産後の妻をいたわり、育児に専念。子どもが話し始めた今、もう一度取得したい
- 執筆者の横顔:
- (1)会社員、(2)1,000人~4,999人、(3)30代前半、(4)30代前半、(5)本人、妻、子1人、(6)平成18年4月~5月 (1ヵ月間)
育児休業を取得して
小田口 浩太郎さん
「こういう機会でもないと休めないでしょう」、育児休業を取得したきっかけはこんな妻の言葉だった。育児休業として丸まる1ヵ月会社を休んだ。入社して10年、無論経験したことはなかった。
出産の数ヵ月前から職場には「育児休業を取りたい」と話していたが予想以上に周囲は協力的だった。会社の就業規則では女性本人が育児休業を取る事に制限はなかったが、男性の場合は「妻一人での育児が不可能な場合に限る」とあって実際に取得する者はこれまでいなかったようだ。なので年次休暇を取得しそれに当てる者がほとんどのようだった。
私の場合、妻に「多発性硬化症」という病気があって産後は症状が著しく悪くなる事が予想され、出産後すぐに再発予防の治療を行う事を予定していた為、会社にその旨を説明しようやく育児休業を取得できる手筈になった。
病院と会社が近い事もあり幸い出産にも立ち会えた。10数時間に渡る陣痛を経てようやく我が子に会えた。性別を知らされていなかったが望んでいた男の子だった。健康であればどちらでも良かったのだが、嬉しさがこみ上げた。
実際子供が生まれてからは入院中の妻と子供を見舞い、沐浴の指導を受けるなど毎日慌しく過ぎていった。点滴治療を受けた為母乳育児が不可能となった妻の代わりにミルクをあげたり、退院後はオムツ替えも頻繁に行った。産後これだけ目まぐるしく生活が変わるのなら健康な母体でも疲弊するに違いない。ましてや出産という大仕事を終えた後ならなおさらの事だ。もし普段通りに会社で仕事をしていたらそんな事には気付かなかったであろう。
とにかくあっという間の1ヵ月だった。「1ヵ月経って育児が落ち着いた?」かというと決してそうではないが、産後の母体安定には、多少の助力となったであろう。それに家族の為だけに時間を費やすという貴重な時を過ごせた。
現在息子は2歳半になるが少しずつ言葉を話し始め、こちらの言う事も理解しているようだ。息子とのコミュニケーションが楽しくて仕方なく、今もう一度1ヵ月休む事ができたら、と思うがそれは贅沢な願望だろうか。