内閣府仕事と生活の調和推進室
Office for Work-Life Balance, Cabinet Office, Government Of Japan
■□ カエル! ジャパン通信 Vol.11 □■
今回のテーマは、『タイムマネジメントとワーク・ライフ・バランス』です。
ワーク・ライフ・バランスの実現のためには、限られた時間を上手く仕事や生活に振り分けていくことが重要です。
そこで今月は、タイムマネジメントに詳しい有識者のインタビューなどを通じて、タイムマネジメントに関するポイントをご紹介します。
≪目次≫
連合・連合総研 2009年 「生活時間の国際比較-日・米・仏・韓のカップル調査」 他
月収10万円アップの満足度
★≪有識者インタビュー Vol.6≫
「ワーク・ライフ・バランスに役立つタイムマネジメント」
みなさんは、タイムマネジメントができていますか?
時間管理がきちんと出来ずに、長時間残業が常態化し、ワーク・ライフ・バランスが取れない人が増えています。
そこで、今回はワーク・ライフ・バランスに役立つタイムマネジメントの方法についてお話をお伺いしました。
●そもそもタイムマネジメントとは?
「最近、「タイムマネジメント」という言葉を耳にする機会が増えています。タイムマネジメントという言葉を日本語で言い換えると「時間管理」となります。ビジネス書のコーナーを見ても「時間」に関する本が増えていることに気付きます。これは最近の傾向で、「時間術」という言葉を含む書籍出版点数は10年前と比較すると5倍以上増えていることからも、それだけ時間の使い方について関心が高まっていると言えます。」
●あなたは時間管理に自信がありますか?
「タイムマネジメントへの関心が高まっている一方で、まだまだ時間管理への苦手意識を持っている人多くいるようです。弊社が「タイムマネジメントがうまくできていると思いますか?」というアンケートを取ったところ、「できていると思う」と回答した人は3割弱でした。一般的な傾向として、女性の方が男性と比べると時間管理への意識は高い傾向が見られますが、タイムマネジメントの内容について誤解があるように見受けられます。タイムマネジメントというのは、時間を細かく分刻みにして、計画を立て、時間を一切無駄にしないというものではありません。」
●タイムマネジメントのメリット
「タイムマネジメントは仕事のつめこみではなく、仕事を整理することです。まず、自分自身の頭の整理を行うことにより、今日やること、明日やることを明確にすることにより、慌てずに仕事ができるようになります。併せて、オンとオフの切り換えが自ずとうまくなり、仕事の効率が高まり、労働時間の短縮へとつながります。私自身、一時期月100時間超の残業していることがありました。これを解消するために、タイムマネジメントを研究してみようと思い、実際に、残業時間を30時間にまで短縮することができました。しかし、それ以上に強く感じたことは、仕事上感じるストレスが減ったことです。朝、会社に出社する時の気分も「あー、いやだなー。」と思うことはなくなり、ポジティブな気持で仕事に臨めるようになりました。」
●「仕事の流れ」と「仕事量」を可視化する
「仕事の整理が重要と先にも述べましたが、「仕事の流れ(時間)」と「仕事量」を可視化することがタイムマネジメントでは最も重要です。多くの人が複数の仕事を並行して行います。例えば、中長期的なプロジェクトの他に急な仕事が入り、小さな仕事を進めながら、その他の会議や打合せも同時に行います。併せて、現在のビジネス環境では、メールなど「こなさなければいけない仕事=タスク」が急増しています。15年程前は、仕事上メールを使用する人は少なかったはずです。自分自身のことを振り返っても、電子メールは社内のみでしか使用しておらず、社外の人とのコミュニケーションは電話もしくはFAXで行っていました。ここ5、6年でメールは急速に普及しており、一日に受信するメールが何十件という方は珍しくなく、中には百件という人もいることでしょう。しかし、電話でそのように他者と多く会話を交わすことは多くなかったはずです。メールの返信など、細かい仕事が多くなってきており、仕事の全体像がつかみにくくなっていることからも、仕事の整理が重要であると言えます。」
●タイムマネジメントの要素
