内閣府仕事と生活の調和推進室
Office for Work-Life Balance, Cabinet Office, Government Of Japan
■□ カエル! ジャパン通信 Vol.33 □■
今月は、「ワーク・ライフ・バランスの実現を目指して~女性の活躍する企業から」と題し、お送りします。
≪目次≫
「IBM流『公私混同型』の新しい働き方とは」
日本アイ・ビー・エム株式会社 ダイバーシティー担当部長 梅田 惠 氏
- 平成24年版パートタイマー白書【株式会社アイデム 人と仕事研究所】(2012年5月) 他
- 7月1日から「改正育児・介護休業法」を全面施行~従業員数100人以下の事業主も就業規則などの変更が必要です~【厚生労働省】
- お知らせ
- 「平成24年度家族や地域の大切さに関する作品コンクール」作品を募集【内閣府】(2012年5月) 他
- 地方公共団体等の動き
- 「2012年版働く女性と労働法」を発行【東京都】(2012年6月) 他
- イベント
- 「キーパーソン養成講座」セミナー【主催:財団法人兵庫県勤労福祉協会ひょうご仕事と生活センター】 他
★≪コラム≫
「IBM流『公私混同型』の新しい働き方とは」
日本アイ・ビー・エム株式会社 ダイバーシティー担当部長 梅田 惠 氏
IBMでは、ワークライフ・インテグレーションという、「公私混同型」の新しい働き方、考え方を推進しており、それには2つの理由がある。
1つはグローバル化の推進。お客様のグローバル展開やIBM自身のグローバルな業務再編に伴い、自国以外の複数の地域で働く同僚と協業する機会が増えている。こうした環境下で仕事と個人生活の両立を図るためには、ITの活用で生産性を高め、社員自身が仕事と個人生活のスイッチを1日の中で複数回切り替えられるようにする必要がある。
もう1つはダイバーシティーの推進である。特に育児や介護、身体の障害など、働く時間と場所に制約がある場合、在宅や短時間、フレックスといった柔軟な働き方の提供が優秀な人材の確保と業務の継続をはかり、特に女性の活躍推進に大きな成果がみられた。
多様な人材が組織の中に定着し、モチベーション高く働くためには、性別や国籍、年代や志向の違いといったそれぞれの個性が尊重され、多様な価値観や事情を受容できる組織風土や柔軟な労働環境の提供が必要となってくる。
「公私混同」というと聞こえは悪いが、今までの日本のビジネス・カルチャーは「滅私奉公」型であり、規格外の社員が活躍しにくく、日本ではダイバーシティーがなかなか浸透しない理由となっている。結婚や出産、育児や介護といった人生の大きなイベントも、仕事があり、収入があればこそのものだし、個人生活の充実は仕事にもよい影響となる。またIBMでは、社員が仕事と家庭だけではなく、居住している地域のボランティア活動に参加することを積極的に奨励し、仕事を通じて参加できるプログラムもさまざまに提供している。
IBMは、社員が仕事、家族、地域社会といった、それぞれ不連続のシチュエーションを自律的に切り替え、「良き企業市民」として活躍し、成長することを支援している。縄をあざなうように、「私」と「公」を絡み合わせ、しなやかに強く、長く伸ばしていく。それがIBM流の「公私混同」型の新しい働き方である。
★≪統計・調査トピックス≫
今回のテーマおよびワーク・ライフ・バランスに関連した調査についてご紹介します。
- 平成24年版パートタイマー白書【株式会社アイデム 人と仕事研究所】(2012年5月)
「働き方に関するアンケート調査」(個人調査)及び「雇用に関するアンケート調査」(企業調査)結果に基づき、白書をまとめています。女性の継続就労を阻む原因や、働き続けるために必要な点などについて分析しています。
- 「都市と地方における子育て環境に関する調査」【内閣府政策統括官(共生社会政策担当)】(2012年5月)
全国を地域ブロックにわけ、子育て中の夫婦の意識や行動を把握・分析しています。主なポイントは、
- 親や地域の支援があるほど子育てしやすく、地域で相談相手や世話をしてもらえる人を地域別にみると、「親族」の割合が高いのは北陸、「近所の人」の割合が高いのは首都圏や近畿、「職場の人」は東北が最も高い。
- 今後は(今後も)何らかの形で働きたいという人は、妻全体で86%
- 職場環境と子育て時間との関係では、仕事と子育てを両立しやすい職場(勤務時間+通勤時間が短い)ほど、家事や子育てにあてる時間が長い。
- 子育て支援への要望では、未就学児を持つ妻の回答が、「多様な保育サービスの充実」で、妻全体と比べ割合が高く、就労者44.4%、未就労者で37.5%。
概要版 https://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa23/kankyo/g_index_pdf.html
全体版 https://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa23/kankyo/index_pdf.html
- 「企業参加型子育て支援サービスに関する調査研究」【内閣府政策統括官(共生社会政策担当)】(2012年5月)
主なポイントは、
- 自治体が企業の協賛を得ながら子育て家庭に対する割引等のサービスを提供する「パスポート等事業」の実施自治体は拡大しており、最も多い実施効果は、自治体では「地域で子育てを支える機運の醸成」、企業では「子育て支援をしているというイメージアップ」。
- 企業・NPO等が公的セクターと連携して行っている親子や子ども対象イベントや、子育て相談などの「企業・NPO等連携事業」も拡大しており、企業があげた最も多い実施効果は、「子育て中の親の精神的負担(孤独感)の軽減」。
