内閣府仕事と生活の調和推進室
Office for Work-Life Balance, Cabinet Office, Government Of Japan
■□ カエル! ジャパン通信 Vol.13 □■
今回のテーマは、「家族」です。
家族は、わたしたちの日々の生活を豊かで幸せにし、仕事にもいきいきとした活力を与えてくれる生活の基盤ともいえる大事な存在です。11月は行楽シーズンとあいまって家族の週間などたくさんの行事がある一方、近年、児童虐待や家庭内暴力など、家族における問題も大きくなってきています。
そこで今月は、家族に関わる情報をご紹介します。
≪目次≫
「家族の日」「家族の週間」及び「パートタイム労働法」
女性の能力開発と父親の育児支援
企業において募集・採用に携わるすべての方へ 男女均等な採用選考ルール【厚生労働省】他
★≪取組・施策紹介 Vol.7≫ 「家族の日」「家族の週間」及び「パートタイム労働法」
子どもと子育てを応援する社会の実現のためには、子どもを大切にし、社会全体で子育てを支え、個人の希望がかなえられるバランスのとれた総合的な子育て支援を推進していく必要があります。内閣府では、「家族の日」や「家族の週間」を設け、子どもと子育てを応援する社会の実現を目指す取組を行っています。
また、現在、パートタイム労働者は全雇用者の4分の1以上を占め、家庭生活において重要な役割を担っています。「パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)」は、パートタイム労働者の待遇改善等を目的として改正され、平成20年4月1日から施行されています。
今回は、「家族の日」「家族の週間」及びパートタイム労働法のそれぞれの概要について紹介します。
内閣府では、平成19年度から、11月の第3日曜日を「家族の日」、その前後それぞれ1週間を「家族の週間」と定め、この期間を中心として、「生命を次代に伝え育んでいくこと」や、「子育てを支える家族と地域の大切さ」が国民一人ひとりに再認識されるよう呼びかけてきました。
また、平成22年1月29日に閣議決定された「子ども・子育てビジョン」においても、「子どもの育ちを支え、若者が安心して成長できる社会」を目指し、学校・家庭・地域の取組等を通じて、多様な家庭や家族の形態があることを踏まえつつ、生命の大切さ、家庭の役割等についての理解を深めることとし、「家族の日」や「家族の週間」等を通じて、家族や地域の大切さ等についての理解の促進を図ることとされています。
平成22年度においても、法務省、文部科学省及び厚生労働省等関係省庁や地方公共団体・関係団体等と幅広く連携・協力し、家族に関わる行事の開催や啓発の実施などの取組を行っています。
◇実施時期
(1)家族の日
平成22年11月21日(日)
(2)家族の週間
平成22年11月14日(日)~27日(土)
(2)「家族や地域の大切さに関する作品コンクール」表彰の実施
(3)関係省庁、地方公共団体及び関係団体や企業等との連携・協力
「家族の日」「家族の週間」の詳細については、以下をご覧下さい。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/kazoku/index.html
現在、パートタイム等労働者の約7割は女性が占めています。平成20年度のパートタイム労働法改正では、パートタイム労働者に関わる様々な問題を解消し、パートタイム労働者がその能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するとともに、多様な就業形態で働く人々がそれぞれの意欲や能力を十分に発揮でき、その働きや貢献に応じた待遇を得ることのできる「公正な待遇の実現」を目指しています。
パートタイム労働者とは「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」です。この条件に当てはまる労働者であれば、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託社員」「契約社員」「臨時社員」「準社員」なども「パートタイム労働者」としてパートタイム労働法の対象となります。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1g.html
パートタイム労働法(第15条)では、パートタイム労働者を常時10人以上雇用する事業所に対して、「短時間雇用管理者」を選任するよう規定しています。この「短時間雇用管理者」とは、事業所の人事労務管理について権限を有する者で、パートタイム労働指針に定める事項等を管理するパートタイム労働者の相談者といえます。
「短時間雇用管理者」を選任されましたら、都道府県労働局雇用均等室あてに選任届様式を郵送又はファクシミリで提出するようお願いしています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1m.html
★≪統計・調査トピックス≫
今回のテーマである「家族」に関連した調査を紹介します。
◎「第3回 家族についての全国調査」日本家族社会学会 全国家族調査委員会(日本学術振興会 科学研究費補助金研究) 2010年
28歳から62歳の人を対象に「親と離れて暮らした経験(離家)」について聞いたところ、全体の85.2%の人が「1年以上、親と別の世帯で暮らしたことがある」と回答しました。「離家のきっかけ」としては、男性では「就職」(32.4%)が最も多く、女性は「結婚」(53.7%)が最も多いことがわかりました。
