第12号 平成22年09月30日 配信

内閣府仕事と生活の調和推進室
Office for Work-Life Balance, Cabinet Office, Government Of Japan


発行: 内閣府 仕事と生活の調和推進室

■□ カエル! ジャパン通信 Vol.12 □■

2010年9月30日 発行

  今回のテーマは、「自己啓発」です。

  自己啓発とは、労働者が自身の能力向上のための活動に、自主的に取り組んでいくことを言います。このような活動は、労働者の職業能力を向上させるだけではなく、仕事に対するやりがいを生み出し、また生活を豊かにします。

  そこで今月は、教育訓練給付制度など、自己啓発に関わる情報をご紹介します。

≪目次≫

★≪取組・施策紹介 Vol.6≫
 「雇用保険法に基づく教育訓練給付制度」

★≪統計・調査トピックス≫
 厚生労働省 2010年 「平成21年度能力開発基本調査」 他

★≪コラム≫
 目標達成の秘訣 ~感動をエネルギーに変える~

★≪最新情報≫
 ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた「3つの心構え」と「10の実践」~仕事を効率化して、めりはりワークを実現しよう【内閣府】 他

★≪取組・施策紹介 Vol.6≫

「雇用保険法に基づく教育訓練給付制度」


◎雇用保険法に基づく教育訓練給付制度
 昨今の厳しい雇用環境の中で、労働者が自分の希望する職業に就くことは容易なことではありません。そのような状況を克服し、少しでも有利な条件で就職活動を行うためには、希望する仕事に必要な知識・技能や資格を自ら積極的に修得することが大切です。
 労働者の自主的な教育訓練の受講を促進し、かつ、容易にする仕組みの一つに、雇用保険法に基づく「教育訓練給付制度」があります。
 今回は、雇用保険法に基づく教育訓練給付制度を紹介します。

● 教育訓練給付制度の概要
教育訓練給付制度は、労働者の主体的な能力開発の取組みを支援することにより雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、労働者が自ら職業訓練を受けた場合に雇用保険から教育訓練給付金が支給される制度です。
 教育訓練給付金の支給を受けるには、一定の要件を満たしていることが必要です。また、支給の対象となる教育訓練講座も、厚生労働大臣が指定するものに限られています。
 本制度は、職業能力向上の大きな助けとなることから、毎年10万人を超える労働者が利用しています。

●教育訓練給付金の支給対象者及び支給内容
教育訓練給付金の支給対象者及び支給内容は、次のとおりです。

◇支給対象者
教育訓練給付金の支給対象者は、下記の(1)又は(2)のいずれかに該当する方であって、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した方です。

(1)雇用保険の一般被保険者である方
厚生労働大臣が指定した教育訓練の受講を開始した日において雇用保険の一般被保険者である方のうち、支給要件期間※が3年以上ある方。ただし、初回に限り、支給要件期間が1年以上の方。
(2)雇用保険の一般被保険者であった方
受講開始日において一般被保険者でない方のうち、一般被保険者資格がなくなった日(離職日の翌日)から受講開始日までが1年(出産や疾病などにより、適用対象期間の延長が行われた場合には最大4年)以内であり、かつ、支給要件期間が3年以上ある方。ただし、初回に限り、支給要件期間が1年以上の方。
※支給要件期間とは、支給対象者として認定されるために必要な、被保険者として雇用されていた期間のことです。詳しくは、厚生労働省のホー ムページ「教育訓練給付の支給申請手続について」をご覧ください。

受講開始(予定)日現在において支給対象者に該当するかどうか、あるいは受講する教育訓練講座が厚生労働大臣から指定されたものであるかどうかについては、お近くのハローワーク(公共職業安定所)で照会できます。

◇支給内容
教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額が10万円を上限としてハローワークから支給されます。

● 指定講座
 教育訓練給付制度では、仕事に必要な知識・技能の向上や各種資格取得を目指す講座など、労働者の職業能力向上を支援するための様々な講座が厚生労働大臣から指定されています。平成22年4月1日現在、指定講座数は、6,068講座となっています。
 指定講座の内容は、中央職業能力開発協会ホームページ上の「厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」か、ハローワーク備え付けの「厚生労働大臣指定教育訓練講座一覧」で確認できます。

