフ・バランス施策の推進は長時間労働を前提とした働き方の見直し、女性の就業継続、政策方針決定過程への女性の参画の拡大にも不可欠です。連合でもワーク・ライフ・バランス社会と男女平等社会の実現を車の両輪としてとらえ、その推進役となるべく取組んでいきます。
以上です。
○玄葉内閣府特命担当大臣
ありがとうございました。それでは、署名を済まされていない委員には会議後にお願いいたします。
次に政労使が一体となり取り組むことを誓って握手を行いたいと存じます。米倉委員、古賀委員、岡村委員、麻生委員、よろしくお願いいたします。
(握手)
○玄葉内閣府特命担当大臣
それでは、最後に総理からごあいさつをいただきます。
○菅内閣総理大臣
本日は朝早くからお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
「仕事と生活の調和憲章」及び「憲章」の新たな合意を受けまして、今、署名をいただきました。大変有意義なことだと思います。一言ごあいさつを申し上げます。 我が国の活力を向上させ、元気な日本を復活させるためには、何よりも国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、健康で豊かな生活ができるようにしなければなりません。
先日までのサミットの中でも「ディーセント・ワーク」という言葉が何度か出てまいりまして、やはり働くということは勿論日本においてもですが、全世界にとって最も重要なある意味でのテーマというか、課題であることを改めて感じたところです。
また、若者が経済的に自立し、性別や年齢などに関わらず、誰もが意欲と能力を発揮して労働市場に参加するのは、我が国の成長力を高めるとともに、少子化の流れを変え、持続可能な社会の実現にも資するものであり、仕事と生活の調和は経済成長と車の両輪でなければならないと思っております。このことはまさに昨年来、私が責任者となって進めてきた新成長戦略の目指すものそのものでもあります。
先ほど樋口先生から、前の憲章に加えてより前向きな考え方を盛り込んだということを御報告いただきましたけれども、こういう内容で政府としても勿論しっかりと取り組みたいと思いますが、それぞれ経営されている皆さん、労働の現場におられる皆さん、自治体の現場におられる皆さんも一緒になって御努力をお願いしたいと思います。
この会議におきまして経団連の米倉会長、連合の古賀会長、日本商工会議所の岡村会頭、全国知事会の麻生会長にも御参加をいただいて、そういう皆さんの総意でもってこの決定がなされたことは、大変意義が大きいと思っております。どうかこれからも連携を図りつつ、一層取組を推進していけるよう御協力お願いして、私のあいさつとさせていただきます。
本日はどうもありがとうございます。(拍手)
○玄葉内閣府特命担当大臣
ありがとうございました。
本日合意いただいた新たな「憲章」及び「行動指針」に基づき、強い決意をもって官民一体となり、仕事と生活の調和推進に力強く取り組んでまいりたいと存じます。
それでは、会議を終了させていただきます。本日は誠にありがとうございました。