内閣府仕事と生活の調和推進室
Office for Work-Life Balance, Cabinet Office, Government Of Japan
■□ カエル! ジャパン通信 Vol.26 □■
人と人とのつながり、絆の大切さが改めて見つめ直されることとなった2011年。今回は、「家族」に焦点をあて、豊かな時間を過ごす上で有用な視点について、ワーク・ライフ・バランスとの関連を交えてお届けします。
≪目次≫
「父親の役割とワーク・ライフ・バランス」
- 平成23年度子ども・子育て支援「家族の日」フォーラム開催【内閣府】(2011年11月) 他
- 国民生活に関する世論調査【内閣府】(2010年6月) 他
- お知らせ
- 「企業と自治体のパートナーシップを考える」ワークショップの開催【財団法人こども未来財団】
- 地方公共団体等の動き
- ワークライフバランス普及啓発商品(企業タイアップ商品)を販売【石川県】 他
- イベント
- 第12回関市男女共同参画市民フォーラム【岐阜県関市】 他
★≪コラム≫「父親の役割とワーク・ライフ・バランス」
子どもの発育に関して、近年父親の果たす役割の重要性に関する議論が行われています。21世紀の初年(2001年)に出生した子の実態及び経年変化の状況を継続的に観察することにより、少子化対策等厚生労働行政施策の企画立案、実施等のための基礎資料を得ることを目的とする「21世紀出生児縦断調査」で、第2回調査(1歳6か月)の「休日に父と過ごす時間」別に、第6回調査(5歳6か月)の「子どもの行動」で「落ち着いて話をきくこと」「がまんすること」等が「できる」と回答のあった割合をみると、父と過ごす時間が長いほど「できる」という回答割合が高くなる傾向にあります(※1)。
では、国際的にみると日本の父親はどのような状況にあるのでしょう。東アジア4都市(東京・ソウル・北京・上海)における「0 歳から 5 歳児を持つ乳幼児の父親についての調査」では、東京の父親は、「平日に子どもと一緒に過ごす時間」が4都市の中で最も短く、家事・育児を行う頻度も低いという結果でした。その一方で、休日に子どもと一緒に過ごす時間が4都市中最も長いことも分かりました(※2)。
海外と比較した結果から、日本の父親は、できるだけ子どもと一緒に過ごそうとしているものの、平日は仕事のためなかなか難しい様子が伺えます。前出(※1)の第1回調査(0歳6ヶ月、2001年8月1日(1月出生児)および2002年2月1日(7月出生児)時点)結果でも、1週間の労働時間が60時間を超えると、父親の育児参加の度合いが大きく低下する傾向が見られました。また、昨年度の男性の育児休業取得率は前回に比べて0.34%ポイント低下し、1.38%となりました(※3)。
「第2回乳幼児の父親についての調査」では、父親が利用しやすい子育て支援制度についてたずねたところ、「フレックスタイムや短時間就業」が挙がりました(53.3%)。両制度は企業での導入率が31.9%、30.8%と高く、同調査では特にフレックスタイム制度は子どもの看護休暇や短時間就業と比較して利用しやすい傾向にありました(1001人以上の企業で「とても利用しやすい」回答が26.3%)(※4)。これにより、企業や社会が、フレックスタイム制度等の時間の自由が効く働き方を推奨することが有効であることが分かります。例えば、朝の数時間に父親として育児に携わる生活が、子どもの発育を促進し、家族に豊かな時間をもたらすのではないでしょうか。
(※1)厚生労働省「21世紀出生児縦断調査(特別報告)2001年ベビーの軌跡(未就学編)」(2009年6月)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/tokubetsu/
(※2)株式会社ベネッセコーポレーション「0 歳から 5 歳児を持つ乳幼児の父親についての調査 ~東アジア 4 都市<東京・ソウル・北京・上海>比較~」(2010年6月)
http://prtimes.jp/data/corp/120/c670b7d1b2f4e520dc0082829bcb391a.pdf
(※3)厚生労働省「平成22年度雇用均等基本調査」結果概要(2011年7月)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001ihm5-att/2r9852000001ihnm.pdf
(※4)株式会社ベネッセコーポレーション「第2回乳幼児の父親についての調査」第3章 父親のワークライフバランスの実態(2011年3月)
http://berd.benesse.jp/jisedaiken/research/pdf/research09_9.pdf
★≪取組事例紹介≫
- 11月の第3日曜日は「家族の日」、その前後各1週間は「家族の週間」です。【内閣府】(2011年11月)
内閣府では、11月の第3日曜日を「家族の日」、その前後各1週間を「家族の週間」と定め、「家族の日」に地方公共団体との共催により、関係団体等の協力・参加を得て、子ども・子育て支援「家族の日」フォーラムを開催しています。今年度は、11月20日に全国大会新潟を長岡市にて開催しました。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/kazoku/forum/niigata.html
- 第5回『ワーク・ライフ・バランス大賞』受賞者発表と表彰式開催【公益財団法人日本生産性本部】(2011年11月)