● 支給申請手続
 教育訓練給付金の支給を受けようとする場合の申請手続は、次のとおりです。

◇申請先
 教育訓練給付金の支給申請手続は、教育訓練を受講した本人が、受講修了後、原則として本人の住所を管轄するハローワークで行います。
◇申請書類
申請にあたっては、下記の書類を提出する必要があります。
 ・ 教育訓練給付金支給申請書
 ・ 教育訓練修了証明書
 ・ 経費領収書
 ・ 本人・住所確認書類
 ・ 雇用保険被保険者証
 ・ 教育訓練給付適用対象期間延長通知書(適用対象期間の延長措置を受けていた場合のみ)
 ・ 返還金明細書(「領収書」等が発行された後に教育訓練経費の一部が還付された場合のみ)
 ・ 払渡希望金融機関の通帳
◇申請時期
 支給申請手続は、教育訓練の受講修了日の翌日から起算して1ヶ月以内に行わなければなりません。

● 支給実績
近年における教育訓練給付金の支給実績は、次のとおりです。
 平成19年度:約12万人(支給件数)、約90億円(支給金額)
 平成20年度:約12万人(支給件数)、約74億円(支給金額)
 平成21年度:約13万人(支給件数)、約48億円(支給金額)

本メールマガジンをご愛読の皆様、勉学の秋を迎えた今、教育訓練給付制度を活用してご自身の能力開発に取り組まれてはいかがでしょうか。


教育訓練給付制度の詳細については、以下をご覧ください。

「教育訓練給付の支給申請手続について」(厚生労働省)

「厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム」(中央職業能力開発協会)

-http://www.kyufu.javada.or.jp/kensaku/T_M_kensaku

「教育訓練給付制度の講座指定等に関するQ&A(平成22年10月版)」(厚生労働省)

★≪統計・調査トピックス≫

  今回のテーマである「自己啓発」に関連した調査を紹介します。

◎「平成21年度能力開発基本調査」厚生労働省 2010年

● 6割以上の事業所が正社員に対する自己啓発支援を行っている
正社員に対して自己啓発への支援を行っている事業所は66.5%で、1年前の前回調査に比べて、13.1%減少しました。正社員以外の労働者に対する自己啓発への支援を行っている事業所は、41.3%で同様に前回調査と比べて12.5%減少しました。また、従業員数が多い企業ほど、自己啓発への支援を行っている割合が高い傾向にあることがわかりました。

● 自己啓発を行った正社員は前回調査に比べ16%減少
前年度に自己啓発を行った正社員は42.1%と、1年前の前回調査に比べ、16%減少していることがわかりました。同様に、前年度に自己啓発を行った正社員以外の労働者は20%で、前回調査に比べ17.3%減少しています。また、一人当たりの平均延べ受講時間は、正社員、正社員以外ともに「10~30時間未満」が最も多い回答でした。

● ラジオ、テレビ、専門書、インターネットなどによる自学、自習が最も多く行われた自己啓発方法
正社員の47.1%、正社員以外の労働者の40.8%が行った自己啓発の実施方法として、「ラジオ、テレビ、専門書、インターネットなどによる自学、自習」を挙げています。次いで「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」が、「民間教育訓練機関の講習会、セミナーへの参加」が、多くの人が実施した自己啓発の方法でした。

● 7割近くの正社員が自分で職業生活設計を考えていきたい
正社員のうち、67.1%が「自分で職業生活設計を考えていきたい(「どちらかといえば、自分で職業生活設計を考えていきたい」との合算)」としています。正社員以外の労働者では、「自分で職業生活設計を考えていきたい(同上)」と答えた人が、48.9%にとどまり、残りの約半数が、「わからない」と回答しています。

*調査対象 :事業所調査
日本標準産業分類による15大産業に属する30人以上の常用労働者を雇用する事業所6,689事業所
個人調査
事業所調査の対象となる事業所に属している労働者20,024人
調査方法 :事業所調査  調査票を郵送の後、調査員により回収を行った
個人調査  事業所調査の調査票回収時に事業所に配布を依頼し、郵送による回収を行った
有効回答回収数 :事業所調査  4,463事業所(66.7%)
個人調査  8,075人(40.3%)
-http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/104-1.html


