家族の支えがあってこそ仕事もこなせることを実感。多くの家事を担っているであろう職員への見方も変化
- 執筆者の横顔:
- (1)団体職員、(2)、(3)30代前半、(4)30代前半、(5)、(6)(1週間)
男性初 育児休業の取得
中沢 秀徳さん
この度私は、職場において男性の育児休業取得者第1号になりました。
しかしながら私の場合、育児休業の取得について、当初から特別に思い入れがあったわけではありませんでした。取得を思い立ったきっかけはきわめて受動的なもので、次のようなものでした。
まず、私は人事課に身を置いていますが、自らの課において、男性の育児休業取得、ワーク・ライフ・バランスなどに取り組むことを業務としている部門であったこと、このため上司からも育休取得を勧められていたこと、そしてタイミングよく(?)第2子の出産を控えていたことなどが取得の大きな理由です。つまり、自分の部署でワークライフバランスの推進に取り組んでいる手前、取得者ゼロというは対面が悪く、こうなったら手っ取り早く自分で取得してしまえという単純な理由でした。
このような状況ですから、男性が育児休業を取得する際の第1の壁である「職場の理解」は、比較的簡単にクリアすることができました。
次に家族との話し合いですが、私は妻と長女の3人暮らしで、現在の生計は私の収入のみでたてています。育児休業取得に際して、妻の意見はというと、『休業はできる限り長くとってほしい。だけど収入が減るのは困る。』というもっともな意見でした。そして実はこれが男性の育児休業を困難にさせる1番の理由でもあったのです。休業となれば単純に収入はゼロになりますし、雇用保険の給付金があるといっても、現在の法律では復帰後の給付を含めて最大で賃金の50%程にしかなりません。これでは生活していくことは困難です。そこで、話し合いの結果、『休業期間は全部で1週間とする。そのうち一日のみを法律上の育児休業とし、残りは有給休暇を当てる。』という方法でした。
そしてこの1週間は、妻が産後退院してからの、体の自由が利かない期間に当てることとしました。
さて、こうして育児休業に入ったわけですが、体験してみると本当に充実した日々でした。実際には生まれた子よりも、まだまだ甘えたい盛りの2歳になる上の子の面倒をみることが多く、その間に妻が下の子の世話をするという、分業が中心でした。洗濯、掃除などの家事はもちろん私の担当で、なれない作業に戸惑いながらもやらせていただきました。そして上の子が母親に甘えたいときは私が下の子の世話をしていました。これほど長い時間子供と一緒にいられるのはこの先きっと無いのではないかと思うと、大変ではありながらも、幸せを噛み締めながら過ごさせていただきました。
一番嬉しかったのは、毎日一緒にいることで、上の子が私になつくようになったことです。今までは、母親がいないとどうしても泣き止まないことが多かったのです。妻にも感謝されて、夫婦間の信頼関係が深められたように思います。
今回の育児休業期間はたったの1週間という短いものでしたが、育児の大変さ、仕事だけでなく家庭を大事にすることの大切さを学びました。育児世代はちょうど働き盛りの年代でもあるわけですが、家族の支えがあってこそ仕事もこなせるのだということを、家事育児を体験することで身をもって実感しました。そして、復帰後は、おそらく多くの家事をしているであろう家庭を持つ女性職員に対する見方もかわりましたし、自分自身も早く帰宅するよう心がけるようになりました。そのためには仕事を効率よく進める必要があるため、業務の効率も以前よりよくなったという気がしています。
すすんでこのような休みを与え、協力してくださった職場の上司、同僚の皆さんには非常に感謝いたします。今後は私に続く男性育児休業の取得者の輩出ができるよう環境づくりをすすめていきたいと思っています。その先駆けとして職場内に道筋をつけられたのであれば幸いに思います。
男性の育児参加が当たり前の世の中になることを、そしてそのための社会保障制度のより一層の充実を願っています。