「次世代のための民間運動~ワーク・ライフ・バランス推進会議~」は、2006年の発足以来、新しい時代の新しい生き方を目指し、「働き方」と「暮らし方」双方の改革による「調和のとれた生活」の実現を図る運動を進めています。その象徴的な取り組みとして、発足以来、「ワーク・ライフ・バランスの日」(11/23)と、ワーク・ライフ・バランス週間(11/20~26)の提唱を行っています。
この運動の一環として、今年も『ワーク・ライフ・バランス大賞』を実施し、「大賞」は日本アイ・ビー・エム株式会社に決定しました。表彰式は、11月22日開催「ワーク・ライフ・バランス・コンファレンス」にて行われました。
http://activity.jpc-net.jp/detail/lrw/activity001318.html
★≪統計・調査トピックス≫
今回のテーマに関連した調査についてご紹介します。
- 国民生活に関する世論調査【内閣府】(2010年6月)
本調査は、現在の生活や今後の生活についての意識、家族・家庭についての意識など、国民の生活に関する意識や要望を種々の観点でとらえ、広く行政一般の基礎資料とするために行っています。今回の調査結果では、「家庭の役割」について聞いたところ、「家族の団らんの場」を挙げた者の割合が65.4%と最も高く、以下、「休息・やすらぎの場」(57.7%)、「家族の絆(きずな)を強める場」(54.4%)、「親子が共に成長する場」(39.0%)などの順となりました。(複数回答)
https://www8.cao.go.jp/survey/h22/h22-life/index.html
- 子育てに関するアンケート調査【朝日生命保険相互会社】(2011年6月)
朝日生命保険相互会社は、全国0歳~12歳の子どもを持つ働く母親1,000名を対象に、子育てに関するアンケート調査を実施しました(2011年5月)。その結果、98.6%もの母親が育児しながら働き続けることを希望していることや、東日本大震災発生当日、働く母親が一番心配したことが「子どもの安否」(92.5%)という結果となり、母親の子どもに対する思いの深さが改めて浮き彫りになりました。
http://www.asahi-life.co.jp/pdf/p110609/110609_02.pdf [PDF形式:251KB]
- 「消費生活に関するパネル調査」について(第18回調査結果)【公益財団法人家計経済研究所】(2011年10月)
- 子どもの成長とともに、平日・休日も家事ゼロの「無関与型」夫が増加
- 休日の夫の家事・育児の関与で妻は幸せに、平日の関与でさらに幸せに
- 正社員の妻にとって、夫の家事は休日だけでは不十分
http://www.kakeiken.or.jp/jp/jpsc/pressrelease/index.html
- 第9回21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)の概況【厚生労働省】(2011年10月)
本調査は同一客体を長年にわたって追跡する縦断調査として、21世紀の初年に出生した子の実態及び経年変化の状況を継続的に観察することにより、少子化対策等の施策の企画立案、実施等のための基礎資料を得ることを目的として平成13年度から実施している統計調査です。今回の結果概要の中で、「母の就業状況」の変化をみると、「パート・アルバイト」は、第1回調査(出産半年後)(3.6%)から第9回調査(36.8%)まで年々増加しています。一方、「常勤」の割合は、第1回調査(出産半年後)以降大きな変化はなく、第9回調査では18.3%となっています。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/09/index.html
★≪最新情報≫ (原則として、発行月の前月以降に更新された内容を掲載しています。)
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お知らせ
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「企業と自治体のパートナーシップを考える」ワークショップの開催【財団法人こども未来財団】
こども未来財団平成 23 年度児童関連サービス調査研究「企業の次世代育成の推進に資する自治体支援のあり方に関する調査」研究班(代表:法政大学教授 武石恵美子)では、次世代育成支援、ワーク・ライフ・バランス推進のための企業と自治体のネットワーク構築に関する研究を実施しています。その一環として、自治体の先進的な取組に関する事例を共有し、今後の施策推進につながるワークショップを開催します。
日時 2011年12月5日(月)13:30~16:30
会場 東京大学本郷キャンパス 山上会館
参加者 100人(地方自治体における子育て支援やワーク・ライフ・バランス推進担当者の方を対象、申込先着順)講演 東京大学大学院情報学環(社会科学研究所 兼務) 教授 佐藤博樹 氏
参加費 無料
http://wlb.iss.u-tokyo.ac.jp/material/pdf/workshop.pdf [PDF形式:338KB]
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「企業と自治体のパートナーシップを考える」ワークショップの開催【財団法人こども未来財団】
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地方公共団体の動き
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ワークライフバランス普及啓発商品(企業タイアップ商品)を販売【石川県】
