内閣府仕事と生活の調和推進室
Office for Work-Life Balance, Cabinet Office, Government Of Japan
■□ カエル! ジャパン通信 Vol.6 □■
今回のテーマは、『ワーク・ライフ・バランスと地域コミュニティの活性化』です。
子育てを縁にしたものや職場の有志で始めるものなど、地域コミュニティにおける活動にはさまざまな入り口があります。また、最近では、自分の仕事上の経験や能力を活かしたボランティア活動(「プロボノ」)も注目されつつあるようです。
明日からは新しい年度がスタートします。心機一転、いつもの働き方を見直して、地域コミュニティの活動に参加してみてはいかがでしょうか。
今回は、ワーク・ライフ・バランスと地域活動との関係について考えてみたいと思います。
≪目次≫
大畠 政義 氏((財)さわやか福祉財団)
「ワーク・ライフ・バランスと地域コミュニティの活性化」
小峯 力 氏(NPO法人 日本ライフセービング協会 理事長)
「ワーク・ライフ・バランスとライフセービング」
「就業・社会参加に関する調査」 労働政策研究・研修機構 2007年 他
「労働時間等見直しガイドライン」の改正について【厚生労働省】 他
★≪有識者インタビュー Vol.4≫
((財)さわやか福祉財団 人間力再生プロジェクトリーダー)
「ワーク・ライフ・バランスと地域コミュニティの活性化」
今回は、ワーク・ライフ・バランスの推進と地域での活動との関係について二人の有識者にお話を伺いました。
まずは、地域コミュニティの活性化という観点から大畠氏にお話をお聞きしました。
●4人に1人の高齢者
「それぞれの人が自分を大切にし、互いの個性やプライバシーを尊重しながら、困った時にはお互い様と自然に触れ合い助けあう……当財団は、そんな生き生きとしたあたたかい地域社会づくり、新しい社会づくりを目標に活動しています。近い将来には4人に1人が高齢者となり、少なく見積もっても全国で約1,200万人のボランティアが必要になると考えられています。
そのため、当財団では、これまでは高齢者を中心とした生活支援や心の交流などを行ってきましたが、サラリーマンや主婦、学生たちもボランティアに参加して頂けるような仕組みづくりにも取り組んでいます。」
「また、近年は『勤労者だけでなく、経営者にも理解して頂くことが必要では』と考え、経営者や人事担当者など、企業側に焦点を当てた取組みも始めました。ボランティア休暇やリフレッシュ休暇など、その会社独自の特別な休暇をつくるよう働きかけるのです。制度の導入と活用の啓発により、社員個人が本来持っている資質を発揮させるのに重要な総合能力を育むのはもちろん、優秀な人材の定着にもつながると考えます。」
●「お互いさま」と思いやる心を
「サラリーマンが40年間勤めた場合のトータルの勤務時間と、60~80歳までの自由な時間を比較すると、後者のほうが長いことをご存じですか。会社に勤めてるときは寝に帰るだけの我が家だったけれど、定年後は地域にいることが多くなる……この『地域での時間』を豊かに過ごすには、現役の時代から『仲間づくり・役割づくり・居場所づくり』をして、準備を整えておくことが大切です。」
「ワーク・ライフ・バランスは、自助(自分で生きていく力)と共助(人と助け合って生きていく力)です。現代社会は『自分さえ良ければ』 という考えばかりが強くなっているように思います。自助と共助を併せ持つことは、人が人間らしく生きていくための力、つまり『人間力』。人間力の再生によって、全ての人が尊厳と生きがいを持って活動できる、新しい社会が実現するのではないでしょうか。」
(NPO法人 日本ライフセービング協会 理事長)
「ワーク・ライフ・バランスとライフセービング」
小峯氏には、地域活動の具体例として、サラリーマンもライフセービングに参加している事例をも含めて、お話をお伺いしました。
●水辺の事故ゼロを目指して
「当協会は、国際ライフセービング連盟の日本代表機関として法人認証を受けた全国統括団体です。全体の約7割を水が占めるこの地球上で、水が原因で亡くなる人の数は年間およそ37万6千人。100秒に1人、世界中のどこかで水辺の事故により尊い生命が失われているという現実から、多くの生命を守るために活動しています。
ライフセービングというと『人命救助』と思われがちですが、それだけではありません。むしろ、人命救助にまで至らないようにし、『事故を未然に防ぐこと』こそが、真のライフセービングといえます。」
