パパの育児休業体験記 2-03

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パパの育児休業体験記

仕事も育児も両方とも充実できると意識を持って育休取得。意外にも職場が非常に好意的に

執筆者と家族の写真
執筆者の横顔:
(1)(兼業主夫)、(2)、(3)、(4)30代前半、(5)、(6)平成13年9月~14年4月、19年~20年4月 (1年6ヵ月間)

仕事と育児はプラスとプラス

清水 恭一さん

 「なぜ育児休業を取得したのか?」と問われ、「保育園に入れなかったから」と答えると怪訝な顔をされます。質問者は「なぜ『男性』なのに育児休業を取得したのか?」という問いの答えを求めているからです。確かに今なお育児休業を取得する男性は非常識な存在なのかもしれません。しかも私は二度も取得しているのです。
 私はそもそも常識には囚われないタイプでしたが、それを差し引いても、育児休業取得の理由を問われれば、育児のすべてをパートナーに押し付けられなかったからという答えになるでしょう。育児はとても大変なものです。しかも一日二十四時間、一年三百六十五日です。たとえパートナーが専業主婦だったとしてもそのすべてを押し付けることはできなかったでしょう。そして仕事と育児はプラスとマイナスか?と考えるようになったのです。
 仕事は育児に差し支えるものであり、育児は仕事に差し支えるものだとしたら仕事と育児の両立と言ってもただ辛いだけです。仕事も育児も両方とも充実する関係があるのではないか?そういう考えが私を育児休業に導きました。それはワーク・ライフ・バランスとイコールであると思います。そして三男のときに約七ヵ月間の、長女のときに約九ヵ月間の育児休業を取得したのです。
 結果、妻や妻の実家から評判が良かったことはもちろんですが、意外だったのは職場が非常に好意的に受け止めてくれたことでした。私の職場は三十年位前までは女性の正規採用もなかったくらい保守的な職場でしたが、時代には逆らわず、男性の育児休業取得者を求めていたのです。今や我が職場は「男性で二回、育児休業を取得した人がいる職場」になりました。
 ただいくら職場が前向きになっても家庭における男性の居場所がないと不十分です。男性がたとえ毎日、定時に帰宅できるようになったとしても家庭の役割が確立されていなければ単に男性の暇な時間が増えるだけであって、ワーク・ライフ・バランスを実現したいができない男性が多くいるのも事実です。そうである以上やはり行政が背中を押すべきです。男性がもっと育児を担うよう行政がキャンペーンをする意味は十分にあり、例えば「乳幼児の健康診断は父が連れて行こう!」というような積極的なキャンペーンが欲しいです。
 最後に少子化について申し上げます。現在、我が国は少子化が進んでいますが、これは何もかも女性に押し付けてしまったことに原因があるのだと思います。男女共同参画社会といい、「女性でも優秀な人はどんどん社会に出て活躍してください」と言っても、「でも結婚して子どもを産んだら子育てもよろしくね」というのでは女性は出産を躊躇し、結婚を躊躇し、しまいには恋愛をも躊躇してしまうのではないでしょうか?女性を社会進出させるのであれば、これに見合うだけの男性の家庭への回帰が必要なはずです。もし我が国が真剣に少子化対策にチャレンジしたいと考えるのであれば、「女性は産んでくれさえすればいい、後は男性がすべてやる」くらいの心構えが欲しいです。私には子どもが五人います。男性の家庭への回帰があれば、仕事と育児を両立しつつ子どもを五人くらい育てることはできるのです。

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