第25号 平成23年10月31日 配信

内閣府仕事と生活の調和推進室
Office for Work-Life Balance, Cabinet Office, Government Of Japan


発行: 内閣府 仕事と生活の調和推進室

■□ カエル! ジャパン通信 Vol.25 □■

2011年10月31日 発行

  11月23日は勤労感謝の日です。公益財団法人日本生産性本部では、11月23日を「ワーク・ライフ・バランスの日」と定め、ワーク・ライフ・バランス大賞の企業表彰などによるワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいます。

  今回は、就業意欲のある女性が働くことができるように、また働く女性が出産などを機に離職せず働き続けられるために期待される視点から、お届けします。


≪目次≫


★≪コラム≫
「女性の活躍の拡大とワーク・ライフ・バランス」
★≪取組・施策紹介≫
  • 均等・両立推進企業表彰について【厚生労働省】(2011年9月)
★≪統計・調査トピックス≫
  • 女性が活躍できる環境整備に向けた提言【一般社団法人情報サービス産業協会】(2010年7月) 他
★≪最新情報≫
  • お知らせ
    • 保育所関連状況取りまとめ【厚生労働省】
  • 地方公共団体等の動き
    • 「元気とやま!仕事と子育て両立支援企業表彰」受賞企業が紹介されています【富山県】 他
  • イベント
    • ワークライフバランス推進セミナー開催【長野県】 他

≪コラム≫「女性の活躍の拡大とワーク・ライフ・バランス」

  働く女性の数は近年増加傾向が続いていますが、第1子出産後に6割の女性が退職しています(※1)。また、この5年間のあいだに、介護のために退職をする人が男女ともに増加しています。これから日本は超高齢化社会を迎える中、企業にとっても、このような働き手を失うことは大きな損失なのではないでしょうか。

  例えば、経済産業省の「男女共同参画研究会」では、「女性の活躍と企業業績」(平成15年)において女性比率と利益率などの関係について分析を行っています(※2)。この分析では、女性比率が高い企業において利益率も高い関係がみられましたが、女性比率の高さは利益率が高いことの「見せかけ上の要因」であり、「真の要因」は「女性が活躍できる企業風土を持っている」ことだと指摘しています。女性比率を高め、企業業績も高める上では、「企業固有の風土」や「人事・労務管理上の取組」が重要であり、その中には、多様な働き方を取り入れることや生産性の高い仕事のやり方・働き方を促進するといったことも含まれます。

  女性が働き続けることについてみてみると、特にこれまで我が国において女性は出産・育児で離職するケースが多く、育児期でもある30歳代後半を底に、女性の就業率に「M字」の形の落ち込みが見られることがよく知られています。しかし現在就業や求職活動をしていなくても「働きたい」と希望する女性は342万人と多数に上っています(※3)。このことは、就業を希望する女性の活躍が進み、女性の活躍する場面が多くなればなるほど、その潜在的な力が発揮されることの裏返しでもあります。

  政府においても、女性の希望に応じて活躍の場を広めることについては、平成22年に閣議決定された「新成長戦略」で、例えば、前述の「M字」の底に当たる25歳から44歳の女性の就業率を、平成21(2009)年の66%を平成32(2020)年までに73%に高めることや、第1子出産前後の女性の就業継続率を38%から2020年までに55%に高めることなどを数値目標に掲げています。また「仕事と生活の調和推進のための行動指針」も同様に、女性の25歳~44歳の女性の就業率や第1子出産前後の女性の就業継続率を数値目標に設定しています。

  また、女性だけではなく、社会全体で仕事と生活の調和の推進を図ることも重要です。「仕事と生活の調和推進のための行動指針」では、「男性の育児休業取得率」や「6歳未満のこどもをもつ男性の育児・家事関連時間」なども数値目標として設定しています。

  これからますます少子高齢化による労働力減少が進んでいく中で、経済や社会の活力を維持していくために、女性の活躍の場を拡大するという側面から、ワーク・ライフ・バランスの推進を考えてみることも大切だと思います。


(※1)国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」(2011年)
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou14/doukou14.asp


(※2)経済産業省 男女共同参画研究会「女性の活躍と企業業績」(2003年)


(※3)総務省「労働力調査(詳細集計)」(2010年)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/index.htm