「実際に事故が起こった時、大きな波や強い潮の流れの中で人を救助するのは簡単なことではありません。そのため、ライフセーバーたちは日頃からトレーニングを行い、救助に必要な技術を磨いています。例えば、ビーチフラッグというスポーツでは、フラッグ(旗)は傷ついている人を意味します。傷ついた人の元へいかに早くたどり着き、安心を与えることができるかを競う競技なのです。」
●誰もがいつでも始められる
「救助する人だけを養成しても、事故は減りません。水の事故を起こさない、自分の身を自分で守るための安全教育こそが事故を未然に防ぐ近道と考え、一般の方々を対象とした心肺蘇生法講習会や水の安全に関する教育活動などを継続的に実施しています。その他、誰もが安心して水辺を楽しめるような環境づくりに力を入れ、社会福祉や、水と空気を守るための環境保全活動を展開しています。」
「ライフセービングは、どなたでも参加できる活動です。『人の役に立ちたい、人のために尽くしたい』という社会奉仕と博愛の精神があればいつでも始めることができ、年齢制限による引退もありません。社会は人と人が支え合う仕組み。その根本にある生命をお互いが尊敬し合い、一人ひとりが自分の身を自分で守ることができれば、ライフセーバーの存在は必要なくなるのかもしれませんね。」
★関連情報★
「新しいふれあい社会の創造」を基本理念に、高齢になっても地域で安心して暮らしていけるための支え合いのネットワークづくりや働く人のボランティア活動の推進、子どもの健全育成などの仕組みづくりを進める団体です。大畠氏が人間力再生プロジェクトのリーダーを務めています。
http://www.sawayakazaidan.or.jp/
小峯氏が理事長を務めるライフセービングの全国統括団体です。ライフセービングの活動を教育や環境、スポーツに活かしながら、社会貢献を推進するための人間づくりを目標に活動しています。
http://www.jla.gr.jp/
★≪統計・調査トピックス≫
今回のテーマである「地域活動・ボランティア」に関連した調査を紹介します。
最近1年程度続けて行っている社会活動についてきいたところ、正社員では、「いずれの活動も行っていない」が80.0%を占め最も多くなっています。それ以外では、「地域活動(町内会、自治会、PTA等)」を挙げる人が16.4%となっています。一方で、地域活動以外の「ボランティア活動」は5.1%にとどまっています。(複数回答)
「ボランティア活動」を行っている就業者に、その目的を聞いたところ、「人の役に立ち、社会や地域に貢献するため」が約6割(60.4%)で最も多くなっています。次いで、「活動目的に共感したため」「自分の経験や能力を生かすため」がそれぞれ35.6%で続いています。
ボランティア活動を行っていない就業者にその理由をきいたところ「仕事が忙しくて時間がない」が約4割(40.9%)で最も多く、次いで、「参加の機会に関する情報が不足している」が15.1%、「家事・育児・介護等が忙しくて時間がない」が11.4%となっています。
調査方法 :訪問留置法
有効回答回収率:56.9%(2,274人)
雇用されている人のうち、町内会、自治会、PTA等による地域活動も含めたボランティア活動を行っている人は25.1%で、男女別に見ると、男性が23.6%、女性が27.0%と女性の行動者率が高くなっています。
「ボランティア活動」を行っている就業者に、その目的を聞いたところ、「人の役に立ち、社会や地域に貢献するため」が約6割(60.4%)で最も多くなっています。次いで、「活動目的に共感したため」「自分の経験や能力を生かすため」がそれぞれ35.6%で続いています。
ボランティア活動に参加している被雇用者の年平均行動日数を見ると「スポーツ・文化・芸術・学術に関係した活動」で最も長く39.2日、次いで、「自然や環境を守るための活動」で29.5日、「高齢者を対象とした活動」で27.7日、「障害者を対象とした活動」で23.7日、「子供を対象とした活動」で22.6日と続いています。
調査方法 :訪問留置法
日頃,社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っているかを聞いたところ,「思っている」と答えた人の割合が69.3%となっています。この割合は1980年代以来、増加傾向が続いています。
何か社会のために役立ちたいと「思っている」と答えた方(4,080人)のうち、どのようなことで社会へ貢献できると思うかについて聞いたところ、「自然・環境保護に関する活動(環境美化、リサイクル活動、牛乳パックの回収など)」を挙げた人の割合が41.6%と最も高く、以下、「町内会などの地域活動(お祝い事や不幸などの手伝い、町内会や自治会などの役員、防犯や防火活動など)」(36.6%)、「社会福祉に関する活動(老人や障害者などに対する介護、身の回りの世話、給食、保育など)」(35.4%)などの順となっています。(複数回答、上位4項目)