◎「特に配慮を必要とする労働者に対する休暇制度に関する意識調査」厚生労働省 2010年

● 特別な休暇制度を導入している企業のうち、6.9%が自己啓発休暇を導入
特別な休暇制度を導入している64%の企業のうち、「自己啓発休暇」を導入している企業は6.9%でした。62.4%が導入している「裁判員休暇」や、48.2%が導入している「リフレッシュ休暇」に比べて、導入している企業が少ないことがわかりました。

● 社員数が多い企業ほど自己啓発休暇を導入
特別な休暇制度を導入している企業のうち、「自己啓発休暇」を導入している割合は社員数が5,000人以上の企業(45.5%)で最も多く、2番目に多い1,000~4,999人の企業(9.5%)と比べても、圧倒的に導入割合が多いことがわかりました。

● 特別な休暇制度を導入していない企業のうち、19%が自己啓発休暇を認知
特別な休暇制度を導入していない36%の企業のうち、19%の企業が「自己啓発休暇」を知っていると回答しました。また、特別な休暇制度を導入していない企業の12.3%が今後検討したい特別な休暇制度として「自己啓発休暇」を回答しています。

*調査対象 :企業調査 7,000社
調査方法 :郵送によるアンケート調査
有効回答回収数 :1,450社(20.7%)


◎「生涯学習に関する世論調査」内閣府 2008年

● 7割の人が生涯学習をしてみたい
生涯学習を「してみたいと思う(「どちらかといえば、してみたいと思う」との合算)」と回答した人は70.5%で、平成17年に行われた前回調査の64%(前回調査は「どちらかといえば、してみたいと思う」という選択肢なし)に比べ、生涯学習に対する意欲が増していることがわかりました。

● 生涯学習をしてみたい理由のトップは「興味があり、趣味を広げ豊かにするため」
生涯学習をしてみたいと思う理由として、59.1%の人が「興味があり、趣味を広げ豊かにするため」と回答しました。次いで「健康・体力づくりのため」(40.5%)、「他の人との親睦を深めたり、友人を得るため」(38.1%)が多く挙げられました。また、してみたい生涯学習の内容は、「健康・スポーツ(健康法、医学、栄養、ジョギング、水泳など)」(55.1%)、「趣味的なもの(音楽、美術、華道、舞踊、書道など)」(53.2%)に回答が集まりました。

● 生涯学習をしたくない人の3割以上が「仕事が忙しくて時間がない」
生涯学習を「してみたいと思わない(「どちらかといえば、してみたいと思わない」を含む)」と回答した人の34.5%が、してみたいと思わない理由として、「仕事が忙しくて時間がない」を挙げました。また、「家事が忙しく時間がない」と回答した人も14.2%いました。

*調査対象 :全国の20歳以上の3,000人
調査方法 :調査員による個別面接聴取
有効回答回収数 :1,837人(61.2%)
-https://www8.cao.go.jp/survey/h20/h20-gakushu/index.html

★≪コラム≫

目標達成の秘訣 ~感動をエネルギーに変える~


何かを始める前には目標を立てることが多いと思います。しかしながら、ただやみくもに高い目標を立てても、なかなか達成できず、徒労感ばかりが募ってしまいかねません。したがって、目標を達成するための前提条件として、目標が明確であること、課題を行う人が十分にこの目標設定(目指すべきゴール)に納得していることが重要であると言われています。
 また、高い目標を確実に達成するには、「高い目標を小さな目標に分解してひとつひとつ達成していく」ことが有効であるとも言われています。例えば、「資格を取得する」という目標はそれだけではどこから手をつけていいか分かりません。まず、資格取得に向けてやらなければならない工程をフロー図に表してみる、各作業にかかる時間を計る、といったように、最終目標に至るプロセスを明確にして、それぞれを小さな目標として達成していくことが必要です。
 高い目標を立てることは素晴らしいことですが、それが単なる目標で終わってしまわないように、目の前の小さな目標の達成後、次の目標達成に向けてモチベーションを維持し続けることが重要です。モチベーションの維持の方法は千差万別だと思いますが、例えば、小さな目標の達成ごとに自分を褒めることも1つの方法かもしれません。
 ひとつひとつのプロセスを大切にして、その達成に感動を得ることができれば、その感動を次のステップへのエネルギーと変えることができるでしょう。
 「感動をエネルギーに変える」ことは、高い目標達成の秘訣と言えるかもしれません。

