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パパの育児休業体験記

男性の育休取得は皆無に近い状況の中、「制度を利用することに何の問題があるのか」とかばってくれた上司がいた

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執筆者の横顔:
(1)地方公務員、(2)、(3)30代後半、(4)30代前半、(5)、(6)平成15年4月~8月(5ヵ月間)

育児休業で得たこと

匿名

 待望の子供が生まれたにも関わらず、相変わらず仕事の割り振りは多く、早くても家に帰るのは9時を過ぎてからだった。それから子供を風呂に入れ、わずかに育児参加していた。
 そのうち夜泣きがひどくなり、育児書などに従って早寝早起きの規則正しい生活にした。それでぴたりと治まったが、私の帰りを待たずに妻が一人で風呂に入れるということになり、ほぼ完全に子育ては妻一人が担うことになった。
 そのような生活がしばらくの間続いたが、慣れない子育ての緊張と責任感があったのだろう、妻はストレスを募らせていった。ちょうどそのころ私は仕事において、トラブル対応や他の係の応援が重なり、さらに多忙になっていった。妻に申し訳ないと思いながらも、仕事の責任を果たそうと本当にふんばっていた。しかし、頑張ったにも関わらず、仕事先からの良い反応はなく、他の係からの礼の言葉はなく、上司からは労われず、妻からも感謝されず、一体自分は何のために頑張っているんだと感じた。上司に改善を申し入れたが聞き流されたことで、それならせめて家族だけは大事にしようと決心した。「育休を取ろう。子育てが大変な時期だけでも手伝おう。」
 3月上旬に、「4月から4ヵ月間の取得」を課長に申請したとき、「もうちょっと待てないのか。係長に昇格するかも知れないぞ。」と言われたが、異動してから、しかも役付きになってから休むのは迷惑がかかりすぎると考え、4月1日からを主張した。当初は渋い顔をしていた課長だったが、いったん受理してからは、何らかの疑義があったらしい人事総務側からの度々の照会に対して「制度を利用することに何の問題があるのか。」とかばってくれた。
 当時、係の中では最年長であったので、係の皆は戸惑ったようだったが、すぐに応援してくれた。本当は半年間としたかったところを経済的余裕がなく4ヵ月としたのだが、たまたま4ヵ月以上の欠員期間であれば、アルバイトの補充が認められており、OBが来てくれたため、迷惑は少なくできたと思う。
 妻も少し戸惑っていたようだったが、すぐに理解をし喜んでくれた。ただ、毎日私が家にいることについては少し邪魔に思うこともあったらしい。それと、貯金がみるみるなくなっていくのには閉口した。妻の体調不良もあり結局5ヵ月休んだのだが、70~80万円はなくなった。
 育児を始めた当初は本当に楽しかった。子供と一緒に朝早くから散歩し、公園で遊ぶだけで精神が広がるようだった。自分の中の澱のようなものが消えていくのを実感した。
 しかし、子育てのキツさも思い知った。子供は待ってくれない。こっちの都合など構ってくれない。休憩したくても休憩させてくれない。子供が昼寝をしているときには食事の用意や掃除をして、結局、子供が夜眠りに就くまではほとんど休みなしのマラソンだった。出勤しているほうが自分のペースで休憩も取れるし、楽かもしれないと思った。それから育休を取るまでは、私が出勤する前から目の前で掃除、洗濯とバタバタし始める妻に、内心不満だったが、朝の始まりが勝負なのだと知った。ここで手間取ると、一日が非常にムダの多く、焦燥感と徒労感の多いものになってしまう。また、そういう状況でやっと一日が終わって自分の時間が持てたと思ったときに、無邪気に夫が帰ってきたらどう思うかも容易に想像がついた。それでいて、大人の話し相手が欲しくなるということもわかった。
 楽しいことばかりではなく、身にも沁みたが、それでも、この経験はかけがえのないものであり、数年経った今でも珠玉のように胸の中で輝いている。復帰してから、家族にために働くという気持ちが強くなり、感謝と支えられている思いが強くなった。
 当時、制度はあるものの、男性の育休取得は皆無に近く、「勇気を出してよく取ったな。」と復職時に部長に言われたことを覚えている。同僚の何人かには「あなたのせいで係長になる人の順番が変わった。本当はあなたがあの仕事をやるはずだったのに。」と言われることがあるが、それは仕方のないことであり、別に序列が正しいわけでもないと思っている。後悔はまったくしていない。むしろ誇りに思っている。
 人生の中で、取り返しのつかないことはほとんどないと思っているが、子供の成長は別だと思う。長い人生の中で、わずかな時間なのだから、見逃すのはもったいないと思う。

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