★≪最新情報≫
「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(平成21年12月8日閣議決定)等を踏まえ、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備に向けた関係者の取組の促進を図ることを目的として、「労働時間等見直しガイドライン」(労働時間等設定改善指針)が改正されました。
労働時間、年次有給休暇等に関する事項について、労働者の生活と健康に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへと改善するために、事業主等が取り組むべき事項を定めたものです。
年次有給休暇について、事業主に対して次のような制度的な改善を促すこととしました。
(適用日:平成22年4月1日)
労使の話し合いの機会において年次有給休暇の取得状況を確認する制度を導入するとともに、 取得率向上に向けた具体的な方策を検討しましょう。
2週間程度の連続した休暇の取得促進を図るに当たっては、当該事業場の全労働者が長期休暇を取得できるような制度の導入に向けて検討しましょう。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004wti.html
短時間正社員制度を育児短時間勤務に活用する上での留意点が更新されました。
http://tanjikan.mhlw.go.jp/manual/index.html
2010年2月5日にホテルはあといん乃木坂にて開催されたイベントの内容報告です。自治体と企業からの取組報告とパネルディスカッションの概要を掲載しています。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/11premium/index.html
2009年12月に東京会場・大阪会場それぞれで開催されたイベントでの基調対談やパネルディスカッションの模様を紹介しています。
2010年2月9日に東京国際フォーラムで開催されたイベントの結果報告書をご覧頂けます。来場者アンケートの結果を掲載しています。
http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/equal/ikiiki/festa/
「企業参画型の子育て支援事業」の取組状況や推進に当たっての課題等を整理し、今後の取組の一層の推進に役立てるために自治体・企業・国民に対して実施した調査をまとめています。
https://www8.cao.go.jp/shoushi/cyousa/cyousa21/kigyousanka/index_pdf.html
ダイハツ工業(株)と広島大学の事例を紹介。育児休業を取得した男性社員(職員)の経験談を掲載しています。
http://www.papa-wlb.jp/example/index.html
≪編集後記≫
いよいよ新年度の異動の季節で、私もその一人。皆様お世話になりました。いい出会いに感謝!(TS)
取組のきっかけや実績、効果など、ひと工夫した事例、ユニークな事例を含めてお寄せください。
いただいた事例は、仕事と生活の調和推進室において内容を確認させていただき、今後、メールマガジン等でご紹介させていただきます。
この機会に、取組を全国に向けてアピールしてみませんか?
また、紹介時期のご指定についてはお受けできませんので、あらかじめご了承ください。
https://form.cao.go.jp/wlb/opinion-0001.html
※ご記入の際は、冒頭に必ず【取組事例応募】と明記して、ご記入ください。
https://form.cao.go.jp/wlb/opinion-0001.html
このままご返信いただけませんのでご了承ください。
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/e-mailmagazine/tetsuzuki.html
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/index.html
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