「タイムマネジメントでは、3つの要素を管理していくことが大事です。まず、会議や打合せ等、時間が決まっている仕事のアポイントメント、第二にデスクワーク等、時間は自由な仕事であるタスク、第三にこれら2つの仕事に使える時間を指すリソース(空き時間)の3つです。アポインメントの管理は、会議や打合せなどのスケジュール管理に当たりますのでビジネスマナーの領域に入ります。これはほとんどの方が出来ているはずです。一方、タスクの管理については、上司から、または研修ではほとんど教わることはない、ビジネススキルの領域に入るものです。」
★≪統計・調査トピックス≫
今回のテーマである「タイムマネジメント」に関連した調査を紹介します。
* 調査対象:日本、アメリカ、フランス、韓国の都市部に居住する50歳未満の雇用労働者でかつ既婚者400名とその配偶者400名
調査方法:モニターによるインターネット調査
http://rengo-soken.or.jp/report_db/pub/detail.php?uid=197
* 調査対象:日本標準産業分類に基づく15大産業に属する日本全国の常用労働者が30人以上の民営企業6,147社
調査方法:郵送調査(一部訪問により回収)
有効回答回収率:4,321社(70.3%)
* 調査対象:企業調査 従業員数300 人以上の企業3,000社
管理職調査 各調査対象企業1社につき5名以内を各企業が抽出
一般社員調査 各管理職1名につき2名以内の一般社員を各管理職が抽出
調査方法:企業調査 郵送法によるアンケート調査
管理職調査・一般社員調査 インターネット調査
有効回答回収数:企業調査 457社(15.2%)
管理職調査 910人
一般社員調査 1,672人
★≪コラム≫
月収10万円アップの満足度
生活を振り返ると、例えば、1日の時間の使い方などは、日々の忙しさに紛れ、何となくそのままになっていて見直しの機会を逸してしまっている、という方も多いのではないでしょうか。
しかしながらこの時間の使い方、ほんのわずかな違いが大きな違いを生むようです。例えば、シカゴ大学社会学部教授の山口一男先生によれば、夫が次のような行動を取ると、妻の満足度が夫の月収10万円増加と同程度に高まることを明らかにしています。
○平日の夫婦の会話時間の1日平均16分増加
○休日に妻が夫とともに大切に過ごしていると思える生活時間の1日平均54分増加
○夫の育児分担割合が3%増加
○世帯の預貯金・有価証券額が約130万円増加
月収を10万円増やすのは、そう簡単にできることではありません。世帯の預貯金・有価証券額を130万円増やすことも難しそうです。でも、夫婦の会話時間を16分増やす、夫の育児分担割合を3%増やすのであれば、なんだかできそうな気がしませんか。
(参考文献)「夫婦関係満足度とワーク・ライフ・バランス」山口一男(2006)
★≪最新情報≫
開催場所:学習院大学 目白キャンパス
取組のきっかけや実績、効果など、ひと工夫した事例、ユニークな事例を含めてお寄せください。
いただいた事例は、仕事と生活の調和推進室において内容を確認させていただき、今後、メールマガジン等でご紹介させていただきます。
この機会に、取組を全国に向けてアピールしてみませんか?
また、紹介時期のご指定についてはお受けできませんので、あらかじめご了承ください。
https://form.cao.go.jp/wlb/opinion-0001.html
※ご記入の際は、冒頭に必ず【取組事例応募】と明記して、ご記入ください。
https://form.cao.go.jp/wlb/opinion-0001.html
このままご返信いただけませんのでご了承ください。
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/e-mailmagazine/tetsuzuki.html
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/index.html
≪編集後記≫
その後は気温はぐんぐん上昇、とても職場に長くはいられない状態になる。
はっ!?これはもしかして新手のワーク・ライフ・バランス推進方策か?と疑ってみるが、ワーク・ライフ・バランスの別の柱である「『健康』で豊かな生活のための時間の確保」という面からは、この方法は全くお勧めできない。
いずれにせよ、一刻も早く涼しくなって欲しいものである。(YK)
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