★≪取組事例紹介≫

  • 均等・両立推進企業表彰について【厚生労働省】(2011年9月)

  厚生労働省では、「女性労働者の能力発揮を促進するための積極的な取組」又は「仕事と育児・介護との両立支援のための取組」について、他の模範ともいうべき取組を推進している企業を表彰し、これを広く国民に周知することにより、男女ともにそれぞれの職業生活の全期間を通じて持てる能力を発揮できる職場環境の整備の促進に資することを目的に「均等・両立推進企業表彰」を実施しています。

  平成23年度は、株式会社高島屋が厚生労働大臣最優良賞、第一生命保険株式会社とシャープ株式会社が厚生労働大臣優良賞(ファミリー・フレンドリー企業部門)を受賞されています。

  -http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/kintou/ryouritsu.html


★≪統計・調査トピックス≫

  今回のテーマに関連した調査についてご紹介します。

  • 女性が活躍できる環境整備に向けた提言【一般社団法人情報サービス産業協会】(2010年7月)

  一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)は、情報サービス産業における女性の活躍推進は、業界に日本中の優秀な人材を吸収する絶好の機会であり、経営にとっても重要な課題であるとし、提言をまとめました。10年後の情報サービス産業のあるべき姿として「世界のIT産業において、技術・人材・競争力・リーダーシップともにトップクラスの産業であること」「日本で最も女性が活躍している産業であること」を目指し、女性が活躍できる環境整備に向けた「JISAアクションプラン」に基づいて取り組みが進められています。

  -http://www.jisa.or.jp/publication/tabid/271/Default.aspx


  • 平成22年度 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する先進的取組事例の調査【内閣府】(2011年5月)

  内閣府では、昨年度「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する先進的取組事例の調査」を実施し、行政機関、関連団体等が作成、主催した「仕事と生活の調和に関する取組事例」、「仕事と生活の調和実現に向けた取組に対する表彰事例」を収集・分類、整理を行い、これらの先進事例を事例集として情報提供しています。

  -https://wwwa.cao.go.jp/wlb/research/h22torikumi/index.html


  • 2011年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査【社団法人日本経済団体連合会】(2011年9月)

  社団法人日本経済団体連合会は、春季労使交渉・協議結果や、人事・労務に関するトップ・マネジメントの意見等をまとめた調査結果を発表しました。「今次労使交渉の結果、賃上げ、賞与・一時金以外の項目について論議した事項、及び実施することとされた措置」では、「ワーク・ライフ・バランスに関連する施策の拡充」が41.1%と最も高い比率でした。また、「ワーク・ライフ・バランスを実現するために実施している施策」としては「育児介護休業制度の充実」が77.4%、「女性従業員の活躍・促進のために実施している施策」としては「女性従業員の管理職登用の拡大」が53.2%と最も高い比率となる等の結果が紹介されています。

  -http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/092.pdf  [PDF形式:401KB] 

★≪最新情報≫ (原則として、発行月の前月以降に更新された内容を掲載しています。)