石川県及びいしかわ子育て支援財団では、身近なところからワークライフバランス(仕事と生活の調和)の大切さを考えてもらうきっかけ作りとして、オーディションで選ばれた子ども達の写真やキャッチフレーズ等をデザインした普及啓発商品を制作し、県内の各スーパーなどで販売することとしています。(販売予定期間:平成23年11月~平成24年3月)
http://www.i-oyacomi.net/wlb/news_sub.php?wt_no=71 -
「京都ワーク・ライフ・バランスセンター」を開設【京都府】
京都府では、仕事・生活・地域活動等の調和を推進するため、公労使のほか、地域団体やNPO等を加えたオール京都で、中小企業の取組や地域参加の促進等を支援する拠点として、11月14日(月)に「京都ワーク・ライフ・バランスセンター」を開設しました。
http://www.pref.kyoto.jp/koho/kaiken/kaiken2011/resources/111109-koumoku02.pdf [PDF形式:446KB] -
ワーク・ライフ・バランス推進セミナー開催【新潟県】
高齢化の進行により、介護の問題に直面する働き盛り世代や管理職世代が増加し、仕事と介護の両立支援が重要な課題となっている今、企業に求められる取組について考えます。
日時 平成23年12月16日(金)13:30~15:30
会場 アトリウム長岡 2階「白鳳・天平の間」
対象 事業主、企業の人事担当者、その他ご関心のある方等(定員80名)講演 ~待ったなしの大介護時代到来~参加費 無料
「今、企業に求められる仕事と介護の両立支援とは」
(株)wiwiw(ウィウィ) 社長執行役員 山極 清子氏
http://www.pref.niigata.lg.jp/roseikoyo/1321822831281.html
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ワークライフバランス普及啓発商品(企業タイアップ商品)を販売【石川県】
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イベント
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第12回関市男女共同参画市民フォーラム【岐阜県関市】
日時 2011年12月4日(日) 13:00~15:30
会場 わかくさ・プラザ 学習情報館 多目的ホール
参加者 300人(先着順)
講演 「実績の上がるワーク・ライフ・バランスと頓挫するワーク・ライフ・バランスの違い!!」勝間和代さん(経済評論家・内閣府男女共同参画会議議員) 他http://www.city.seki.gifu.jp/info2/fileopen.cfm?id=1033filename=/第12回関市男女共同参画市民フォーラムチラシ.pdf
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「企業のための人権セミナー 経営戦略とワークライフバランス」開催【愛知県名古屋市】
日時 2011年12月5日(月) 14:00~16:00
会場 名古屋市中小企業振興会館4階 第3会議室
対象 経営者、管理職をはじめ企業にお勤めの方(定員80名、先着順)
講演 株式会社ワーク・ライフバランス 松久晃士 氏
受講料 無料
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000029357.html
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「ワーク・ライフ・バランス推進セミナー」(半田会場)参加者募集【愛知県知多県民センター】
日時 2011年12月7日(水) 13:30~16:00
会場 クラシティ半田 3階 市民交流センターホール
対象 企業経営者、人事労務担当者、一般勤労者など(定員100名)
講演 「経営戦略としてのワーク・ライフ・バランス」椙山女学園大学現代マネジメント学部教授 吉田良生氏 他参加費 無料
http://www.pref.aichi.jp/0000045473.html
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第12回関市男女共同参画市民フォーラム【岐阜県関市】
https://form.cao.go.jp/wlb/opinion-0001.html
このままご返信いただけませんのでご了承ください。
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/e-mailmagazine/tetsuzuki.html
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/index.html
今年は、「絆」という言葉を色々なところで目にしました。
その言葉が含む意味のひとつに、「断つことのできない人と人との結びつき。」ということがあります。そして、今月のテーマである「家族」は、正に、そのような結びつきであるのではないでしょうか。
ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)について考えるとき、同居している家族、あるいは、同居していなくても、絆によって支え合っている家族との関係をそれぞれの状況において最も望ましい状態にどのようにもっていけるのか、これからもこのメールマガジンをとおして考えていければと思います。(K)
内閣府 仕事と生活の調和推進室
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TEL:03-3581-2327