28歳から32歳の男性の60.1%、女性の61.7%が「男性は外で働き、女性は家庭を守るべき」という家族観に対して「そう思わない(「どちらかといえばそう思わない」を含む)」と回答しました。一方で、63歳から72歳の高齢層では男性の68.1%、女性の53.3%が「そう思う(「どちらかといえばそう思う」を含む)」と回答しました。
*調査対象:日本国内に居住する1936~1980年生まれの日本人9,400人
調査方法:訪問留置法
有効回答回収数(率):5,203人(55.35%)
http://www.wdc-jp.com/jsfs/committee/contents/NFRJ08_publishing.htm
◎「男女共同参画社会に関する世論調査」内閣府 2009年
「結婚は個人の自由であるから、結婚してもしなくてもどちらでもよい」という考え方に「賛成(「どちらかといえば賛成」を含む)」と回答した人は70%でした。また、この割合は大都市や東京都区部、政令指定都市で中都市、小都市、町村に比べて高いことがわかりました。一方で「結婚しても必ずしも子どもをもつ必要はない」という考え方に対しては反対がやや多く、52.9%の人が「反対(「どちらかといえば反対」を含む)と回答しました。
「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人の生活(地域活動・学習・趣味・付き合い等)」の希望優先度について聞いたところ、「「仕事」と「家庭生活」をともに優先したい」と答えた人が最も多く31.2%、次いで「「家庭生活」を優先したい」(28.7%)、「「仕事」と「家庭生活」と「地域・個人の生活」をともに優先したい」(16.9%)という結果となりました。
「「仕事」を優先したい」と回答した人は8.5%に留まりました。
「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人の生活」の現実の優先度について聞いたところ、「「仕事」と「家庭生活」をともに優先している」と回答した人は21.0%で希望する割合よりも低いことがわかりました。一方で、「「家庭生活」を優先している」人は33.0%、「「仕事」を優先している」人は25.8%で希望する割合よりも高い結果となりました。
*調査対象:全国の20歳以上の男女5,000人
調査方法:調査員による個別面接聴取
有効回答回収数(率):3,240人(64.8%)
https://www8.cao.go.jp/survey/h21/h21-danjo/index.html
◎「配偶者からの暴力に関するデータ」内閣府 2010年
配偶者暴力防止法に基づき設置されている、配偶者暴力相談支援センター(市町村が運営するものの他、都道府県の婦人相談所など適切な施設が支援センターの機能を果たすことがある)への相談件数は、平成21年度には72,792件でした。そのうちの49,849件は電話による相談でした。相談年数は平成14年の35,943件から、毎年増加しています。
内閣府が全国20歳以上の男女5,000人を対象に行った無作為抽出アンケート調査の結果によると、配偶者(事実婚、別居中の夫婦、元配偶者も含む)から「身体的暴行」、「心理的攻撃」、又は「性的強要」のいずれか1つでも受けたことがある(「何度もあった」「1、2度あった」を含む)女性は33.2%に上りました。そのうちの約3割の人は「何度もあった」と回答しています。
*内閣府、警察庁などの調べによる。
http://www.gender.go.jp/e-vaw/data/dv_dataH2205.pdf [PDF形式:197KB]
◎「平成21年度福祉行政報告例結果の概況」厚生労働省 2010年
平成21年度の児童相談所における相談件数は371,800件で、そのうちの192,082件(51.7%)が「障害相談」でした。児童虐待相談を含む「養護相談」は87,596件(23.6%)でした。
児童虐待の相談対応件数は平成17年度より毎年増加しており、平成21年度は44,211件にも上りました。その内訳をみると、「身体的虐待」が最も多く17,371件、次いでネグレクトが15,185件でした。また、主な虐待者の58.5%は「実母」で、「実父」の25.8%を大きく上回りました。
*厚生労働省の調べによる。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/gyousei/09/index.html
★≪コラム≫
女性の能力開発と父親の育児支援
「平成21年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(平成21年12月1日現在)について」(厚生労働省)によれば、大学等を卒業して就職する女性は今では70%を超えています。長い間「夫が外で働き、妻は家庭を守る」という伝統的な男女の役割分担が当たり前とされてきた日本においても、女性の社会進出はもはや特別なことではありません。現在、日本の労働力人口の約4割を女性が占め、女性の能力開発は多くの職場で欠かせないものとなっています。
しかし、女性の育児休業取得率は85.6%であるのに対して、「第1回21世紀出生児縦断調査の概要」(厚生労働省)によれば、出産の1年前に仕事を持っていた女性の56.1%が、その1年半後には離職しています。他方、育児の担い手として期待される男性の育児休業取得率は1.72%に留まっています。実際、約3割の男性が育児休業の取得を希望していますが、なかなか進んでいないのが現状です。男性が育児休業を取らない理由は「業務遂行に支障が生じる」が6割以上を占めており、取った場合でも非常に短い期間であることから、女性にとっても十分なものではないようです。