★≪最新情報≫

★パンフレット★
◇ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた「3つの心構え」と「10の実践」~仕事を効率化して、めりはりワークを実現しよう 【内閣府】
ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、仕事の効率化に取り組むための心構えと具体的なノウハウをわかりやすく紹介しています。

★レポート★
◇仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2010~決意も新たに。働き方改革をより大きな流れへ~ 【内閣府】
今年度版のレポートが公表されました。本年6月に「憲章」と「行動指針」が改定され、新たな数値目標が設定されたこと等を踏まえた内容になっています。

★調査結果紹介★
◇育児支援の最新事情と改正育児・介護休業法への対応状況/ビジネス・レーバー・モニター特別調査 【労働政策研究・研修機構】
モニター企業68社に対して行った、育児支援の最新事情と改正育児・介護休業法への対応状況の調査結果が掲載されています。

◇ワーク・ライフ・バランスのための仕事の進め方の効率化に関する調査報告書 【内閣府】
「めりはりのある働き方」ができる職場づくりに向けた考え方とその具体的な事例を紹介しています。

◇平成21 年度 地方公共団体におけるワーク・ライフ・バランス推進施策に関する調査報告書 【内閣府】
各自治体におけるワーク・ライフ・バランス推進施策を網羅的に調査し、それに関する工夫や課題等を紹介しています。

★イベント情報★
◇労働政策フォーラム-変化する若者へ向きあうキャリア・ガイダンス- 【労働政策研究・研修機構】
開催日時: 2010年10月21日(木)13:30~17:00
開催場所: 浜離宮朝日ホール 小ホール(中央区)

◇(公財)労働問題リサーチセンター設立25周年記念シンポジウム 今日の労働問題と明日への展望~我が国労働問題四半世紀の回顧と展望~ 【(公財)労働問題リサーチセンター】
開催日時: 2010年11月1日(月)13:30開会
開催場所: アルカディア市ヶ谷(私学会館)6F霧島

◇労働契約解説セミナー 【平成22年厚生労働省委託事業】
開催地: 全国47都道府県
開催期間: 2011年3月まで
※各都道府県での開催スケジュールは以下のページからご確認ください。

◇シンポジウム「いま“人が育つ現場”に変えるために」 【労務行政研究所】
開催日時: 2010年11月24日(水)13:30~17:00
開催場所: 品川インターシティ インターシティホール
※各都道府県での開催スケジュールは以下のページからご確認ください。

地方公共団体でのワーク・ライフ・バランス推進の取組事例を募集します

●地方公共団体で、ワーク・ライフ・バランス推進のためにどのような取組を進めているか、取組事例を募集します。
 取組のきっかけや実績、効果など、ひと工夫した事例、ユニークな事例を含めてお寄せください。
 いただいた事例は、仕事と生活の調和推進室において内容を確認させていただき、今後、メールマガジン等でご紹介させていただきます。
 この機会に、取組を全国に向けてアピールしてみませんか?
※事例の締切りは当面ありませんので、随時ご応募ください。
 また、紹介時期のご指定についてはお受けできませんので、あらかじめご了承ください。

取組事例のご応募はこちらから
https://form.cao.go.jp/wlb/opinion-0001.html
※ご記入の際は、冒頭に必ず【取組事例応募】と明記して、ご記入ください。

カエル! ジャパン通信へのご感想やご意見、ご要望をお寄せください

●このメールマガジンを今後よりよいものにしていくために、是非、ご感想やご意見をお寄せください。また、テーマや内容などについてのご要望をお知らせください。

このメールマガジンへのご意見・ご要望等はこちらから
https://form.cao.go.jp/wlb/opinion-0001.html
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≪編集後記≫

 今回編集後記デビューの新人です。宜しくお願い致します!
 たまたま周りには、自分自身のワーク・ライフ・バランスの実現に向けて奮闘中の友人が男女を問わず多くおり、それぞれががんばっている話を聞けたりすると、普段は別の場所で闘っている戦友と会えたようで、なんだか妙に親近感が湧いたりします。前提として社会環境の整備が必要なのはもちろんですが、前向きにチャレンジする人が増えるのが、やっぱりうれしいですよね。(YN)

発行
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