概要版 https://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa23/kigyousanka/g_index_pdf.html
全体版 https://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa23/kigyousanka/index_pdf.html
- 平成24年版子ども・子育て白書【内閣府政策統括官(共生社会政策担当)】(2012年6月)
「子ども・子育てビジョン」に基づく施策の推進状況、出生率等の動向・結婚・出産・子育てをめぐる最近の状況(第1部)や、平成23年度に講じられた子ども・子育て支援策(第2部)を報告しています。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/index-w.html
- ワーク・ライフ・バランス比較法研究<最終報告書>【独立行政法人労働政策研究・研修機構】(2012年6月)
ワーク・ライフ・バランス(WLB)の法的意味に焦点を当て、具体的には、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、日本においてWLB政策が生じてきた背景や理由、その対象、WLB政策の当該国における雇用労働法制度の在り方などとの関係から比較検討しています。
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2012/0151.htm
- 平成24年版男女共同参画白書【内閣府】(2012年6月)
特集編では、「男女共同参画の視点からの防災・復興」を取り上げています。男女共同参画に関する現状や平成23年度、平成24年度に講じられた(講じる)施策を分野別に報告しており、第4章では「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の分野をとりあげています。
★≪制度施策解説 ~事業主・人事担当の皆様へ~≫
- 7月1日から「改正育児・介護休業法」を全面施行~従業員数100人以下の事業主も就業規則などの変更が必要です~【厚生労働省】
男女ともに仕事と家庭が両立できる働き方の実現を目指し、平成21年に「育児・介護休業法」が改正されました。従業員数100人以下の事業主には、これまで短時間勤務制度などの適用が猶予されていましたが、今年7月1日からは、全ての企業が対象となります。新たに対象となる企業は、あらかじめ就業規則などに制度を定め、従業員に周知して下さい。
7月1日から適用となる改正育児・介護休業法の制度
(1)短時間勤務制度
(2)所定外労働の制限
(3)介護休暇
※詳しくはパンフレット(平成24年7月1日からの改正育児・介護休業法の全面施行について)をご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h23_9.pdf
※改正法解説資料等は下記をご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/07/tp0701-1.html
★≪最新情報≫(原則として、発行月の前月以降に更新された内容を掲載しています。)
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お知らせ
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「平成24年度家族や地域の大切さに関する作品コンクール」作品を募集【内閣府】(2012年5月)
11月第3日曜日(11月18日)を「家族の日」、およびその前後各1週間(11月11日~24日)を「家族の週間」と定め、家族や地域の大切さ等について理解促進を図るため、「写真」と「手紙・メール」を募集しています
https://www8.cao.go.jp/shoushi/kazoku/index.html -
「キャリア支援企業表彰2012~人を育て・人が育つ企業表彰~」を開始【厚生労働省】(2012年5月)
今年度から労働者の自律的なキャリア形成の支援に取り組む企業を公募し、優れた事例を表彰する「キャリア支援企業表彰」を開始します。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002aiap.html -
「女性国家公務員の活躍事例集」のホームページ公開【総務省】(2012年5月)
新たな取組として、各府省の協力を得て、全国各地で勤務する計16名の女性国家公務員の活躍ぶりについて、「ロールモデル(手本・模範となる人物)」として紹介しています。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01jinji02_02000049.html -
6月から「女性の活躍促進・企業活性化推進営業大作戦」を開始【厚生労働省】(2012年5月)
企業訪問等を通じてポジティブ・アクションの取組促進や女性管理職割合などの情報開示促進の働きかけを実施しています。
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平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況【厚生労働省】(2012年6月)
主なポイントは、