男性が育児休業を取得すると、大事な戦力が欠けてしまうと懸念する企業の声もありますが、業務効率化や周囲の従業員の成長といったメリットにもつながります。何より仕事と育児の両立を含むワーク・ライフ・バランスを大事にしたいという男性社員の「仕事と子育て」をサポートすることは、仕事でも一層モチベーションを高める好循環を生み出すきっかけとなりますし、同時に女性のモチベーション向上にもつながります。
女性の能力発揮のためにも、そのパートナーである男性社員が子育て可能な雇用環境を整備することが、今、求められているのです。
「平成21年度雇用均等基本調査」結果概要」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000civ3.html
「今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査結果」(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/05/h0520-1.html
★≪最新情報≫
◇企業において募集・採用に携わるすべての方へ 男女均等な採用選考ルール【厚生労働省】
企業において従業員の募集・採用に携わるすべての方に、男女雇用機会均等法に沿った採用選考ルールをご理解いただくためのパンフレットです。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/danjokintou/dl/rule.pdf
◇「ジョブ・カード制度」のご案内【厚生労働省】
ジョブ・カードとは、これを作成する過程で自分の職業能力・意識を整理できるキャリア形成支援ツールです。幅広く求職活動などに活用していただけます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/job_card01/index.html
◇妊娠・出産をサポートする 女性にやさしい職場づくりナビ【厚生労働省】
女性をはじめ、様々な人材が活躍できる職場環境づくりのために、企業担当者の方や働きつづけたい女性のみなさんへ、法律・社内制度・職場環境づくりの取り組みについてご紹介しています。
◇労働問題Q&A 改訂版【(独)労働政策研究・研修機構】
雇用均等とワーク・ライフ・バランスについてのQ&Aがご覧いただけます。
◇平成22年度 子ども・子育て支援「家族の日」フォーラム【内閣府】
開催日時:2010年11月21日(日)10:00~16:00
開催場所:秋田拠点センター アルヴェ
https://www8.cao.go.jp/shoushi/kazoku/forum/akita.html
◇「イクメンプロジェクト」イクメンシンポジウムの開催~企業とイクメン達が考察する「男性の育児と社会」~【厚生労働省】
開催日時:2010年11月14日(日)12:30~14:00
開催場所:東京ミッドタウン カンファレンスルーム7
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000ty20.html
◇ワーク・ライフ・バランス・コンファレンス~第4回 ワーク・ライフ・バランス大賞表彰式 及び交流会~【(公財)日本生産性本部】
開催日時:2010年11月11日(木)13:30~17:00
交流会 17:15~18:30
開催場所:九段会館 3階 真珠の間
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/event/20101015.pdf
◇従業員と企業を活性化する休暇制度セミナー【厚生労働省】
開催日時:2010年10月~2011年2月
開催場所:47都道府県
◇不登校、ひきこもりへの支援を語る【内閣府】
開催日時:2010年12月4日(土)10:00~12:00(午前の部)
13:30~17:35(午後の部)
開催場所:東京工業大学内
取組のきっかけや実績、効果など、ひと工夫した事例、ユニークな事例を含めてお寄せください。
いただいた事例は、仕事と生活の調和推進室において内容を確認させていただき、今後、メールマガジン等でご紹介させていただきます。
この機会に、取組を全国に向けてアピールしてみませんか?
また、紹介時期のご指定についてはお受けできませんので、あらかじめご了承ください。
https://form.cao.go.jp/wlb/opinion-0001.html
※ご記入の際は、冒頭に必ず【取組事例応募】と明記してください。
https://form.cao.go.jp/wlb/opinion-0001.html
このままご返信いただけませんのでご了承ください。
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/e-mailmagazine/tetsuzuki.html
内閣府仕事と生活の調和推進室ホームページはこちらから
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/index.html
≪編集後記≫
今回は家族が特集です。自分自身をふり返って、30代と40代前半は、仕事と子供のことだけの毎日でした。ある日久しぶりに本屋さんの書棚の前に立ち、知らない作家の本が並んでいるのに驚いたことを思い出します。本を読む時間がとれるようになったと喜んだのもつかの間、やがて空の巣症候群に。今は仕事と健康づくりを中心に、友人と旧交を温めることにも時間を取れるようになりました。家族との関わりも、ワーク・ライフ・バランスも、人により、人生のステージにより、大きく異なってきます。大切なのは、ワーク・ライフ・バランスの重要性を認識すること、実現しようという強い意思を持つこと、そして、その時々を楽しむことかなと思います。(AO)
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