  • 地方公共団体の動き
    • 「元気とやま!仕事と子育て両立支援企業表彰」受賞企業の紹介【富山県】
      平成23年度受賞企業について紹介されています。
      -http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1303/kj00009158-001-01.html
    • 平成23年10月19日現在のワーク・ライフ・バランス認証企業数は275件に【北海道札幌市】
      ワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組んでいる企業を、取組内容に応じてステップ1~ステップ3に認証、紹介されています。
      -http://www.city.sapporo.jp/kodomo/jisedai/wlb.html
    • 平成23年度「港区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定事業」の認定企業が決定【東京都港区】
      平成23年度の認定企業が決定、紹介されています。
    • 区内事業所のワーク・ライフ・バランス取り組み事例を紹介【東京都中野区】
      事業所へ広める取り組みの一つとして、他の事業所の方々の参考のため、区内事業所のすぐれた取り組みを取材し紹介されています。
  • イベント
    • ワークライフバランス推進セミナー開催【長野県】
      日時 平成23年11月8日(火)13:30~16:00
      会場 上田市中央公民館 大会議室
      対象 事業主、企業の人事労務担当者、一般県民 等
      講演 「ワークライフバランスで自分らしく働く」
          ジャーナリスト・財団法人女性労働協会専務理事・昭和女子大学客員教授 福沢恵子氏他
      参加費 無料
    • 「あおもりワーク・ライフ・バランス講演会」開催【青森県】
      日時 2011年11月10日(木) 13:30~15:30
      会場 青森国際ホテル 2階「春秋の間」
      対象 企業経営者、労務管理担当、課長、従業員等(定員:150名)
      講演 「企業経営に役立つワーク・ライフ・バランス」
          渥美由喜さん(内閣府男女共同参画会議専門委員)
      参加費 無料
      -http://www.pref.aomori.lg.jp/life/danjo/worklifebalancekoenkai.html
    • ワーク・ライフ・バランス推進セミナー(豊橋会場)開催【豊橋市他】
      日時 2011年11月15日(火)13:30~16:30
      会場 豊橋市役所 東館8階
      対象 事業主・人事労務担当者・その他関心のある方(定員:先着100名)
      講演 「メンタルヘルスのためのワーク・ライフ・バランス」
          名古屋大学大学院発達科学研究科 教授 金井篤子氏他
      参加費 無料
    • 平成23年度 ワーク・ライフ・バランス啓発セミナー開催【岩手県男女共同参画センター他】
      日時 2011年11月16日(水)13:35~15:50
      会場 奥州市 市民活動支援センター 会議室
      対象 企業の経営者、人事担当者、一般労働者、行政関係者、ワーク・ライフ・バランスに興味のある方等(定員:50名)
      講演 「地域の復興・節電に取り組む今だからこそワーク・ライフ・バランス」
          岩手県男女共同参画センター
      参加費 無料
      ※共催 青森県、奥州市
      http://www.aiina.jp/danjo/
    • 神奈川ワーク・ライフ・バランスシンポジウム開催【神奈川県他※】
      日時 2011年11月17日(木) 第二部14:15~16:30
         (第一部13:30~14:00相模原市仕事と家庭両立支援推進企業表彰式)
      会場 サン・エールさがみはら
      対象 企業経営者や人事労務担当者、ご関心をお持ちの方(定員:200名)
      講演 「時間、エネルギー、そして人を大切にする働き方へ」
          内閣府男女共同参画会議 専門委員 渥美由喜氏 他
      参加費 無料
      ※主催 神奈川労働局、神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市
      http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f360367/
    • 人権啓発セミナー「ワーク・ライフ・バランス」開催【徳島県】
      日時 2011年11月24日(木)14:00~16:00
      会場 徳島グランヴィリオホテル 1階
      対象 企業の経営者・従業員、自治体・教育関係者、一般の方など(定員:先着40名程度)
      基調講演 「ワーク・ライフ・バランス~これからの時代の生き方~」
            小崎恭弘氏(神戸常盤大学短期大学部准教授、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事)
      参加費 無料
    • ワーク・ライフ・バランス・コンファレンス開催【日本生産性本部】
      ~第5回ワーク・ライフ・バランス大賞 表彰式及び交流会~

      日時 2011年11月22日(火)13:30~17:00(交流会:17:15~18:30)
      会場 JA共済ビル・カンファレンスホール
      対象 企業の経営者・従業員、労働組合、自治体の方など(定員:200名)
      講演 「企業経営とワーク・ライフ・バランス」
      六花亭製菓株式会社 代表取締役社長 小田 豊氏
      (第4回ワーク・ライフ・バランス大賞・大賞受賞組織)
      「ワーク・ライフ・バランス大賞受賞者の成功事例に学ぶ」
      第5回ワーク・ライフ・バランス大賞 受賞組織
      参加費 無料

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≪編集後記≫

  働くことを続けたいと思いながらも、就業継続が困難な状況であるために、現在就いている職を辞めざるを得ない人がいるとしたら、それは社会全体で改善しないといけない課題であると言えるでしょう。就業継続が困難な状況となる原因は個々の事情により異なることと思いますが、なかでも大きな要因となっているもののひとつは子育てであり、また介護です。そして、残念ながら、辞めていく人の実態は、男性よりも女性の方が多いという結果となっています。

  勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあうことを趣旨としている「勤労感謝の日」に、ワーク・ライフ・バランスについて考えるとき、まずは男性でも女性でも、働く意欲のある人々が生き生きと働くことができる機会を得ることができるようにと、改めて思いを馳せる今日この頃です。(K)

発行
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