「出生数は減少」に関して、母の年齢(5歳階級)別にみると、34歳以下の各階級では前年より減少、35歳以上の各階級では前年より増加
「合計特殊出生率は1.39」で前年同率
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai11/index.html -
イクメンプロジェクト 第12回「イクメンの星」を選定【厚生労働省】(2012年6月)
イクメンプロジェクト(育児を積極的に行う男性=「イクメン」を応援するプロジェクト)では、公式サイトに「イクメン宣言」を行い、子育てに関わって良かったことや苦労したことなどの体験談を投稿した父親の中から「イクメンの星」を選定しており、このほど第12回「イクメンの星」を選定しました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002clsv.html -
父の日「イクメンっぷり」コンテストを実施【内閣府イクメンの会】(2012年6月)
イベント第1弾として、父の日にちなみ、イクメンぶり(1日だけのなんちゃってイクメン、孫を育てている「イクジイ」も可)を発揮できる家族大サービスプランを実行し、その内容をレポートにまとめ、応募してもらいました。今後、優秀者の表彰や優秀事例の発信等を行う予定です。
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ワーク・ライフ・バランスをテーマに政府広報ラジオ番組「中山秀征ジャパリズム」が放送されました【内閣府】 (2012年6月)
父の日にちなみ、ゲストの東レ経営研究所部長渥美由喜氏がトークを展開しました。番組では、渥美さんから、「家事・育児に積極的に関わることで、仕事の効率化への意識が高まり、本人だけでなく、職場にもメリットになる!」といったご自身の経験談も交えながら、働き方を変えて、家族との時間を増やすための具体的なアドバイスがたくさん提供されています。ぜひお聴き下さい。
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今後のパートタイム労働対策を建議【厚生労働省】(2012年6月)
厚生労働省の労働政策審議会は21日、厚生労働大臣に対し、今後のパートタイム労働対策について建議を行いました。
厚生労働省では、平成19年のパートタイム労働法改正法附則におかれた施行3年後の見直しに向けた検討規定に基づき、昨年9月から、パートタイム労働法の施行状況を勘案し、今後のパートタイム労働対策の在り方について、雇用均等分科会で検討を行っており、今回の建議はその結果に基づくものです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002de17.html -
第2回「女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議」を開催【内閣官房国家戦略室・内閣府男女共同参画局】(2012年6月)
6月22日に第2回「女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議」が開催され、「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画を取りまとめました。
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「平成24年度家族や地域の大切さに関する作品コンクール」作品を募集【内閣府】(2012年5月)
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地方公共団体の動き
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「2012年版働く女性と労働法」を発行【東京都】(2012年6月)
労働者が働きやすい職場づくりの一助となるよう、各種労働法について指針・通達等も盛り込み、主要判例等を交えながら詳しく解説した小冊子を発行しました。
http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/equal/siryo/jyosei-rodoho/index.html -
「仕事と育児・介護の両立のために」のリーフレットを作成【新潟県】(2012年5月)
出産や介護をしながら働く人が、安心して働き続けられる職場環境づくりに役立てるためのリーフレットを作成しました。
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ハンドブック「働き方の見直しに取り組んでみませんか」を発行【新潟県】(2012年6月)
企業と従業員が共に成長することができる職場環境を目指して、これからワーク・ライフ・バランスに取り組もうとする企業の皆様の参考となるよう、その必要性・メリット、取組の方法、そして現在取り組んでいる企業の事例を紹介しています。
http://www.pref.niigata.lg.jp/roseikoyo/1338843661533.html -
「よこはまグッドバランス賞」の募集~働きやすく子育てしやすい中小事業所の募集を始めます!~【神奈川県横浜市】(2012年6月)
女性の能力活用、子育て・介護支援、勤務時間の短縮等、男女がともに働きやすい柔軟な職場環境づくりを進める事業所を「よこはまグッドバランス賞」と認定します。認定企業のうち、継続的に職場改善に取り組んでいる事業所については、認定の回数に応じた「継続賞」を授与します。また、認定外であっても、キラリと光る取組がある事業所に対して「努力賞」を授与します。応募締切 平成24年7月末日 ※詳しくはHPをご覧下さい。
http://www.city.yokohama.lg.jp/shimin/danjo/hyoshou/
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「2012年版働く女性と労働法」を発行【東京都】(2012年6月)
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イベント
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「キーパーソン養成講座」セミナー【主催:財団法人兵庫県勤労福祉協会 ひょうご仕事と生活センター】
ワーク・ライフ・バランス実現推進活動の一環として、当該組織の「キーパーソン」を養成することを目的に連続講座を開催します。
日時 7月12日(木)~11月8日(木)の計5回 各回13:30~17:30
場所 兵庫県中央労働センター内 会議室
定員 経営者・役員・管理職・人事・労務の担当者等 約30名
参加費 無料 -
働く女性のキャリアアップ応援セミナー【主催:鳥取県】
出産や育児に伴う休業の取得等によりキャリアが形成されにくい現状にある女性が、将来の自分の姿(理想像)を思い描きながらいきいきと能力を発揮して働き続けることができるよう、働く意欲の向上やキャリアアップを応援するセミナーを開催します。
日時 7月20日(金)~9月27日(木)の計3回 各回13:00~16:00
場所 倉吉未来中心 セミナールーム7
定員 県内企業で働く概ね25~40歳までの女性 30名
※先着順(応募多数の場合は「鳥取県男女共同参画推進企業」で働く方を優先)
※定員に余裕がある場合に限り、いずれか1講座のみの参加も可能
参加費 無料 -
働く女性応援プログラム講演会【主催:神奈川県横浜市】
親の介護に携わる方、介護をする社員の働き方を考える経営者は必見です!
日時 8月1日(水)15:00~16:30(開場14:30)
場所 横浜情報文化センター6階ホール(神奈川県横浜市中区日本大通11)
定員 200名(要予約、先着順、託児・手話通訳有り)
講演 「いま、会社経営に必要なこと~従業員の介護と向き合う経営~」
講師 おち とよこ氏
参加費 無料
http://www.city.yokohama.lg.jp/shimin/danjo/event/20120801hatarakujosei.html -
在宅ワーカーズ・フォーラム~在宅ワーカーとしての未来を語り、ネットワークを拡げよう~【主催:厚生労働省】
日時 2012年8月1日(水)13:00~16:00
場所 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
(オランダヒルズ森タワー)
対象 在宅ワーカーとして活動されている方 40名
(先着順だが、応募者多数の場合抽選)
内容 講演 「あなたにとっての在宅ワークの未来像をお聞かせください!」
(株)ワイズスタッフ 代表取締役 田澤由利氏
(株)クラウドワークス 代表取締役 吉田浩一郎氏
Lightning Talks(在宅ワーカー6名程度(※発表者募集中!))、交流会事前申込みが必要です。
申込み方法や「在宅ワーク」「在宅ワーカー」についての詳細はこちらから。
http://www.homeworkers.jp/ -
仕事と家庭の両立(ワーク・ライフ・バランス)に関する講演会【主催:福岡県男女共同参画センターあすばる】
日時 平成24年8月18日(土)10:00~12:00
場所 リーガロイヤルホテル小倉 4階 ロイヤルホール
定員 300名(先着順)
講演 「先進企業における『仕事と家庭の両立』経営戦略と実際」
(株)東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長
渥美由喜氏
参加費 無料
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「キーパーソン養成講座」セミナー【主催:財団法人兵庫県勤労福祉協会 ひょうご仕事と生活センター】
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/e-mailmagazine/tetsuzuki.html
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/index.html
去る6月22日に女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議で「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画~働く「なでしこ大作戦」~を取りまとめました。
女性の活躍のためには、社会、特に男性の意識が変わらなければならないと思います。この行動計画の施策のなかには、「長時間労働を前提とした従来の働き方の見直しなど、ワーク・ライフ・バランスを推進するための国民運動の展開」も盛り込まれています。
今後、「日本再生戦略」にこれを位置づけ、年内にはその工程表を策定することを予定しており、民間企業・団体、地方公共団体等とも連携して取組を進めていきたいと考えています。(N)
内閣府 仕事と生活の調和推進室
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